謎解きはディナーのあとで #10−1 2014.12.17


です。

(麗子)影山あなたが犯人だったの?
(麗子)あなたは昨日この家に侵入し剣持留美を殺害した。
そしてその罪を宮地沙織に押し付けようとした。
ここで彼女を殺して全てを終わらせるつもりだったの?
(麗子)答えなさい影山。
あなたは何者なの?いったい何が目的だったのよ。
(影山のため息)
(影山)お嬢さま私執事という仕事をしておりましてこれほどまでにむなしい思いをしたことはございません。
むなしい?何を言ってるのよ。
失礼ながらお嬢さま。
お嬢さまはどアホでございますか?《今何が起きた?》《どういうこと?このシリアスな場面で毒舌?》《何なの?何なのよこの影山って男は》クビよクビ。
絶対クビ!ていうかタイホよ。
影山あなたをタイホしてやる。
ほほう私を逮捕されると。
ええ私は現職の刑事としてあなたを見逃すわけにはいかないわ。
して容疑は?殺人の現行犯よ。
なるほどお嬢さまは私が宮地沙織さんを殺害した。
そのように考えてらっしゃるのでございますね。
当然でしょ。
ではその証拠は?その手に持っている血に染まったナイフが一番の証拠よ。
これはキッチンに置いてあった物を私がとっさに持っただけでございます。
よくご覧いただければナイフの刃には血が付いていないのがお分かりになるかと。
ならその包帯の血はどう説明するのよ。
私は自分の推理のどこが間違っていたのかを確認するため再び天道家にお邪魔させていただいたのでございますがそこで宮地沙織さんを発見したのです。
そして生死を確かめる際に包帯に血が。
そこに何者かが忍び寄ってきました故とっさにその場にあったナイフを。
こうして私が血に染まった右手でナイフを握っているという状況が生まれたわけでございます。
そんな言い訳は通用しないわ。
ナイフの血を拭き取れば済むことじゃない。
ではお嬢さまこれはどうでしょう。
現場の状況から見て宮地沙織さんはビールを楽しんでいたところを殺害されたものと推測されます。
しかしどうでしょうこのピルスナーグラスには泡が1つも残っておりません。
これではせっかくのビールの風味が台無しでございますよ。
何が言いたいのよ。
つまり宮地沙織さんが殺害されてからビールの泡が全てなくなるくらいの時間がたっていることは明白でございます。
それで?すなわち犯行時刻は最低でも10分以上は前ということでございましょう。
さてそのとき私はどこにおりましたか?リムジンの前で私を見送っていたわね。
はいこれすなわちお嬢さまは私のアリバイの証人ということでございますよね。
バカにしないでよ影山。
そんなの炭酸が抜けたビールを用意しておけばいいだけのことじゃない。
あなたならそのくらいの準備をしていてもおかしくはないわ。
それに影山あなた昨日の夜この家に侵入していたみたいね。
侵入?目撃情報があるのよ。
昨日剣持留美が殺害された直後あなたがこの家の中をのぞいて何かを捜していたって。
あなた今日言ってたわよねこの家の付近で落とし物をしたって。
あれは剣持留美を殺害した際逃げる途中に何か証拠となる物を落としてしまって慌ててたんじゃないの?それにその包帯よ。
あなたは剣持留美を殺害する際ケガをした。
だからけさ気まずそうにその手を私から隠した。
いえそれは。
ごまかさないでちゃんと説明しなさい。
申し訳ございませんお嬢さま。
私お嬢さまに1つだけ隠し事をしておりました。
しかし。
こうなってはやはり正直にお話しするしかないようでございますね。
包み隠さず全てを打ち明けます。
《し〜》実は昨夜天道家の隣の球場で野球の真剣勝負をしたのでございます。
はっ?相手は近所のケーキ屋ノエルのご主人。
以前お店に伺った際「こう見えても俺は有名なスラッガーだったんだぜ」などとおっしゃるものですから長年野球をたしなんできた私といたしましてもベースボールプレーヤーとしての闘争心を抑えることができずついに昨夜1打席のみの決戦を。
だから留守だったの?はい男同士の果たし合い故お嬢さまにも秘匿とさせていただいたのです。
でどうだったのよ。
《しゃらでございます!》《ふりゃ!》私の完敗でございました。
《んあっあっ》まさかこれでケガして手に包帯を?悔しさのあまりつい力が。
《痛い》この悔しさを一生忘れないためにと私は敗戦の記念ボールを捜しました。
そのため天道家のお庭をのぞいていたのでございます。
じゃあの目撃情報はそのときの。
そして今日お嬢さまが捜査をしている最中ついにこのボールを発見したのでございます。
これが昨夜から今日にかけての私の怪しげな行動の真相でございます。
お嬢さまに余計な心配をさせてしまい申し訳ございませんでした。
平にお許しを。
ふ〜ん。
じゃ後でそのケーキ屋のご主人に裏をとっておくわ。
そうしていただければ。
影山私の目は節穴じゃなくってよ。
今後はくれぐれも勝手な行動は慎むように。
はい。
(風祭)どうしたんだい宝生君。
あっ警部。
(風祭)あっ君は確か。
第一発見者です。
何。
これは。
宮地沙織さんです亡くなっています。
またX。
はいはいはいはいはいはいはいはい。
まさに急転直下の展開だね。
クリスマス前にとんだプレゼントが届いたようだ。
君にはじっくりと聞きたいことがある。
署までご同行願おうか。
殺人容疑で逮捕する。
警部。
君に聞きたいことは1つだけだ。
その後ショウレイさんとはどうなってる。
君はショウレイさんのフィアンセだと言っていたね。
それは結婚を前提ということなのか?このまま黙っているつもりなのかい?さていつまで黙っていられるかな。
教えなければ。
教えなければ。
熱っ熱〜!・熱ーい!何?何なの?いいだろう。
そっちがその気ならこっちにも考えがある。
取引だ。
ショウレイさんの情報を提供すれば今すぐ君を解放しよう。
これは超法規的な司法取引だ。
強情だな。
ではこれはどうだ。
特別に風祭モータースの車をプレゼントとして付けよう。
ハァ口の堅い男だ。
まああしたのクリスマスイブまでにはまだ時間がある。
取りあえずカツ丼でもどうだい?カツ丼でございますか?ほほう。
取調室でカツ丼。
ああ取調室でカツ丼。
誰もが人生で一度は経験してみたいスペシャルディナーだ。
存分に楽しみたまえ。
その代わり教えてくれるね?ショウレイさんのことを。
カツ丼だよカツ丼。
さあ。
う〜ん。
さあ。
黙秘いたします。
ジーザスクライスツ。
(警察官)5分だけです。
あっ旦那さま。
(清太郎)影山君元気そうで何より。
あっご無沙汰しております。
どうされたのでございますか?こんな所に。
麗子から連絡があってね。
出られるよう話はつけてきた。
明日中には帰れるはずだ。
旦那さま自らご尽力いただくとはどうお礼を申し上げたらよろしいのか。
なに宝生グループの力をもってすれば造作もないこと。
そうじゃなかったかな?影山君。
あっ恐れ入ります。
どうだね麗子は。
興味深いお人でございます。
わがままで天真らんまん。
しかしながらあれほど純粋な方を私は他に知りません。
(くしゃみ)
(清太郎)やはり君に任せてよかったようだな。
麗子は少しだけ大人になったようだ。
前は好き放題のわがまま娘だったというのに。
まあ私はあのままわがままでも構わなかったんだけどね。
何しろ麗子はカワイイから。
あっ。
あっところで影山君。
1つだけどうしても君に伝えておかなければならないことがあるんだ。
とおっしゃいますと。
実は麗子には秘密がある。
秘密?
(清太郎)ああ決して本人に知られてはならない重大なる秘密が。
何と。
結局自分は何にもしてないし。
(いびき)
(宗森)おはようございます警部。
(江尻)朝食をお持ちしました。
うん。
うん。
ハァはいこの事件で大きな教訓を1つ得たよ。
(山繁)何でしょう警部。
この季節にオープンカーで寝ると寒い。
そりゃそうだ。
んっ?どこ行くんだい宝生君。
いったん署に戻って着替えてきます。
おはよう影山。
これはお嬢さま。
おはようございます。
影山今日はクリスマスイブね。
さようでございますね。
そういえばあなた今夜は予定が入ってるんじゃなかったっけ。
はい。
すてきな夜になるといいわね。
ってあらいけない。
ろう屋の中じゃクリスマスイブも楽しめないわね。
本当に残念だったわね。
お嬢さまお顔が喜びに満ちあふれておりますが。
ではごきげんよう。
そのうち出られるんじゃなくって?お嬢さま。
もしかしたら徹夜でございますか?何よもしかして顔が疲れてるとか化粧のりが悪いとか言いたいわけ?いいえ。
くれぐれもお体にはお気を付けください。
そんなの分かってるわよ。
しかしまさか同じダイイングメッセージとはね。
はい。
つまり連続殺人。
この現場を見てどう思う?宝生君。
宮地沙織は倒れる瞬間テーブルの上に置いてあったケーキを床に落とした。
そしてそのクリームを使って死の間際にダイイングメッセージを残した。
そんなことは君に言われなくったって分かってるよ。
問題は2人の被害者が同じダイイングメッセージを残したという事実さ。
同じということは。
はい犯人は同一人物である可能性が極めて高い。
そして同じ犯行を繰り返す可能性もね。
何しろ5人のミステリー作家たちが集められたんだ。
残るは3人。
このままだとさらなる犠牲者が出る。
警部早く止めないと。
しかし僕は寝不足のお疲れちゃんだよ。
なかなか頭が働かナッスィン。
(並木)昨夜警部が寝ている間に確認しましたが死亡推定時刻は深夜0時前後です。
(山繁)警部が寝ている間に確認しましたがナイフのような刃物で腹部を刺されていました。
警部が寝ている間に確認しましたが他の作家3人そして佐藤さん米子さん里美さんは犯行時刻全員部屋にいました。
アリバイはありません。
うんつまり君たちは僕だけ寝ていたことを恨んでいるね。
(3人)別に。
ハァさすがに徹夜の捜査は疲れたわ。
ちょっと誰か。
ちょっと誰かいるでしょ。
もう影山がいないんだから誰か私の面倒ちゃんと見なさいよ。
お待たせいたしましたお嬢さま。
ターキーの焼き加減に細かい注文を出しておりました故返事が遅れてしまいました。
お許しを。
さすがお父さま。
はい旦那さまにご尽力いただいたおかげで先ほど釈放と相なりました。
あっそれよりお嬢さまいったい何を召し上がってるのでございますか?見れば分かるでしょサラダよ。
これがサラダでございますか。
そうよ私が盛り付けた麗子お嬢さまの気まぐれサラダよ。
お嬢さま少々気まぐれが過ぎるかと。
そんなの私の勝手でしょ。
そんなことより今夜は予定があったんじゃなかったの?ああそれなら遅れると伝えました。
遅れる?そんなの相手に失礼でしょ。
大丈夫でございますきちんと事情を話しました故。
どうもこちらのことが気になってしまいこのままでは逆に相手に失礼かと。
影山。
やはり私には放っておくことができませんでした。
あの事件の謎を。
ってそっちかい。
してお嬢さま捜査のその後の進展状況は?ホントにあなたって人は。
それがね全然進まないのよ。
ダイイングメッセージのXの謎が解けたって警部が言いだしてまず作家3人を集めたの。
(川又)《まさか宮地まで殺されるとは》
(立花)《いったいどうなってんだよ》
(国岡)《このままだとわれわれも》《ご安心ください》《僕には犯人の姿がはっきりと見えています》
(立花)《何でだよ》《ダイイングメッセージの意味が分かったんですよ》
(川又)《またあのXか》《であのXの意味は?》《違うよ宝生君あれはXではないのさ》
(国岡)《Xではない?》
(立花)《どういうことだ》《あれはアルファベットじゃなくて数字なのです。
すなわちローマ数字のテン》
(3人)《で?》《警部ローマ数字の10だとして何が分かるのですか?》
(国岡)《また思い付きで言っただけか》《あんたふざけんのもいいかげんにしろ》
(川又)《こっちはねいつ殺されるか分からないんだよ》《そんなこと僕に言われても困りますな》《警部》
(国岡)《もうあんたに任せてはいられない。
こうなったら私たちが考える》《俺たちで解くんだXの謎を》《殺される前に犯人を見つけないと》《しかし一般の方が捜査に参加されるという…》《いいや》《考えてみたらこんなに頼もしい味方はいない》《昨日の敵は今日の友。
一緒に考えよう》《何だかおかしなことになってきた》そのころ私は同居人となった方が明確なる凶暴性を醸し出されておりましたのでとにかく波風立てないようにと。
おつとめご苦労さまです。
こっちはそれからミステリー作家3人と風祭警部でダイイングメッセージの解読会議が続いていたのよ。
《はいはいはいはい》《どうした白スーツ》《何か気が付いたのか?》《ええ今度こそ完璧です》《まあどうせ肩透かしだろうが》《皆さんあれはXではない》《そしてローマ数字のテンでもない》《ばつ印だったのです》《だからどうした白スーツ》《どうせまたその場の思い付きで言ってるだけでフッその先はないんだろうが》《いいえこれこそ犯人につながる決定的証拠》《ばつが1つで?バツイチ》《つまり犯人はバツイチなんです》《フフフフフフフ》《何がおかしいんだよ白スーツ》《いよいよクライマックスです》《昨日の友は今日の敵》《さあこの中にいるバツイチの犯人をあぶり出しましょうか》《立花さんは?》《バツイチ》《川又さんは》《バツイチ》《国岡さんは?》《バツイチ》《皆さんご苦労されてますな》《感心してどうするんですか》そのころ私はキャッチボールによって徐々に怖そうな方とも打ち解け始めやはり野球は人と人とをつなぐ素晴らしいスポーツであると再認識していたのですがそこでふとわれに返ったのです。
いつまでも過去の挫折にとらわれていてはいけないと。
《どうした》《よかったらこのボールもらっていただけませんか?》《何かあんちゃんには深〜い事情があるみてえだな》《分かったよもらってやるよ》《ありがとうございます》こうして私は敗戦の呪縛からボールと自分を解放したのです。
何のこっちゃ。
こっちは警部が佐藤武雄と田口米子にもバツイチかどうか確かめるって言って。
《失礼ですが佐藤さんと米子さんに離婚歴は?》
(佐藤)《はっ?》
(米子)《何でそんなことを?》《これも捜査の一環ですお答えください》
(佐藤)《うちは普通の4人家族ですけど》《では米子さんは》
(米子)《未婚です》《いい人が見つかるといいですね》《警部》
(里美)《あっすいません》《まだお話の途中でしたか》《どうしましたか?》
(里美)《クリスマスケーキを食べようかなって》《でしたら私たちは》《ああお気になさらずご一緒にどうでしょう》《宝生君せっかくだからいただこう》《僕は食べたい》《警部》《ずいぶんシンプルなクリスマスケーキですね》《まあうちはだいたい専属のパティシエが新鮮なフルーツたっぷりと》《警部》《そういえば》《ケーキって2つあったんですか?》
(米子)《ケーキが2つ?》《あっあれは》
(沙織)《これお土産ね》
(米子)《1つは宮地先生のお土産で》
(里美)《米子さんこれことしのクリスマスケーキ》
(米子)《もう一つは昨日の夕方里美ちゃんが買ってきたケーキです》《里美ちゃんが毎年行ってる近所のお店で宮地先生も買われてきたみたいでそれで同じクリスマスケーキが2つに》《へえ里美さんが》《近所のケーキ屋さんってもしかしてノエル?》《そうです》《毎年クリスマスケーキは里美ちゃんが自分のお小遣いで買ってきてくれるんですよ》《お小遣いで》《そういえばあのばつ印の意味って何だか分かったんですか?》《えっ?》《あっあのダイイングメッセージのこと?》《あれはまだ捜査中よ》《そうですか》
(佐藤)《ありがとうございます》
(佐藤)《じゃいただきましょうか》《里美さんいただきます》
(里美)《どうぞ》《何か》《そのパンダもしよかったら僕に》《警部》《佐藤さんどうですか?》《ええおいしいです》で結局そのまま今日の捜査は終了したってわけ。
なるほどそういうことでございましたか。
何分かったようなこと言っちゃってるのよ。
昨日は推理を外したくせに。
確かに私真実を見誤っておりました。
じゃ何?今度は真犯人が分かったっていうの?はい。
誰よ。
そのためには少々説明が必要となります。
そしてこよいは特別な夜。
おいしそう。
謎解きはクリスマスディナーの後にいたしましょう。
私この後所用がございます故こよいは速やかなる謎解きで事件をひもといてゆこうと思いますが。
よろしいでしょうか。
大切な人を待たせてるんですものね。
まず最初に申し上げておきますが今回起きた2つの殺人事件は同一犯による犯行ではございません。
違うの?最初の事件は昨日私が見立てたとおり宮地沙織が文学賞や恋人を奪われた恨みから剣持留美を殺害したものです。
じゃ最初の殺人事件の犯人は結局宮地沙織だったっていうのね?はい犯人は合っておりました。
しかしそこに至る推理が間違っていたのでございます。
そこに至る推理?黒インクで書かれたXでございます。
私は母親の天道静子先生をかばうために娘の里美さんがカムフラージュとして書いたのだろうと推理しましたが本当はあのXを書いたのは佐藤武雄だったのです。
佐藤武雄?はい彼がそのようなことをした理由については今お話ししてもご理解いただけないかと思われますので後ほど説明させていただきます。
故に今はある理由でとだけ申し上げておきましょう。
ある理由?そのある理由に気付けなかったことが私が推理を間違った原因でもございました。
さらに私は2階に投げ込まれたトロフィーについても推理を誤っておりました。
何が違ったのよ。
あれは母親をかばうために娘の里美さんがやったことだと推理しましたが本当は里美さんが佐藤武雄をかばうためにやったことだったのでございます。
佐藤のため?はい。
朝方里美さんは剣持留美さんの遺体を見つけます。
そして同じくある理由から彼女はその犯人が佐藤武雄だと思ってしまった。
そこで佐藤武雄を容疑者から外すためにトロフィーを2階に投げ入れたのでございます。
待ってどうしてトロフィーを2階に投げ込んだら佐藤武雄が容疑者から外れるのよ。
昨日も申し上げましたとおり犯人は2階までトロフィーを投げる能力を持っている人物である。
つまり投げられない人物は容疑者ではなくなるからでございます。
でも佐藤武雄は2階にトロフィーを投げられるんじゃない?だってピッチャーだったって。
しかし佐藤武雄は肩を壊してしまいました。
《中学か高校のときに肩を壊しませんでしたか?》《ええ高校のときに。
それで野球はやめました》あなたバカね肩を壊したからってトロフィーくらい投げられるでしょ。
そんなことも分からないの?さすがお嬢さま。
佐藤武雄の言う肩を壊したとは剛速球が投げられなくなっただけでトロフィーくらいは投げられるということが分かってらっしゃるんでございますね。
当然でしょ。
しかしながらお嬢さま果たして小学校から音大付属でピアノ一筋スポーツに疎い13歳の少女が肩を壊したという言葉の意味を正しく理解できたのでしょうか。
里美さんは肩を壊した佐藤武雄が重いトロフィーを投げることなんてできないと思っていた。
そしてけなげな少女は必死に考え2階にトロフィーを投げ込めば佐藤武雄を容疑者から外すことができると思い付いたのです。
ところが。
《男性の皆さんは全員投げることが可能でしょう》《特に肩を壊したとはいえ僕と同じ西東京リーグの最優秀投手に選ばれた佐藤さんにはね》佐藤武雄はトロフィーを投げることができると分かった。
故にあのとき里美さんは倒れてしまったというわけでございます。
まあある理由っていうのが引っ掛かるけど一応筋は通ってるわね。
じゃ2つ目の殺人は?宮地沙織殺害事件を読み解くのであれば注目すべきはXという文字自体ではなくXという文字がケーキのクリームによって書かれていたという点でございます。
ケーキのクリーム?それはたまたま手元にあったから使っただけでしょ。
いいえお嬢さま思い出してみてください。
宮地沙織の手には血が付着しておりました。
ならばその血でダイイングメッセージを書けばいいまで。
わざわざクリームを使う必要などなかったはずでございます。
この場合あのXは宮地沙織ではなく他の何者かが意図的にケーキのクリームを使って書いたとみる方が賢明でございましょう。
また被害者ではない誰かが書いたっていうの?はい昨日も申し上げたとおりダイイングメッセージというものは誠に信用ならないものでございます。
何しろ後から自由自在に偽造できるのでございますから。
じゃもう推理にならないじゃない。
いいえケーキのクリームを使ったことによってこれを書いた人物は重大な証拠を残してしまったのです。
証拠?それは書き順でございます。
書き順。
よくご覧くださいお嬢さま。
この2つの線が交差する部分をよく見るとどちらの線が先に引かれたのかが分かるようになっております。
ホントだ。
お嬢さまXの書き順はご存じでございますか?バカにしないでよ。
左上から右下が先でしょ。
さすがお嬢さましかしこのXは右上から左下の線が先に書かれております。
そうね。
つまりこのダイイングメッセージを偽装した人間はXとは違う書き順でこれを書いたのでございます。
どういうこと?おそらく書いた人間にとってこれはXではなくばつだったのではないかと思われます。
ばつ?ばつという記号には正しい書き順はございません。
右上から書く方も大勢いらっしゃいます。
確かに右上から書くかも。
とするならばこのダイイングメッセージを書いた人物はすぐに思い当たるはずでございます。
これをXではなくばつだと思ったのは誰でしょうか。
《そういえばあのばつ印の意味って何だか分かったんですか?》里美さん?はい。
じゃ里美さんが犯人だっていうの?いいえ里美さんは体力精神力動機全てにおいて今回の殺人事件に最も縁遠い人物。
仮に彼女が犯人であるならばあんな小細工は必要ないかと。
じゃどうして里美さんは偽のダイイングメッセージなんかを書いたのよ。
おそらくばつ捜査側におけるXと書くことで誰かをかばおうとしたのではないかと。
かばう?Xと書かれたことによって警察は宮地沙織と剣持留美さんを殺害したのは同一犯であると考えたわけですよね。
ええだっておんなじXだったし。
それこそが里美さんの狙いでございます。
誰をかばったのよ。
第一の殺人ではアリバイがあった佐藤武雄です。
えっ?じゃ彼が宮地沙織を殺したってこと?はい。
うんホントにそうかしら。
とおっしゃいますと?だってもう1人重要な容疑者が残ってるじゃない。
重要な容疑者?天道静子よ。
天道静子先生?最初に倒れちゃったから捜査線上から消えていたけどよく考えたら怪しいわ。
動機だっていくらでも考えられる。
例えば仕事場にこもってプレッシャーと闘う日々の中で彼女はいつか後輩の作家たちに追い抜かれるのではないかと恐怖を感じていた。
だから急成長しているミステリー作家たちに殺意を抱いたのよ。
ではつまり。
そう招待状を送って作家たちを集めたのは天道静子だったってこと。
そして彼女は剣持留美さんと宮地沙織を次々に殺害した。
そう考えれば里美さんが犯人をかばったのも納得がいくわ。
だって天道静子は実の母親なんですもの。
やっぱり天道静子が犯人だったのよ。
あれ?影山もしかしてあなた昨日に引き続き今日もやっちゃった?ウフどうやらあなたの推理を私が超えちゃったみたいね。
あら聖夜の奇跡に驚いて言葉も出ないのかしら。
でもこれは奇跡じゃなくて私の実力なの。
お嬢さま。
何?影山。
どうぞお座りください。
この3カ月間。
私が心を鬼にして毒を吐き続けてきたのはまったくの無駄だったということでございますね。
へっ?失礼ながらお嬢さま。
お嬢さまの目はやはり節穴でございましたか。
お嬢さまの推理力はやはりずぶの素人以下でございましたか。
そこまでレベルが低いというのであれば私本気で「ウケる」でございます。
何?何なの?もはや毒舌というより単なる悪口?言葉の暴力?あり得ない執事である前に人としてあり得ない。
オニよオニ。
そうか分かったあなた逮捕される前に私に責められたこと恨んでるんでしょ。
いいえ恨んでおりません。
恨んでる絶対恨んでる。
だからただ悪口言ってすっきりしたかったんでしょ。
恨んでなどおりません。
ホントに?人のピンチにつけ込むからでございますよ。
それが恨んでるっつうの。
お嬢さまの推理は間違っております。
何でそう言い切れるのよ。
それはここで申し上げても納得していただけないかと。
またそうやってごまかして。
でしたら直接お話を伺うのはいかがでしょうか。
天道静子先生ご自身に。
影山車。
かしこまりました。
どういうことだ。
もう1人タキシードの男がいたろう。
どこ行った。
出てったよさっき。
いったいどうやって。
それは?タキシードからもらった。
没収。
でもこれは。
没収。
影山。
あっちょっと影山。
お嬢さま確かに天道静子先生を犯人と見立てた先ほどの推理は至極まっとう。
筋もきちんと通っておりました。
何よいまさら。
ただしそこには1つだけ大きな思い違いが存在するのでございます。
思い違い?佐藤武雄は宮地沙織をなぜ殺害したのか。
そしてなぜ里美さんは佐藤武雄をかばったのか。
今回の連続殺人が起きた要因は全て天道家が隠し続けてきた秘密にあるのでございます。
秘密?これでございます。
えっ?どういうこと?天道先生は?お嬢さまこれが佐藤武雄と里美さんを突き動かしていたある理由の正体でございます。
すなわちそもそも今回の事件において天道静子先生なる人物は存在しなかったのです。
えっ?おそらく天道静子先生は10年ほど前に亡くなっているものかと。
何を言ってるの?いろんな人が天道静子を見ているし私だって直接天道静子に会って話をしたのよ。
それに天道静子は10年以上本を出し続けているの。
いないわけがないじゃない。
10年ほど前から天道先生の作風ががらりと変わったことは私も感じておりました。
しかしまさか違う人間が書いていようとは夢にも思っておりませんでした。
違う人間が?誰が書いたのよ。
それができたのは佐藤武雄だけでございましょう。
彼は長年編集者として天道先生と共に作品を作り続けてきた経験を生かして天道静子を名乗り自らの作品を出版していた。
そして彼女がいないという事実を1人で必死に隠してきた。
どうしても天道静子の作品を売り続けなければならない理由がそこにあったからでございます。
まさかそんな。
私も信じられませんでした。
天道静子先生は存在しない。
その事実に気付けなかったことが今回推理を間違える原因となってしまったのでございます。
この事件は剣持留美さんを殺害しようと企てた宮地沙織が天道先生の名をかたってミステリー作家を天道家に集めたことから始まりました。
佐藤武雄は驚いたはずです。
何しろ天道静子先生はこの世に存在しないのですから。
誰が何の目的でこんなことをしたのか。
彼はやって来た5人に注意を払っていたはずです。
そのため誰よりも早く剣持留美さんの遺体を発見した。
驚いた佐藤武雄は慌てて通報しようとしたことでしょう。
しかし警察の捜査が始まれば天道静子先生がいないという事実も公となってしまう。
そこで彼はあるアイデアを思い付きます。
留美さんの遺体を天道静子先生に変装させリビングに置いたのです。
こうすれば天道先生が実在すると印象づけることができ同時に面会謝絶の状態をつくることができるからです。
2014/12/17(水) 14:57〜15:53
関西テレビ1
謎解きはディナーのあとで #10−1[再][字]

「聖夜に死者からの伝言をどうぞ…お嬢様、私の謎が解けますか? 前編」
櫻井翔 北川景子 椎名桔平 石黒賢 高橋英樹

詳細情報
番組内容
 ミステリー作家たちが集まる天道静子(高橋ひとみ)の家で、ついに起きてしまった2つ目の殺人事件。現場に佇んでいたのは、血染めのナイフを手にした影山(櫻井翔)だった。発見した宝生麗子(北川景子)は、影山を問いたださずにはいられない。なぜなら、影山こそ、最初に殺害された剣持留美(上原美佐)の時から、事件の背後に見え隠れしていた男だったのだ。そして、今回の宮地沙織(三浦理恵子)殺害に関しては、殺害直後と
番組内容2
思われるタイミングで凶器を持ち現場にいた……。問い詰める麗子に対し、ここでも影山は厳しい言葉で犯行を否定する。
 こんなシリアスな状況下においてまで暴言を吐く影山に思わず「クビ!」と「逮捕!」を連発する麗子。そこへ現れた風祭京一郎警部(椎名桔平)は、千載一遇のチャンスと影山を殺人容疑で逮捕、警察署に連行してしまう。
 連行された影山は、風祭の厳しい取り調べを受ける。「明日のクリスマスイブまでに
番組内容3
なんとしても真実を吐かせる!」と意気込む風祭の尋問にも、頑なに口をつぐむ影山は、ついに留置場に入れられてしまう。
 留置場の水でティータイムを楽しむ影山のもとに、高価なコートを着た大柄な男(高橋英樹)が近づいて来る。謎の男にいつにない敬意の表情を見せる影山。男は麗子の父、清太郎だった。そして清太郎は真剣な表情で影山に「実は…麗子には秘密がある」と、ある重大な隠し事を伝えたのだった……。
出演者
影山: 櫻井翔

宝生麗子: 北川景子

並木誠一: 野間口徹

山繁悟: 中村靖日

宗森あずみ: 岡本杏理

江尻由香: 田中こなつ

風祭京一郎: 椎名桔平
原作・脚本
【原作】
東川篤哉「謎解きはディナーのあとで」(小学館刊) 

【脚本】
黒岩勉
監督・演出
【演出】
石川淳一 

【プロデュース】
永井麗子
音楽
菅野祐悟

【主題歌】
嵐「迷宮ラブソング」

【オープニングテーマ】
倖田來未「Love Me Back」
制作
フジテレビ 

【制作著作】
共同テレビ

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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