「GAIA」…それは息づく大きな生命体。
混沌の時代にも希望を見いだし再生を果たして未来へ向かう。
そこにきっと夜明けがやってくる。
駅前にある無印良品の店舗。
店内で商品を物色している女性がいました。
実は彼女数々の人気商品を開発してきた無印良品のヒットメーカーです。
嶋崎さんが生みの親。
機能を絞り込み水を入れた容器に天然のアロマオイルをたらしてスイッチを入れるだけ。
ミストと一緒に香りが部屋中に広がります。
他にも年間150万本売り上げる化粧水や首にフィットする旅行用のネッククッション。
更には吊るして使える洗面用具入れなど。
その嶋崎さんある人に呼ばれていました。
おはようございます。
おはよう。
無印良品を展開する無印は…。
熱烈なファンが多く売り上げも好調です。
しかし…。
アメリカでは苦戦を強いられていました。
嶋崎さんアメリカ市場での巻き返しを命じられたのです。
嶋崎さんの闘いが始まろうとしていました。
嶋崎さんが闘いの舞台としてまず選んだのが直前に迫っていたバーゲンセール。
全米が買い物に熱狂するこの期間に一大勝負を挑もうというのです。
世界の巨大セールを狙うさまざまな企業の挑戦を追った。
50%引き70%引きは当たり前。
アメリカ激安セールの裏側とは?中国人が1年でいちばん買い物に熱中する日があった。
爆発的に売れていたのは日本製。
追い詰められた大阪のドラッグストアが巨大ネットセールにかけた。
すると驚くべき結末が。
ただいま。
あっおかえりなさい。
ねぇねぇ今年の冬のボーナスいつ出るの?えっとね10日だったかな。
で今回はボーナス上がるんでしょ?いや上がるっていっても少しだよ少し。
空気清浄機買わない?空気清浄機?この前1台買ったじゃないか。
もうその型は古いの。
ほらそこに量販店からダイレクトメールが来てるでしょ。
これ?加湿器付きの最新モデルがセールで安くなってるのよ。
あっほんとだ。
安くなってる。
うん。
おっ俺も何か買おうかな。
いいんじゃない?それからデパートもセールだから私ブーツとコートも買いたいな。
いいね。
それからバッグも。
あっ炊飯器もどうかな。
そんなには出ないよ。
こちらは日本の小売業全体の去年1年間の月別販売額です。
やはりボーナス商戦やクリスマスセールなどがある12月は購買意欲を刺激されるのか約13兆5,000億円と販売額が飛び抜けています。
一方アメリカでは11月の第4木曜日の感謝祭という祝日から事実上のクリスマス商戦がスタートします。
去年の場合わずかこの4日間で小売業はおよそ5兆9,000億円も売り上げたといいます。
そして今年そんなアメリカの巨大セールに新たな戦略で挑む日本企業がありました。
そのすぐ近くに無印良品の店舗があります。
海外ではMUJIというブランド名。
ここはニューヨークの旗艦店です。
置いてある商品は日本と同じですが価格は高め。
例えばこの靴下。
日本では3足980円ですがアメリカでは1足で700円ほど。
店内を見回すと客の姿はまばらでした。
道行く人に無印のことを聞いてみると。
まだ知らない人が多いのが実情です。
アメリカで苦戦する無印の巻き返しを命じられた嶋崎さん。
このときあることを考えていました。
アメリカではその翌日にブラックフライデーという巨大セールが開催されます。
金曜日1日の売り上げで小売店が黒字になるということからブラックフライデーと呼ばれているのです。
嶋崎さんその巨大セールに合わせて店の改装に動き出しました。
問題にしていたのがこの1年を通してほぼ同じものが並んでいたのです。
嶋崎さん無印を知らない客を呼び込むには店内を外からどう魅力的に見せるかが鍵を握ると考えていました。
更に自ら開発したこれを改装の目玉にしようと考えていたのです。
嶋崎さん時間があるとよく足を運ぶ店があります。
それが無印のライバル。
日本にはまだ進出していません。
キッチン用品から家具までなんでも揃うこの店。
アメリカ人が好む遊び心のある華やかなデザインが特徴で値段もアメリカの無印とほぼ同じ価格帯です。
自宅のアパートに帰った嶋崎さん。
1人暮らしをしています。
嶋崎さん夫を日本に残して単身赴任の身。
突然言い渡されたアメリカ行き。
なぜ開発担当の自分が選ばれたのかずっと自問を繰り返してきました。
無印良品は創業以来パッケージの無駄を省いたり再生紙やオーガニックコットンを使った商品にこだわるなど…。
商品に込められたメッセージをアメリカの人たちにどう伝えたらいいのか?嶋崎さん街を歩いていてあることに気がつきました。
スーパーから出てきた客の大半がいくつもの紙袋をぶら下げています。
嶋崎さん何かヒントをつかんだようです。
再び東京。
嶋崎さんブラックフライデーにしかける商品について本社のデザイナーに相談しにやってきたのです。
取り出したのは無印のロゴが入った布製のエコバッグ。
エコバッグに紙に書いてきたようなマス目をデザインしてほしいというのです。
こうやって。
それはポイント・カードとして使えるエコバッグ。
無印では初めての試みです。
あ〜なるほど。
これで店に来てくれるリピーターを増やし更には環境への配慮を掲げる無印のコンセプトを伝えることもできるというアイデアです。
このエコバッグをブラックフライデーのセール期間に一気に広げようというのです。
この日改装の作業が始まりました。
嶋崎さん自ら陣頭指揮を執ります。
何より通りから見える商品のレイアウトを大幅に変えることにしたのです。
そのため改装作業は3日間にもわたりました。
そしてリニューアルが完了しました。
外からいちばん目立つ場所に置いたのがあのアロマディフューザーです。
大きな棚の上に12台並べました。
一方1年中シーツが置かれていたあの棚は…。
季節の変化を感じられる衣類のコーナーに生まれ変わりました。
感謝祭当日。
イギリスからアメリカに移住した人たちの初めての収穫を記念した祝日と言われています。
ニューヨークでは恒例のパレードが行われました。
その夜。
無印の店舗では翌日のブラックフライデーの広告がはり出されました。
なんと50%OFFの大幅値引きです。
客の目を引くために通りから目立つところに置いた衣類をすべて半額にしたのです。
そしてあのエコバッグも間に合いました。
景品にはペンやノート靴下など無印の人気商品を並べました。
買い物するたびに星型のスタンプが増えマスをすべて埋めると最後の景品はお楽しみという仕組みです。
無印のコンセプトを浸透させようと値段は1ドルに抑えました。
無印が挑むブラックフライデーのセール。
いよいよ明日が勝負のときです。
しかし同じ頃行列が。
街では一日早くセールを始める店が。
出遅れてしまったのか。
11月の第4木曜日。
この日アメリカは感謝祭です。
夜無印の店舗では翌日に迫った一大バーゲンセールブラックフライデーの準備に追われていました。
しかしちょうど同じ頃街の家電量販店にはすでに長蛇の列が。
一日早めてセールを始める店が出ていたのです。
ここの目玉商品は…。
パナソニック製の50インチテレビ。
なんと199ドル。
午後5時に店をオープン。
次々に目玉商品のテレビが売れていきます。
その1時間後老舗百貨店のメイシーズでも…。
一日早くセールがスタート。
この日詰めかけた客は1万5000人。
世界最大級の店舗が人で埋め尽くされました。
今年はアメリカ経済が好調なこともあり客の財布のひもも緩みがち。
例年以上の盛り上がりです。
一方無印のセール開始は翌日金曜日の午前10時。
オープンすると待っていたのはたった7人。
静かな出足です。
心配げです。
しばらくすると1人の女性がアロマディフューザーの前で立ち止まりました。
今度は男性。
店をのぞいた客が…。
中に入ってきました。
そして向かった先はアロマディフューザーのコーナーです。
そこにはすでに客が集まっていました。
手に取る人が。
売れていきます。
この女性初めて無印に入ったといいます。
サンキュー。
嶋崎さんの狙いどおり。
昼すぎには店が込み合ってきました。
特に50%オフの衣類に客が群がります。
そしてレジではエコバッグを勧めます。
アイシー。
買ってもらえました。
サンキュー…。
その後もエコバッグが次々と売れていきます。
サンキューソーマッチ。
ユアウェルカム。
客の反応のよさに嶋崎さんも思わず笑みが。
その夜。
ホテルの一室で売り上げの集計が行われていました。
アメリカ9店舗の売り上げは1日で2400万円。
去年より30%近くも増えました。
しかし嶋崎さん何より嬉しいことが。
すごいと思わない?すごいですねこれは。
エコバッグがタイムズスクエアの店で188枚。
嶋崎さん巨大セールをきっかけにアメリカでの巻き返しの足がかりを作りました。
一方中国にも1年で最も買い物をする日があった。
そこに目をつけた日本企業が。
チャリンチャリンチャリンチャリンやでこれ。
販売業のなかでここ数年急激に伸びているのがネット通販市場です。
特にその成長が著しいのが中国。
こちらは日本と中国のネット通販市場の売り上げの推移を示したものです。
2008年の時点では中国の市場は日本の3分の1以下でした。
しかし2011年には日本を抜き去り今では中国の市場は日本の約3倍近くまで膨れ上がっています。
そんな中国のネット通販市場でシェアナンバーワンなのがtmallというサイトです。
なんと52%のシェアを誇っています。
毎年11月11日にはtmallは一大セールを行います。
このセールジャンル別に売り上げトップのメーカーを見てみるとテレビや冷蔵庫などの家電では中国のハイアールというメーカーです。
そしてスポーツ・アウトドア用品ではドイツのアディダス。
メンズファッションはデンマークのジャック・ジョーンズ。
レディースファッションは中国のハンドゥーイーシャという会社でした。
そして日本メーカーでは唯一花王が紙おむつなどのベビー・マタニティー用品分野で1位となっています。
大きな売り上げが期待できる中国tmallの巨大セール。
ここにある日本企業が一大勝負を挑んでいました。
通り沿いに店舗を構えるここはドラッグストアのキリン堂。
大阪を中心に326店舗を全国に展開しています。
特に力を入れていたのは健康食品などのプライベートブランド。
なかでも人気なのがこの青汁です。
しかし売上高は業界12位とここ数年伸び悩んでいました。
そこでキリン堂は中国に活路を見いだそうとしていました。
人口一千万を超える大都市です。
その中心部にあるショッピングモールの地下にキリン堂の店舗があります。
日本でも人気の化粧品が所狭しと並んでいます。
しかし店内に客はまばら。
知名度がなかなか上がらないのが現状です。
キリン堂が勝負をかけた中国進出は大きくつまずいていたのです。
古くは都だった歴史ある街です。
中国で苦戦が続くキリン堂。
その打開のためにやってきたのが…。
ほう。
伊藤さんが訪れたのは奇妙な形をした巨大な建物。
中国最大のIT企業アリババはそのアリババが運営するのがそのなかには日本からもユニクロや花王などが名を連ねています。
そのティーモールにとって最大のセールの日が11月11日。
1が並ぶことから…。
まさに激安。
中国の人たちの目がサイトにくぎづけになる日なのです。
キリン堂の伊藤さんはそのセールに参入して中国での巻き返しを図ろうと狙っていました。
日本のドラッグストアとしては初めての出店となります。
それをサポートするのがキリン堂の担当者です。
伊藤さんが最も売りたかったのは青汁をはじめとするプライベートブランド。
甘いでしょ?この絆創膏も自信のプライベートブランド。
そうそうそう。
それは嬉しい。
しかし商品がいいだけでは売れないと呉さんは言います。
中国では無名のキリン堂。
そのサイトを見てもらうためには日本の人気商品を揃える必要があるというのです。
伊藤さんは目玉になりそうな商品を持ってやってきました。
それがこのシャンプーです。
4年前に販売され…。
日本で爆発的に売れると中国でも人気に火がつくのがこうした商品の特徴なのだそうです。
すると呉さんからは驚きの要求が。
日本に戻った伊藤さんはあのシャンプーの会社を早速訪ねました。
果たして用意できるのか?なんとか商品を用意してもらえそうです。
伊藤さんはふだんここで仕事をしています。
セールに向けてスタッフと一緒に準備を進めていました。
実は今回のセールのために伊藤さんは輸送ルートをふた通り用意していました。
プライベートブランドなどの商品は国際郵便を使い直接中国の消費者に送ります。
一方シャンプーなどのセール品はあらかじめ安い船便で中国に送ります。
倉庫に保管し注文が入ればすぐに発送する態勢を整えました。
セール3日前中国から電話が入りました。
お疲れさまですはいはいは〜い。
うん…。
するとみるみる険しい表情に。
万が一万が一中国にあらかじめ送ってあったセール品は当初関税はかからないはずでした。
しかし突然高額な関税がかけられるのではという話が浮上したのです。
もともと利益の少ないセール品関税がかかるととんでもない大赤字になってしまいます。
その頃中国・上海のとあるマンション。
セール開始を心待ちにしている女性がいました。
岳さんです。
24歳にしてカフェバーを経営するやり手。
買い物の8割はネット通販を利用するという岳さん。
これは日本の化粧品。
更に食品なども…。
今年のセールでは安くなる日本の化粧品を大量に狙っていました。
中国から伊藤さんにやっと連絡が入りました。
当初の約束どおり無課税に落ち着きました。
涙出てきたわ。
そしていよいよ中国全土で一大激安セールが始まります。
11月10日夜上海。
巨大セールが始まろうとしていました。
セールに参加する企業のブースが並んでいます。
ここはナイキ。
いちばん盛り上がっていたのはそしてこちらが海外事業部の平野さんも来ていました。
キリン堂のサイト画面も用意されています。
セール開始です。
24時間の大勝負。
客から続々と注文が入ってきます。
キリン堂の売り上げが中国の元でリアルタイムに表示されます。
同じ頃上海の岳さんの家を訪ねると…。
大勢の友人が集まりスマートフォンやタブレットでショッピングに興じていました。
こうして集まっていたのには理由がありました。
いちばんの狙いは化粧品。
やはり日本製に人気が集まっていました。
キリン堂の伊藤さんが作業に追われていました。
果たして売り上げはいくらになるのか?目標額は4,000万円だったのですが…。
ネット通販のティーモール一大セール。
運営会場は最後の追い込みに入っていました。
伊藤さんたちが注文が入った商品の発送に追われていました。
売れていた商品のなかに…。
プライベートブランドの青汁が。
絆創膏も好調のようです。
うれしい?うれしいうれしいめっちゃくちゃうれしい…。
午後1時。
わ〜お。
わ〜お!当初立てていた売上目標は4,000万円。
はるかに超えていました。
セールが終わって4日目。
上海の岳さんを訪ねてみるとセールで買った商品が届いていました。
出てきたのはあのセールの目玉商品シャンプー。
他にもキリン堂のサイトで大好きな日本の製品をいっぱい買っていました。
セールがきっかけで今ではキリン堂のサイトをよく見るようになったそうです。
見ていたのはあのプライベートブランドの青汁でした。
ショッピングモールにキリン堂の伊藤さんと平野さんの姿が。
ああいっぱい人いらっしゃるじゃないですか。
実は新店舗がオープンしていたのです。
新店舗にその顧客をどうつなげていくのか?新たな挑戦の始まりです。
海外の巨大セール。
それは単に商品を安売りするだけではなく自社の商品を多くの消費者に知ってもらう。
そういう意味合いもあるようです。
しかしセールはあくまでも一過性のものです。
セールによって高めた知名度や商品の評価を今後にどうつなげていくか?腰を据えた継続的な取り組みが必要となってくるのかもしれません。
2014/12/16(火) 22:00〜22:54
テレビ大阪1
ガイアの夜明け【世界の“巨大セール”を狙え!】[字]
全米が熱狂する“激安セール”にあの「無印良品」が一大勝負を挑んだ!▽中国の“巨大セール”で日本製品の完売続出!?▽50インチのテレビが2万円台…驚きセールの裏側!
詳細情報
番組内容
日本でもクリスマスセール、クリアランスセールなど、さまざまなセールが存在するが、世界には桁違いの売り上げを記録する「巨大セール」があった!
アメリカでは11月の第四木曜日が「感謝祭」(サンクスギビングデー)という祝日になるが、その翌日の金曜日から全米が熱狂する巨大セールがスタートする。昨年は数日間で小売業の売り上げ額は5兆8000億円を超えたという。
番組内容続き
さらに中国では、中国ナンバーワンのIT企業・アリババが運営するネット通販サイトが、毎年11月11日に巨大セールを開催する。そうしたアメリカ、中国の巨大セールに日本企業が一大勝負を挑んだ!果たしてその結末は!?
出演者
【案内人】江口洋介
【ナレーター】杉本哲太
音楽
【音楽】
新井誠志
【テーマ曲】
◆オープニング曲
「鼓動〜ガイアの夜明け」(作曲/岸利至)
◆エンディング曲
「夜空の花」(作曲/新井誠志)
「ガイア」とは
ギリシャ神話に登場する「大地の女神」を意味し、後にノーベル賞作家のウイリアム・ゴールディングが「地球」を指して“ガイア”と呼んだことから「ガイア=地球」という解釈が定着している。「ガイアの夜明け」という番組タイトルには、地球規模で経済事象を捉えることで21世紀の新たな日本像を模索すること、そして低迷する経済状況からの再生=「夜明け」を目指す現在の日本を描くという意味合いが込められている。
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