いやーっ!いやーっ!おい。
(悲鳴)
(間村龍雄)…こんちは。
(間村の奇声)
(間村の奇声)
(奇声)
(本宮桐子)棟居さん!
(棟居弘一良)よう!ごめんなさい。
遅くなって。
いや。
久しぶり。
結婚?…ええ。
したいってその人が。
とっても誠実で真面目な人なの。
まだ知り合って間もないんだけどあんまり積極的で…。
銀行員でね近々シンガポール支店へ移るんですって。
だからそれまでに返事をくれって…。
…行こうか。
それで?えっ?それで俺は何を言えばいい?君の人生は君が決めろ。
俺はこういう試され方は嫌いだ。
試すなんて!私そんなつもりじゃありません。
このごろちっとも会えないからいつも忙しそうにしてるからずっと話もしてなかったからいろんな話がたまって私はただこんなこともあったって…。
私…喜んで来たのに…。
30分しかないけどそれでも会ってくれるっていうから…。
今お話ししてた角谷さんです。
棟居さん。
(角谷律雄)はじめまして。
角谷と申します。
ああ棟居です。
よろしく。
ごめん。
早く来すぎちゃって。
ううん。
後で紹介するつもりだったんです。
ぜひ会いたいって言われて。
突然勝手なお願いで申し訳ありません。
棟居さんのことはいつもうかがっています。
お会いできて光栄です。
こちらこそ。
もうお聞き及びかもしれませんが僕は今桐子さんにプロポーズしています。
(角谷)本気で愛しています。
陰でコソコソやるのは嫌いなので棟居さんにこんな男だと知ってもらいたくてご挨拶にあがりました。
どうぞよろしくお願いいたします。
それであの…もしご迷惑でなかったらこれからお食事ご一緒させていただきたいのですが。
せっかくですがまだ仕事中なもので。
失礼します。
じゃあ食事に行きましょうか。
はい。
「本気で愛してます」か…。
誠実で一流銀行勤めでシンガポールですよ?俺なんかよりよっぽど…。
(江波戸刑事)棟居。
わかってたんですよ。
最初からこうなることはね。
俺たちはお互いあいつのこれがある限りいくら惚れたってね…。
お前は桐子さんが死んだカミさんにそっくりだということを言ってんのか?…そうですよエバさん。
俺たちの間にはね春枝があるんですよ。
いつまでも春枝のイメージがついてまわっちゃうんだ。
棟居。
今でも俺は死んだ春枝に未練があるんじゃないのか本当に桐子に惚れてるのかどっちが好きなのかわからなくなってくる。
いつの間にか桐子に会うのを避けるようになるんです。
甘ったれるな。
顔のせいじゃない。
お前がずるいだけだ。
オヤジさんまたね。
(店主)どうも。
ごちそうさん。
(店主)まいど。
ごめん!ドジっちゃって。
棟居さん怒らせちゃった?ちゃんと挨拶しようと思ってたのになんか緊張しちゃって自分でもなに言ってるんだか訳わかんなくなっちゃって…。
いいのよ。
あの人とはどうせこうなる関係だったんだから…。
運命…かな。
(ウェイター)失礼いたします。
これを。
えっ?あちらのお客さまから。
誰かしら…?うん…。
(スパナの落ちる音)ねえ何あれ?
(悲鳴)
(パトカーのサイレン)遅くなりました。
死後3日から4日。
ここを後ろからぶん殴られてる。
(吉本刑事)ポケットは空。
身元を示すものは何も所持しておりません。
(増成刑事)埋め方は浅く荒っぽいものでしたが昨日のような大雨さえなかったらホトケさんがこんなふうに現れることはなかったと思います。
薬指がない…。
切り口はそれほどキレイではありません。
慣れない者が力まかせにたたっ切ったって感じです。
何のために薬指を…。
少なくともヤクザのエンコ詰めではなさそうだ。
奴らなら左の小指から詰める。
となると指輪ということか。
ええ。
我々もそう話していたところです。
結婚指輪とか婚約指輪なら男でも普通この指なんです。
それが抜けなかったとしたら…。
棟居。
どうした?いえ…。
何でもありません。
勘違いでした。
(増成)解剖所見によると死因は後頭部外傷に伴う脳挫傷。
凶器は鉄棒状の鈍器で後ろから殴打しています。
死亡推定日時は3月18日夜から19日早朝。
3〜4日前ということになります。
年齢は20代後半から30代半ば。
血液型はAB型。
薬物の服用は認められません。
以上です。
なぜ犯人は左薬指を切断したかこれは素直に指輪だと考えるべきでしょう。
ホシにとって指輪を残しておくことは不都合だから。
そこで抜こうとしたがどうしても抜けないので指ごと切断した。
(石井刑事)エンゲージリングとか結婚指輪の類。
となれば犯人像はおのずと絞られてきます。
すなわちこのホシは被害者のごく身近にいる者。
妻あるいは婚約者恋人といった可能性が大ではないかと。
とするとこのホシは女だということですか?
(吉本)ええ。
でなければ指輪の説明がつきません。
《奴はあそこで何をしていたんだ…》《まさか…桐子を》仮にホシを女だとすれば死体の埋め方が浅くずさんであった点その場所が近くまで車を乗り入れられる人気ハイキングコースの近くであった点など疑問点の説明がつきます。
それはどうかな?女だと決めつけるのは飛びすぎだ。
この段階で短絡的な絞り込みは危険すぎます。
どこが短絡ですか?ご説明願います。
ひとつガイシャが指輪をしていたという確証がない。
ふたつ仮に指輪だとしてだなぜ指輪を取らなければならなかったんだ?それが高価な物だとしてもガイシャの身元を示す物だとしても残しておいてどんな不都合がある?指を切ることでかえって注目させるんじゃないのか?みっつ用心のためならばなぜ指紋はつぶさなかった?顔は?歯は?靴や服やベルトは?
(ドアの閉まる音)なんだアイツ?まるで犯人を女にしたくないみたいだな。
《やっぱり奴は桐子を…。
しかしなぜ…?》
(パトカーのサイレン)
(管理人)私テレビで見ていてあんまり似顔絵が似てるんで…。
それに古田さんのポストここんとこ新聞がたまってたし。
あらまあ誰が…!
(江波戸)やられたなこれは。
犯人だ。
ホトケさんから奪った鍵で忍び込んだ。
そしてアシのつきそうな物はすべて処分した。
エバさん。
ポストにたまっていた新聞は19日以降のものです。
18日までのはあっちにあります。
やっぱり犯行は18日夜から19日未明にかけてということだな。
《18日…。
あの日だ》古田さんの職業は何です?
(管理人)さあ…。
自分じゃセールスマンだって言ってましたけどね。
なんだかブラブラしてたみたいで…。
家族とか訪ねて来る人は?わかりません。
何年か前に奥さんと別れたとか言ってましたけどね。
・笠原先生。
(笠原弓子)はい。
今校長のところに警察の人が来て先生にお目にかかりたいって。
笠原先生をお連れしました。
お仕事中お呼び立てしまして。
警視庁の江波戸と申します。
こちら…。
あなたは…。
その節は…。
本当にどうもありがとうございました。
なんだ君ら知り合いか?以前山で…。
私足をくじいてしまって動けなくなってるところを助けていただいたんです。
手当までしていただいて…。
私あのときうっかりしてお名前もうかがわずに…。
いや当然なことをしたまでです。
捜査一課の棟居弘一良と申します。
2年生を教えています笠原弓子です。
なんだか妙な具合になっちまったがまあどうぞ。
(江波戸)笠原先生。
今日うかがいましたのは実はあまりいい話ではないんです。
(弓子)はい存じております。
えっ?古田のことはテレビで…。
それならなぜ警察に?…後でお知らせするつもりでした。
…いえ本当は過去とはもう関わり合いたくなかったんです。
別れたご主人のことですか。
はい…。
あんなふうに殺されてもですか?もうずっと長い間無関係でしたからお役に立てるようなことは何もないと思います。
生徒が待ってますのでこれで失礼いたします。
すみません。
こんなときにお誘いして。
なんだかあれで別れるのは惜しい気がしたもので。
嘘。
お仕事なんでしょ?本当は。
…わかっちゃいます?やっぱり。
でもいいんです。
山でのお礼もさせていただきたかったしそれに誰かには聞いてほしかったんです。
ずーっと長い間ここにたまってること…。
すみません。
この机はくっつけていいんですか?はいお願いします。
それにクロスお願いできますか?ごめんなさい。
もうちょっと待ってて。
ううん。
全然気にしないで。
働く君を見てるの好きなんだ。
(館長)桐子さん!館長。
桐子さん!大変な方がおみえになりましたわ!新民党幹事長の芳賀憲明先生!
(芳賀)やあやあ!本宮桐子先生!!評判を聞いて拝見させていただきに来ましたよ。
わざわざありがとうございます。
実は私もねここ数年来下手の横好きでちょっとやっておりましてな。
ふーむ。
さすがにプロは違う。
噂に違わぬ立派な作ばかりだ。
私も実は桐子先生の大ファンでして毎日のように日参してやっとうちで開かせていただくことを承知していただいたんですのよ。
なるほど!
(芳賀明彦)先生。
(芳賀)うん?あっこれはどうも失礼。
紹介しよう。
私の秘書で息子の明彦です。
秘書の芳賀明彦です。
お近づきになれて光栄です。
はじめまして。
本宮桐子です。
こちら角谷律雄さんです。
はじめまして。
角谷と申します。
よろしくお願いします。
いえこちらこそお見知りおきください。
恋愛結婚でした。
男の子が生まれて峰雄と名づけました。
3つのとき親子三人で海へ行きました。
そこで峰雄は私たちの不注意から波にさらわれて…おぼれて死にました。
古田は殺したのはお前だと言って毎日私を責め続けました。
暴力を振るって…。
そのうちに会社も辞めて私のお金を持ち出しては飲み歩くようになったんです。
子どもが死んでしまったから荒れてるんだって最初はそう思ってました。
…でも違ったんです。
古田はときどき香水の匂いをさせて帰ってくるようになったんです。
(古田純一)〔俺はな初恋の女にやっと再会したんだよ〕〔俺がお前なんかに本気で惚れてると思ってたのか?〕〔お前なんかな代用品なんだよ代用品!〕離婚しました…。
棟居さんと山でお会いしたあのときは私ひとりだけの離婚記念のつもりの山登りだったんです。
彼は指輪をする人でしたか?いいえ。
そういうのは嫌いな人でした。
すみません。
なんかこんな話ばっかりで。
いいえ。
どうぞ何でも訊いてください。
先ほどの話の彼の初恋の人というのは?わかりません…。
でもひとつだけ気になることがあったんです。
すみません。
この子が…。
峰雄です…。
この子お骨になったとき軽くて小っちゃくて…貝がらみたいで…。
それがとてもかわいそうでした。
貝がらみたいに…。
わかります。
実は僕も娘を…。
えっ?“さくら”といいました。
事故でした。
その事故で妻も…。
棟居さんも…。
あのこれ古田が残していったものなんです。
処分してしまおうかとも思ったんですけど…。
「K・M」…。
その中に写真が…。
古田の初恋の人ってもしかしたらその人じゃないかと思って…。
「K・M」…KIRIKOMOTOMIYA本宮桐子か…!「古田純一君へ」…。
あら…!嬉しい。
見に来てくださったの?知らなかったなあ。
こういうこともやってるんだ?うん。
ボランティアで。
こちらの館長さんから子どもたちの情操教育のためにぜひって頼まれて。
もうやってみたら子どもたちとても熱心でやりがいがあるの。
さあどうぞ。
今日は仕事で来たんだ。
えっ?例の八王子事件。
今あれをやってる。
ああ…。
大変ね。
古田純一という男が殺された。
山梨県出身29歳無職。
知ってんだろ?え?私が?なぜ?答えてくれ。
君は殺された古田純一を知ってるだろ?知らないわ。
そんな人全然。
知ってるわけないでしょ。
でもなぜ?どうして私にそんなこと訊くの?桐子。
もう一度訊く。
本当に知らないんだな?知りません。
棟居さん。
失礼です。
こんな場所にまでやってきてまるで私を容疑者か何かのように…!子どもたちが何だと思います…!理由をはっきり教えてください。
私がその人を知っているというどんな根拠があるんですか?館長…。
(館長)桐子先生!さあどうぞ。
(明彦)はい。
今日はお父さまの代理で芳賀明彦さんだけが。
さあどうぞ。
(小声で)桐子さん見初められたみたいよ。
どうも。
実は昨日この子ども教室のことを知って親父とも話し合ったんですがこういうすばらしい催しは区の単位ではなくて都のレベルにまで高めるべきだって。
ねえ桐子先生!すばらしいお話でしょ!!ええステキです。
それが実現できたら子どもたちのためにもとてもすばらしいと思います。
いやあそう言っていただけると嬉しいなあ。
桐子先生。
僕芳賀憲明の秘書として大いにお手伝いさせていただきますよ。
光栄です。
棟居さん。
こちら警察の方で棟居さんです。
警察の方?いや僕はただの見学者ですから。
こちら新民党幹事長の芳賀憲明先生のご子息で芳賀明彦先生。
次の選挙にお出になりますのよ。
いえそんなたいそうなものじゃありません。
今は単なる親父のカバン持ちですよ。
(館長)まあ明彦先生ご謙遜を。
じゃあ刑事さんこれで失礼します。
収穫はこれだけか?はい。
「K・M」…このK・Mが誰かということだな…。
そのことで古田の郷里まで行ってきたいんですが。
ああ山梨ならもう行ってるぞ。
はい?古田の身内はおばあちゃんがたった一人だった。
そのおばあちゃんが今朝方ホトケさんを引き取ってった。
吉本と石井がそれを送りがてらあっちへ飛んだ。
向こうの捜査なら奴らがやる。
だがなぜこれを山梨関係だと見る?古田の初恋の人が東京に出てきてからかもしれんぞ。
奥付を見てください。
1983年…15年前か。
古田が中学2年生のときになります。
なぜだ?なぜ彼女に近づいた?守るためだ。
お前から。
あの人まで古田の二の舞にはしたくない。
バカ言うな!あれはお前がやったんだろ!!角谷。
言いがかりはよせ。
俺はすべてを知ってるんだぞ。
芳賀きさま!彼女に…桐子さんに指一本でも触れてみろ!許さないぞ…!その言葉そっくりお返ししよう。
もし彼女に何かしたら俺が黙っていない。
いいな?
(古田の祖母)たった一人の孫に死なれましてな…。
わしも独りぼっちですわ…。
ろくに電話もかけてこない子だったで。
べつに変わりはないんですけどね…。
(小声で)この調子で訊きもしないことを30分も40分もしゃべり続けますよ。
それにボケも少し入ってます。
同じ話を何度も聞かされます。
ここからはもう何も出ません。
おばあちゃん。
立派なお庭ですねえ。
手入れも大変でしょう。
ちっとも手入れができんでのう。
あれ梅の木ですよね?どれどれ?ああそうじゃそうじゃ。
おばあちゃん。
純一君この人連れてきたことありませんか?わしゃあ目が悪いでようわからんわ。
純一の友達の写真だったらうちにも何枚か…。
あったような気がするがなあ…。
あああったぞ!これは子どものころの写真じゃな。
見せてください。
お願いしますよ。
こっからはもう何も出ないんじゃなかったのか?さっきの写真何なんですか?
(クラクション)すみません。
お待たせして。
カード会社をしらみつぶしにしたら古田がカードを持っていたことがわかりました。
それで?使用明細を取り寄せました。
最後に使ったのが18日の夜赤坂のホテルのバーです。
すると古田はあそこのカウンターに一人で座っていた。
水割りを1杯飲んでカードで支払いここのテーブルに座っていたカップルの女性客にマティーニを1杯プレゼントして帰っていった。
はいそのとおりです。
でその女性客は?ホテルのバーの防犯ビデオをダビングしてもらったものです。
棟居さん…。
棟居さん。
今からお訪ねするつもりでした。
いったいどういうことですか?殺された古田という人のことは私見たことも聞いたこともないと言いました。
それなのになぜ調べ回ってるんですか!?館長のところにまで訊きに行くなんて本当に迷惑してます!いったいどういうことですか!桐子!…なぜ隠す?すぐバレるような嘘をなぜつくんだ?あなたまだそんなことを…!まだとぼけるのか!何をですか!これでもまだ知らないっていうのか?君は中学時代から古田のことを知ってるんだよ。
あの日古田は公園でも君のことをつけていた。
その後ホテルのバーで君にマティーニをおごって消えた。
古田が殺されたのはその後だ。
奴の初恋の人のイニシャルは「K・M」。
KIRIKOMOTOMIYA君のことだ!君はいったい何を知ってる?何を隠してるんだよ!?違う!誤解です!!何が誤解だ!奴とお前はどういう関係があったんだよ!!
(クラクション)桐子さん。
オヤジ酒。
棟居さん。
もうこのぐらいにしといた方がいいんじゃないですか?
(チャイムの音)棟居さん!?どうしたんですか!?棟居さん!棟居さん大丈夫ですか?はいお水。
いらない。
棟居さんお薬か何か…。
棟居さん!?棟居さん!棟居さんねえ棟居さん!すみません…!酔っちゃって…。
(江波戸)棟居。
内緒で隠し持ってる写真があるそうだな?出せ。
お前一人で抱え込むことはないんだ。
…預かっとく。
ところで棟居。
この吉本がついに古田の初恋の人「K・M」を突き止めてきたぞ。
あのおばあちゃんです。
棟居さんのやり方を見習って粘りに粘ってやっと名前を思い出してもらったんですよ。
増成。
(増成)はい。
森川今日子「K・M」。
古田の初恋の人はこの担任の先生だったんだよ。
(森川今日子)まあ懐かしいわ。
ではこれは?ええ。
私が昔学校を辞めるときに古田君にプレゼントした詩集です。
その古田さんが殺されたのはご存じですね?…ええ。
テレビで。
それじゃなぜ警察に?刑事さん。
私にだって見栄くらいありますよ。
15年前まで教職にあった者が「今は銀座のママです」なんて…。
それに何て言って行くんです?殺された古田は私の昔の教え子でしかもその後一時は同棲相手でしたなんてまるで魔性の女みたいじゃありませんか。
ではついでにその同棲についてうかがいますがどうぞ。
古田さんと一緒になったきっかけと別れたきっかけは何です?古田君捜し当てて来たのよ。
風の便りに私がここにいること聞いたらしくって。
当時彼奥さんの不注意で子ども亡くしたとかで荒れてたわ。
だからかわいそうになっちゃって。
あどうぞ。
でもダメだった。
なんだか古田君やたら暴力を振るうようになっちゃって。
追い出したのよだから。
手切れ金持たせて。
それはいつのことですか?えっと…4年前。
それっきり。
あとは知らないわ。
15年前先生をお辞めになった訳は?何かあったんですか?べつに…。
あなた刑事を辞めたくなったことは?誰にだってあるでしょ?急に嫌気がさしちゃうってこと。
ではこの2人についてうかがいます。
彼らの名前はわかりますか?さあ…何て子だったかしらねえ。
2人とも古田とは仲良し3人組だったけど。
先生。
忘れちゃいないでしょ?彼らもこの店に来てるんじゃないですか?ああ思い出したわ。
角谷君と芳賀君。
角谷君は今銀行員。
芳賀君は…。
ほらあの国会議員の芳賀憲明の一人息子よ。
(江波戸)棟居どうした?2人を知ってるのか?あらブランデーでもさしあげましょうか?…もう一つだけうかがいます。
エバさん写真を。
ここに写っているこの子はこの人でしょうか?あらキレイになったのねえ。
もともと彼女キレイな子だったけど。
ええそうよ。
この子前幡春枝ちゃんですよ。
前幡…?今何て…?あら何びっくりしてるのよ?この子前幡春枝って子ですよ。
お気の毒に春枝ちゃん殺されちゃったそうね…。
お嬢ちゃんも生まれて幸せな結婚してたのに…。
強盗に刺されちゃったとかで…。
棟居!じゃあ彼女は…!!春枝だったのか…!棟居!
(棟居の笑い)
(江波戸)棟居!桐子じゃなかった。
春枝だったんだ…!
(棟居の笑い)おい大丈夫か?…はい。
大丈夫です…。
…お前は死んだカミさんのことを忘れてた。
すっかり意識の外にあった。
進歩だ。
そう思うんだ。
お待たせしました。
(角谷)ええこれが僕です。
彼らとは6年前の同窓会以来誰とも会ってません。
古田が殺されたことはご存じですよね?はいテレビで。
なぜ届けなかったんです?…変に勘ぐられたくなかったんです。
それは警察にですか?それとも本宮桐子さんにですか?この人は前幡春枝さんですね。
ええ中学時代の同級生です。
この写真は6年前の同窓会で僕が撮った写真です。
彼女が殺されたのはご存じですね?ええ噂で。
この同窓会のすぐ後押し込み強盗にやられたとか…。
あなたその事件当時どちらにいました?僕は大阪支店勤務で…事件を知ったのはずっと後です。
では今年の3月18日…昼間僕と会ってあの夜はどうしてましたか?赤坂のホテルのバーで…。
あなたはそこに本宮桐子さんと2人でいた。
そこへ古田からマティーニが届いた。
あれってどういうメッセージだったんです?知りません…古田からだったことさえ知りませんでした。
でも古田は前からあなた方をつけてました。
なぜです?知りません。
こっちが聞きたいぐらいです。
バーを出た後どうしました?彼女と別れ家に帰りました。
そのあとは?朝まで家にいました。
それを証明できる人は?僕は一人暮らしです!棟居さん…これはアリバイ調べですか?前幡春枝古田純一…あなたが撮った写真の2人はどちらも殺されてるんです!犯人誰だと思いますか?棟居さん…なぜそんなこと僕に訊くんですか?僕は容疑者なんですか?…殺された前幡春枝は僕の妻でした。
角谷さん…あなた本宮桐子に強引に近づいてプロポーズした。
前幡春枝と顔がそっくりだったからですか?前幡春枝と今回の古田殺し…もしくは春枝とあなたとは一体どういうつながりがあるんですか?フフッ…なんだ…そうだったんですか。
棟居さん…あなた桐子に何を言ったんです?一昨日の晩夜道を1人で歩いてる桐子を見つけました。
かなり取り乱してた。
あんな桐子は見たことなかった。
訳を訊いても言わなかった。
僕の手を振りきるようにして逃げて行った。
彼女は家にも帰ってません。
携帯も切っています。
昨日から連絡が取れないんです。
きっとあなたが傷つけたんだ。
棟居さん…今僕に前幡春枝に似てるからプロポーズしたのかと訊きましたよね?…じゃああなたはどうなんです?そのことでこれまで何年彼女を苦しめてきたんですか!?無礼なことを訊きに来るなっ!!いやしくも芳賀明彦はこの芳賀憲明の一人息子で公式の第一秘書だ!明彦への容疑はこの芳賀憲明への容疑である!明彦への侮辱は私への侮辱だ!事と次第によってはしかるべき法的手段をとるぞ!待ってください。
棟居さんをお呼びしたのは僕なんです。
死んだ古田のことで知ってることお話ししようと思って…。
なんだそうだったのか…。
わしも少し早とちりしたようだ。
申し訳ありません。
こちらの説明不足で…。
いやいい。
棟居君…とかいったな。
はい。
これでも息子は近々政界進出を控えた大事な身でね微妙な時だ。
話が妙な具合にマスコミに流れたりせんようにしてくれよ。
角谷から呼び出された?でも彼はここ何年もあなた方と会ってないと…。
嘘です。
僕が桐子さんの「子ども教室」を訪ねたあの夜のことです。
角谷は僕に会うなりこう言いました。
「古田を殺したのはお前だろう」と…ナイフまで見せて。
ナイフまで…なぜ彼はそんなことを?カモフラージュだと思います。
そうやって先手を打つことで自分をシロだと思わせようと…。
…と言うとあなたは彼が犯人だと?
(ため息)親友のことこんなふうに言うのは嫌なんですが角谷は中学時代からずっと前幡春枝さんに執着してました。
6年前にはその春枝さんが殺された。
そして今角谷は春枝さんそっくりな桐子さんにプロポーズした。
そして古田が殺されました。
この3つのことは無関係でしょうか?なんだか今度は桐子さんが危険にさらされるような気がして…。
だから僕は彼女に近づいたんです。
角谷の魂胆がどこにあるにせよ僕の目が常に光っているんだということをわからせるために。
効果はあったと思います。
だから奴は僕を呼び出してあんなパフォーマンスをして見せたんだと…。
角谷さんがプロポーズしたことは誰から?古田です。
古田さん?ええ。
殺される前日に古田から電話がかかってきたんです。
「角谷が春枝ちゃんそっくりな女にプロポーズしている」「しゃくにさわるからいろいろと調べてやるつもりだ」と…。
なぜそんな大事なことを黙ってたんですか?あ…すみません。
関わり合いになるのが嫌で言えませんでした。
選挙が近いからですか?…僕にだって欲はあります。
一生親父のカバン持ちで終わりたくない。
政治家になるための計算をしてしまいました。
でも今は反省してます。
ですからお電話差し上げました。
どうぞ何でもお訊きください。
では…古田さんの死体にはこの指がなかったことはご存じですね?ええ新聞で…なんとも不思議な話ですね。
どうご覧になりました?さあ…?親父とは野犬にでも食いちぎられたんじゃないかと話してたんですが…。
野犬?ええ。
でなければタヌキとかイタチとか…。
手だけが出ていたんですよね?肉食性の動物が食いちぎったところへ人が来て逃げたんじゃないかと…。
なるほど…興味深いご指摘です。
さっそく調べさせましょう。
ところで銀座の「シェトワ」というクラブに行ったことは?「シェトワ」?森川先生のお店です。
ああ…あそこですか。
噂を聞いて1度か2度行った記憶があります。
森川先生と古田さんは一時期半同棲状態だったのはもちろんご存じですよね?おどろいたな…そんなことまで調べてるんですか。
「シェトワ」で古田さんに会ったことは?さあ…記憶ないですね?どうした?落ち込んでるみたいだな。
そんなことないですよ…。
ちょっと考えてたんです。
何を?…春枝は父親の仕事の関係で全国を転々としていて俺にもよくその話をしてくれました。
でも山梨にいたことは一度も口にしたことがないんです。
俺も知らなかった。
そうだったのか?棟居さんの推測どおりでした。
「シェトワ」の古株のホステスに角谷と芳賀の写真を見せたところ4〜5年前古田と3人で来たことがあったそうです。
(江波戸)そうか…。
しかしよくそんな昔のこと覚えてたもんだな。
ええ古田が中学時代の同級生だと紹介したそうで…。
それともう1つ彼女が覚えてた理由がありましてね。
何だと思います?
(江波戸)もったいつけずに言え!古田がね2人に指輪を見せびらかしてたんですよ。
「ママからもらったんだ」って言ってね。
古田が指輪をしていた?ええ2人が辟易していた様子がおかしかったので覚えてると。
ママからもらった指輪か。
それを今でもはめていたとしたら…。
やはりホシは指輪が抜けなくて指ごと切り落とした…とか。
とすると…ホシは誰だ?ママ本人です。
またはママをかばう何者かの犯行。
もしくはその逆です。
逆?ママを恨む者。
…例えば別れた妻の笠原弓子がママに疑いを向けさせるための逆トリックとしてわざとやった。
棟居。
お前はどう見る?もう少し考えさせてください。
…よし!念のため笠原弓子と森川今日子に監視をつけるよう手配してくれ。
(携帯電話の音)はいもしもし俺だ。
…なにィ!?森川今日子が殺されたぁ!?傷口撮っておいて。
(鑑識官)わかりました。
ホシはママが出勤するところを待ち伏せていたようですね。
犯人らしい者の姿を見た者はいません。
非常階段から逃走したようです。
左脇を後ろからひと突き。
左利きの犯行。
同じ手口だな…6年前の奥さんの事件と。
…ええ。
桐子さんの行方が気になってるのか?彼女にはひどいことをしてしまいました。
エバさん…俺はこのホシ挙げますよ。
ああ…挙げろ。
さんざんつらい思いをさせた桐子のためにこのホシ挙げます。
春枝と森川今日子それとあの3人組に共通してる時間は山梨にいた半年間だけです。
その半年間に何があったのか…。
俺山梨に行ってみます。
事件といっても当時はこの町ものどかなもので交通事故ぐらいしかなかったように思いますが。
すみません。
いえいえ…。
中学2年生が自転車で事故死…これは?えーと…。
札付きのワルで間村龍雄。
あだ名は「マムシの間村」。
大人のような体格でヤクザ顔負けの悪さをする奴でした。
下り坂をスピードの出しすぎでコケたんですわ。
事件性がないってことであまり騒ぎにもなりませんでした。
評判のワルが死んでくれて大方の人間が内心ホッとしたというのが本当のところでしょう。
その少年がヤクザ顔負けのワルだと?何もかもですわ!傷害強請りたかりレイプ…。
ええ…当時は手当たり次第という噂がありました。
近所の奥さんだとか行きずりのOLだとか。
もうみんな泣き寝入りですわ。
当時の…事件を担当した警察官は?ああ。
有馬さんという駐在さんだったんですがもうだいぶ前に定年退職して山奥へ引きこもってますわ。
行ってみますか?ええ。
棟居さん…!いろいろ誤解してすまなかった。
いいえ…。
私もあなたと同じことを考えてこちらの新聞社を回って調べました。
そしたらこの松の木坂で起きた15年前の事件に最後まで疑いを持ったまま退職していった駐在さんがいたことがわかって。
そうだったのか…。
(有馬)自転車はここに倒れておった!被害者は…あ…ここだな。
みんな単なる事故だと言ったがワシのこの目で見て1つだけ不自然な点があった。
…わかるかね?この前輪の妙な歪みですか?いやー…そのとおり!この前輪の歪みは強い衝撃で何かこう…横棒状のものにぶつかったことを示している。
これはもう新しくなってるが当時のガードレールのここにはこすれたような跡があった。
向こうの止水栓にもな…。
このフェンスは当時はなかったがこの止水栓のハンドルにも向こうと同じ筋状の跡がついてた。
太い針金かなんかの跡だ。
誰かが番線を固定したんだ。
ここから向こうのガードレールまで。
ガイシャの間村龍雄ってガキは毎晩8時ごろパチンコ屋を出て缶ビールを飲みながら自転車とばしてこの坂道をフルスピードで降りてくるのが日課だった。
ところがその日はここに番線が張られていた。
有馬さんはそれを誰の仕業だと?事件直後この辺りから逃げていく人影を見た者がいる。
なにしろガイシャは札付きの悪ガキだったから恨んでる者はゴマンといた。
調べてみたらある3人組が浮かんできた。
3人組?ああ同級生の3人だ。
番線というやつはこういう所に固定するのは素人じゃ難しい。
だがその中の1人は番線の扱いに慣れた建築屋のせがれだった。
あとの2人はいつもガイシャに金をたかられていた生徒としょっちゅう小突かれたりひどい目に遭わされていた自転車屋のせがれだった。
その3人組とは…角谷律雄芳賀明彦古田純一の3人じゃありませんか?そのとおりだ!そこまでわかってて…警察はどうして動かなかったんですか!?圧力がかかった…。
上に呼ばれて「これは事故だ!お前の言ってることは単なる妄想にすぎん」と言われて泣く泣く手を引いたよ。
その後間もなく定年になった。
その圧力は?地元出身の国会議員芳賀憲明!この明彦の父親だ。
事件は実質的にそこで終わった。
あれから15年…今年で時効が成立する。
ハー…!春枝は山梨にいたときのことを何ひとつ俺には話さなかった…。
ここに来てその訳がやっとわかったよ。
3人組は春枝に代わって間村龍雄に復讐したんだと思う。
私は有馬さんをお宅までお送りしますから…。
有馬さんありがとうございます。
お宅までお送りします。
15年前に山梨で起きたある事件が今度のことにつながっています。
古田たちは…。
棟居さん。
古田の話はもういいんです。
すみません…。
この間の晩…。
あの晩は大変だったんですよ〜!桐子桐子ってうわごとみたいに何度も名前呼び続けて。
僕がそんなことを…?「お前なんか消えちまえ!」って怒鳴ったかと思ったらまたすぐ大いびき。
お恥ずかしい…全然覚えてない。
私妬けちゃました。
その桐子さんって方…棟居さんにそんなに愛されてるなんて…。
いや…彼女とはもう終わったんです。
…嘘。
自分の心には嘘ついてる。
私ね…私…棟居さんとなら人生やり直せるんじゃないかと本気で考えた瞬間があるんです。
棟居さんは感情は表に出さないけど本当はとても優しくて人の心の痛みがわかる方だ。
この人とだったら…なんて勝手に考えてたりしたんです。
…ご心配なく!この間の晩でそんな考えは消えました。
それに私東京を離れることにしたんです。
どちらに?高知。
私の故郷です。
私の友達のいる私立中学で欠員が出たから帰ってこないかという話があって…。
そうですか…。
いつまでも過去に縛られてないで新しくやり直さなくっちゃって思ってたからちょうどいい機会だと思って。
それは…寂しくなります。
フフッ…。
言葉だけでも嬉しいです。
ありがとうございます。
あ…いや…。
それに…一瞬だけでも夢を見させていただいたことも…。
新事実だ!古田はどうやら強請り屋のようなことをやっていたらしい。
古田のカードの引き落とし口座を詳しく洗い出したらわかった。
不特定多数からの振り込みがある。
そのすべてが匿名だ。
もしかしたら角谷も芳賀も古田に強請られていたのかもしれん。
もし古田の強請りが15年前の事件がらみのものだったとしたら十分に古田殺しの動機になります。
ああ角谷には結婚問題芳賀には初出馬が控えてるからな。
5人のうち3人までが殺された…残るは角谷律雄と芳賀明彦…。
すべては15年前の事件に端を発している。
そして…春枝さんがそこに関わっている。
とすれば…6年前春枝さんと娘さんを殺した犯人もこの2人のうちのどちらかである可能性は極めて高いと思う。
ええ…俺もそう思います。
あなたの故郷に行ってきました。
有馬さんという元お巡りさんから松の木坂で何があったのか聞きました。
事件の直後3つの人影が逃げ出すのを見た人がいるという話…。
仲良し3人組の話…。
その中の1人の父親の圧力で事件は事故扱いのまま終わったという話…。
どうなんですか角谷さん。
この話は本当なんですか?しばらく…時間がほしい。
ご苦労さまです。
2人は?出ました。
今裏の森を歩いてます。
(携帯電話の音)はい棟居。
すみません芳賀明彦に逃げられました。
タクシーに乗ったところ途中まで追ったんですが信号に邪魔されて…。
奴はそっち方面へ向かってます。
わかった頭に入れておく。
あ…エバさんに至急手配を頼んでおいてくれ。
芳賀に逃げられた。
奴はこっちへ来るかもしれんと言ってる。
しかしなぜここへ…?とにかくエバさん待っててくれ。
わかりました!あそこです。
角谷は店を出る前彼女を待たせてどこかへ電話を入れてました。
もう1つ訊きたいことがあります。
私にそっくりな前幡春枝さんのことです。
好きだったんでしょ?だから私にプロポーズした…。
…前幡春枝は僕らみんなのあこがれだった。
その彼女に悪いことをした奴がいるんだ。
だから僕らはそいつに制裁を加えたんだ…。
何度も言おうと思った。
でも刑務所には入りたくなかった…。
もうすぐ時効になる。
その後で告白しようと思っていた。
でも…6年前彼女を殺したのは僕じゃない。
古田を殺したのも森川先生を殺したのもみんな1人がやったことなんだ!芳賀は?捕まらん。
しかしこっちに向かってることは確かだ。
エバさん。
今ここへ芳賀が来る。
さっき電話で呼んだんだ。
奴が来ればすべてがわかる…。
3人を殺したのが誰だかわかる。
(明彦)桐子さん!そいつの言うことを信じちゃダメだ!そいつはナイフを持ってる!明彦止まれっ!!角谷ーっ!!桐子さん逃げろーっ!!やめろーっ!!芳賀明彦!殺人未遂の現行犯で逮捕する!僕は何もしていない!桐子さんを助けようとしただけだ!連行しろ。
…後悔するなよ!一体どういうつもりだっ!!殺人未遂の現行犯などと…!せがれの話を聞けば明らかにその本宮桐子さんという女性を守ろうとしてとった行動だ!法的に言えば緊急避難!もっと言えば正当防衛に当たるんじゃないのかね!えっ!?おい棟居とかいったな…クビを洗って待っとれ!それにだ…君らは昨日せがれの車まで押さえている!いわれのない容疑だっ!!江波戸君その結果はどうだったのかね?はい…何も出ませんでした。
(芳賀)棟居君はどうだったんだ!?せがれの車のトランクから血の跡でも出たのかね?いえ…塵ひとつありませんでした。
フンッ!これが本庁きっての名刑事たちか!それなりの処分は覚悟しておくんだな!・
(ノックの音)おお…明彦!ひどい目に遭ったなあ…!さあ帰ろう。
棟居君…。
君を見損なったよ。
(芳賀)さっ行こう。
誠に申し訳ありません!江波戸君後で俺のところへ報告に来い!奴は角谷がナイフを持っていたことを知ってたんです。
だからわざと挑発して角谷にナイフを抜かせ正当防衛に見せかけて角谷を殺す気だったんだ。
棟居…だが証拠がない。
逆にナイフを持っていた角谷は決定的に不利だ。
…いつから芳賀明彦を疑っていた?芳賀に呼ばれて会った日です。
奴は古田が森川今日子からもらった指輪をしていたことを知りながら「野犬か何かに食いちぎられたんじゃないか」と言った。
普通指輪をしていたことがわかっていればその指輪のために犯人が指を切ったと見るのが自然です。
それなのに奴はその可能性さえ考えなかった。
つまり奴は指を切ったのが犯人じゃないということを知っていたのです。
それを知り得るのは犯人しかいないはずです。
それにあいつは左利きです。
…だが何の証拠もない!お前の言ってることはすべて推測だ!私角谷さんを信じます。
…15年前のことはわかりません。
でもあなたの奥さん…春枝さんを殺したのも古田という人を殺したのも銀座のママを殺したのも角谷さんではありません。
私にはわかります。
ですから彼を…角谷律雄さんを助けてあげてください。
ごめんなさい…それだけを言いたくて来ました。
わかった…俺も同じ考えだ。
3件の殺人についての角谷律雄君の無実は俺が証明して見せるよ。
ありがとう…。
…桐子!俺は君に本当にひどいことをしてきた。
…すまない。
6年前のホシを挙げないと俺は一歩も前へ進めないんだ。
それで春枝とのことは決着をつける。
どうした?お前が奴さんと同じ型の車を用意させたと聞いて来てみたんだが。
ええ…考えてみたんですが結局この解決は車以外にないような気がして…。
うん…。
で何かわかったのか?いや…それが…。
俺この中に入ってみますから閉めてもらえませんか?はい閉めてください。
待ってください。
どうした?こいつ…。
死体を放り込んだとき…指がこうなっていたとしたら?ちょっと閉めてみてください。
いくぞ…。
これですよエバさん…!おかしい…ないぞエンピツの先が…。
飛んだのかな…?このとおりだとしても指はどっか行っちまっただろうな。
さあどうぞ。
なんだお前ら!まだしつこくやってるのか!?きさまら…!
(明彦)いいじゃありませんか。
彼ら今日は令状まで持ってきてますよ。
最後の賭けに出たんでしょう。
よほどクビになりたいらしい。
開けてください。
もし何も出なかったら俺もお前もおしまいだぞ。
覚悟してますよ。
3日後芳賀明彦はすべてを自供した
古田は私が選挙に出ることを知って強請りに来たんです。
1億円出さなければあのことをバラすと。
だから…。
〔ウッ…!!〕あのとき指があんなふうに切断されていたなんてまったく気がつきませんでした。
ママを殺したのは?先生と古田は同棲していた仲です。
古田からあのことを聞いて知っているかもしれない。
警察の手がもう先生まで伸びていることを知ったら…気が気ではなくなったんです。
〔…芳賀君!〕〔ちょっと何…!?何するの!?〕〔ウッ…!〕「あのこと」というのは15年前に3人でやった不良少年殺しだな?6年前この棟居のカミさん…棟居春枝さんとさくらちゃんをなぜ殺した?同窓会で中学校以来初めて春枝さんに会って住所を聞いて遊びに行ったんです。
春枝さんはいろいろとよくしてくれた…。
そのうちたまらなくなって…。
(棟居春枝)〔キャッ…!〕〔何するのよっ!?〕〔芳賀さん!私には夫も子どももいるのよ!?〕〔その旦那と子どもは…君の昔の秘密を知ってるのかな?〕〔見たんだよ…体育館のとび箱の陰で君はマムシの龍雄に犯されてた…〕〔黙っててやるよ。
だから…!〕〔昔から君のことが好きだったんだよ…!〕〔言うことを聞いたっていいはずだ!〕〔君のために俺たちは人殺しまでしてるんだぞ!?〕〔龍雄の奴にちゃんと落とし前つけてやったんだ!〕〔嘘…!?〕〔嘘じゃない。
角谷と古田と3人でやったんだ〕〔事故に見せかけて殺した…君の仇をとってやったんだ〕〔なあ…だから…!〕〔帰って…!!私の夫は警視庁の警部補なのよ!!〕〔今に子どもも帰ってくるわ!帰って!夫に言いつけるわよ!!〕〔そんなことしたら全部バラしてやる…!〕〔どうぞやってご覧なさい!!…私は夫を信じています!〕〔こんなことで壊れるような私たちじゃないわ!〕〔今の話警察に…いえ…夫に言うわよ!?〕〔それからあなたのお父さまにもね!〕〔待て…!今の話は全部嘘だ。
龍雄は事故で死んだだけだ!〕〔俺たちが殺したわけじゃない…!〕
(荒い息づかい)それで…なぜ?帰ったらどんどん心配になってきた。
春枝さんがもし本当に警察に言ったら…もし親父に知られたら…。
だから…あの晩留守中に忍び込んで…。
〔ウッ…!〕
(さくら)〔お母さん!!〕〔さくら!!来ちゃダメっ!!〕棟居…もうよせ。
こうして私の長い闘いは終わった…
そこの物しまい終わったら一度降りちゃってください。
これ…。
気に入らなかったら…捨てちゃっていい。
棟居さん…。
棟居さん…!棟居さん!捨てちゃっていいなんて言わずに…ちゃんとください。
これ…受け取ってほしい。
2014/12/17(水) 14:00〜15:51
ABCテレビ1
森村誠一の棟居刑事[再][字]
棟居刑事の複合遺恨妻と娘を殺害した犯人との対決!時効直前の男を殺した容疑が、愛する恋人に…
詳細情報
◇出演者
佐藤浩市、水野真紀、川上麻衣子、梨本謙次郎、尾美としのり ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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日本語
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