午後のサスペンス「芸者小春姐さんスペシャル奮闘記4・乱れ桜殺人事件」 2014.12.17



(輝正)あ…ちょっと待って。
左出して…左足出して…。
(神無月小春)はい。
おりながら…。
〜私覚えてますわ。
母に手を引かれてお家元の内稽古に通い始めたのが6歳の6月…。
そしてまたこうしてお家元の出稽古を受けられるなんて…。
なんだか夢のようですわ。
稽古とは一より習い十を知り十よりかへるもとのその一…。
千利休ですか?うん。
十まで習ったからこれでよいと思ったら進歩は止まる。
また一に返ってこそ新しい発見がある。
〜しかしみごとなものだ。
この世で桜にまさる美しいものはない。
たった1週間か10日の花の命…美しい。
それゆえに儚い…。
美しさと儚さ…お家元が求め続けられているものですね。
それが踊れたら本望だ。
松代流の心…神髄はこの桜。
〜ああっ…!うっ…くっ…。

(染子)あ〜いやだいやだ平気で人様のお客横取りして向島芸者の義理もへったくれもありゃしないんだから!
(蝶々)よくもまぁ杉野家の看板に泥を塗ってくれたものだわ。
(波路)ホントだわよ。
向島芸者の礼儀もしきたりもあったもんじゃない。
(福豆)杉野家のおねえさん方…もうそのぐらいでいいでしょう。
義理だしきたりだっておっしゃいますけど要するに…負け惜しみでしょう。
ウフフフフ…!なんだと!福豆…もういっぺん言ってごらん。
そりゃ贔屓のダンナ衆横取りされて悔しいでしょうけどだったら取り返してごらんってことよね〜!
(彩乃)そうよ!そのとおり!
(若菜)お客取られてブチブチ言うなんて最低!
(桃千代)この世界…お座敷に呼ばれてなんぼ。
悔しかったら取り返してごらんよ。
まぁアンタたちにはそんな器量も根性もないでしょうけど。
(笑い声)よくも言ってくれたわね!キャーッ!やったわね!
(争う声)
(笈川虎松)うるせぇ!うるせぇ!
(染子)大将!止めないで!誰が止めるかってんだ。
あぁ!?やるんだったらな表に出て徹底的にやんな!こちとら見物させてもらうからよ!
(日出子)大将!なんだ?またボイラー故障か?なんで私の顔見るとボイラーなの!?なんだよ?大将!ちょっと!ちょっとちょっと!なに!?13代目が!?バカ野郎!それ早く言え!もう!なんなのよ!日出子さん13代目って?てぇへんだよてぇへんだ…。
…んだよバカヤロー!
(自転車のベル)小春ちゃ〜ん!小春ちゃ〜ん!てぇへんだ!ちょっと虎ちゃん!何慌ててんのよ!おおお家元が救急車でよ…。
えぇ!?自宅から運ばれるのをウチの客が見たって…。
…で具合は?ねぇ虎ちゃん。
お家元の具合どうなのよ?いやだからあの…詳しいことはわかんねえんだけど。
もしものことがあったら…。
バカ!バカバカバカバカ!なんてこと言うのよ!縁起でもないこと…。
たいへんだ!たいへんだぁ!
(三上)お家元…。
(ドアの開く音)
(葵)奥様!
(井本)意識呼吸脈拍…。
すべてなく…すでに心肺停止状態でした。
心筋梗塞です。
(ドアの開く音)
(昭正)兄貴…。
(中丸)お家元…。
(葵)とても穏やかなお顔で…。
(千草)お家元…。
(冨士子)あなた!ご自宅で倒れて…そのまま…。
そうですか…わかりました。
虎ちゃん…。
まさか…。
(福豆)おかあさん!
(桃千代)お家元は?亡くなっちまったよ…。
(福豆たち)えぇ!?こないだのお座敷ではあんなにお元気そうだったのに…。
お酒も控えて体にはずいぶんと気を遣ってたけど…。
隅田川の舟遊び…広小路の寄席通い…。
江戸前の粋でいなせなお家元にお供して…オイラもずいぶんかわいがってもらってよ…。
まぁ…俺なんかより小春ちゃんのほうがずっとな…。
なんせ…6つのときから松代流の手ほどき受けてよ。
先代と今の輝正の旦那…2代にわたってお家元がお師匠さんなんだからな。
そう…この花乃屋があるのは今のお家元のおかげといっても…。
お家元のおかげって…?うん…いや実はな…。
いやいいか…。
ん?いいわよ虎ちゃん。
うん…。
いや実はよ…その小春ちゃんのおふくろつまり先代の女将が亡くなったときかなりの借金があってな。
そいつをお家元が…。
どうかおさめてくれ。
お家元…。
冗談はよしてくださいな。
今熱いのお持ちします。
あぁまぁ!先代の女将にはこれ以上のお世話になった。
一門の台所事情を察してくれてのことだが松代流への寄付はこんなもんじゃなかった。
先代から預かったものを返す。
どうだ?文句はなかろう…。
お家元…。
(輝正)この向島から花乃屋をなくしちゃいかん。
江戸の花街文化がまた1つ消える。
役に立たせてくれ!お家元…この世界に入ってからいろんなめぐりあいがあったけど松代流のお家元だけには足を向けて寝られなかったわね…。
小春ちゃん…そろそろ弔問行かねえと。
ああぁ…。
福豆…あとお願いね。
(福豆)はい。

(柏木)小春。
(冨士子)小春さん…。
冨士子さん…。
何と申し上げていいのか言葉がなくて…。
あなた…。
向島の小春姐さんよ。
お家元…。
(昭正)稽古場で倒れて…心筋梗塞だ。
心筋梗塞…。
(三上)残念ながら手遅れでした。
(葵)せめてあと5分でも早くお迎えにあがっていれば…。
残念です無念です。
しかし稽古中に逝かれるとはお家元らしい最期かと。
(雪江)365日一日たりともお稽古を欠かさない。
(雪江)私たち門弟の鑑でした。
(柏木)確かに13代目らしい最期だが…。
奥さんのお気持を考えると…。
しかしここはなんとしても義姉さんに踏ん張ってもらって松代流13代目の名に恥じない最期をぜひ。
(柏木)ぜひとも13代目にふさわしい葬儀を。
全国3万人の会員を超える後援会長として衷心からのお願いです。
(村川)柏木先生のおっしゃるとおりです。
400年の歴史と伝統を持つ松代流のため副会長の私からも。
正直心の準備はなにも…。
でも主人の花道はきちんと。
〜どうもどうも。
ご挨拶が遅くなりまして。
いらっしゃいませ。
明日が自宅で仮通夜。
本葬は来週松代流会館で執り行うってのか。
うん。
おかあさん私たちも仮通夜のお手伝いに。
ん?あぁそりゃアンタたちもお家元の弟子なんだから。
でもこういうときのお座敷っていちばんつらいわね。
(桃千代)お座敷じゃ笑顔は絶やせないしもうホント胃がキリキリしちゃって。
桃千代ここんとこアンタちょっと飲みすぎよ。
だからこんなもの飲まなきゃなんないの。
おかあさん何か?そう…あれは去年の今頃…。
輝正:小春今度の一門会の総会で名取総代に推挙しようと思う。
名取総代…。
私がですか?うん。
松代流の心を次の世代が受け継ぐためにもウチの一門にはお前が必要だ。
引き受けてくれるな。
私にはちょっと荷が重そうですけど…。
でもお家元に望まれて嫌とは申せませんわ。
私もいい弟子を持った。
あとどのくらい花見ができるかな。
急に何をおっしゃるんです。
嫌ですよお家元。
実はな医者から用心のためにこれを持たされてな。
発作を抑えるニトロだ狭心症!?去年の桜の頃に一度軽い狭心症の発作を起こされたことがあってね。
あぁそれでか。
(歌声)虎ノ湯のいちばん風呂はお家元と相場が決まってたんだ。
それがぷっつり来なくなったと思ったらそんでだったのか。
そうそれ以来ニトログリセリンは必ず持っていらっしゃったはずなんだけど。
ニトロ?うんお守り袋に入れて。
ちょっと…ちょっと待った。
ってことはそいつを飲めば…。
そうなのよニトロは即効薬だから発作はおさまったはずなの。
じゃあなんで…。
なんでお家元は逝っちまったんだ?〜
(染子)女将さん!染子ちゃん…。
私たちもお家元にはずいぶんお世話になったし何でもいいからお手伝いさせてもらおうと思って…。
いいですか女将さん?もちろんよ。
お家元もきっとお喜びになるわ。
(冨士子)芸者衆まで総出で手伝ってくれて小春さんすみませんね。
そんなこと…当たり前のことじゃありませんか。
冨士子さんちょっと気になることが…。
お家元のニトロのことなんですけど…。
飲んでいらしたら発作は治まったんじゃないかと…。
実はね…私もそのことが気になって病院から戻って確かめてみたら…。
文机の上に…。
たぶん飲んではいなかったんだと…。
ううん飲もうにも飲めなかったんじゃないかと。
お医者様がおっしゃるには心筋梗塞で倒れたら一歩も…その場からただの一歩も動けなくなるケースがある…。
それほど強烈な痛みをともなうものだと。
でもふだんは必ず身につけていらしたんでしょう?お稽古のときだけは外して…。
一切手を抜かない人だったでしょう?お稽古も本番の舞台とまったく同じように真剣に取り組んでいたわ。
私がそばにいてあげたら…。
いくら悔やんでも悔やみきれないけど…。
小春さん祭壇に飾るのこれどうかしら?おかあさん…。
お家元はここで倒れられて…。
お家元のお稽古には誰も立ち会ってなかったんです。
いつものことだったそうですけど。
きっと努力と精進の姿は誰にも見せたくなかったんでしょうね。
千草ちゃんお家元を最初に発見したのはあなただったの?いいえ…。
お家元しっかりしてください!救急車!はい…!じゃあ三上さんと葵さんが発見してお二人が病院に?はい…。
奥様の冨士子さんに連絡したのはあなただったのね?はい…連絡してからすぐに私も病院へ駆けつけましたけどあの…それが何か?ううん…。
(三上)10時にお迎えにあがったときにはすでにぐったりして…。
すぐに119番で救急車を呼んだんですけど。
もっと早くお迎えにあがっていれば…。
小春さんお家元のことで何か?ううん…さぞお苦しかったんじゃないかと…。
ちょっと失礼…。
心筋梗塞なのは100%間違いねえ。
念のため救急病院の先生から確かめてきた。
でやっぱりニトロは飲んでいらっしゃらなかったのね?うん…だからそれがやっかいなのよ。
収縮して詰まった血管をバンと爆発させて広げるんだから普通の薬とは違って薬の成分が血液中には残らねえんだってさ。
飲んだかどうかだって早いとこ解剖してみねえとわかんねえんだって。
それに心筋梗塞で倒れたら一歩も動けないケースもあるらしい。
じゃあやっぱり家元夫人が言われたとおりか。
お家元は苦しくっても飲むに飲めなかったんだわ。
だから肌身離さずつけとくもんだけどさ稽古中は外してたっていうのはやっぱりお家元の油断なのかな。
君蝶さん…。
君蝶…あああれがお家元のナニか。
たしか京都の芸妓で…祇園だ!ううん祇園じゃなくて上七軒よ。
どうやら家の敷居はまたがせたくねえようだな。
何しに来た!?
(君蝶)どういうことどすか…。
お前の好きな金額を書け。
二度とこの松代の家の敷居はまたがない。
家元とのことは何もなかった。
わかるな?わかってくれるな?見損なわんといておくれやしゃ!松代流13代目の名誉に傷がついては…。
家元の手ほどきを受けたあなたなら異存はないはずよ。
そやさかいこうして通夜の前に人様の目を避けて来たんどす。
こんなもんが欲しゅうて…。
ただひと目ひと目お家元に会いとうて…。
そんなに別れが惜しいんだったら本葬に来ればいい。
ただし門弟の一員としてな。
家元とのことは世間には一切出さない。
過去のことは水に流してなかったことに…。
約束してちょうだい。
お帰りいただいて…。
小春姐さん…。
君蝶さん。
なんて艶のあるいい踊り…。
松代流一門の会であなたを見て惚れぼれさせられたわ。
それから年に一度の舞踊会で顔を合わせて毎年あなたの踊りを楽しみにしてね。
向島と上七軒しきたりは違っても同じ身だからかしらねなんかとっても親近感があってね。
お家元とあなたのことを聞いてホントびっくりしちゃった…。
そういうことは口を挟まない。
この世界に入ったときからそう教え込まれてきたわ…。
何もなかった…。
お家元とのことは何もなかった…。
そう言われたんどす。
奥さんにも一門にも迷惑はかけへん。
一切表には出ぇへん。
これまでもそういう分をわきまえていたはずやのに…。
そんなこと叶わないってわかっててもついお家元の遺骨のほんのひとかけらでもいただけたらと…。
そやけど何もいらへん。
何も望まへんからお家元にひと目…。
私のこと薄情と思うでしょうね。
でも薄情なのはどっちよ。
家元の妻として縁の下で支えて…。
そんな私の苦労も知らず…。

(冨士子)東の冨士子西の君蝶と言われて互いに切磋琢磨して競い合ったよきライバル…。
家元の教えを受けた姉妹弟子のようなもの…。
よりによってあの君蝶と…。
まさかそんなこと信じられなかったけどそう…もう20年近く前になるけど京都の別邸でのあの日のことは今でもこの脳裏に…。
君蝶:お家元…。
お家元…
(冨士子)この胸がかきむしられて体中を血が駆け巡るようで嫉妬に狂いそうだった…。
でもひたすら耐えて…。
ごめんなさいお通夜の仕度が…。
冨士子さん…。
ひと目…君蝶さんをお家元に会わせてあげて。
小春さん私のこの20年がどんな…でもやっとあの女から家元を取り戻せたような気が…。
亡くなってこんな気持になるなんて自分でも切なくなるけど正直な気持よ…。
お気持はよくわかるわ。
でもここは…あなたのためにも会わせてあげたほうがいいんじゃないかしら?私のため?お線香の1本もあげさせないで帰した…。
そんな噂が立ったらお家元夫人としての器量が問われるんじゃないかしら?せめてひと目だけでもねぇ…冨士子さん。
人払いしといた。
小春姐さんなんてお礼を言っていいか…。

(嗚咽)
(昭正)柏木先生お忙しいところ恐縮です。
さぁ。
どうか後援会のほうをよろしく。
理事長心配するにはおよびませんよ。
根回しはできてます。
中丸くん君からも。
柏木先生村川先生。
なにとぞ…なにとぞよろしくお願いいたします。
中丸さん…いよいよね。
14代目…。
(三上)奥様…向こうには後援会という強い後ろ盾があります。
どうせお金で抱き込んだんでしょうけど柏木代議士の発言には逆らえません。
13代目の葬儀を取り仕切るのは私です。
奥様…。
この私の意思なく次が決められると思うの?跡目はこの私が決めます!
(読経)家元夫人の冨士子。
家元の弟の昭正。
どうやら一門のなかはこの2人の派閥に割れているようだな。
後援会会長の柏木代議士は昭正派。
副会長の村川区議も当然そっち派。
一門会理事長の昭正は言ってみりゃ金庫番だ。
政治献金やパーティー券の購入でガッチリ急所押さえてんだろうが…。
冨士子さんが推す三上数馬。
昭正さんが推す中丸雅也。
後継者争いはこの2人に絞られている。
しかも三上数馬には白鳥葵。
中丸雅也には宮地雪江。
それぞれの女流舞踊家が恋人で彼女たちが派内の多数を獲得しようと奔走している。
13代目が生きてる間は抑え込まれてたけど大黒柱のその重石が取れたら後継者争い…。
こういったお家騒動はつきものだけど。
小春ちゃんお家元はいったい誰を後継者にしようとしているんだ?わかんない。
でももしそれが火種になってるとしたら…。
〜〜
(冨士子)あのような盛大な告別式をしていただきまして13代目輝正もさぞ喜んで天に召されたことと思います。
これもひとえにここにお集まりいただきました皆様方のお力添えと感謝いたしております。
ありがとうございました。
(昭正)予定しておりました今月14日の一門会ですが冨士子さんの切なる思いから13代目の追善舞踊の会といたします。
追善舞踊…。
松代流にとってまさに危急存亡のとき…。
後援会としても全面的に後押しします。
しかし追善舞踊となるとそれまでにお家元の後継を決めておかんとまずいな。
この先松代流がどうなるんだ?一門の間に動揺が広がっていると聞いています。
そうした動揺を鎮めるためにもここは次期家元を…。
後援会の総意としてはこちらの中丸雅也君を…。
柏木先生今日はそのお話は…。
(冨士子)皆様どうぞお召し上がりくださいませ。
奥さん!後継指名は今松代流にとっていちばん大事なことなんです!まぁきれい!ご覧くださいな。
お家元がこよなく愛した染井吉野が目にしみるじゃありませんか。
(福豆)なんだか今年の桜は特にきれいね。
(染子)本当!美しすぎて怖いくらい。
(桃千代)きっと桜もお家元を偲んでいるんじゃないのかしら。
かもしんねえな。
(柏木)では輝正13代目のご冥福を心よりお祈り申して…。
献杯!
(一同)献杯!いや〜お家元との花見がつい昨日のことのようで…。
そもそもなこの染井吉野ってのはな江戸染井村の植木屋がテメエんちの庭で作ったもんなんだ。
あら虎ちゃん!お家元の受け売りじゃないの?あいやこら大当たり!
(笑い声)数馬さん!おい!
(悲鳴)三上!三上!三上!
(悲鳴)貴様…!
(中丸)三上!!
(葵)数馬さん!!
(中丸)三上!三上!どうした!?三上!!
(中丸)おい三上!〜
(野崎)もういいかな?ちょっと見させて。
(八木)警部ガイシャは三上数馬。
松代流の幹部です。
(丸岡)毒物反応が認められますね。
飲み物か料理に混入されたと思われますが…。
ガイシャが飲んでいたときのグラスです。
え〜この宴の参加者は28名。
松代流家元夫人と門弟。
後援会会長の柏木代議士副会長の村川区議。
それに向島の花乃屋の芸者衆と女将ですね。
向島の花乃屋?この女将の小春さんは松代流一門の名取総代だそうです。
(野崎)墨田中央署の野崎と申しますが今日のこの会はどういった趣旨ですか?お家元の告別式のあとの慰労会がこんなことになってしまって…。
三上君はなんで?毒物反応が見られます。
毒物!?
(丸岡)献杯をした直後のこと。
三上さんのグラスについだのはどなたですか?葵さん隣にいたあなたじゃないの?雪江さんなんてこと言うの!?私じゃありません!じゃあ誰が?まぁぐっと!ババカな!中丸君!キミ!!先生誓って私は!あの目…数馬さんのあの目があなたのことを…!バカなこと言うな!あんたが中丸さん?ちょっと話聞かせて。
いや私は何も…。
彼よ彼が!同期同門の数馬さんだけには負けたくない数馬さんへのライバル心は異常なくらい!葵さんやめなさい。
何度言ったらわかるんですか!私は神に誓って潔白だ!!落ち着けよ中丸さん。
あんたライバルだった三上数馬が邪魔だったから殺ったんだろう?どうして信じてくれないんですか?いいですか?後援会が推してくれてたんですよ?
(野崎)あんた1人で殺ったのか?だから!家元の座は目の前だったんですよ?そんな私がなんでこんなことしなきゃいけないんですか!ブツはどこで手に入れたんだ?信じてくださいよ!私は誓って…誓ってやってません!確かに私は三上数馬を後継に考えていたわ。
…決して個人的な思いからではなく彼の日舞の才能を認めていたからよ。
…お家元は誰を跡目に考えてらしたんですか?見込みのある弟子たちを競わせて三上数馬と中丸雅也の2人に絞ってどちらかを考えていたんだと…。
でもなんでこんなことに…。
(千草)奥様墨田中央署の刑事さんが。
(野崎)ニトロを家元はお守り袋の中にはい。
そしてこの文机の上に…。
(冨士子)はい…。
あの…どういうことなんでしょうか?どうしてお家元のことをお調べになるんですか?三上さんの今度の事件と何か…何か関係が?三上さんのグラスから毒物は検出されませんでした。
検出されない…。
じゃあ中丸さんは?今のところ彼の容疑は晴れました。
司法解剖の結果毒物はアコニチンと判明。
これはトリカブトの根から抽出されるものです。
トリカブト…。
胃の内容物からゼラチン質も検出されました。
毒物は飲み物や料理に混入されていたのではなくゼラチン質のカプセルの中に混入されていた。
と推定されますが…。
三上さんは何か常備薬は服用されてませんでしたか?常備薬?
(冨士子)十二指腸潰瘍を患ったことがあるとかで…。
あ服用してたんですねカプセル錠を。
う〜ん…。
刑事さん!はい。
お家元が亡くなったことと今度の事件何か関係があるんですか?救急病院の医師の死亡診断書に問題はなく死因は心筋梗塞に間違いなかった。
だがニトロを飲んでいれば…。
なぜ家元はニトロを飲まなかったのか…。
私もそれが気になって…。
…刑事さんひょっとして。
ひょっとして?何です?聞かせてください。
根拠があるわけじゃないんですけど…。
誰かが悪意から…。
家元にニトロを飲ませないようにしたと…。
でですから確かな根拠は…。
いや…その疑問は消せないなうん…。
あの心臓に爆弾をかかえた者にとってニトロは命をつなぐものだ。
それが悪意から遠ざけられたとしたらこれは病死じゃない。
立派な殺人です。
殺人!?お家元と三上数馬さん…2つの…殺人。
神無月さんあなたにとって松代流の家元の存在がどういうものなのかまぁそれはそれとして。
事件にはこれ以上…。
殺人事件!お家元は…やっぱり殺されたのよ。
こ小春ちゃん!お家元と三上さん2つの事件は根っこでつながってる…。
ってことは一門の中の誰かが…。
お家元をうまいこと病死にみせて…。
あっ!!うぅ…うわっ!!あぁ!!うぅ〜!そうそう。
そいで虎ちゃんニトロがここにあるとしたらたぶんお家元は苦しいだろうけどそいつを飲まなきゃ死ぬからこうして必死で…。
もうちょっと…もうちょっと!ももう…ちょちょっと…。
小春ちゃん…。
もし…もしもよ。
誰かがこんなふうにして…。
まさか…。
(日出子)大将!なんだか苦しそう…わぁ〜!!大丈夫ですか?人工呼吸人工呼吸!マウストゥマウス!うわ〜!!バカ!あっち行け!!あ〜汚らわしい!あっち行け!ななんなのよもう!あっち行ってろ!なんなのよ!ボイラーぶっ壊してやる!うせろ!バカヤロー!死ぬかと思った。
何笑ってるんだよ小春ちゃん。
つまりだなつまりだよ?だからその…。
逆にそのお家元を助けようとしねえで見殺しにしたってことだよ!そうそう。
え?そうそうってさ!そうだろう?だからさお家元の最初の発見者ってのは…。
…え?三上さんと葵さんの2人ね。
あぁ…え?その2人のうちの…1人が殺されたよ。
ってことは…あいつも!?え?まさか…。
こんにちは!
(チャイム)
(チャイム)白鳥さん…葵さん!こんにちは!…いらっしゃいませんか?葵さん!お留守ですかね?ねぇちょっと虎ちゃん。
だってさぁ。
おじゃましますよ。
いねえな庭かな?葵さん!〜いねえなぁ。
〜小春ちゃん!〜小春ちゃん…。
(八木)白鳥葵32歳松代流の門弟です。

(八木)鑑識のみたところ死亡推定時刻は昨夜の10時前後です。
10時か…。
〜関西締め…。
神無月さんこちらを訪ねた理由は何でしょう?…葵さんに確かめたいことがあって。
葵さんに確かめたいこと?
(八木)警部!おう。
白鳥葵の草履です。
花びらを踏んでますね。
桜だな。
桜…。
今度は葵さんまで…。
松代流はこの先どうなっちゃうのかしらね?そういえばお家元の追善舞踊はどうなっちゃうのかしら?もちろん予定どおりよ。
でも…松代流はもう…。
あの流派は呪われてるって!そうそうそう。
何バカなこと言ってんの!早く支度しなさいほら。
ほらちゃんとして。
まぁた!鷹奴あんたいつまでも新人じゃないんだからね?
(鷹奴)はいすみません。
逆?いい?これが関東の江戸締め。
はぁ。
こっちが関西締め。
同じじゃねえかよ。
はぁ関東と関西では手が逆なの。
ほら!江戸締めは手が右。
関西締めは手が左。
ねっ?右と左が逆。
うん…。
大将わかってんの?わかってるよ!ウナギの背開きと腹開きのようなもんだ。
(福豆たち)はぁ!?関東は背開き。
関西じゃ腹開き。
なぜかっていうとだなお侍の切腹で関東ではその…腹開きは忌み嫌われたんだ。
大将またお家元の受け売りでしょ。
受け売りばっか!
(笑い声)やかましい!小春ちゃん…つまりこういうことか。
帯の締め方が違ってた。
江戸締めの白鳥葵が逆の関西締めだった。
帯を締めるのは私たち習慣として身についてるもの。
逆に締めるなんて考えられないわね。
私はいつも江戸締めです。
逆になんかやったことないわよね。
いやだからさ締めるはずのねえ締め方をしたってことは…。
葵さん本人じゃない誰かが結んだってことに…。
(福豆)雪江さん帯はやっぱり関東の江戸締めですよね?
(雪江)もちろんよ。
じゃ葵さんも同じだったんですか?もちろん。
それが何か?あいえ…。
福豆さんあなたたちも追善舞踊のお稽古があるんでしょ?えぇ。
振りが難しくって。
アハハハハ!
(千草)遅くなりました!すみません。
授業が遅れて…。
千草ちゃん早くしてね。
葵さんは江戸締めだって。
やっぱり!
(彩乃)じゃ葵さんは…。
あの帯を結んだのは第3の手!
(若菜)葵さんは自殺じゃない…。
(桃千代)帯の手が江戸締めの右じゃなくて左!関西締め…。
〜関西締め…。
一門のなかではただ1人だけなんです。
(桃千代)千草ちゃんは松代流京都上京地区の門弟で発表会の踊りで素質を見抜いたお家元が近くに置いてたそうです。
京都上京地区…。
〜ごめんください。
ごめんください。
日舞の素養がお家元に認められたんですね。
(徳子)へぇ。
千草ちゃんのご家族は?ご両親は?すんまへん。
知りまへんねん。
口止めされてらっしゃるんですね。
そういうことはちょっと…。
秘密は守りますから。
あの…千草ちゃんのお母さんは京都の人?上七軒で芸妓さんをしてはりますけど。
上七軒の芸妓って…君蝶さん?お姐さん。
こんにちは。
(君蝶)こんにちは。
ただいま。
(清駒)おかえり。
君蝶…アンタに話があるってお待ちえ。
小春姐さん…。
突然に押しかけてごめんなさいね。
知らなかった…。
千草ちゃんのお母さんが君蝶さんあなただったなんて。
じゃ千草ちゃんのお父さんは…。
お家元ね。
でもそのことは誰も知らない。
どういうこと?君蝶の名をもろうて一本立ちの芸妓になって芸を磨いて…。
見ると知るとでは大違い。
それはもう芸の道は厳しゅうてお座敷づとめもお稽古も何もかもが嫌になって…。
(君蝶)もう辞めよう。
そう思ってつとめたあの日の最後のお座敷…。
「咲き競う花より勝る蝶の舞い」
(君蝶)あのときいただいたお言葉。
お言葉というても便箋に書かれた走り書きやったけど…。
今でもこうして肌身離さんと。
雲の上のお家元にいただいた言葉にびっくり。
ウチの中で折れかけていた気持がつながって…。
(君蝶)それからお家元のお座敷に呼ばれるようになって時ならぬそこでのお稽古。
私は一分一秒を惜しんでお家元の指導を受けた。
思えばあのときがいちばんウチの幸せやったときかもしれまへん。
心と心を通わせてお家元の子を授かって…。
千草ちゃんの認知は?お家元はきちんとしたいと…。
せやけどお家元にも一門にも迷惑がかかる。
(君蝶)ウチの手で立派に育ててみせるて…。
お家元が東京からこの京都に来る日を待ちわびて…。
幼いながらに片鱗をのぞかせた千草の舞い。
千草には日舞の素養がある。
お家元はそれを見て取って将来は手元に置いて育てたいと…。
千草が高校を卒業する日を待って…。
(鈴の音)
(君蝶)千草がお家元の元に入門する日芸能神社の車折さんにお参りして千草…これからどんなにつらいことがあっても戻ってきたらあきまへんえ。
ウチは心を鬼にしてあの子を旅立たせた。
千草がお家元の娘であることは誰にも…。
お家元は時期をみて千草ちゃんを後継者にって思ってらっしゃったのね…。
いつの日か養子縁組をして自分の後継にすると…。
そやけどもうその夢は…。
小春姐さんあのときのことはお家元にひと目会わせてくれたあのときのことは決して忘れまへん。
関西締め…。
(小春の歌声)冷めてえな小春ちゃんもよ!京都行くなら行くってひと言俺に言ってくれりゃいいじゃねえかよ!黙って…。
冷めてえな…こちとらな梅も桜も満開なんだよ!柳も満開だ!冗談じゃねえや!本当に人の気持もしらねえでよ。
しかし本妻と愛人ってのはやっかいなもんだなぁ〜!冨士子さんには冨士子さんの君蝶さんには君蝶さんの思いがあるけどその思いはどこまでいってもすれ違って交わらない。
むしろ溝はどんどん深まっていく。
せつねえ女心か…。
あら?虎ちゃんにも女心の切なさがわかるの?バカ言っちゃいけないよ!俺ほど女心がわかる男はいやしないよ!まぁしかしその点はよかったよな。
小春ちゃんも俺も独身だしよ。
まぁ小春ちゃんと所帯持ったら俺は絶対によそに女なんか作らないよ!あぁ作りませんよ!ねぇ小春ちゃん!
(戸を開ける音)またね虎ちゃん。
(戸を閉める音)聞いてねえよな…。
小春さん…。
追善舞踊会までいよいよあと3日。
ごめんなさいお稽古中。
いいの。
ひと息入れるとこだったから…。
差し入れ。
ありがとうございます。
ねぇ冨士子さん。
お家元がいずれ後継者にって思っていらしたのは千草ちゃんだったのね。
千草ちゃんの母親が君蝶さんだってこと最初から知ってらっしゃったんでしょ?冨士子さん…。
それを知らされたときのショックといったら体中の血が逆流するよう…。
子供のできなかった私にとってそれはもう言葉にできないほど…。
どこまでこの私を苦しめたら…。
正妻と愛人の立場が逆転するような耐えがたい屈辱だったわ…。
それでも家元は直弟子にすると譲らなかったのよ…。
このとおりだ。
私を恨め。
この輝正を恨んでくれ!だが千草のことだけは…頼む!これだけは…!
(冨士子)愛人の娘を直弟子にした。
そんなことが知れたら私の立場はなくなるし世間の笑い者…。
せめて誰にも言わないでと条件をつけて…。
でも私は身も心もボロボロ…。
正妻のプライドも女の意地もズタズタだった…。
千草ちゃんあなた辛かったわね…。
お家元がお亡くなりになっていちばん傷ついたのは千草ちゃんだったのね。
お家元はどんなお父さんだったの?そう広げて広げて!もっともっと!
(千草)内弟子修業とお家元の厳しい稽古…。
こっちはどうだ?あぁかわいい!
(千草)でも2人きりになるととても優しい父…。
似合うぞ!ホントに?ああ!千草ちゃんのなかには2つの顔を持つお父さんがいたのね。
お父さんと呼べる日が何より待ち遠しくて…。
でももう呼べない…。
私を守ってくれた人も支えてくれた人もいなくなってしまいました…。
ねぇ…お家元がお亡くなりになったあの日奥様は外出なさってらしたのよね?はい。
どちらに?日本橋のデパートにお着物を選びに…。
着物を選びに日本橋に…。
間違いない?そう聞いてますけど…。
あの…何か?やっぱり奥様が今度の事件と何か?えっ…思い当たることがあるの?あるのね?千草ちゃん!大事なことなのよ!私…見たんです。
三上:この先どんなことがあろうとも奥様には…。
万が一のときでも泥はこの三上がかぶります。
三上さん…。
奥様!冨士子さんと三上さん…。
私も信じられなかったけどでも本当です。
そのこと誰かに話した?お母さんには?母にだけは…。
千草今のことは誰にも言うたらあきまへんえ。
でも…お父様に何か…。
ねぇお母さん…私にも話して!アンタは何も心配せんでええ誰にも言っちゃダメ…。
お母さんからそう口止めされたのね?はい…。
そう…。
母は心配するなと…。
そう…。
なんで母は…母が何か?小春さん!《お家元を最初に発見した2人三上さんと葵さんが殺された…。
2人は恋人同士…。
でも三上さんと家元夫人冨士子さんは秘密の関係にあった…。
お家元が亡くなったあの日冨士子さんは日本橋のデパートに着物を選びに行った…。
でも…おかしいな。
冨士子さんは決まった呉服屋さんがあっていつもそこで着物をこしらえてるはず。
もしもあの日外出していなかったら…》小春ちゃん!ああびっくりした。
何なのよ虎ちゃん?ちょいと気になって病院に寄ってきたんだよ。
病院…?うん!仮通夜に訪れた君蝶なんだがなその翌日にはお家元が担ぎ込まれた救急病院を訪れてるんだよ。
問題はあの君蝶がお家元の死の真相をどこまでつかんだか…だな。
それに白鳥葵のあの関西締め。
小春ちゃんおそらくこういうことじゃねえかな。
首を絞められた白鳥葵が必死になって抵抗した。
そのときに帯がほどけた。
犯人はソイツを締め直した。
ついいつものように締めた。
あの君蝶なら関西締め!虎ちゃんそう先走らないでよ。
いい?君蝶さんはあの日4月6日7時から9時まで琵琶湖雄琴の花街道というホテルにいたのよ。
琵琶湖のホテル…。
地元の名士の叙勲祝賀会に招かれて日舞を披露した。
上七軒の女将さんから聞いたから間違いないわ。
うん…白鳥葵が殺された時間は午後10時前後。
そのとき君蝶は9時には琵琶湖のホテルにいた。
1時間で東京になんてどう逆立ちしたって無理だよな。
この桜餅の葉っぱを食わねえヤツに桜餅を食う資格はねえなんてお家元がよく言ってたけどさ俺はどうもこれが苦手でさ。
うまい!桜…。
〜あれは一重の桜じゃなく八重咲きの桜…。
一重じゃなく八重?この染井吉野は一重咲きだけど。
でもね葵さんの草履の裏には八重桜よ絶対!そうなんだよなおかしいよな…。
ちょっと待って虎ちゃん。
桃千代から今電話入ったから。
はい…あっ桃千代?おかあさん?この周辺に八重咲きの桜は1本もありません。
1本も?小春ちゃん!葵さんが殺されたのはそこじゃないわね。
ここじゃねえ?別の場所?でもどうしてわざわざそんなこと…?考えられるのはアリバイ作りか!犯行現場がそこでなければ…。
君蝶のアリバイも…小春ちゃん!ちょっと離れて!そんなにくっつかれたんじゃ歩けやしないわよ。
そうはいきません。
またこの前みたいに置いてけぼりにされたらたまりませんからね!はい行きましょう!虎ちゃん!もうちょっと暑苦しいから離れて!その手で逃げようったってそうはいきませんよ。
行きましょう!はい小春姐さん!
(従業員)いらっしゃいませ!
(従業員)こちらでございます。
どうぞ!4月6日の叙勲祝賀パーティーの日なんだけどさこの君蝶って芸妓がチェックインしたはずなんだけど。
(木村)少々お待ちください。
チェックインはされてませんね。
えっ?おかしいな。
二次会につきあうことになるだろうからここに泊まると。
この芸妓さんなんですけど…。
(ウエイトレス)ああ!見たんですか?はい。
お会計をされましたから。
お着物をめされてましたのでおぼえが…。
いつですか?4月6日祝賀パーティーがあった日じゃありませんか?そうあの日だったと…。
何時頃?閉店のちょっと前でしたから9時頃お二人で…。
2人…?この人?ああ…!〜間違いない?お二人ともお着物でしたから。
着物…どうもありがとう。
八重桜…八重の桜。
あっ!あの白鳥葵の草履についてたのはこの八重桜の花びらか。
そこまでは断定できないけど…。
でもホテルから歩いて4〜5分。
可能性は大だな。
ラウンジで接触してそのあとにここで…。
もしここが犯行現場だとしたら…。
彼女のアリバイは…。
君蝶のアリバイは崩れるよ。
〜お家元を最初に発見した三上さんと葵さん。
あの2人はニトロを遠ざけてお家元を死に追いやったとしたら…。
君蝶があの2人に復讐したってことか。
君蝶さんは娘から聞いて三上さんと冨士子さんの関係を知っていた。
千草:私見たんです。
(三上)この先どんなことがあろうと奥様には…。
万が一のときでも泥はこの三上が被ります当然君蝶さんは冨士子さんも疑う。
あの日冨士子さんは着物を選びに日本橋のデパートに。
でも冨士子さんはいつも決まった呉服屋でしか着物を作らない。
ホントかよ。
冨士子さんは日本橋に出かけたんじゃなく自宅に…。
まさかあの冨士子さんもお家元の死に…。
〜〜君蝶さん。
小春姐さん!もうそれ以上この手を汚しちゃいけないよ。
稽古場で発作を起こしたお家元がなぜニトロを飲まなかったのか。
君蝶さんあなたもそれに疑問を持ったのね。
そしてその疑惑は最初の発見者三上さんと葵さんに向けられた。
そうなのね君蝶さん。
小春姐さんの言うとおり。
あの男は三上数馬は口を貝にしはったけど白鳥葵は自分のことは見逃してくれと…。
君蝶:次期家元14代の座が欲しゅうてやらはったんやね。
お家元は千草を後継に考えていたんえ。
そやから…。
千草さんが跡目になるのはまだ先のことでしょ。
そやったらなんで…なんでお家元を?葵さん!お家元に発覚してしまったのよ。
冨士子さんと三上数馬。
2人のことが…。
そうよ三上:あっ!
(輝正)三上キサマ…!
(冨士子)あなた!殴るならこの私を。
あなたの心が君蝶に…それで三上を…。
どけ!あっ!許さんぞ!やめて…やめて!破門?数馬さんはお家元から通告されていたのよ。
次期家元の座なんか夢のまた夢…。
たとえ一門に残ったとしても一生飼い殺し。
お家元のあの発作はそんなとき…。
〜冨士子さん!アンタも…。
アンタもいはったんやね!冨士子さん…。
三上数馬たちが救急車を呼んだ。
その間に外出を装ったってことか?
(君蝶)あの日…この稽古場でお家元が心臓発作で倒れはったのは千載一遇のチャンスやったんやね。
私がお家元を殺したって?ハハハハハッ…。
証拠があるのか?あるなら見せてくれ!お家元から通告されていた破門…。
白鳥葵がすべて打ち明けたんえ。
それでもとぼける気?夢でも見てたんじゃないのかな?彼女…妄想癖があるんですよ。
お家元のことはお忘れになることですね…。
私が14代目になった暁にはあなたを引きあげてやりましょう。
一日も早くお忘れになることです。
もしもし三上です。
ご無沙汰いたしております
(君蝶)ウチは三上数馬の目を盗んでカプセル錠を手にいれたんどす。
そして…。
〜常備薬の中身をトリカブトの粉末にすり替えて翌日もう一度三上を訪ねてピルケースに戻した。
お家元のニトロを遠ざけた男にはふさわしい最期だってわけか…。
三上殺しのこの真相をただ1人だけ見抜いていたのが…。
葵さんね?あの琵琶湖のホテルの祝賀パーティーの日…。
葵:君蝶さん…どうかご心配なく。
あなたのことは誰にも言わないわよ。
(葵)だからわたくしのことは見逃して。
わたくしまだまだ死にたくないもの。
でもね…本心はあなたに感謝したいくらい!感謝…?よくぞやってくれたって…。
(葵)わたくしを裏切った天罰が下ったのよ!
(葵)そりゃ家元夫人の座には魅力があったわ。
そのためには冨士子さんのことは見て見ぬ振りをしてればいいかとも…。
でもね…思い知ったのよ。
嫉妬心というものがどんなものなのか…。
嫉妬心…。
打算のため欲望のため…頭の中ではそう言い聞かせてもどうしようもないのよ!この胸がね…引きちぎられて張り裂けそうになるの!
(君蝶)家元夫人の座を得たいがために恋人の裏切りにも目をつぶろうとし…。
そやけど彼女の心の内には愛憎が渦巻いていた。
自分だけは助かりたいという保身の一念…。
そしてあわよくばこのウチを利用して仕返しをしてやりたい!葵:君蝶さん…こうなったらあなたの復讐に協力するわよ。
あなたを警察に売ったりはしない。
三上さんのことも誰にも言わない。
その代わり…。
もう1人あなたに…。
誰だかおわかりでしょう?
(君蝶)彼女は…。
冨士子さん!アンタを殺してほしいと…。
…わたくしを!?お家元の命を見殺しにしておいて今度はウチのことをとことん利用しようと…。
ようもそんなことが…許せへん!
(呻き声)〜ほどけた葵の帯を締め直した…。
無意識のうちに関西締めにしちまったんだな。

(君蝶)永遠に逃げのびようやなんて…。
そやけど今は捕まるわけにはいきまへん。
お家元の復讐は終わってまへんから。

(冨士子)手を差し延べずに私があの人を…死の淵に追いやってしまった。
三上:奥様…
(冨士子)なぜ手を差し延べなかったか…。
三上:お家元〜!
(葵)お家元!君蝶あなたには…私のこの胸の中はわからないでしょうね。
この20年間がどんなものだったか…。
家元の心はあなたに移ってしまった。
私はただのお飾り。
愛のない生活にどれだけ傷つけられてきたか…。
心が冷えて氷のかたまりのよう…。
あなたを何度呪い殺してやりたいと思ったか…。
そのうえ…あなたの娘を直弟子に迎えていずれは後継者にしたいとまで…。
どこまで踏みつけにするつもり!?どこまで苦しめるつもり!?私のこの胸の中は…悲鳴をあげていたのよ!〜冨士子さん君蝶さんあなたたちの溝は埋めようがないかもしれないけれどあなたたちに共通するものがひとつだけあるわ。
踊り。
芸の道よ。
明日はお家元追善舞踊の会。
お家元から松代流の心をたたきこまれたお二人のご自分の気持を踊りに秘めて舞台の上で火花を散らすの。
もう一度見せて…いつかのあの舞台のように。
〜千草ちゃん…誰よりもあなたに見てもらいたかったのよ。
〜今日のお母さんの踊りしっかり胸に受けとめてあげてね。
〜千草ちゃん…あなたこれから血のにじむような習練の毎日が待ってるわ。
でもそれを乗り越えて松代流を受け継いでほしい。
お家元直系のあなたに。
あなたしかいないのよ。
小春さん…。
〜美しさと儚さ…お家元の父から教えてもらった松代の心を私それを…それを受け継いでいけたら…。
〜できる…あなたならできるわ。
〜2014/12/17(水) 13:00〜15:00
テレビ大阪1
午後のサスペンス「芸者小春姐さんスペシャル奮闘記4・乱れ桜殺人事件」[字]

向島の老舗料亭の女将・小春が事件解決に奔走する人気シリーズ第4弾。

詳細情報
番組内容
小春の日舞の師匠、松代流十三代目家元・輝正が心筋梗塞で死亡した。薬を携帯していたことを知る小春は疑問を抱く。通夜の席には、正妻の冨士子の元を愛人の君蝶が弔問に訪れ波紋を呼んだ。やがて、冨士子と家元の実弟の間に後継争いの動きが起こるが、告別式の慰労会で冨士子が推す次期家元候補が毒殺され…。
出演者
神無月小春…十朱幸代
冨士子…藤真利子
君蝶…姿晴香
笈川虎松…石倉三郎
千草…前田亜季
福豆…渋谷琴乃
染子…越智静香
安藤日出子…大島蓉子
白鳥葵…濱田万葉
野崎警部…でんでん  ほか
原作脚本
【脚本】峯尾 基三
監督・演出
【監督】関本 郁夫

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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