歴史に対する憧れと深い知識を持ったアイドルの養成所。
それが日本史研究の殿堂高橋歴史女学館である。
歴史は暗記するものではなく推理するもの。
館長の高橋です。
今日は「日清戦争」。
日清戦争は明治維新以降日本が初めて経験した外国との戦争です。
外国とは当時の中国の大帝国清でした。
1894年明治27年の事です。
ではこの時期これまで学んできた事で日本の外交や国際関係で覚えている事何かありますか?はい。
イギリスやフランスなどの列強がアジアへ帝国主義を進めていました。
日本は憲法を作って国際的に認められました。
不平等条約の改正に努力しました。
そうですね。
日本は欧米を模範として近代国家への道を歩み始めた時期でした。
今日はそんな背景を踏まえて日清戦争を見ていこうという訳です。
それでは学ぶべき重要ポイントを見てみよう。
今回の時代は…列強がアジアに進出する中朝鮮の主導権を巡って日本と清が対立。
日清戦争が始まりました。
この日清戦争はどのようにして起こったのでしょうか。
また戦争の結果はどのようになったのでしょうか。
今回押さえるべき「三つの要」は…日清戦争によってアジアの国際関係がどのように変わったのか考えます。
日本と清はなぜ戦争に至ったのか。
それを考えていくためには明治維新にまで遡らなければいけません。
この時期の国際情勢をまず知る必要があるからです。
では「三つの要」に沿って見ていこう。
その一。
近代国家として歩み始めた日本はまず1871年明治4年清国に使節を派遣して日清修好条規を結びます。
相互に港を開き領事裁判権を認め合う事などが定められました。
この条約は…朝鮮に対しては新政府発足とともに国交樹立を求めますが…当時清と朝貢関係にあり鎖国政策をとっていた朝鮮はフランスやアメリカなどの通商要求を拒否日本の要求も拒否していました。
1873年西郷隆盛板垣退助らの政府首脳は…しかし欧米視察から帰国した大久保利通らは国内の整備が優先であるとして強く反対し使節派遣を強引に覆しました。
1875年朝鮮・江華島で日本の軍艦が朝鮮側を挑発して戦闘に発展。
江華島事件が起きます。
この事件を機に日本政府は朝鮮に強硬な態度で迫り翌年の1876年日朝修好条規を結び朝鮮を開国させます。
条約の内容は日本の領事裁判権や関税免除を認めさせるなど朝鮮側に不利な不平等なものでした。
この結果朝鮮の主導権を主張する清とそれを否定する日本が朝鮮を巡って対立を深めていきます。
朝鮮国内でも清国を支持する勢力と日本を支持する勢力が対立。
1884年日本の協力を得て国内を改革しようとする金玉均らのグループがクーデターを起こします。
甲申事変と呼ばれるこの事件では清国が朝鮮に軍隊を送り鎮圧。
クーデターは失敗に終わりました。
翌年の1885年日本は清との関係を修復するため伊藤博文を清に派遣し李鴻章と天津条約を結びます。
これによって…どうして清は朝鮮での主導権を主張したんですか?日本はそれを否定した訳ですよね。
朝鮮を巡る日清両国の対立の背景に華夷秩序というのがありました。
(3人)かい秩序?はい華夷秩序。
というのはですね…
(3人)へえ〜。
この中で朝鮮は当時清の属国と位置づけられていました。
これに対して…これが対立の背景にある訳ですね。
清と対立してまで日本はどうしてそんなに朝鮮にこだわったんですか?それを考えるヒントとしてまず面白いものをお見せしましょう。
これは当時フランス人のビゴーという人物が描いた風刺漫画です。
(生徒たち)へえ〜。
描かれている人物は国を指しています。
侍はもちろん日本ですね。
右側は清国で2人で魚釣りしてますね。
2人が釣り上げようとしているこの魚。
実は朝鮮の事なんです。
(3人)ええ〜!そして日本と清の真ん中にいて釣り糸は垂らしていませんけど同じ魚を狙っている人物これどこの国だと思います?う〜んフランスっぽい。
アメリカ?う〜んでも何か…「ルシー」って書いてありません?頭に。
この人物はロシアを指しているんですよ。
(込山)ああロシアか。
でも何でロシアなんですか?はい。
なぜロシアなのか。
今度はこちらを見て下さい。
前回学びましたねロシアが東アジアに進出しようとシベリア鉄道を建設。
当時鉄道というのは勢力を伸ばす最大の手段でした。
鉄道の終点これがウラジオストク。
朝鮮半島の北すぐ隣です。
このままだとロシアは朝鮮を影響下に置いてしまう。
日本政府は危機感を持ちました。
そこで政府は日本の安全保障上国境を守るだけではなくその外側つまり朝鮮に日本の影響力を強めようとこう考えた訳です。
そのためには朝鮮を清の属国ではなく独立国にしなければならないという主張が出てきます。
それでは「三つの要」その二。
1894年朝鮮南部で大規模な農民の反乱甲午農民戦争が起こります。
この反乱はキリスト教に反対する民族宗教東学を信仰するグループを中心に減税と外国人排斥を求めた農民の武力蜂起でした。
この鎮圧のため朝鮮政府は清国に出兵を要請。
清は出兵とともに天津条約に従って日本に通知し日本も対抗して出兵します。
これに対し農民軍は急ぎ朝鮮政府と和解しますが日清両国は朝鮮の内政改革を巡って対立を深め交戦状態となります。
1894年8月日本は清に宣戦を布告。
日清戦争が始まります。
開戦と同時に政党はこれまでの政府批判を中止し戦争を支持。
議会は戦争関係の予算・法律案を全て承認。
国民世論も戦争遂行に統一されていきました。
日本軍は清国軍を朝鮮から追い払い更に遼東半島を占領します。
圧倒的な勝利を収めました。
開戦から半年後山口県下関で講和交渉が行われます。
日本の全権は総理大臣の伊藤博文と外務大臣の陸奥宗光。
清国の全権は…そして1895年4月下関条約が結ばれ日清両国の講和が成立します。
条約の内容は…また新たに……などでした。
清の敗北によって東アジアの伝統的な華夷秩序は崩壊。
朝鮮は独立国となり1897年に国名を大韓帝国と改めました。
賠償金って具体的にどれくらいだったんですか?はい。
賠償金2億テールです。
2億テールというのは当時のお金でおよそ3億1,000万円。
つまり日本の国家歳入…国の収入の2倍強あったんですね。
(3人)え〜!これものすごい額だったと思いますね。
賠償金は何に使ったんですか?使ったのは…はいこちら見て下さい。
軍備拡張費と臨時軍事費がほとんどです。
8割以上も軍事関係に使ってるんですね。
戦争は終わったのに何でそんなに軍事費用に使ったんですか?それには理由がありました。
講和条約の内容に異議を唱える国が現れてくるんですよ。
それでは「三つの要」その三。
講和条約調印から僅か6日後中国東北部への進出を狙うロシアがドイツフランスと共同で遼東半島の返還を日本に要求。
日本は三国干渉を受けてしまいます。
これは遼東半島が日本の領有になれば朝鮮の独立は名ばかりで実体のないものとして日本に放棄を求めた干渉でした。
三国の圧力に対し日本の国力などを考えた政府はこの要求を受け入れます。
しかし国民の間には「臥薪嘗胆」を合言葉にロシアへの対抗心が高まり政府も軍備の拡張を図りました。
…という中国古来の言葉です。
この臥薪嘗胆は兵器を造るための鉄の増産という形で現れます。
戦争の賠償金を投じて設立された…これまで日本は鉄をイギリスなどからの輸入に頼っていました。
しかし三国干渉の対抗策として軍備拡張のための鉄を必要としたのです。
ドイツの技術を導入して1901年操業を開始。
15年ほどで鉄の国内生産80%を占めるまでになります。
これ以降八幡製鉄所は日本の重工業の中心になっていきました。
また賠償金をもとに貨幣制度を改めます。
これまで通貨の価値を銀で決めていた制度を先進国と同じ金で決定する金本位制に変えました。
それは欧米と制度を同じにして貿易を円滑にするためでした。
これをきっかけに日本は経済発展を遂げていく事になります。
清国のために返還を求めるなんてロシアドイツフランスは優しい国ですね。
う〜ん。
でもちょっとひどい気もします。
何で?何か裏でもあるんですか?これはですね日本が遼東半島を領有してしまうと特に国境が近いロシアっていうのは権益を脅かされるそう思ったんですね。
決して清や朝鮮のためにした事ではなかったんです。
そうなんだ。
ふ〜ん。
ふ〜ん。
さあ日清戦争は大国清に日本が圧倒的に勝利した戦争でした。
それはアジアに近代国家日本これを示す事にもなりました。
この結果アジアでは欧米列強に対抗して近代化していくためには日本をモデルにしようこういう気運が高まります。
近代化のモデルとされた日本はこのあとどうなっていくのか…。
さあそれは次回以降のお楽しみと致しましょう。
(3人)え〜!気になる。
我が女学館の特別講師小風先生です。
(一同)よろしくお願いします。
さて先生今日はどんなお話でしょうか。
今日は三国干渉の話でその時の日本の外務大臣であった陸奥宗光についてちょっとご説明したいと思います。
実はその三国干渉というのは講和条約を結ぶための交渉をやっている時からですね実はこの3つの国は日本に対して領土を獲得するような条約だったら干渉するぞという事を伝えてきてたんです。
へえ〜。
(生徒たち)へえ〜。
(小風)陸奥は…ちょっと分かりにくいですよね。
分かりにくいですね。
何でこんな事をしたんでしょうね。
(3人)え〜?何でだろう。
じゃあもし条約の内容を日本側から変えて変更していたらどうなったでしょう。
領土を取らないっていうふうにしたらって事ですか?
(小風)そうですね。
したら国民が反論する?
(小風)そうですね。
国内的にはそういう問題が起こる。
つまり政府批判が起きてしまう。
国際的に見てもですね日本は干渉すれば言う事を聞く国だというふうに思われてしまうかもしれない。
そうだよね〜。
何とかって言うと「分かりました。
どうもすみません」って言ってたんじゃ国として成立しませんもんね。
そこで陸奥が考え出した方法が講和条約は結ぶ。
しかしそのあと当然干渉が起こります。
その干渉は受け入れざるをえません。
だから返せと言われたからじゃあ返しましょう。
じゃ返すという条約を結びます。
改めてあなたのとこに返しますよと。
そう。
という事は何を意味してるかと言うと三国干渉というのはけしからん事だと。
しかも日本の利権になる事を返させてしまった。
当然日本の国民はロシアに対して対抗心を持ちますね。
国際的にも日本に三国がこうやって干渉してきたんだっていう事がわって広がる訳ですね。
そうです。
ですから日本は筋を通して条約を結び筋を通して干渉を受け入れ筋を通してそれを中国に返還すると。
まさに外交は筋を通す事だと世界に示した訳ですね。
へえ〜。
(一同)ありがとうございました。
筋を通すって大事なんですね。
うん。
それを公にしたっていうのもすごいと思います。
ねっ。
私たちもブレないで芸能界を生きていきます。
君たちは大丈夫ですよ。
何せ歴史通の歴史アイドルですからね。
これ1つ持ってれば大丈夫大丈夫。
華夷秩序の維持を主張する清と近代的な国際関係の樹立を求める日本は朝鮮に対する主導権を巡って対立した。
朝鮮の内乱から始まった日清戦争は日本の勝利に終わり下関条約が結ばれ講和が成立した。
日本政府は受け入れたが…2014/12/12(金) 14:00〜14:20
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 日本史「日清戦争」[字]
日本の今は、誰が、どのように作り上げたのか? 日本史研究の殿堂、高橋歴史女学館がその謎に迫る。出演:高橋英樹・AKB48(向井地美音、土保瑞希、込山榛香)
詳細情報
番組内容
1894年の日清戦争は、日本と清のどちらが朝鮮において主導権を持つかという対立が原因であった。日本はなぜ戦争までして朝鮮での主導権にこだわったのだろうか?また、戦争は日本の勝利に終わったが、それは東アジアと欧米列強に対してどんな影響を与えたのだろうか?日清戦争の背景と影響を、東アジアの伝統的国際関係や欧米の近代的国際関係に注意しながら考えていく。
出演者
【講師】お茶の水女子大学大学院教授…小風秀雅,【出演】土保瑞希,向井地美音,込山榛香,【司会】高橋英樹,【語り】杉村理加
ジャンル :
趣味/教育 – 中学生・高校生
趣味/教育 – 大学生・受験
趣味/教育 – 生涯教育・資格
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