午後のサスペンス「刑事吉永誠一・涙の事件簿4 いちばん大切な死体」 2014.12.12


(吉永照子)パパあと3分!遅刻しちゃう!
(吉永誠一)わかってるってば!菜摘頑張れ!もうちょっと速く走れ!
(菜摘)菜摘ムリ!
(誠一/照子)ええ〜っ!もうよ〜し!こうなったら最後の手段だ!パパ腰大丈夫?菜摘行くぞ!デコ来い!待って〜!パパ〜!あ〜!もう何やってんだよ!よし行くぞ…!
(美和)お姉ちゃん?お姉ちゃん!
(冴子)ねぇねぇ工房のほうじゃないかな?
(美和)お姉ちゃんいる?なにこのにおい?ガスじゃない?
(美和)お姉ちゃん!美和…!お姉ちゃん…お姉ちゃん!
(記者)菜摘ちゃん上に上がってくれるかな?写真撮影からいきます!おとうさんもうちょっと近づいてお願いします!
(記者)はいよろしくお願いします!パパ…!
(記者)はいありがとうございました!続いてインタビューお願いします。
こちらで…お願いいたします。
(記者)菜摘ちゃんどうしてパパの顔を創ろうと思ったのかな?パパのことが大好きだからだよね?
(記者)おじさんに教えてくれないかな?パパ変な顔してるから!
(笑い声)そりゃないだろ菜摘!ああっ…!うわっ…!大丈夫!?
(敏子)昌樹何やってるの!?ごめんなさい!ちゃんと謝りなさい。
(昌樹)わざとじゃないもん。
おじさんの顔がなあんまりおもしろいからつい触ってみたくなっちゃったんだよな?わざとじゃなくても壊したのは昌樹でしょ?昌樹だって一生懸命創ったものを壊されたら悲しいでしょ?だから創った人にきちんと謝りなさい。
(敏子)謝れるわね?ご立派…。
ごめんね…。
菜摘お返事は?いいよ…。
(拍手)ありがとうございます。
せっかくお嬢様がお創りになった作品だったのに本当に申し訳ございませんでした。
気にしないでください。
ちゃんと謝れたな偉いね!すみません…ちょっと失礼します。
はい吉永ですなんだお前かよ!・
(小沢)ホントは嬉しいくせに!バカ…切るぞ!
(小沢)あっ待ってください!事件です!聞かなかったことにする。
ダメですよ!深町班長からのご指名です!わかったよ行くよ…すぐ行きます!また事件?ごめん!パパが非番っていうと事件が起こるんだから。
きっとさ神様が俺とデコにヤキモチやいてるんだよ!フフ…まさか!行ってきます!気をつけて!〜はいご苦労さん!遅くなりました!
(川崎)なんだこれから結婚式か?
(後藤)菜摘ちゃんもいよいよ結婚ですか!ウチのはねまだ4つ!班長…すみませんでした!
(深町)あれお前今日非番だろ?はい。
なんで来たの?いやなんでって班長がご指名だっていうんで…。
指名なんかしないよ。
はい…?小沢くん!ひとんちの一家団欒よくもぶち壊してくれたなおい!自殺未遂をはかった加川雅子なんですけど一命は取りとめましたが意識はまだ…。
自殺未遂?
(美和)自殺じゃありません!
(文田)加川雅子さんの妹さんとお友達。
お二人が第一発見者だ。
お姉ちゃんは絶対に自殺なんかしてません!きっと殺されかけたんです!〜
(カメラのシャッター音)どこで倒れてたんだ?そこです。
ここで…。
睡眠薬をウイスキーで流し込んでガス栓をひねったってとこですね。
これはどう見ても自殺だな。
(川崎)班長どうも遺書はないみたいですね。
あとで母屋のほうも探してくれ。
(川崎)はいわかりました。
これ中性脂肪を抑える薬じゃないかな?よく知ってますね!俺も飲まされてんだよ。
僕も毎日飲んでますよ便秘の薬。
その割には出ないなお前。
いい薬知ってます?こりゃまぁ自殺未遂で間違いないっすね。
あぁそうですね。
うん。
いや…自殺じゃないんじゃないかな…。
どうしてそう思う?今ここで断定するのはまだちょっと…確認のためこの2種類の錠剤鑑識に回します。
〜〜ご苦労さん。
(2人)ご苦労さまです。
失礼します。
さっき「お姉さんは絶対に自殺なんかじゃない誰かに殺されかけたんだ」っておっしゃってましたよね?今朝姉から電話もらったんです。
「夕ご飯食べに来ない?」って冴子も一緒に。
お二人の関係は?美大で一緒なんです私は日本画を専攻しています。
(冴子)私は陶芸を。
でも自殺しようと思ってる人がわざわざ食事に呼びます?そうですね…ただもし精神的に不安定だったとしたりしたら発作的にということは考えられますけれども。
〜…心当たりがあるんですか?…義兄のことで。
お姉さんのご主人有名な陶芸家なんですって?
(美和)この人です。
(冴子)加川昌といって陶芸をやっている人なら知らない人はいません。
(美和)愛人がいるんです。
…愛人。
大沢敏子っていうんです子供まで産ませていて…。
そうですか…お姉さんにお子さんは?姉にはいません。
そうだったの?ごめんねこんな話聞かせて。
もう姉も義兄には気持はないの。
じゃあさっさと離婚しちゃえばいいじゃない。
慰謝料いっぱいぶんどってさ。
私もそう言ってるんだけどね。
母に心配かけたくないって言って…。
そっか…優しい人だもんね美和のお姉さん。
そんな妻のことが邪魔になって…!おい!迂闊なこと言うんじゃないよお前は。
刑事さんの言うとおりだと思います。
現にいまだに連絡とれてないじゃないですか。
・あちょっと待ってください。
加川さんすかね?出てみろ。
はい。
もしもし?…切れちゃいました。
(通話の切れた音)男か?いえ…しゃべりませんでした。
…あっまた!出ますよ?・もしもし?・
(男性)…トクシマさんですか?こちら加川で…。
(電話の切れる音)「トクシマさんですか?」って間違い電話っすね。

(深町)どうだ?旦那と連絡とれたのか?いや取れません。
(川崎)ケータイにかけてるんだろ?朝から20回以上はかけてます。
班長やっぱり自殺未遂じゃありませんでした。
錠剤の鑑定結果が出たのか?出ました。
思ったとおりこっちは中性脂肪を抑える薬でした。
今吉永さんも飲んでます。
余計なことはいいんだよ。
でこっちは一般的は睡眠薬。
両方とも加川雅子の常用している薬です。
ガイシャが入院している病院に確認したんですけど胃洗浄をした時胃の中からもこの2種類の錠剤が大量に出てきたそうです。
そりゃ確かにおかしいな。
自殺する人間がわざわざ中性脂肪を抑える薬を一緒に飲むわけねえもんな。
おそらく加川雅子を殺そうとした人間がどっちが睡眠薬かわからずに両方無理やり飲ませたんだと思います。
それが旦那だっていうんですか?そういうことだ。
旦那だったからって女房が飲んでる薬ぐらいわかるだろうよ?カワさん…。
奥さんが何の薬飲んでるのか知ってますか?おうそりゃあ…いやわかんねえな。
でしょ?加川昌と加川雅子夫妻も夫婦関係が冷え切っていたそうです。
いやウチは違うぞおい!だったらなおさら旦那が女房の薬を知らなくたって不思議じゃないってことじゃないですか。
よし。
手分けして加川昌の行方を追ってくれそれと加川雅子の身辺も洗うんだ。
(一同)はい!
(事務員)失礼します。
(ノック)
(河村)はい。
(事務員)事務長警察の方がお見えです。
…あぁわかった。
(河村)どうぞこちらに。
…デコ!やだパパ!!何やってるんだよ
(小沢)陶芸ですよ。
こんなとこで!そういうことを聞いてるんじゃないんだよ。
あどうも。
デコ。
ああの…主人です。
あ家内です。
(河村)そうだったんですか。
あのねパパ…。
今仕事中だから家に帰ったらゆっくりね。
あどうも全然知りませんでしたお世話になってます。
パパ…。
若先生の父上は…。
あの若先生っていうのが加川昌さんのことですか?そうです父上は加川晋。
あちらの中央の方です。
もうお亡くなりになりましたが日本陶芸界の至宝と言われ人間国宝にもなった方です。
こちらの晋陶会という陶芸家団体を創られたのもその加川晋さん?はい創始者で初代理事長です。
今の理事長が加川昌さんということですか?
(河村)いえ若先生は副理事長です。
じゃ理事長は?えぇ今は空席でして。
ああちらの菊地圭さんがお兄さんでこの方も今副理事長です。
ということはいずれどちらかが理事長に…ということですか?そういうことになると思います。
(小沢)どうして名字が違うんですか?いわゆる…異母兄弟です。
ほぉ…加川昌さんの行き先なんですけれども。
先ほども申し上げましたように昨日大阪に行ったのは間違いないんです。
大阪にはなんで?画廊でパーティーがありまして…。
昨日からこちらにもまったく連絡はないのでしょうか?はい…。
こういうことはよくあるんですか?ん…まあときどきフラッと一人旅に出てしまわれるような方なんで…。
じゃあ事務長の河村さんとしては大変ですね。
あの加川昌さんなんですけれどもプライベートで何か問題を抱えてたなんてことはありませんでしたか?問題と言いますと?例えば愛人問題とかそのことで奥さんともめてたなんてことは…。
さぁ…若先生のプライベートのことは私には…。
何か隠してるな!デコさんも何か隠してますよね…。
ひやぁしかしこんなでっかい家加川昌に買ってもらったんですかね?余計なことはいいんだよ!
(敏子)どうも。
お待たせしました。
あっ…どうも。
あっ!先日は失礼いたしました。
い…いえこちらこそ。
オッス!また会ったな!ハハハハ!どうぞお入りください。
じゃあおじゃまいたします。
知り合いなんですか?いったいどういう知り合いなんです!?いいんだよお前は!何か隠してる。
(小沢)すごいな!蛙の子は蛙ですね!すみません突然おじゃまして…。
いえ…さっき河村から連絡をもらいましたから。
お茶をどうぞ。
いただきます!この粘土細工はみんな昌樹くんが?えぇ…加川が来たときに一緒に創ってくれます。
へぇ〜。
昌樹くん!お父さんと一緒に粘土創るのって楽しい?うん!そっか!いやぁおじさんなんかね全然一緒に創ってあげられないよ。
おじさんもたまにしか家に帰らないの?うん…。
加川さんはずいぶん子煩悩でいらっしゃるんですね。
えぇ。
創り始めると2人とも夢中になってご飯を食べるのも忘れて…。
加川さんはときどきフラッと1人で旅に出られることがあるそうですね?えぇ。
束縛されるのがダメな人なんです。
今回もきっと…。
その後まだ連絡は…。
ありません。
でも1週間くらいまったく連絡の取れないときもありますから…。
あの…昌樹くんは認知をされているんですか?すみません不躾な質問で…。
いえ認知はしてもらってません。
でも小学校に上がるまでには認知してくれるという念書みたいなものを加川が書いてくれて…。
あぁ〜そうですか。
奥様どうなんですか?まだ意識が戻りません。
私がお見舞いに行ったら変ですかね?はい?やっぱり変ですよね。
先ほどはどうも。
いかがですか?お姉さんの具合は…。
加川先生から連絡は?まだ連絡はありません。
そうですか…。
あっ菊地先生!わざわざ申し訳ありません。
(菊地)どうなんだ?まだ意識が戻らなくて…。
ありがとうございます。
あの…私神奈川県警の吉永と申します。
ちょっとお話を伺わさせていただいてよろしいでしょうか?
(菊地)昌なら雅子さんを殺しかねない…。
どうしてですか?愛人のことで相当もめていたって聞いてますよ。
案外河村もグルなんじゃないですか。
河村さんって晋陶会の事務長ですよね?いや実際は晋陶会の中の加川派の事務長ですよ。
最近は加川派の裏工作にも奔走しているようです。
それは理事長になるための工作ですか?フッ…そうなんでしょうな。
つまり菊地さんあなたと加川昌さんは理事長になるためお互い対立されてるわけですか?私は正々堂々と理事長選に臨むつもりですがね…。
昌のほうは…。
河村さんとグルかもしれないとおっしゃいましたけどもし万が一加川さんが殺人未遂を犯していたとしても河村さんかばいますか?フン!当然かばいますよ。
加川昌あっての河村ですからね。
それにご存じでしょ?昌の愛人は河村の妹なんですから…。
えっ!?大沢敏子さんですか?えぇ。
ご存じなかった?それで呼び捨てにしたのか…。
いえ…さっき河村から連絡をもらいましたから…
(菊地)もともと河村の妹は昌の秘書だったんですよ。
秘書といえば聞こえはいいが河村が妹を愛人に差し出したようなもんです。
よく妹さんが従いましたね。
妹にしてみたら恩ある兄貴には逆らえなかったんでしょう。
恩?2人の両親が早くに亡くなって妹のほうは親戚に引き取られたらしいんです。
それで兄弟なのに名字が違うんだ。
その妹をうちの親父の書生になった河村が引き取って…。
まぁ苦労して育てたってわけです。
河村が今晋陶会の事務長の地位にあるのもすべてその妹のおかげですよ。
お言葉ですが私はともかく妹は晋陶会とはまったく関係がありませんので…。
車を待たせてあるんで失礼。
ありがとうございました。
加川派に対してボロクソでしたね。
無理もないんです。
といいますと?いや菊地先生が若先生のことをあんなふうにあしざまに言うのは奥さんのことがあるからなんです。
奥さんって雅子さんですか?そうです。
若先生と菊地先生は昔雅子さんを取り合っていまして…。
失礼します。
異母兄弟で恋のライバルしかも理事長選挙。
そりゃ火花散りますよね。
うん。
(宗方)河村さん!あっ…。
雅子さんは?今の方は?以前晋陶会にいた宗方という男です。
アイツはまだ捕まらないのか?何やってるんだよ警察は!神奈川県警の吉永といいます。
早くアイツを捕まえてください!アイツっていいますと?加川昌に決まってるでしょう!このままほっといたら雅子さんは今度こそ殺される。
どうしてそう思うんですか?俺と雅子さんがつきあってるってアイツが勝手に思ってるんです。
自分のこと棚に上げて。
大変だけど頑張ってな。
ありがとうございます。
ちょっといいかな?はい。
宗方さんは前からお姉ちゃんのことが好きなんです。
あぁそういうことですか。
あの以前晋陶会にいたっておっしゃってましたよね?優秀な男だったんですが…。
じゃああの人も陶芸家なんですね。
今は違います義兄と反りが合わなくて晋陶会を破門になったんです。
(美和)晋陶会を破門になったらもう陶芸の世界では生きていけません。
ただいま。
おかえりなさい。
今日は珍しいところでお会いしましたね。
ごめんなさい別にね隠してたわけじゃないのよ。
黙ってたら隠してたのと同じだよ。
ごめんなさいあっパパのことね驚かそうと思って…。
十分驚かせていただきました。
はい。
また豆腐とこれだけ?たまには肉が食いたい。
我慢我慢!中性脂肪中性脂肪!はぁ…。
はい。
何これ?パパお誕生日おめでとう。
まだだろ。
ちょっと早いけど私からのプレゼント。
まさかもしかして…。
これデコが焼いた?うん自信作。
すごいじゃん!プロみたいだよ。
これで酒飲んだらうまいだろうな。
パパ事件が起きたらなかなか帰って来れないでしょう?そんなときにねパパにこういうの使ってもらえたらなぁなんて思いながらろくろに向かってると幸せな気持になれるの。
デコ〜!あっ!あぁ〜!!ごめん…。
ホントごめん!いいよいいよ。
はぁ…。
(運転手)あっどうも。
(文田)この人なんですけど。
この人乗せましたよ。
6月1日だよ。
えぇ。
陶芸の先生だったんですか。
だから着物なんか着てたんだ。
どこからどこまで乗せたの?自宅からたしか新横浜駅までだったな。
時間もわかりますよね?えぇ。
自宅を出たのが朝の9時40分。
(運転手)新横浜に着いたのが10時20分。
(ノック)兄さん。
来るなと言っただろ。
すぐに帰るわ。
どうなの?まだ意識が戻らないよ。
若先生からも連絡はまだない。
ウチにもないわ。
(扉が開く音)ちょっといいか?昌から連絡は?ありません。
警察が睨んでるとおりなんじゃないのか?だったらアンタも考えたほうがいいな。
今後の身の振り方を。
私に若先生を裏切れとおっしゃるんですか?そのほうが利口だと言ってるんだ。
若先生を裏切るようなことは私にはできません。
失礼します。
(小沢)加川雅子の意識さえ戻れば誰に殺されかけたか一発でわかるのにな。
そう思いません?吉永さん。
そうだな。
あれ?ちょちょっと!大沢敏子ですね。
本当に見舞いに来てたんだ。
班長!ちょっといいっすか?
(深町)うん。
加川昌がタクシーで新横浜駅に到着したのが10時20分。
そのあと新幹線で大阪に向かったようです。
新幹線に乗ったのはたしかなのか?今文田があたっております。
うん。
アリバイ工作じゃないですかね?大阪に向かったとみせかけて新横浜からまた自宅に戻ったってことですか?あぁ自宅に戻った加川は妻雅子を眠らせて自殺を偽装した。
後藤!はい。
大阪の画廊のパーティーだったよな?ええと…大阪の祥月画廊というところなんですが電話で確認したかぎりでは加川昌はパーティーには出ていません。
やっぱり!新横浜駅から自宅へ戻って犯行におよんだんですよ。
今すぐ加川昌を指名手配しましょう。
いやこれ状況からいっても加川はかぎりなくクロですよ。
事務長の河村が逃走を助けてる恐れもありますし今すぐ指名手配しないと加川に逃げきられますよ。
先走るな!吉永!まずは徹底的に加川の行動を洗い出すこと。
いやでも…。
指名手配はそれからだ!お疲れさん!
(社長)おっしゃるとおりでございます。
加川先生はパーティーに出席されてません。
はい。
あっすみません。
欠席するっていう連絡はあったんですか?加川先生からの電話は彼女が受けてます。
(秘書)はい「加川だけど1時間ほど遅れるからよろしく」っとおっしゃって。
それ何時頃ですか?もうパーティーが始まっておりましたから7時をだいぶ過ぎていたと思います。
その電話なんですけれども加川先生ご本人に間違いありませんでしたか?それは…加川先生とは面識がないものですから。
あぁ…それじゃその電話で他に何か気づいたこととかは?あっ…後ろでアナウンスが聞こえておりました。
おそらく空港のアナウンスだったと思います。
新幹線じゃなくて飛行機で大阪に来たってことですかね?私どもにしてみたら加川先生がパーティーを欠席するいうことは考えられまへんでした。
どうしてですか?そのパーティーいうのが理事長選に出る加川先生を応援するためのパーティーですわ。
パーティーを欠席したってことはよっぽどのことがあったんですかね?う〜ん…。
(主婦)6月1日のお昼前だったと思いますよ。
昼前っていうと?11時半ぐらいだったかしら?加川さんのお宅のガレージにご主人の白い車が入っていくのが見えたんですよ。
やっぱり加川は新横浜から自宅に戻ったんだ。
6月1日の何便に乗ってたかを知りたいんです。
名前はカガワショウ。
(グランドアテンダント)お待ちください。
あっ!19時頃に東京からの便で着いたと思います。
その前後の便にもカガワショウ様ではございませんね。
ちょっといいですか?
(小沢)トクシマショウイチ。
カガワとトクシマ同じ四国ですね。
だからなんだよ。
あっ!!うるさいなお前は!この間かかってきた電話。
トクシマさんですか?って…。
おお!男の声:トクシマさんですか?こちらは加川で…
(電話が切れる音)あの電話加川からだったんですよ。
加川が自宅に探りを入れてきたんですよ!ありえるな…。
これが今までに判明した加川昌の6月1日の行動だ。
雅子:いってらっしゃい
(川崎)タクシーを呼び自宅を出る。
ドライバー:ありがとうございます
(川崎)新横浜駅に到着。
自分の車で自宅へ戻る。
その後妻雅子を睡眠薬で眠らせ工房にて自殺を偽装。
そのあと裏は取れていないがおそらく流しのタクシーを拾って羽田空港に向かった。
羽田空港に到着した加川昌はトクシマショウイチという名前で18時発の大阪行きの便に搭乗。
19時大阪に到着。
そして19時10分自宅に2度電話してます。
この電話に小沢が出てます。
更に19時15分祥月画廊に電話。
このあと加川昌は行方不明になっています。
よし!加川昌を加川雅子殺人未遂事件の被疑者として全国に指名手配する。
よっしゃ!カワさん捜査本部の設置よろしく。
了解!吉永と小沢は愛人の大沢敏子の張り込みだ。
はい!加川と共犯の可能性もある。
そのつもりで張り込んでくれ。
あの…その共犯の線なんですけど可能性は薄いと思うんですよ。
どうしてそう思う?実はですねあの事件のあった日偶然大沢敏子に会ってるんですよ。
わざとじゃなくても壊したのは昌樹でしょ?創った人にきちんと謝りなさいもし自分にやましいところがあったとしたらあんなにしっかりと子供の目を見て叱ることなんかできないんじゃないかと思うんですよね。
吉永甘くないか?はい?大沢敏子も女だ。
惚れた男のためなら犯罪にだって手を染める。
いやいや彼女はですね…。
今すぐその大沢敏子のイメージを捨てるんだ!
(ドアが開く音)
(小沢)吉永さん!おう!なんだよ!?お前これ明太子じゃないじゃない!中性脂肪…。
うるさいなお前は!いいかげん機嫌直してくださいよ。
大沢敏子が共犯じゃないとしてもですよ子煩悩な加川のことだから昌樹くんに会いにくるかも…。
お前に言われなくたってわかってるよ!大声出さないでくださいよ!しかしな…あんなに子供を愛せる男が人を殺そうとなんかするかな?だって吉永さんが加川を指名手配しようって…。
そりゃ状況的にはかぎりなくクロなんだよ。
けどなんか引っかかるんだよね。
吉永さんも子煩悩だから加川のことをそう思いたいんじゃないですか。
今すぐその加川のイメージを捨てるんだ!〜熱下がらないね。
パパ来ないね。
パパが来なくなったら昌樹はどうする?フフフ…ごめん!明日パパ来るかもよ。
フフフ…さぁ寝よう!敏子だ!吉永さん!敏子敏子!!吉永さん!昌樹くんは一緒じゃないな。
(小沢)外で加川と会うかもしれませんよ。
尾行しろ!了解!〜
(敏子)すみません!
(昌樹)ママ!ママ!うぅ…。
昌樹くん!昌樹くん!大丈夫か!?どうした?ん!?あぁ…鼻血出ちゃったな。
パパ!ほら!もう大丈夫だぞ。
よいしょ!!よし!大丈夫大丈夫…。
はいちょっと頭低くするぞ。
低くして寝るぞ。
血出たからちょっとビックリしちゃったかもしれないけどな。
大丈夫だよこんなの。
男の子だろ?
(ドアが開く音)
(敏子)吉永さん!どうも。
昌樹!いや血!今そこで転んでしまいまして…。
大丈夫?大丈夫?あのたいして…。
(敏子)張り込みしてもムダだと思います。
加川は旅に出ると1か月ほど帰らないこともありますから。
加川さんはあなたと一緒になりたくて自分の奥さんを殺そうとしたんじゃないですか?小沢!そんなはずはありません。
加川は私に一度も一緒になろうなんて言ったことはありません。
私だってそんなこと…。
あなたが言葉に出さなくても加川さんがあなたの気持を察したってことも…。
やめろ小沢!あんまりいじめないでください。
それじゃなくてもあの人と連絡が取れなくて心配で…。
すみません。
言いすぎました。
大沢敏子…あれ全部芝居だったらすごいっすよね!バカ!芝居なわけないだろ。
吉永さん女性に甘いからな。
お前に言われたかないよ。
張り込みバレちゃいましたけどどうします?はい吉永です。
おぉ…どうした?意識が戻った!?
(美和)記憶がないんです。
えっ?先生には全健忘って言われました。
事件のことはもちろん私のこともわからないんです。
そんな…。
このままお姉ちゃんの記憶が戻らなかったらアイツのこと絶対に許さない!何やってるんだよ!?警察は!
(小沢)ずっと記憶が戻らなかったら加川の思うつぼですよね。
だったら俺たちで加川を見つけるまでだ。
今度は何だ?はい吉永です。
俺だ。
加川らしき男が三協銀行の横浜支店で目撃された。
たしかなんですか?これから防犯カメラの映像を持ち帰って分析する。
で…お前悪いんだけどさ加川の女本部に連れてきてくれんか。
(深町)6月4日か…。
カワさんこれ昨日?
(川崎)えぇ昨日の夕方です。
どうですか?加川じゃありません。
私も違うと思います。
もう一度見ていただいてもいいですか?頭から…。
何度見ても同じです。
加川は気持の優しい人です。
人を殺そうだなんてそんなこと考えるはずがありません。
じゃあどうして行方をくらましてるんですかね?
(深町)事件のことはすでに報道されてますよね。
普通自分の奥さんが事件に巻き込まれたと知ったらすっ飛んで帰ってきませんかね?妹は事件とは関係ありません。
もう勘弁してもらえませんか。
班長…帰っていただいてもいいですか?おぅ…どうもありがとうございました。
じゃあ行きましょう。
〜・はい深町班。
相模湖?はい…はい…こっちからもすぐ向かいます。
目撃情報です。
場所は相模湖近くのラブホテルホテル・ニューコースト。
いってきます!小沢!頼むぞ。
頼むぞ。
はい!小沢くん…俺はいつになったら君のお抱え運転手を卒業できるのかね?寝るな!だってゆうべから張り込みでほとんど寝てないんですから…。
俺だって寝てないよ。
お前俺の後輩だろ!眠いのに先輩とか後輩とか関係あるんすかね?後輩だったらさっさと免許を取って運転を代われって言ってるの!じゃあ教習所に行くお金出してくださいよ。
なんで俺が払うんだよ!?だって吉永さんが僕に運転代われって言ったんじゃないですか。
お前な…普通先輩が運転してたら申し訳ないなっていう気持にならないか?なりません。
運転嫌いですから。
そういう問題じゃないだろ!
(小沢)あっよそ見!前前!危ない!!あぁ〜!もう!!
(従業員)どうぞこちらです。
小沢くん!あっはい。
(さゆり)そうそうこの人!掃除の途中で廊下ですれ違ったんだけど着物なんか着て珍しいなと思ってよ〜く見たんでねはっきり覚えてる。
あぁこの人!間違いない。
指名手配の人。
そうそう…そうそう!
(さゆり)ねぇねぇ!これで犯人逮捕とかされたら私表彰とかされるのかな?あぁもちろんそういうことも…。
あら!表彰式とかもあるの?えぇありますよ。
わぁ!じゃあ服何着ようかな?あっ!その前にパーマあてないとパーマ!その前にエステですよね。
おい!
(さゆり)何か言った?いえいえ何も…。
どうもご協力ありがとうございました。
あぁ〜!ちょっと待って!!お土産!お土産あげるから!お土産なんて困ります!我々そういうものは…。
ほれ!ほらこれ!なんですか?それ。
犯人が使ったコップ!えっ!?これから指紋採ったりするんでしょ?私2時間ドラマよく観てるから!いやもうすばらしい機転だ!ほら!お預かりして。
はいありがとうございます。
本当にありがとうございました。
必ず知らせて!私さゆりっていうの。
さゆり…。
さゆりさん。
安永さゆりっていうの。
僕吉永です。
2人合わせて吉永さゆり。
よく言われるのよく。
アハハハハ!本当に失礼いたします。
ありがとうございました。
必ず逮捕してね!早く知らせて。
パーマあてなきゃならないから。
頑張ってね!
(2人)ふぅ…。
〜吉永さん!出ました出たんですよ!!よかったじゃないか。
便秘の薬が効いたか。
違いますよ!昨日のコップから加川昌の指紋が出たんです。
なに!?よしもう一度事件の整理するぞ。
新しい情報があったら言ってくれ。
小沢!はい!事件が起こったのが6月1日。
(小沢)最初加川雅子の自殺未遂事件と思われましたが実は巧妙に仕組まれた殺人未遂事件であることがわかりました。
現在もっとも容疑が濃いのが雅子の夫で有名な陶芸家でもある加川昌。
加川はこの日大阪に向かったと見せかけて自宅に戻り妻雅子の自殺を偽装して逃走したものと思われます。
加川には大沢敏子という愛人がおり敏子との間には子供もおります。
今回の犯行の動機としては愛人問題で妻雅子ともめていた可能性があります。
逃走後の加川の行動ですが…。
(文田)またひとつ目撃情報ありました。
6月1日16時30分に加川邸近くから加川らしい男がタクシーを拾っています。
(文田)男はいつもどおりの着物姿です。
タクシーは17時すぎに羽田空港に着き男を降ろしています。
間違いないその足で大阪行きの便に乗ったんだ!続けます。
加川は大阪に到着したあと消息を絶ちました。
そして6月4日の夕方三協銀行横浜支店で加川らしき男が目撃されています。
また同じ6月4日から5日にかけて相模湖近くのホテル・ニューコーストに宿泊したことも指紋等から間違いありません。
以上です。
(川崎)加川の野郎まだ神奈川県内か。
当然土地勘があるでしょうからいる可能性は高いですね。
(深町)よし!隣接する警察本部にも応援を要請しよう!わかりました。
頼むぞ!
(一同)はい!班長。
なんだ?加川なんですけど行方をくらましてるのはもちろん逃走することが目的ですよね。
だとしたら…。
(後藤)班長!山梨県警から電話です。
はい。
はいよ。
はい神奈川県警捜査一課の深町です。
はいお世話になります。
はいはいはい…。
ちょっと待ってください。
はいはいはい本栖湖レストハウス…。
はいわかりました。
ありがとうございました。
はい。
ここに昨日の夕方加川らしき男が現れた。
本栖湖レストハウスですね。
行ってきます。
小沢!あっはい!この人なんですけれども。
(藤沢)ん〜帽子かぶってたからな顔はちょっとわかんないな。
他に何か特徴はありませんでしたか?いや…着物着てたよ。
これこれ。
えっ!?間違いないっすね。
ここに来たのは何時頃ですか?夕方6時頃かな?前…6時前だな。
ここ座ってね。
(小沢)何か注文したんですか?
(藤沢)サンドイッチ。
(藤沢)ウチじゃハムサンドって言ってるんだけど。
コーヒーもね。
あのここを出てからどこへ行ったかご存じありませんか?いやそこまでは…。
そうですよね。
(ドアベル)おぉ!どうだった?今日は。
(鱒田)いやもうホントなボウズ!ボウズだよボウズ。
もうどうしようもねえな!その代わりな魚の代わりにこいつだ!おお!これ高そうだろ!近くに人は浮いてなかったかい?
(2人)アハハハハ!脅かすなよお前!すみませんちょっとそれ見せてもらってもいいですか?ええ。
加川のものです。
加川がいちばん気に入ってるものです。
やっぱり…。
あの…これどこで?本栖湖の湖畔でみつかりました。
今湖を捜索中です。
ママ…どうしたの?寝ちゃったか。
さっきまでパパのこと待ってたのよ。
今日もこれだけ?はぁ…いただきます。
はい。
でもその加川っていう人本当に自殺だとしたら無責任よね?うん…。
あの子のことまだ認知してないんでしょ?これは俺の想像なんだけどねもしかしたら子供とか家庭とかに縛られるのがイヤなんじゃないかな?いや男ってそういうところあるんだよね。
ましてほら彼芸術家だろ?余計にね。
うわっ!!なんだよ!パパもそう思ってるの?えっ!?アタシや菜摘に縛られたくないってそう思ってるの?いやいや俺は違うよ違いますよ。
本当?もちろんじゃない。
でもその加川っていう人子煩悩なんでしょ?うん。
それは間違いないよ。
だったらなおさらなんで認知しなかったんだろう?認知したからといって縛られることにはならないでしょ。
とりあえず戸籍だけの問題なんだから。
うん確かにね。
なんで認知しなかったんだろうなぁ?
(河村)それは若先生の問題ですから。
でも同時にあなたの妹さんたちの問題でもありますよね。
お兄さんとしては昌樹くんの認知の問題は気になってたんじゃないですか?若先生は菊地先生とのことがあって昌樹を認知しなかったんだと思います。
どういうことですか?晋先生の遺産の相続問題でまだもめてまして…。
ご兄弟でですか?
(河村)はい。
ですから若先生はそこに妹や昌樹を巻き込みたくなかったんだと思います。
それで認知を先延ばしにしていたんだと思います。
あぁそういうことですか。
(河村)はい。
どうもありがとうございました。
あっあの捜索の状況はどうなんですか?まだ連絡は入ってません。
失礼します。
どうしたんすか?珍しく深刻な顔しちゃって。
お前とのコンビもなそろそろ限界かなと思ってさ。
えっ!?僕が車の免許取らないからですか?あぁそれもあるな。
僕がいつも便秘でトイレが長いからですか?うんそれもある。
デコさんは吉永さんにはもったいないって思ってるからですか?うん…。
お前今なんて言った?ん!?
(深町)じゃ頼むぞ!カワさん山梨県警から連絡は?いえありません。
(深町)おぅ。
班長。
(深町)なんだ?加川のことなんですけど本当に自殺したんですかね?どういうことだ?あれからもう一度加川の犯行後の行動を冷静になって考えてみたんです。
もし逃走することが目的だったとしたらわざわざこんな人目につく着物姿のまんまで逃げたりしますか?逃げてるっていうよりもむしろ自分の存在をアピールしてるような気がしてしようがないんですよ。
あぁ…確かにそういう見方もできるな。
だとしたらその目的は?それなんですけど例えばですよ自分が死んでいるように…。
・はい捜査本部です。
ご苦労さまです。
あがったんですか?加川に間違いありませんか?わかりました。
ありがとうございました。
加川あがったのか?まだ身元の確認はとれてません。
とにかく男の死体があがったそうです。

(川崎)えっと本栖湖からあがった死体の身元が割れました。
加川昌46歳。
司法解剖の結果死因は青酸中毒死。
青酸中毒死?湖からあがったのに溺死じゃないんですか?山梨県警からの報告だよ黙って聞け。
え〜死亡推定時刻は6月5日の午後7時〜8時。
胃の中の未消化物の状況から特定されております。
それからレストハウスで食べたと思われるハムサンドとコーヒーが出てきております。
報告書のコピー持ってきました。
遅いんだよお前はもう!すみません。
配りなさい配りな!はい。
え〜それとですね加川が死ぬ前に食事したレストハウスから加川の指紋が採取されました。
(川崎)加川が座った席のテーブルそれと椅子からもです。
以上。
ちょっと待ってください青酸中毒死というのはどう理解すればいいんですか?いやだから湖に入りながら青酸カリ飲んだってことだ。
そんでもって溺れる前に青酸中毒死したってわけだよ。
いやでも青酸カリ飲むんだったらわざわざ湖の中へ入っていくことないんじゃないですか?俺に言うなよ。
文句あるんだったら加川に言えよ加川に!青酸中毒死か…。
水の中で苦しまないようにあえてそうしたとも考えられる。
自分の死体を発見されたくない気持もあったのかもしれんしな。
ほらみろ班長のおっしゃるとおりだ。
よ〜しこれでもって一件落着だ。
納得できません!えぇ!?あっこれ僕食べられないな。
何がだよ?いやあのレストハウスのハムサンドにキウイが入ってたんですよ。
キウイって果物のか?はい。
僕ダメなんですよねあのキウイのすっぱさ。
未消化の内容物はパンレタストマトキュウリハムキウイフルーツコーヒー。
キウイフルーツ入りハムサンドな聞いたことないな。
サンドイッチだから何でもありかな?小沢あのレストハウスに電話だ。
えっ何でですか?いいから来い!
(小沢)はい。
あっもしもし先日お伺いした神奈川県警の小沢と申しますが。
あっその節は…。
そちらのですねハムサンドに挟まってる具を教えていただきたいんですけど。
えぇ…はい…はい…はい…。
キウイフルーツは?入ってない!水死体で発見された加川さんなんですけどそちらでキウイフルーツを食べたような形跡ありませんかね?見てない。
間違いありませんか?すみません。
どうもありがとうございました。
いやよかったやっぱりハムサンドにキウイは挟みませんよね?バカ!そういう問題じゃないんだよ。
キウイフルーツがいつどうやって加川の腹に入ったかだな。
はい。
いやでも加川が死ぬ直前に1人でレストハウスにいたことはたしかなんです。
自殺に関しては疑う余地はないでしょう。
指紋だってあったんだ。
はぁ…これでまた振り出しに戻ったか。
ふぅ…おぉやった!また魚だ。
菜摘パパに久しぶりに会えたね。
うん。
あっ!また何か創ってんだ。
今度は何を創ってんのかな?またパパのお顔!またパパの顔創ってくれてるの?でもさ今度はもうちょっとかっこよく創ってくれないかな?いいよ。
そうかサンキュー!ハハハッ。
よいしょ!キウイフルーツがいつどうやって加川の腹に入ったかだな。
加川が死ぬ直前に1人でレストハウスにいたことはたしかなんです。
自殺に関しては疑う余地はないでしょう。
(川崎)指紋だってあったんだパパ?パパ!何やってんの?ちょっとパパ!イヤッイヤだ!パパ何やってんのよ!?パパ?これだ…。
これだ!すまんなこんな遅くに。
頼んどいた資料用意できてる?
(鑑識課員)はい。
あぁサンキュー!ありがとう。
あぁこれだ。
それから例の実験も今すぐできるのかな?はいすぐ用意します。
ありがとう!自殺なんかじゃない…。
殺されたんだ。
何だこれ?シリコンラバーで作った私の手です。
ゆうべ娘が粘土いじってるの見てふっと思いついたんですよ。
人工的に加川昌の指紋を残す方法はないだろうかと。
たしか鑑識でも指紋採取のときこのシリコンラバー使ってたな?そうです。
鑑識がやってるのは屍蝋化して崩れやすくなった指をシリコンラバーで型取りするという方法です。
そこで私もシリコンラバーで自分の手の型を取りました。
シリコンラバーは最初ドロッとした液体なんですが硬化剤を混ぜると30分もあれば固まります。
次にその型取った指にもう一度シリコンラバーを流し込みました。
そうやって作ったのがこれです。
こいつにこうしてこうするとこうなります。
(小沢)ホントだ!おそらくホシはこの方法を使って加川のレストハウスの指紋を残したんだと思います。
ラブホテルも同様です。
だったら加川はいつ殺されたっていうんだ。
6月1日の昼間です。
6月1日!?はい。
6月5日の夜っていう死亡推定時刻はどうなるんだ?いやいやそれはさ6月5日の夕方にハムサンドを食べたってことが前提だったからだろ?ちょっと待て6月1日の昼間に殺されたっていう根拠は何だ?この写真です。
これは加川雅子のヤマが発生した6月1日に鑑識班が撮影したものです。
この日加川は朝食にハムサンドコーヒーそしてデザートとしてキウイフルーツを食べてるんです。
…で食後1〜2時間後に真犯人によって殺されたってことか。
そのとき青酸カリが使われたってわけですね。
そういうことだ!また振り出しに戻っちまったぜ。
どうしますか班長。
よし加川昌が何者かに殺されたって前提でもう一度最初から事件を整理してみようか。
はい。
まず加川雅子を殺そうとしたのは誰なのかっていうことですよね?いやいや今回のヤマの場合加川雅子を殺そうとしたホシと加川昌を殺したホシは同一人物だって考えたほうが自然だろ?もしそうだとしたら?事件によって利益を得た者を疑うそれが捜査の常道です。
だったら加川昌の異母兄弟菊地圭はどうですか?
(小沢)菊地圭と加川昌は晋陶会の理事長の座を争うライバルでした。
しかも父親の遺産相続でもめてます。
更に好きだった加川雅子を加川昌に奪われちゃったわけですから…。
うん…確かに加川が死んだ今となっては菊地としては利益がでかいな。
それだったら事務長の河村敦夫も利益はでかいですよ。
加川昌の派閥いわゆる加川派の実質的な主宰者ですからね。
加川がいなくなった今理事長の座だって狙えるんじゃないですか?この時期に河村が加川を殺すことありえんだろう。
だって加川が死んだらあの昌樹ってガキの認知はしてもらえなくなるんだぜ。
そうなったら加川の遺産は相続できなくなる。
まだ認知されてないんだよな?はいまだ認知されてませんでした。
だったら河村はなしだ!
(深町)今回の事件の結果もっとも得をしている人間が他にいるぞ。
誰ですか?加川雅子だ。
加川雅子!?菊地との相続問題があるにしても加川昌が死んだ今加川雅子に莫大な遺産が転がり込むことは間違いない。
遺産のことを考えたら加川雅子としては愛人の子供の認知はさせたくなかったはずだ。
だから認知する前に加川昌を殺した。
う〜ん…加川昌を殺し自ら自殺を偽装。
そこに妹たちがやってくる。
考えられるなこれ。
意識が戻ったあとの記憶喪失も芝居か?でもすべてを雅子1人じゃできませんよ。
加川になりすました男が必要だ。
その男が本栖湖に死体を遺棄したってことか…。
いますよ!あのとき見舞いに来た男。
(後藤)宗方修一32歳です。
すぐにウラを取れ!
(後藤)はい!加川雅子の妹もだ!了解!吉永と小沢は菊地を頼む!はい!はい!
(チャイム)
(小沢)あっすみません!神奈川県警の小沢ですが…。
(割れる音)もういいでしょ!仕事にならないんですよ。
じゃあ最後に1つだけ。
加川雅子さんに対しては今はどういうお気持ですか?
(割れる音)どういう意味ですか?昔加川昌さんとは雅子さんを巡ってライバルだったそうですね。
結局雅子さんは加川さんと結婚した。
それを未だに快く思ってないんじゃ…。
そういうのを「下衆のかんぐり」って言うんだ!すみません…。
お仕事中失礼しました。
いくぞ!はい。
(後藤)お隣の宗方さん。
6月1日家にいらっしゃったかどうか覚えていらっしゃいませんかね?はい…。
ちょっと!アンタたち感じ悪いよ!聞きたいことあるならコソコソしないで直接私に聞けばいいでしょ!我々は別にコソコソなんて…!ごまかすなよ!気分悪ぃな…。
6月1日何やっていたかだけ教えてもらえませんか?アリバイですか?いやそういうわけじゃないんですけどね。
皆さんに一応お伺いしてまして…。
(川崎)もう一度よ〜く思い出してみて。
お姉さんに食事に誘われたのはいつだった?事件があった日の朝です!間違いありません!!そんなことはないだろう。
もっと前に誘われたんじゃないの?さっきから何が言いたいんですか!?いやいや…。
まさかお姉ちゃんを疑ってるんですか!?お姉ちゃんは被害者です!
(深町)ほい。
あっ…。
早く帰らなくていいのか?なかなか見えそうで見えてこないんですよね今回のヤマ…。
いただきます!あぁ!はぁ…。
もし加川雅子がホシだとしたらやっぱり金なんですかね…。
あぁ…金っていうより腹の底じゃ自分以外のところに居場所を見つけた加川が許せなかったんじゃないのかな…。
居場所ですか…。
男にとって必ずしも家庭が居心地のいい場所とは限らんだろう…。
加川もそういう居場所を見つけたのかもしれん…。
おぅ家庭がいちばんのお前さんにはわからんだろう。
そんなことはありませんよ。
班長はどうなんですか?俺?あぁ…。
そうだねぇ…。
フッ…案外ここがいちばんかもしれないな。
えっここって…深町班ですか?おう。
確かに居心地はいいかもしれないな。
(笑い声)あ〜。
あ〜。
煮詰まっちまったな…。
はい!こういうときは…。
(2人)現場百回!
(笑い声)頼むぞ。
はい!ご苦労さまです。
はいご苦労さん!ありがとう。
今度はここですか。
煮詰まったら現場へ戻れだ!ずっと気になってたんですけど大沢敏子は外しちゃっていいんですかね?彼女はシロだよ!
(小沢)認知してもらう前に殺すわけがないと思うけどな!よくあるじゃないですか!ほら遺言状とか見つかって遺産相続がどうとかって…。
遺言状な…。
敏子:認知はしてもらってません。
でも小学校に上がるまでには認知してくれるという念書みたいなものを加川が書いてくれて…小沢…。
(小沢)はい。
お前今すっごいいいこと言った!えっ?
(物音)誰かいます!何してるんだこんなとこで!?警察はお姉ちゃんのこと疑ってるんでしょ!?警察が方向違いの捜査してるから私たちで真犯人を捜すんです!!バカなこと言ってないで早く帰りなさい。
嫌です!帰りなさい。
嫌です!帰りなさい!臭い!
(2人)えっ?俺がにおうわけないだろう!いや最近加齢臭結構きついっすよ!
(冴子)ここから臭う!あっ…やっぱりここだ。
ホント臭い!これ夏場で粘土が腐ったんじゃないの?いや…粘土はもともと無機質だから腐らないんです。
全然?あ確かに水分や異物が入って多少カビが生えることはあるけどでもここまで腐ったようなにおいはしません…。
「灯台下暗し」かもな…。
えっ?小沢!すぐに鑑識班呼んで粘土を調べるんだ!いいな?よ…吉永さん!?ありがとう!…たしかなのか!?たしかです。
真犯人は必ず動きます!…よしやろう。
…本当ですか!?本当にいいんですね!?責任は俺がとる。
…ありがとうございます。
あどうも県警の吉永です。
実はですね明日の朝9時から加川さんの工房をもう1度捜索したいんでできれば立ち会っていただきたいんですが…。
…本当ですかありがとうございます。
それじゃあ明日工房でお待ちしています。
〜〜吉永さん…吉永さん!ん?来ますかね?吉永さん…吉永さん!なんだよ。
トイレ行ってもいいですかね?ダメに決まってんだろ。
久しぶりに出そうなんですよ今逃すと…。
〜立ち会いをお願いしたのは明日のはずだったんですけどね。
…いやぁびっくりしましたよ。
まさかその粘土の中に加川さんの遺体が埋まってたなんて思いもしませんでした。
(河村)何のことですか?陶芸家のあなたじゃなきゃ到底考えつかない隠し場所です。
(河村)私はただ粘土の状態を見に来ただけで…。
その粘土はさっき入れたもんですよ。
(小沢)加川さんを埋めた粘土は昼のうちに一部鑑識班が持ち帰って分析しています。
その結果加川さんが埋められていた痕跡を確認しました。
あなたが加川夫妻を殺害しようと思った目的は2つだ。
1つは晋陶会最大派閥である加川派を自分のものにするため。
もう1つは加川家の莫大な財産を自由に使えるようにするため。
加川夫妻がお二人とも亡くなれば全財産は昌樹君が相続することになるわけですからね。
昌樹は正式には認知されていないんですよ。
そんなことができるわけがない。
確かに昌樹君は正式には認知はされていませんでした。
しかし死後認知というケースがあるんですよ。
あ…もちろんあなたはご存じですよね?…たとえ正式に認知されていなくても父親が実の子供だと認めた直筆の文章さえあれば家庭裁判所の裁定によって父親の死後認知が認められるというものです。
つまり昌樹君の場合は生前に加川さんが書いた念書がそれに当たります。
昼間妹さんに会って聞き出しました。
…あなた加川さんに強引に念書を書かせたそうじゃないですか。
そのときから死後認知を狙っていたんじゃないんですか?…誤解です。
私は妹と昌樹のことを思って若先生に書いてほしいとお願いしただけです。
強引に書かせただなんて…。
ましてや私が若先生を殺すなんてこと…。
だったらなんでこんな時間に粘土を掘ってたんだ?証拠隠滅以外の何ものでもないだろう!?陶芸家にとって…粘土は自分の思いを形にする神聖なものなんじゃないんですか!?アンタその神聖な粘土…。
自分の醜さを隠すために利用したんだ!6月1日…。
新横浜駅に先回りしたあなたはなんとか理由を作って加川さんを自宅に連れ戻そうとした。
昌:昌樹は大丈夫なのか!?今病院に向かっているようです。
詳しいことはまだ…さ先生先生コーヒーです。
あぁありがとうそしておそらく…。
その車中で青酸カリ入りのコーヒーを飲ませて加川さんを殺したんでしょう。
うっうぅ…。
先…近所の主婦が目撃した車っていうのは実は加川さんの車じゃなくて同じ色のあなたの車だったんです。
加川邸に着くとあなたはすぐに雅子さんを襲い意識を失わせて更に自殺に見せかけるために睡眠薬を飲ませようとしました。
ところがこのときどちらが睡眠薬かわからずに中性脂肪を抑える薬まで飲ませてしまった。
一方あなたはシリコンラバーを使って加川さんの指紋を作りました。
そして一時的に遺体を隠すために粘土槽に埋めた…。
そうすれば死亡推定日時も後にずらせるからです。
(ガスが漏れる音)加川さんになりすましたあなたはここを出て羽田空港へ向かいました。
一つだけ誤算だったのはあなたと入れ違いに雅子さんの妹さんたちが訪ねてきて間一髪のところで雅子さんを助け出してしまったことです。
お姉ちゃん!!そのことを知ったあなたは再び加川さんになりすましてまるで加川さんが逃亡しているかのように我々に見せつけました。
シリコンラバーで作った指紋をあちこちに残して。
人工的に指紋を作るなんてこともそうやっていつも粘土をいじってるあなただからこそ考えついたんでしょう。
…そして最後にあなたはまた加川さんも自殺に見せかけようとした…。
粘土槽から遺体を掘り出して車で本栖湖まで運びました。
…そして。
どうしてなんですか?そうやって粘土にむかっているあなたは本当にステキなのに…。
どうでしょうか…?事務長の仕事に専念してもらえませんか?〜河村敦夫…加川雅子に対する殺人未遂容疑ならびに加川昌に対する殺人の容疑で逮捕する…。
〜兄さんだったの…?本当に兄さんがやったの?俺はお前と昌樹のために…。
敏子さんは…加川さんに書いてもらった念書を燃やしたそうです…。
嘘だろ!?せっかく俺がやっとの思いで…。
バカかお前は!バカなのはアンタのほうだ!アンタ敏子さんたちのことを本気で考えたことがあるのか!?考えてたのはいつも自分のことだけじゃないのか!?金なんかいくらあったって心は埋まらないんだ。
いくら財産をもらったっていちばん大切な人が側にいなきゃ何にもならない!アンタ兄貴のくせにどうして敏子さんの気持がわからないんだ!そんなきれいごと…アンタに何がわかる!敏子…忘れたのか?金がなくて俺たちがどれだけ苦労してきたか…。
お前…忘れたのか?私はあの人と出会えただけで十分だったのよ!昌樹を授けてもらっただけで幸せだったの!どうして私からあの人を奪ったの!?どうして昌樹から父親を奪ったのよ!?〜ご苦労さん…。
加川雅子さんが記憶を取り戻したらしいぞ。
ホントですか…!?帰りましょう…。
昌樹くんが目を覚ましたら寂しがりますよ。
少しだけ…少しだけいいですか?あの人のにおいがします…。
これ…もらって帰ったらまずいですか?私は何にも見てません。
〜いつもあなたたちと一緒だったんですね…。
はい…。

(3人)ジャ〜ン!すごいママ!ありがとう!いっぱい食べてね!は〜い!事件も解決したしさデコの手料理でね昼間から…ジャ〜ン!ビールなんて最高だよね!なにすんの!?パパこの間の健康診断また中性脂肪高かったでしょ?当分お酒はダ〜メ!かたいこと言うなよ!ビールぐらいいいじゃない!ダメダメ…!菜摘パパに長生きしてもらいたいよね?パパにビール飲まないでって。
パパビール飲まないで。
私からもお願い。
菜摘からもお願い。
家族っていいよな。
え…?ありがたいなと思ってさ。
よし!じゃあね菜摘とデコのためにパパもうビールやめる!一生飲まない!パパ…一生飲んじゃダメなんて言ってないでしょ。
いや俺はね中途半端は嫌いだ。
飲まないって言ったら飲まないぞ。
だから中性脂肪が下がったらまた飲んでもいいんだって。
しつこいな!やめるっていったらやめるの!なに意地になってるのよ!だってデコがやめろって言ったんだろ?なに…?私が意地悪みたいじゃない!デコって意地悪じゃないの?ひど〜い!パパのためでしょ?2014/12/12(金) 13:00〜15:00
テレビ大阪1
午後のサスペンス「刑事吉永誠一・涙の事件簿4 いちばん大切な死体」[字]

陶芸家失踪に妻VS愛人の争い!熱血刑事・吉永が暴く哀しい殺人トリックの謎…。難事件に迫る人気シリーズ第4弾!

詳細情報
番組内容
陶芸家の加川昌の妻・雅子が工房で倒れているのが発見される。睡眠薬による自殺未遂とみられたが、鑑識の結果、殺人未遂と判明。事件当日から加川が姿を消し、警察は行方を追う。一方、刑事の吉永は娘・菜摘の粘土細工が展示された会場で大沢敏子と出会うが、彼女は加川の愛人で、二人には認知されていない息子がいた。やがて、伝統ある陶芸界の権力争いが浮き彫りに…。
出演者
吉永誠一…船越英一郎
吉永照子…中山忍
大沢敏子…国生さゆり
河村敦夫…風間トオル
菊地圭…井上純一
宗方修一…前田耕陽
加川昌…ひかる一平
加川雅子…杏野さや
藤井美和…堀越のり
小沢慎一…林泰文  ほか
原作脚本
【原作】黒川博行『暗闇のセレナーデ』
【脚本】田子明弘
監督・演出
【監督】赤羽博

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32118(0x7D76)
TransportStreamID:32118(0x7D76)
ServiceID:41008(0xA030)
EventID:31154(0x79B2)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: