心の声「曲がり角を曲がった先に何があるのかは分からないの」。
心の声「でもそれはきっと…」。
(空襲警報)心の声「きっと一番よいものに違いないと思うの」。
(空襲警報)うわ〜!昭和20年4月15日東京の夜空に100機を超えるB29が現れ大森の町も恐ろしい爆撃を受けました。
もしもこの夜たった一冊の原書が燃えてしまったら私たち永遠に出会えなかったかもしれません。
みんなが大好きなあの「赤毛のアン」に。
(美里)何?命よりも大切なもの。
この人は村岡花子といいます。
「赤毛のアン」を初めて日本語に訳した翻訳家です。
これは花子とアンが出会い日本中の人たちに夢と希望を送り届けるまでの物語。
・「これからはじまる」・「あなたの物語」・「ずっと長く道は続くよ」・「虹色の雨降り注げば」・「空は高鳴る」・「眩しい笑顔の奥に」・「悲しい音がする」・「寄りそって今があって」・「こんなにも愛おしい」・「手を繋げば温かいこと」・「嫌いになれば一人になってくこと」・「ひとつひとつがあなたになる」・「道は続くよ」・「風が運ぶ希望の種」・「光が夢のつぼみになる」花子こと安東はなです。
甲府の貧しい農家のうちに生まれました。
ええなあ…。
(武)突撃!はな!はなたれ!おまんちは小作で貧乏なもんで学校も行けんずら!
(一同)貧乏貧乏!はなたれ!貧乏!何とか言えし!はな!はなじゃねえ!おらの事は花子と呼んでくりょう。
(吉平)おまんたちに取って置きの土産があるだぞ。
土産?
(吉太郎)おとう何ずら?
(かよ)何ずら?
(吉平)これじゃ〜!
(ふじ)ほりゃあ何ずらか?絵本じゃ。
てっ!絵本?食うもんがよかった…。
誰が読むでえ?誰って…。
そうさな。
ここんちじゃ婿殿しか字ぃ読めんだからな。
てっ!本じゃん!本物の本じゃんけ。
おら初めて本に触った。
夢みてえじゃん。
はなは1年生ずら?学校で字は習っとらんのか?うちの手伝えが忙しくって学校にゃ一日も行っちゃあいん。
てっ!一日も?てっ…本じゃん。
はな〜。
おとう!この世にゃあこんなにうんと本があっただけ。
へえ〜!ここは大事な本ばっかしだから入ってきちゃ…。
はな!何でえ?東京の女学校へ行ったら大好きな本がなんぼうでも読めるだぞ。
本当?どこにあるでえ?ふんだから東京じゃ。
(汽笛)はなは僅か10歳でふるさとの甲府を旅立ちました。
エーゴ?グッドモーニング。
グッドアフタヌーン。
グッドイブニングじゃ。
何でえほれ。
何かの…呪文け?
(笑い声)英語の挨拶じゃ。
おとうもこれしか英語は知らんがこれさえ覚えとけば大丈夫。
なんとかなる。
朝はグッドモーニング。
グッドモーニング…。
はな着いたぞ。
ここじゃ。
てっ…。
修和女学校は明治時代の初めにカナダの宣教師によって作られたミッションスクールです。
生徒の多くは華族や富豪といった特権階級のご令嬢たちでしたがはなは吉平の奔走で特別に入学を許されたのでした。
学費免除の給費生として。
あの…今日っからこちらでお世話になる娘のはなです。
私は父親の…。
グッドアフタヌーン。
(茂木)失礼します。
し…失礼しやす。
(茂木)ここが今日からお友達と生活するお部屋です。
寄宿舎では予科本科高等科の生徒が一緒に暮らしていて少女から成人した生徒まで年齢はまちまちでした。
(3人)ごきげんよう。
ごき…?こちら高等科の白鳥かをる子さんと本科の一条高子さん。
こちらはあなたと同じ編入生の醍醐亜矢子さん。
大きい方たちがそれは親切にして下さいますわ。
大きい方?大きい方というのは目方の事ではなくここでは上級生は大きい方下級生は小さい人と呼ばれていました。
はなさん。
私のお友達になって下さらない?いいずら!おらこそ友達になってくれちゃ。
(白鳥)「ずら」?「おら」?「くれちゃ」?ちょっとお待ちになって。
今の言葉遣いは感心致しません。
言葉の乱れは精神の乱れです。
美しく正しい日本語を話せるように努力なさって下さい。
はい。
本じゃん。
本の部屋じゃんけ!これ全部読んでいいずらか!
(富山)「読んでもよろしいのですか?」と聞くものですよ。
もちろん読んでもいいのです。
ただし読めればですけど。
てっ!何でえこりゃ!修和女学校はとりわけ英語教育に力を入れておりブラックバーン校長が考案した50センテンスを基に厳しい授業が日々行われていました。
(ブラックバーン)MissAndo.グッド…グッドモーニング。
ふざけてるの?イタタ!離してくりょう!
(英語)「なぜ逃げるのですか」とお尋ねです。
英語がさっぱり分からんから…。
(英語)日本語を使ってはいけません。
おらただ好きな本が思いっきし読みたくてここへ来ただよ。
何でこんな目に遭わなくちゃ…。
もう勘弁してくりょう!「ゴートゥベッド」というのはブラックバーン校長の最大級のお仕置きです。
甲府の空まで飛んでいけたらな…。
はなは小さい頃から夢みる力を持っていました。
こうやって想像の翼を広げれば遠く離れた甲府まで飛んでいく事もできるのでした。
ふるさとには一生懸命働く家族たちの姿がありました。
(富山)2学期の総まとめの課題を出します。
読んで。
(一同)WritealettertoMissBlackburn.
(富山)日頃の感謝の気持ちを込めてブラックバーン校長に英語でお手紙を書きましょう。
(小声で)英語で?富山先生!はなは落第寸前でしたがなんとか課題を書き上げて提出しました。
一番点数が高かったのは…安東はなさんのお手紙です。
(一同)えっ!?
(英語)「親愛なるブラックバーン校長先生へ。
私がどれぐらい先生を愛しているかを申し上げるためにお便りしようと思います」。
(英語)「私は先生に永久にお仕えしようと思っております」。
(英語)
(富山)「あなたは大変美しい」。
(英語)
(富山)「あなたに出会ってからあなたを思わなかった日は一日もありません」。
(英語)
(富山)「私は一日中あなたの事を思っております」。
(英語)「親愛なるあなたへおやすみのキスを贈ります」。
(生徒たち)キス〜!?
(英語)スコット先生どうかなさいました?
(富山)「愛を込めて。
花子」。
スコット先生!スコット先生ごめんなさい!先生の部屋の掃除しててごみ箱に落ちてた紙っぺらを見たら英語が書えてあったからおらそれを丸写しにしちまったです。
落第したくなくてほのこんで頭がいっぺえでおらとんでもねえこんしちまった。
ごめんなさい!許してくりょうし!ごめんなさい!ごめんなさい!安東はなさん。
今の話は本当ですか?この度は娘がとんでもない事をしでかしてしまって本当に申し訳ありませんでした!このとおりでございます!はなは私のような学のない親のもとで小さい頃から働きづめでした。
本が大好きなのに学校にもろくに行かせてやれなくてでもここに入れて頂けて娘の進むべき道は大きく広がりました。
はなはうちの一家の希望の光なんです!ともった光をどうか消さないで下さい!お願えします!…と通訳して頂けますか?はっ?おとう。
もういいだよ。
おら退学になって当たり前だ。
はな…。
だけんどここを出てく前にスコット先生にちゃんと謝りてえだ。
英語がしゃべれたらどんなにいいかっておら布団の中でほればっかし考えてた。
富山先生。
はなさんの謝罪の気持ちをスコット先生に英語で伝えてやって下さい。
どうして私がこの子の通訳なんかしなきゃならないんですか。
お願えしやす!おらスコット先生の歌聴いてあんな嫌だった英語も初めて心に響いてきただ。
はな…。
ほれなのにひでえ事しちまって謝らんとどうしても甲府に帰れねえだよ!お願えしやす!Hana!SpeakEnglish.
(英語)
(富山)「ここにいたければ英語を学びなさい」。
(英語)
(富山)「そうすればあなたは強くなれます」。
はい!その日からはなは生まれ変わったように猛勉強を始めました。
スコット先生。
I’msorry.I’msorry.
(スコット)Hana.はなは15歳になりました。
修和女学校の本科へ進み英語が本当に好きになりました。
この単語何だろう?イタッ!イタタタタ!palpitation…palpitation…。
はあ〜…何だろう?はなさんまた廊下を走って「Gotobed」?ええ…。
あっ醍醐さん辞書を貸して下さらない?よくってよ。
どうぞ。
ありがとう。
(松平)私両親に縁談を勧められましたの。
(畠山)まあお相手はどんな方?お家柄は申し分ないけれどイノシシみたいな方。
あった!あった!palpitation…「ときめき」か〜!まあ出会いのときめき?ロマンスのときめき!いえこれは90歳のおじいさんのお話なので「動悸息切れ」と訳した方がよさそうです。
ねえはなさんはどんな時にときめくの?それは…こんなふうに辞書を引く時です。
はっ?未知の言葉の意味が明らかになる時のわくわくした気持ちがたまりません!ブラックバーン校長の取り計らいではなは5年ぶりにうちへ帰れる事になりました。
まさか…。
はなけ?ひょっとして朝市?ふ…本当にはなけ?はなではございません。
花子と呼んで下さい。
やっぱしはなだ。
てっ!てっ!てっ!
(もも)てっ!てっ!
(ふじ)さあどうぞ。
うわ〜!おいしそう!ほいじゃ頂きます。
(一同)頂きます。
うめえ〜!毎日華族のお嬢様たちと同じごちそう食ってたらほんなもん口に合わんら。
ううん!おかあのほうとうは日本一じゃん!無理しんでいい。
兄やん…。
ほりゃあはなは寄宿舎で肉だの卵だのぜいたくな食事させてもらっとるがほの分苦労して朝から晩まで勉強しとるんじゃ。
おらたちとはまるっきし違う世界の話じゃん。
長い間うちに帰らなかったからもう私の居場所なんてなくなっちまったみてえで…。
はなは何にも分かってねえ。
かよちゃんのこんも何も分かってねえじゃんけ。
かよがどうしたの?黙ってろって口止めされたけんど…。
教えて朝市。
かよちゃん…。
何?年明けたらすぐ製糸工場の女工になるだ。
女工…。
私に働き口を世話して下さい!お願いします!おまんは確か東京の女学校に行ったんじゃなかっただけ。
はい。
でも働き口があれば女学校はいつでもやめます。
てっ!本気け?地主様!何でもしますからお願いします!お願いします!女学校やめて働きてえって徳丸さんに頼みに行ったそうじゃんけ。
てっ!はい。
はな。
おら許せねえ。
女学校やめるなんて。
お姉やんがほんな簡単に勉強投げ出しちもうなんて…。
かよ。
情けなくって悔しくって力が抜けた。
何のために働きに出るだかおらまで分からんくなっただ。
(ふじ)はな。
みんな心ん中で応援してるだよ。
かよも吉太郎も。
東京の立派な学校で頑張ってるはなのこん思うと誇らしい気持ちになってみんな力が湧くだよ。
ここいらで惨めなこんがあってもおらたちにははなみてえな家族がいるっちゅうだけで勇気が出るだ。
ふんだけんどおらだって家族の役に立ちてえ。
みんなが苦労してるだにおらだけ勉強さしてもろうなんて…。
(吉太郎)分からんやつじゃ!はなが今やめたらおかあたちのこれまでの苦労が全部水の泡じゃんけ!兄やん!畑見てくる。
キチ!畑行くならおらも…。
地主さんに働き口なんかねえって断られただ。
畑ならおらも手伝えるから…。
さっさと東京帰っちめえ。
ここにいられても食いぶちが増えるだけずら。
(周造)キチ…。
キチ!な〜んだ。
地主さんに断られただけ…。
はな。
自分の手見てみろし。
ほの手はもう百姓の手じゃねえ。
ほの手は米を作るよりわしらが作れんもんを作るのに使えし。
みんなほう思っとるだ。
おじぃやん…。
春。
運命とも言える出会いがはなに訪れました。
ごきげんよう。
校長室はどこかしら。
ご案内します。
(ざわめき)
(綾小路)随分大人びてますね。
おいくつなんですか?24ですから同級生より8歳年上という事になりますね。
その年でなぜうちの学校へ?そういった事情はブラックバーン校長がご存じですから…。
白鳥かをる子様です。
卒業後は職員として学校に残り今もこのとおり幅を利かせていらっしゃいます。
開けなさい。
食事をみんなと一緒にしない不届き者がいると聞いて参りました。
あなたが…。
あなたは集団生活のルールというものをお分かりではないようなので私が教えてさしあげましょう。
食事は食堂で…。
今朝は食欲がないのでお食事は結構です。
ごきげんよう。
「ジュリエットに接吻する」。
「ほらあなたの唇のおかげで私の唇の罪が清められました」。
そこまでで結構です。
この先は割愛して次の章へ移ります。
待って下さい!ここはロミオとジュリエットが愛を確かめ合う大変重要な章だと思うんです。
授業の教材としてふさわしくないと言ってるんです。
さあ次へ進みますよ。
「やは肌のあつき血汐にふれも見でさびしからずや道を説く君」。
何ですかその歌は。
与謝野晶子です。
そんな事を聞いてるんじゃありません。
英語の授業中になぜ短歌なんか…。
なぜかしら?今のやり取りを聞いていたら急にこの歌が頭に浮かびましたの。
(富山)あなたまで授業の邪魔をするんですか?先生は男女の恋愛を汚らわしいものだと決めつけていらっしゃるようですね。
それはご自身の恋愛経験が乏しいからでは?あなたは教師を侮辱するんですか!いいえ。
客観的な感想を述べただけです。
(醍醐)はなさん。
英語の宿題を教えてほしいの。
あ…ごめんなさい。
今取り込んでて。
また葉山様のご用ですか?ええ。
部屋が寒くて風邪をひきそうなんですって。
いつから葉山様のメイドさんになったの?もう。
はなさんを独り占めにして。
そこへ。
このお部屋いい匂いがしますね。
懐かしい!ブドウ畑の匂いがする!「懐かしい」?私のうちは山梨の甲府でブドウ畑がたくさんあるんです。
秋になるとこの匂いでいっぱいになります。
これブドウを搾った滋養のお薬よ。
体が温まってよく眠れるの。
へえ〜!よろしかったらいかが?はい!どうぞ。
じゃあ頂きます。
おいしい!このお薬おいしいですね!もう一杯いかが?あっ頂きます!みんな起きろ〜!みんな!起きろ〜!お星様があんなにきれいですよ!早く止めないと先生たちが起きてしまうわ!あんなにきれいですよ…。
これはこれは!はながお薬だと思って飲んだのはブドウ酒だったのです。
当然の事ながら飲酒は最も重い校則違反です。
先生!はなさんはどうなるんでしょう?とりあえず謹慎中です。
「とりあえず」?修和女学校始まって以来の不祥事ですから退学は免れないでしょう。
退学!?葉山様。
はなさんが退学にならないように一緒に校長先生に掛け合って頂けませんか?お願いします!
(一同)お願いします!はなは意を決して葉山蓮子様の部屋に乗り込みました。
お話があります。
このまま私だけ退学になるなんてどうしても納得いかないんです。
中に入れて下さい。
「自分は真面目な給費生なのに退学の危機にひんしている。
全部あなたのせいだ。
『滋養の薬だ』とブドウ酒を飲ませたあなたのせいだ。
それならかばってくれるのが筋だろう」と私を糾弾しにいらしたんでしょう?そうです。
そこまでお分かりなら私をこの窮地から救って頂けませんか?お断りします。
そんな…。
私は止めました。
あなたが外に出て騒いだりするからあんな事になったんです。
回想もうそのくらいにしておいたら?え〜?もっと飲みましょうよ先輩。
「先輩」?・
(スコット)Mygirl,goodnight.あ〜!この声スコット…。
おっしゃるとおり調子に乗った私が一番悪いです。
でも…お酒だと知っていたら絶対口にしたりなんかしませんでした。
あの時私もブドウ酒を飲んでいたのに先生方に言いつけないんですね。
告げ口して何が変わるんですか?私それどころじゃないんです。
自分の事で精いっぱいなんです!もし本当に退学になんかなったらこれまで支えてくれた家族の苦労が全部水の泡になってしまうんです!家族を悲しませると思うと情けなくて…自分に腹が立って!家族はそんなに大切なもの?どうしてそんな事聞くんですか?離れていても家族はいつも私のここにいます。
みんなそうでしょう?はなはこの時まだ知りませんでした。
家族の愛情を知らない人もいるという事を。
回想
(葉山)この金はお前にやるから二度と家に戻ってくるな。
ここを追い出されたらお前の居場所はもうどこにもないんだからな。
ブラックバーン校長。
安東はなさんにお酒を飲ませたのは私です。
私が先に部屋でブドウ酒を飲んでいたのです。
そこへはなさんが来たので滋養のお薬だと言って勧めました。
何ですって?どうぞ私を退学させて下さい。
蓮子さん…。
以前あなたに事情を聞いた時「はなさんが勝手に飲んだ」と嘘をつきましたね。
今日本当の事を言いに来たのはなぜですか?別に理由などございません。
いずれにせよ私はもう退学になるんですからもういいじゃないですか。
蓮子さん。
もう我慢できません。
あなた何なんですかその態度は!
(ブラックバーン)AndoHana.Yes.
(ブラックバーン)HayamaRenko.ブラックバーン校長…。
2人とも退学にはなさらないって!ありがとうございます!
(英語)「神様はどんなに罪深い人間でも悔い改めればお許し下さる」とおっしゃっています。
(英語)「そして彼女のような生徒を救うのが修和女学校の使命だからです」。
(英語)「ただし…」。
(英語)「ここにいたければ条件があります」。
(英語)「集団生活のルールは守れますか」。
(英語)「今日から誰もあなたの事を特別扱いしません。
自分の事は全て自分ですること」。
(英語)「真摯な気持ちで勉学に励むこと」。
(英語)「食事はみんなと一緒に食堂でとること」。
(英語)「これまでの習慣を全て捨てて新しい自分に生まれ変わるのです」。
I’mtrustingyou.ブラックバーン校長は信じています。
(英語)「あなたはきっと変わる事ができる」。
(茂木)イエス・キリストの御名によってアーメン。
(一同)アーメン。
さあ頂きましょう。
(一同)頂きます。
いらっしゃらないわね。
(戸が開く音)珍しい方がいらしたわ。
一度も食堂にいらっしゃらなかったのにどういう風の吹き回しかしら。
茂木先生私が。
ありがとう。
何ですって?「ありがとう」?目上の私に向かってその言葉遣いは何ですか!「ありがとうございます」と言い直しなさい!いつもいつもそのような態度をとって…。
白鳥さん。
お席に戻りましょう。
あなたもそうですよ。
お世話係なんだからしっかりして下さい!白鳥さん。
頂きましょう。
はい…。
生まれも育ちもまるで違う2人がこの先生涯の腹心の友になろうとはまだ神様しかご存じありませんでした。
修和女学校では年に一度の大きなイベントが近づいておりました。
今年も大文学会が近づきました。
大文学会の進行役は私が務める事になりました!
(拍手)それで舞台の演目はもう決まったんですか?はい。
みんなで話し合ったのですが今年は「ロミオとジュリエット」をやりたいんです。
何ですって?台本は安東はなさんに翻訳と脚色をしてもらいます。
及ばずながら頑張ります。
(富山)いいえ。
私は反対です。
今年も「リア王」になさい。
このとおり台本もありますから。
去年と同じなんて嫌です!もう配役や衣装もみんなで相談してるんです。
富山先生やらせて下さい!
(一同)お願いします!「おお愛するジュリエット。
私はそなたが望むならいつでもモンタギューの名を捨てる覚悟はできている!」。
すごいわ醍醐さん。
もうセリフ全部覚えたの?葉山様は相変わらずいらっしゃらないわね。
稽古場に来て下さい。
皆さん一生懸命すぎて疲れちゃうんですもの。
蓮子さん無責任すぎます!どうしてですか?どうして舞台の主役なんか引き受けたんですか!ちゃんと説明して下さい。
蓮子さん!復讐したい人がいるの。
はなさん。
私の復讐につきあって下さらない?出来た〜!あ…。
回想徹夜で書き上げた脚本です。
私なりに脚色も加えました。
これを読んでやるかどうか決めて下さい。
「どうしてあなたはロミオなんでしょう?ロミオ・モンタギュー!あなたの家と私の家は…」。
あの衣装どうしたのかしら?やる気満々ですよ。
どうするのよ?どうするって…。
(ドアが開く音)何しに来たんですか?あなたはもうとっくに降りたはずでしょう。
私降りません。
絶対に。
蓮子さん…。
またそんな無責任な事おっしゃってこれ以上私たちを振り回さないで下さい!脚本最後まで読みました。
率直に感動致しました。
シェークスピアがこんなに面白かったなんて知らなかった。
あなたやっぱり翻訳力だけは大したものだわ。
蓮子さん…。
・
(醍醐)「おおいとしいジュリエット。
私はあの月に誓う!そなたへの永遠の愛を!ジュリエット。
しばしの別れだ」。
(富山)「ロミオ様それはなりませぬ。
満ち欠けを繰り返す月のごとくあなた様のお心も変わってしまうではありませぬか」。
富山先生。
そして大文学会本番の日がやってまいりました。
(葉山)ジュリエットだと?なぜ私がこの役をやりたかったか分かりますか?えっ?私もジュリエットのように家に縛られて不幸になったから。
兄が決めた人と無理やり結婚させられたの。
その時私はまだ14で右も左も分からなかった。
14歳…。
あなたと同じ16の時に子どもを産んだの。
でもその子も奪われて…。
もともと家の名を守るためだけに仕組まれた結婚だったの。
今の私は空っぽ。
生きていてもしょうがないの。
そんな…。
はなさんとは住む世界が違うの。
友達になんかなれっこないでしょう。
これ以上私に近づかないで。
嫌ですそんなの。
なぜだか分からないけどほっておけないんです蓮子さんの事。
(拍手)あなたは空っぽなんかじゃない。
・「おおジュリエット。
そなたこそ私の妻にふさわしい。
どうか私と結婚してくれ!」。
(拍手)「私が家に縛られている?ロミオ様何をおっしゃいますの?」。
「そなたには父上が決めたいいなずけのパリス公爵というお方がいるではないか!」。
「それは父が勝手に決めた事。
父が考えているのは私の事ではなくキャピュレットという家の事だけですわ」。
「私は…私は父の操り人形ではありません!」。
(醍醐)「だが…そなたとパリス公爵との婚礼の準備が進められてると聞くが…」。
回想私がここにいる事をおおっぴらにしてあの人たちが一番大事にしてる世間体をぶち壊してやりたいの。
「家に閉じ込められたまま生涯を送る事など私には耐えられません。
それよりは家の名前などない天上の国でロミオ様と2人永遠の愛を手にしとうございます」。
「ロミオ様…」。
(拍手)醍醐様のロミオ様本当にすてきでしたわ!私のお姉様になって下さい!はなさんが言ってたとおりね。
思いっきりやってよかったわ。
蓮子さん。
私いい事思いついたんですけど。
復讐してやりましょう。
失礼。
う〜ん!
(笑い声)
(園子)みんなどうしたのかしら?誰ですか!?こんないたずらしたのは!あ〜…伯爵様!申し訳ございません!「家の名は大事だぞエッヘン」。
ん?何?
(鐘の音)
(2人の笑い声)ねえ蓮子さん。
私の腹心の友になってくれて?ええ!はなは学生アルバイトとして働く事になりました。
ごきげんよう!修和女学校から参りました安東と申します。
編集長の梶原です。
あれ?君小間使いじゃないか?回想あっ!てっ…すいません!小間使い君とりあえずお茶入れてくれる?はい。
・小間使いさん電話出て。
・あっ取れた…。
・そちら麹町2525番ですか?ごき…ごきげん…ごきげんよう。
「EDWARD’STHIRDNEWINTERNATIONALDICTIONARY」。
英英辞典だ!こんなの学校の図書室にもないわ。
あ…。
あれ…。
ん?てっ!
(英治)はい。
てっ…。
えっ?どうもありがとうございます。
いえ。
小間使い?ひとつき小間使いとしてこぴっと頑張ります!自分で働いたお金で自分の好きなものを買えるなんて夢みたいだもの。
はなちゃんが一番欲しいものって何?英語の辞書。
自分の辞書があったらどんなに幸せかしら…。
はなちゃんいつも図書室まで辞書を引きに走ってるものね。
蓮様の欲しいものは?私は物じゃなくて…燃えるような心が欲しい。
一度でいいから本気で誰かを愛したいの。
それなのに兄は今度はお金持ちと再婚させようとしているの。
えっ?父親みたいに年の離れた人とお見合いをしろって。
お見合いの相手は九州の石炭王嘉納伝助です。
日清戦争日露戦争で石炭の需要が急速に伸びた時代の波に乗り裸一貫一代で巨万の富を築いた事業家です。
やあ!うわっ!ああっ!Whatishappening?不審者がいたので捕まえました!ご…誤解ですよ!僕は…。
ああ…。
ああっ!回想燃えてますよ!
(英治)今日入稿する翻訳原稿が…。
私に翻訳させて下さい!お願いします!あの…辞書下さい!はい!辞書!あ〜!
(英語での説明)
(ふじ)吉太郎!吉太郎!ところでふじはこんなに慌ててどうしたのでしょう?
(リン)ふじちゃん…。
吉太郎!おかあ。
どうしただ?おまん軍隊に入りたがってるって本当け。
てっ!
(ラッパ)
(吉太郎)おら兵隊になる。
ええ加減な気持ちじゃねえ。
このままここでくすぶってちゃ死んでると同じこんだ!安東はなさん。
あっ白鳥様。
ごきげんよう。
あなたの留守中に先日の闖入者がこれを。
重たいから早く!はい。
ありがとうございます。
これ私が一番欲しかった辞書よ!
(英治)「安東はな様先日の翻訳のお礼です。
英語の勉強こぴっと頑張って下さい」。
その辞書の贈り主もはなちゃんの才能を認めたのね。
やっぱりはなちゃんは高等科へ行って翻訳の才能を磨くべきだわ。
蓮様はどうするの?もちろん行くわ。
ところが…。
はなさん!大変大変!
(醍醐)25歳も年上の石炭王ですって。
蓮様…どうして…。
まさかはなさんも何も聞いていなかったなんて…。
こんなの嘘よ。
何かの間違いよ!
(ドアが開く音)ごきげんよう。
蓮様本当に結婚なさるの?ええ。
どうして何も話してくれなかったの?ずっと隠してたなんてひどい!新聞ご覧になったでしょう?とてつもない玉のこしなのよ。
その方の事愛してるの?一度しかお会いしてないから分からないわ。
でも彼には有り余るほどのお金があるのよ。
そんな結婚なさるなんて恥ずかしくないの!?回想
(葉山)頼む。
先方にはお前を必ず説得するという約束でもう結納金も受け取ってしまった。
この結婚は私が望んだんです。
あの方は福岡に女学校を建てようとしているの。
きっとここよりも立派な学校になるわ。
そういう人の妻になるのよ。
どこが恥ずかしいのかしら?情けないわ。
それじゃお金で買われていくのと同じじゃない!世間の誰もがそう思ってるのは知ってるわ。
新興成金の石炭王が莫大な結納金で伯爵家の娘を妻に迎えようとしている。
お金で買われた花嫁だって三面記事にも書いてあるもの。
でもそれがどうかして?やっぱりおかしい。
蓮様何か大事な事ごまかそうとしてる。
だってちっとも蓮様らしくないもの。
あら。
はなちゃんは私の事そんなによく知っているの?私はず〜っとこうよ。
純情で世間知らずなはなちゃんにこれまで合わせてただけ。
よく分かったでしょう?これは私が望んだ結婚なの。
今の私にはこの結婚しかないのよ。
私はうまくやったのよ。
だからはなちゃんも祝福して。
東京で盛大に披露宴をやるから是非いらしてね。
嫌よ!披露宴なんか行かないわ!おめでとうも絶対に言わないから!はなちゃん…怒るか泣くかどっちかにしたら?泣いてなんかないわ!寒くて鼻水が出てきただけ。
蓮様どうしてそんなに冷静でいられるの?もう会えなくなるかもしれないのに…。
ごきげんよう。
(ドアが閉まる音)新聞はこぞって婚礼の記事を書き立てました。
両家の結婚式は東京で二百余名の客を招き盛大に執り行われました。
(シャッター音)
(鐘の音と拍手)時が流れはなは女学校卒業の日を迎えました。
はなはブラックバーン校長のスピーチを通訳するという大役を任されました。
「私の愛する生徒たちよ。
我と共に老いよ。
最上なものはなお後に来る」。
「今から何十年後かにあなた方がこの学校生活を思い出して『あの時代が一番幸せだった。
楽しかった』と心の底から感じるのなら私はこの学校の教育が失敗だったと言わなければなりません」。
「人生は進歩です。
若い時代は準備の時であり最上なものは過去にあるのではなく将来にあります」。
「旅路の最後まで希望と理想を持ち続け進んでいく者でありますように」。
(鐘の音)修和女学校を卒業したはなは故郷に戻りアンと同じように小学校の先生になりました。
たえの友達のカッパを探しに行こうってはな先生が。
カッパ?英語も教わったじゃん!英語?
(生徒たち)校長先生アイムソーリー!うるせえ!金輪際英語なん生徒に教えるじゃねえ!英語は禁止!カッパも禁止!分かったけ!てっ!朝市!はな何書いてるでえ?ああ…これは小山たえさんのために書いただよ。
たえさん遠い親戚のうちでさみしい思いをしてるみてえだからちっとでも元気になってもらおうと思って。
(朝市)住所分かっただけ?ほれが…どこへ送ったらいいだか分からん。
雑誌に投稿したらどうずら。
雑誌に載ればたえさんもどっかで読んでくれるかもしれんら。
ほら!こうしてはなは甲府を去った少女のために物語を書き上げました。
回想はなちゃんは花子と呼ばれたいって言ってたわよね。
世に自分の作品を出す時にその名前を使えばいいじゃないの。
ペンネームね!翻訳者安東花子。
花子か。
そう。
花子。
てっ!
(2人)て〜っ!なんとはなが児童雑誌に応募した「みみずの女王」が賞を取ったのです!安東はなさんこの度はおめでとうございます。
はなじゃありません。
はい?やっぱりあなたが間違えたんですね。
はっ?私の名前間違えて載ってたんです。
まさか…。
ほらちゃんと安東はなさんになってるじゃないですか。
私は安東花子と書いて送ったんです。
(須藤)お名前間違えるとは大変失礼致しました。
入稿した時は確か安東花子さんになってたのに。
えっ?やっぱり!お宅の印刷所が間違えたんだろう!いや…いやうちは頂いた原稿のまま印刷しました。
とにかくちゃんと謝っといてくれよ。
え〜…。
最初で最後だから花子という名前で載りたかったな…。
それ入稿する時私が本名に直したの。
えっ?やっぱり安東はなの方がはなさんらしいし修和女学校の先生方や同級生も気が付いてくれると思って…。
てっ…。
ごめんなさい!私の早とちりで誤植じゃなかったんですこれ!友達の醍醐さんがはなに変えてたんです。
ああ…そうでしたか。
本当にごめんなさい!ああいえ。
一つ聞いてもいいですか?花子という名前にどうしてそこまでこだわってたんですか?私子どもの頃から花子と呼ばれたかったんです。
「はなじゃねえ。
おらの事は花子と呼んでくりょう」って二言目にはそう言い返す子どもでした。
何だか目に浮かびます。
花子は私の夢なんです。
でももう現実のはなに戻らないと…。
あなたは花子になるべきです。
花子という名前でこれからも書き続けて下さい。
英語の翻訳も続けて下さい。
どこにいてもあなたなら大丈夫です。
(徳丸)吉太郎君入営おめでとう!お国のためにこぴっと頑張れし!ほれじゃあ乾杯!
(一同)乾杯!まあほうさみしがらなんでも兵隊暮らしは2年だけじゃん。
吉太郎君!兵役が終わったらまたこっち戻ってくるずら?おら兵役が終わってもそのまま軍隊に残れるように頑張ろうと思ってるです。
てっ。
職業軍人を目指すつもりでごいす!俺はほんなの聞いてねえぞ!おとうに許してもらわんでももう決めただ。
おらは軍人になる。
金稼いで家族に楽さしてやるだ。
ほれは俺のせいか?おとうも兄やんもやめてくりょう。
せっかくのお祝いの席なんだよ。
ほうだよ!俺は絶対に許さねえぞ!
(吉太郎)また逃げるだけ!何だとう?おとうはいっつもほうやっておらたちから逃げるじゃんけ!おらはおまんみてえには絶対にならねえ。
冬子さんはまだ若いんです!もっと教養を身につけて自分の可能性を広げるべきです!
(嘉納)おなごんくせに学問やらせんでよか!学のあるおなごはわしは好かん!じゃあなぜ私と結婚などしたんですか!そら…ほれたとたい。
見合いで会うた時…その…まあ…何ちゅうか…いわゆる一目ぼれっちゅうやつて。
一目ぼれ?初めて伺いました。
お前…信じちょらんな!?信じろという方が無理です!「学のあるおなごは好かん」とおっしゃったその口で!ああ言えばこう言う!かわいげのないやつばい!お聞きします!あなたは私のどこを好きになったんですか!お前の華族っちゅう身分とそん顔たい!身分と顔?そんなの愛じゃないわ!あなたは何一つ私を理解しようとなさらないじゃありませんか!黙らんか!お前の身分と顔以外…どこを愛せちいうとか!てっ!はなの心臓はドキドキ高鳴っていました。
9年間も絶交していたあの蓮子からです。
「踏繪」…。
「白蓮」…。
それは当時一世を風靡した竹久夢二が装丁を施した歌集でした。
「前略安東はな様。
以前『児童の友』という雑誌であなたの童話をお見かけ致しましたがあれ以来待てど暮らせどあなたの作品は一作も見かけません。
その間に私は歌集を出す事に相成りました。
あなたはいつになったら安東花子の名前で本を出すのですか?ぐずぐずしているとおばあちゃんになってしまいますわよ。
ではごきげんよう。
さようなら」。
(朝市)はな。
こんなとこで寝てたら風邪ひくら。
朝市さん…。
大好きな朝市の心の中にいるのは自分ではない事をももは知ってしまったのです。
ももは縁談を受け入れ北海道へ旅立つ決心をしました。
回想おら…。
朝市さんが…好きだ。
ふんだけんど…ももちゃん北海道にお嫁に行くって…。
ほの前にちゃんと言いたかっただよ。
子どもの頃からずっと好きだった気持ちをなかったこんにするなんて寂しすぎるら。
ふんだから朝市さんにこぴっと気持ち伝えてからお嫁に行く事にしただ。
朝市さんもこぴっと伝えんきゃ駄目だよ。
朝市さんはお姉やんが好きずら?うん。
好きだ。
ちゃんと言ってくれてありがとう。
(もも)お姉やんの新しい物語楽しみにしてる。
書えたら送ってくりょう!北海道に嫁いだももに励まされて書いたはなの童話がめでたく出版される事になりました。
はなちゃん…ついにやったわね!ああ…字が読めたらな…。
(吉平)あの…。
俺でよかったら読みますけんど…。
「百合子は一人っ子でしたからお友達が遊びに来ない時は寂しくてたまりませんでした。
『誰か遊びに来ないかなあ』と言いながらお庭の木戸から裏の原っぱへ出ていきました」。
おじぃやん?つまらんですか?はなの作った話がつまらん訳ねえら。
はあ…。
こうして目をつぶった方が景色が浮かぶだ。
回想おじぃやんも自分の事を周造じゃなくて周右衛門とか周左衛門だと思ってみろし。
自分が花子だと思うと…。
ほ〜ら風の匂いまで違うじゃん!ああ…初雪か。
回想「まだまだとおもひすごしおるうちにはやしのみちへむかふものなり」。
「まだまだとおもひすごしおるうちにはや死のみちへむかふものなり。
周左衛門」。
甲府に初雪が降った日周造は眠るように息を引き取りました。
(足音)ごめん。
待ったけ?校長先生に捕まっちまって。
大丈夫?うん。
相談って何ずら?学校の事け?ううん。
ふんじゃあ…。
東京から出版社の人が来た事あったら?ほの事で…。
迷ってるだけ?おかあたち残してとても上京なんてできねえって一遍は諦めたけんど…。
はなは東京に行きてえだけ?うん。
ふんじゃあ行けし。
朝市…。
一生懸命やって勝つ事の次にいい事は一生懸命やって負ける事だ。
はなはまた新しい曲がり角を曲がろうとしていました。
夢をかなえるために東京の出版社で働く事にしたのです。
てっ。
ここけ。
いらっしゃいませ。
てっ!かよ!
(小声で)お姉やんほんな大きな声出さねえでくれちゃ。
なんとかよはカフェーの女給さんになっていたのです。
(梶原)我々の目標となる「赤い鳥」には芥川龍之介有島武郎泉鏡花などといった名だたる作家が寄稿している。
うちの創刊号もそれに匹敵するような作家を引っ張ってこよう。
そうですね。
はい!そしてこの聡文堂の顔になるような新しい児童雑誌を作るんだ。
安東君。
君も小学校の教員をしていた経験を踏まえて自由に意見を出してくれ。
はい。
・「Upabovetheworldsohigh,」
(かよ)はいはいはい。
あっ!すいません!その日の歓迎会ではなはすっかり酔っ払ってしまいました。
壁かと思ったら村岡印刷さん。
ごきげんよ〜う。
わあちょっと!こちらです。
はい。
(かよ)ありがとうございました。
(英治)いえ。
あ〜!あっ逃げるだけ。
逃げませんよ。
また明日会社で会いましょう。
じゃあ。
どうして辞書が漬物石に…。
あれ〜?あっおらが置いたの。
ちょうどいい重さだったから。
うわ〜!あなたのくれた辞書なかなか役に立つじゃんね!全然使っていなんだしちょうどいいだよ。
花子さんは英語の勉強やめてしまったんですか?てっ花子!英語の翻訳続けてなかったんですか?おら甲府に6年も引っ込んでたですよ。
英語の本なんて一冊もねえ。
英語を話す人なんて一人もいねえ。
英語なんてう〜んとこさ遠い世界の話じゃん。
あなたには翻訳の才能があるのに残念です。
「ThePrinceandthePauper」。
英治ははなに一冊の本を紹介します。
(郁弥)本気に入りましたか?あっええ!差し上げますよ。
とんでもない!こんな高価な物。
あなたのような人に持っててもらった方が本も喜びます。
そうよはなさん!
(はなが英文を読む声)はなは時がたつのも忘れひたすら翻訳に打ち込みました。
英語への情熱を取り戻したのです。
そんなある日。
もしもし聡文堂でございます。
・
(電話交換手)福岡からお電話です。
おつなぎします。
はい。
・そちらに安東はなさんはいらっしゃいますか?え…安東は私ですが…。
もしもしはなちゃん?私よ。
ごきげんよう!
(かよ)いらっしゃいませ。
お姉やん…。
蓮様は?お姉やん…何時だと思ってるでえ?せっかく10年ぶりに会えると思ったのに…。
はなちゃん。
帰る訳ないでしょ!遅くなってごめんなさい!待っててくれたのね!はなちゃん!蓮様!会いたかった!私も!まずは乾杯しましょう。
ブドウ酒…。
覚えてる?あの事件。
忘れたくても忘れられないわ!私あれから自分にブドウ酒禁止令を出したのよ。
はなちゃんには苦い思い出かもしれないけど私にとっては大切な大切な思い出なの。
蓮様…。
10年ぶりの再会に。
そして…。
(2人)腹心の友に。
乾杯!はあ…何だか本当に夢みたい。
私この10年間ずっと毎日のように想像の翼を広げて蓮様とこうして再会する日を夢みていたのよ。
まあうれしい!何かを楽しみに待つという事がそのうれしい事の半分にあたるのよ。
すてきな言葉ね。
はなちゃんちっとも変わらないわ。
蓮様も。
すっかりすてきな奥様ね。
お金がいくらあっても生きがいのない暮らしはむなしいわ。
いらっしゃいませ。
聡文堂の取引先の村岡印刷さん。
あっ女学校時代の腹心の友の蓮子さんです。
ああ。
初めまして。
ごきげんよう。
あれ?ブドウ酒には嫌な思い出があったんじゃ?今日はいいんです。
(英治)まあ腹心の友との再会なら思う存分飲んで下さい。
何ならまたおぶっていきますから。
はなちゃん相変わらず酒癖が悪いの?もう蓮様まで〜…。
もしかしてもう酔っ払ってるんですか?まだ酔ってません!あっもう本当にお構いなく!はなちゃんちっとも変わってないわ。
村岡さんははなちゃんの事が好きなのね。
花子さんを?はなちゃんはずっと花子って呼ばれたがっていたんです。
あなたのような人が現れてよかったですね。
いえ…そんな事は断じてありません。
どうして「断じて」なんておっしゃるの?だって僕は…。
出来た…。
やった〜!おまんのおかげじゃん!ありがとう!
(物が落ちる音)あれ?「この辞書の贈り主はず〜っと前からはなちゃんの心の中にいたのね。
自分の気持ちに素直になりなさい」。
てっ!蓮様いつの間に?この辞書の贈り主…。
回想
(英治)「英語の勉強こぴっと頑張って下さい」。
(郁弥)兄からあなたの気に入りそうな本を贈りたいと言われたんです。
えっ?あなたに英語への情熱を取り戻してほしいって。
ナマケモノは…木にぶら下がりながら夢をみてるんだと思います。
だから…あなたも夢を忘れないで下さい。
その時はなにははっきりと分かったのです。
はなの夢を支えていたのは誰だったのか。
ごきげんよう。
さようなら。
2014/11/24(月) 14:20〜16:04
NHK総合1・神戸
連続テレビ小説 花子とアン総集編・前編「こぴっと、青春!」[解][字][再]
「花子とアン」前半の総集編。甲府の貧しい農家に生まれた安東はな(吉高由里子)は東京の女学校に編入。英語に目覚め、様々な人と出会い、成長してゆく姿を描く。
詳細情報
番組内容
連続テレビ小説「花子とアン」前半の総集編。甲府の貧しい農家に生まれた安東はな(山田望叶)は、父・吉平(伊原剛志)の奔走で東京のミッション系女学校へ編入。いろんな壁にぶつかりながらも、持ち前の頑張りで英語が大好きな少女に成長したはな(吉高由里子)。その胸の内にはいつも、故郷で働いている母・ふじ(室井滋)たち家族の存在があった。ある日はなは、伯爵家令嬢・蓮子(仲間由紀恵)と運命的な出会いを果たす…
出演者
【出演】吉高由里子,山田望叶,伊原剛志,室井滋,鈴木亮平,賀来賢人,窪田正孝,石橋蓮司,仲間由紀恵,【語り】美輪明宏
原作・脚本
【原案】村岡恵理,【脚本】中園ミホ
音楽
【音楽】梶浦由記
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
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