大震災の追悼行事でも使われる予定です。
(男)この資料を見ると売上高も利益も大分下がってるみたいですが。
(男)設備投資額も増えてるみたいなんですけど。
(男)連結決算対象子会社が増えたのはどういうわけですか?
(社長)ああそれはですね…ちょっと待ってください。
(絵里)「東京大学法学部卒。
国内最大手の法律事務所で渉外弁護士として将来を嘱望されるも平成16年独立。
以来企業法務と離婚問題などを手がける異色の弁護士として活躍」
(男)「このグラフを見ると最近3か月かなり業績も停滞してますよね」
(社長)「いやいやそんなことは…」
(男)「この中期経営計画なんですけどとても達成できるとは思えませんけどね」
(男)「コーポレートガバナンスについては?」
(社長)「えっコーポレートガバナンス?えーと何でしたっけ?」
(男)「大丈夫なんですかこの会社は!?」
(社長)「えっ…」
(男)「大丈夫なんですか?」
(社長)「いやいや。
あーちょっと待ってください。
ちょっと…」
(ざわめき)
(貴子)中期経営計画は知的財産戦略が中核です。
社内に眠っている特許を収益源に変えるビジネスモデルの構築です。
(男)子会社の連結会社化の意図は?今度の商法改正に備えて外資による敵対的買収防止策の一環です。
(男)「コーポレートガバナンスについては?」業務執行と経営監視機能を完全分離米国型企業統治の組織に移行予定です。
ほかにご質問は?
(男)あの…あなたは?申し遅れました。
(貴子)私当社の顧問弁護士間宮貴子です。
(絵里)ハンサムウーマンね。
(絵里)今度はちょっとは歯応えあるかな?
(社長)いやあホント助かりましたよ。
どうも。
もうさすが先生。
もうかっこいいわ。
そうですか?うん。
この本のとおりだね。
男の中の男だよ先生は。
一応女なんですけどね。
先生何か飲みますか?
(店員)いらっしゃいませご注文は?
(心臓の鼓動)
(社長)どうしたの?あっ全然大丈夫です。
(社長)ああそう。
ちょっと失礼。
おかしい。
わたし絶対おかしい。
(柳田)ただいま。
(大介)あっおかえりなさい。
いやいやいやいやちょうどよかった柳田さん。
(柳田)うん?この約束手形って何ですか?お前はそんなことも知らないでよく司法試験受けるな。
(紀三郎)これの78ページに載ってますよ。
あっすごいわ。
ページ数まで覚えてるんだ。
(柳田)こっちは何で司法試験受かんないのかが不思議だよ。
どうしてですかね?どうでもいいけどよ暑いぞ外は。
らくだでも?
(貴子)何が「男の中の男」よ?それにね離婚が専門だなんてひと言も言ってませんって。
編集長出しなさい編集長。
えっいない?じゃ担当者出しなさい。
担当者。
相変わらず先生は気合い入りまくりだなおい。
あの受付ってままま…まだですかね?ああ今日から来るって子?すっごい美形らしいですよ。
あのミスコン荒らしだって。
あのねおつゆ飛ばすなおつゆ。
ああごめんごめんごめん…。
社長令嬢だそうですね。
ああそうなんですか。
・
(つや子)こんにちは〜。
いらっしゃい…?イッ…。
おいどこがお嬢さまだああ?ミスコンって何だ?ミス豹柄かおい?
(大介)あれ〜?ああ依頼人の方?あっ。
そうですよ。
あの離婚ですか?
(つや子)はい?旦那が失踪?自己破産?つや子さん。
貴子久しぶり!
(つや子・貴子)元気だった?アハハ。
(大介)あれ?あっこちら小向つや子さん。
大学時代の司法試験の予備校で一緒だったの。
弁護士?違うのよ!この人はねストレートで受かっちゃったんだけどわたし落ち続けちゃって。
あきらめてパラリーガルやってんのよフフフフ。
忙しいから手伝ってもらおうと思って。
そうなんですか。
よかった。
受付じゃなくて。
こちらは…。
「ハンサムならくだ」って人ね。
もう聞いてる。
はい?
(つや子)らくだより男前じゃないの。
(柳田)ああ人間ですから一応。
でこっちが気は優しいけど使えない助手ね。
(大介)先生。
(つや子)でこっちが切れモンだけど見た目ぱっとしないパラリーガルだ。
小向つや子どぇすよろしく。
あっこれあのお土産です。
ああどうも。
ちなみにわたし旦那いるから口説いちゃダメよ。
あっつや子さんちょっとこっちこっち。
(つや子)いいオフィスじゃないの。
頑張ったわね貴子。
(亜紀)あの…間宮貴子法律事務所って…。
ここです!
(亜紀)倉庫じゃなくてオフィスのほうなんですけど。
倉庫?こっちだ受付は。
間違いない。
ここが倉庫兼オフィスです。
ウソ!ここ?やだぁ。
やだってここ?
(青木)俺も弁護士立てた。
すご〜く優秀な先生をね。
余計なことしないほうがいいんじゃないの?お前みたいな負け犬これ以上負け重ねてどうすんの?ハハハハハ。
(麻美)あの…。
(通話の切れる音)
(つや子)さぁさぁさぁどうぞ食べて。
ああどうもありがとうございます。
(つや子)おいしいですよ。
さぁさぁ食べて。
俺…俺いいっすよ。
まめ屋のみたらし団子ね。
(柳田)おおーおおー!
(つや子)あっヤダ。
わたしの服にも付いちゃった。
これさ俺が作った訴状でこれがないと裁判始まんないんだよね。
ふーん。
でもあなた弁護士じゃないんでしょ。
てれやがって。
大丈夫かな?この事務所。
・
(テーマソング)
(つや子)エリート独身男がわんさかいるって聞いてたらしいわよ。
ふてくされちゃって。
あーああくびしてる。
置いてくれって頼まれたの。
大事なクライアントの娘だからって。
それよりさつや子さん。
はいさっきの話?そう。
おかしいでしょわたし。
うーん。
そんなに男に飢えてるの?そんなに体が欲してるの?ああちょっと痛い。
(大介)先生先生。
あのそろそろ依頼人と待ち合わせの時間ですけど。
はい。
すぐ行きます。
(大介)はい。
ねえ今の話くれぐれも。
当たり前じゃない。
こんなこと話せるのつや子さんだけだからさ。
分かってるわよ。
昔からの友達。
そのためにここに来たんでしょ。
口チャック。
ありがとう。
行ってくるね。
うん。
行きますよ。
(大介)はい。
いってきます。
いってらっしゃーい。
うっ?あっ?どうかしました。
ううん。
資料です。
はい。
「依頼人は倉田麻美26歳。
保険会社のオペレーターに派遣社員として勤務」
(青木)これ。
落ちてましたよ「依頼人は昨年11月偶然IT会社経営青木和馬さんと知り合った。
以後何度かデートを重ね今年に入ってプロポーズを受け青木さんのご両親にも紹介された」
(大介)「それが3月ぐらいから連絡がつきにくくなりそのことをなじると一方的に別れを切り出され以後音信不通になった」麻美さんとしては婚約不履行で訴えたいと。
はい。
別れたいという向こうの理由は?それが…よく分からないんです。
婚約を証明する何か具体的な事実は?結納を交わしたりとか指輪をもらったりとか。
それは結納はまだだったけど彼の友達や親には婚約者としては紹介されたし式場も探すようにも言われていたし。
(大介)周りの状況から婚約を証明するしかないか。
難しいですよね。
とりあえず相手にも事情を聞いてみましょう。
・
(絵里)その必要はないわ。
青木和馬さん代理人となりました弁護士の佐伯絵里です。
(絵里)わたしの依頼人はこの女性と婚約はおろか交際した事実さえないと主張しています。
交際してない?
(紀三郎)間宮先生が恋の病?
(つや子)最近いい男見ちゃうと反射的に胸がこうキューンとときめいちゃうんだって。
胸がキュン?やだあ〜。
「わたし病気なのかしら」ってもう真剣に悩んでんのよあなた。
(亜紀)独身長いとやっぱそうなっちゃうんですか?さあねえ。
…ってあんたお茶ぐらい入れなさい。
しかし先生はおもてになるんじゃないですかね?
(亜紀)そうですか?それがさあの子ほら大学時代は勉強ばっかだったでしょ。
で弁護士になってからはますます忙しくなっちゃって多分まともな恋愛ってしたことないのよ。
うわ悲惨。
シッ!言わないのそういうこともう。
かわいそうな子なのよあの子はもう。
ブッ何だこのお茶!?苦丁茶ダイエットにいいんですよ。
これ以上やせたかないわよもう。
普通のお茶入れなさいよ。
普通のお茶。
(貴子)誰がかわいそうだって?あら〜おかえりなさい。
つや子さーん。
はーい。
ちょっといいですか?あらららちょっとやーよ怒っちゃ。
あんたもまんじゅう食ってないで仕事しなさい仕事!食べてませんよ。
(つや子)ああん。
ごめんごめん。
いやあ怒っちゃやーよ。
壊れてたチャック。
忘れてた。
あなたの口がヘリウムガスより軽いってこと。
まあまあまあまあもういいじゃないの。
でさ治ったの?恋の悩みは。
それどころじゃないの。
今抱えてる案件が大変なことに…。
それがあんたの悪い癖。
仕事になったらすぐプライベート忘れちゃうんだから。
大事でしょこっちも。
でも今は…。
一度聞こうと思ってたんだけどさあんたちゃんと恋愛してきたの?何よ急に。
仕事ばっかりで恋愛してないから胸がキューンなんてことになるんじゃないの?今まで何人ぐらいの人とつきあったことがあんの?正直に言ってみなさい。
あなた…。
だってしょうがないじゃない。
仕事ばっかりしてきたのよ。
男なんて考える暇なかったんだから。
それにそれに…。
おっきいわねえ手。
そっちかい。
(アナウンス)「留守ゼロ件です」
(大介)はいはい分かりました。
はい。
では失礼しますはい。
何だって?話があるなら2時に事務所に来いって。
あの女弁護士。
ヤメ検ってのはね人と会うときに呼びつけるんですよ。
呼べば来ると思ってるんですな。
「ヤメ検」?マツケンじゃないわよ。
いや言ってないし。
検事を辞めて弁護士に転向した人。
訴訟相手の弁護士の性格まで調べ上げて攻めてくるヤメ検もいるそうですからね。
まいずれにしてもやっかいな相手ですな。
(絵里)ですからこちらは婚約はおろか交際の事実すらないと主張しています。
そんな。
交際していたと言うなら証拠を見せてください。
「11月17日六本木のステーキハウス『戸倉』それから近くのバーで深夜まで飲んだ」正確にはパブ「ブルーヘブン」飲んだのは1時までです。
でその後も「12月4日六本木12月22日銀座などデートを重ね…」
(絵里)待ってください。
デートという表現は適切ではありませんね。
どうしてですか?こうやって…。
(絵里)六本木銀座いずれも食事のあとパブ「ブルーヘブン」に行ってますね?バーだと聞いていますが。
ご存じないんですか?何を?わたしの依頼人青木和馬は同「ブルーヘブン」の店員です。
「ブルーヘブン」はサパークラブと呼ばれる男性が女性を接客する店でありこれはデートではなくいわゆる同伴出勤です。
そんなの嘘です。
(大介)あの…青木さんの会社ってどこ捜してもないんです。
サパークラブってのはどんなんですか?ああ…ホストクラブとパブの中間っていうか基本的に男性が女性を接客するところらしいんです。
水商売の女の人が店が終わったあとお客さんと行ったりするって。
店をチェックしておいたほうがいいですね。
今調査に行ってもらってます。
ほう誰に?
(つや子)青木和馬は確かに「ブルーヘブン」で今年の3月まで働いてた。
結構売れっ子だったらしいわよ。
(大介)いやあ依頼人はバーだったと。
ああいう店はね夜中から盛り上がるわけ。
早い時間に連れて行かれてバーだって言われればバーに見える。
じゃあ何?彼も客のふりをしていたってことは?上の者が口裏合わせろって言われたらやるわね。
意外と体育会系だから。
しかし何のためにわざわざそんな。
よく分からない話ですよね。
とにかく麻美さんが言っていたことの裏を取って婚約していたという事実を立証させましょう。
(絵里)そこまで婚約を主張されるのであれば何らかの証拠を見せてください。
結納を交わした。
あるいは指輪をもらったというような。
結婚をしようとはっきり言われていますし結婚式場をどこにするかとの話し合いもしていました。
テープにとったんですか?そこまでは…。
では証明できませんね。
いやだけど…。
こちらは交際の事実すらないと主張しています。
そんなはずはありません。
交際していたというなら当然電話もしますよね?たとえば彼からの着信履歴はあるんですか?それは…。
(紀三郎)あの…教えていただいた青木さんの電話。
はい。
調べてみたんですがこれどうも青木さんの番号じゃないんですね。
どういうこと?もちろん二人は婚約までにいろんな所に行っています。
そちらがいわゆるデートしたと主張されてる日すべて青木氏は別の方と会ってます。
(男)11日23日?確かにその日は青木と一緒にメシ行きましたよ。
なあ。
(男)ああ。
(女)12月4日?ああその日は青木さんとずっと一緒でした。
朝まで。
(大介)あっ。
(男)うん。
12日18日?店の連中と一緒にボウリングしてましたよ。
俺たちつるんでること多くって。
(貴子)いやでも青木さんのご両親に婚約者として紹介されてるんですよ。
青木さんの父親は5年前に他界。
母親は沖縄です。
沖縄には行かれたんですか?嘘ですそんな。
じゃあれは一体…。
これらの事実から証明できるのは二人が客と店員の間柄だった。
それだけです。
(大介)な…何でもいいんです。
自分で書いたものでも婚約してたっていう立派な証拠になりうるって。
そんな信じられないけど。
少なくともつきあってたっていう証明はできます。
日記日記があります。
式場のパンフレットも。
それ!
(大介)どこですか?誰か来た。
(大介)うん?ええっ!日記は日記?
(大介)ウソ!正直このままだと婚約不履行で訴えるのは厳しいです。
わたし…。
何考えてんの!怖っ…。
宝石を買う契約をしてたってこんな大事なこと何で早く言わなかったの!すいません。
すべての事実を把握しておかないと闘えないの!それに婚約なんて話じゃないでしょう。
ひょっとすると詐欺かもしれないってことよ。
分かってる?何で黙ってたの?こんなことがあって婚約不履行で訴えたいなんて。
信じたくなかったの?ダイヤを売るために相手が近づいてきたって。
・
(柳田)ただいま。
知り合いの業者に見てもらった。
やっぱりこのダイヤ200万どころかせいぜい10万ぐらいの物らしい。
あとこの売買契約書自体にも問題はない。
期日が来たら支払わざるをえないよ。
残念だけど。
(大介)そんな。
(柳田)宝石ってのはな値段があってないようなもんなんだ。
たとえ10万円の物でも200万の契約書交わしたらしょうがない。
つまり相手は結婚をエサに近づきダイヤの契約をさせ姿を消した。
法的に引っ掛かるのを恐れ交際の証拠すら隠滅した。
でもそれを証明する術はこちらにはない。
そういうことね。
とにかくあした相手の弁護士に会ってみます。
(紀三郎)ご苦労さまです。
どう出るか分からないけどダイヤの件もぶつけてみるわ。
あなたも来るわね。
私の依頼人青木和馬さんです。
(青木)もういいかげん最後にしてくれるかな?僕もね忙しいんですよ。
(絵里)今までの話を整理すると倉田さんと青木さんは昨年11月偶然顔見知りになり以後都合2回一緒に飲食したあと青木さんの勤めていたパブに来店。
いわゆる同伴出勤を行った。
それは…。
(絵里)反論があるならどうぞ。
ただし立証できる話でお願いします。
(青木)そうそう証明できなきゃ意味ないの。
(絵里)以後二人の間で電話メールなどの何らかのやりとりをした痕跡もない。
これらの事実から見て二人に交際の事実まして婚約関係にあったという主張は到底受け入れられません。
依頼人は青木さんより200万円という高額なダイヤモンドを購入する契約をしています。
信頼できない相手からこんな買い物するでしょうか?ご存じでした?本件とは別問題です。
それに契約書を見るかぎり問題はない。
でもダイヤの価値からいって不当な値段ですよ。
ならそれはそれで裁判でも起こしてくださいよ。
ただ多分勝てませんよ。
弁護士さんもご存じでしょう?
(絵里)とにかく以上で婚約不履行は無効であると納得してもらえましたね?ではお引き取りください。
(青木)あ〜あ。
全くの赤の他人。
よかったぁそれが証明できて。
たった2回同伴しただけで婚約だなんて騒がれちゃこっちの身がもたないよな。
これだからもてない女の思い込みは怖い怖い。
あなたねえ。
(麻美)わたし…。
この人と寝たんです。
倉田さん。
だから?だから何?
(絵里)肉体関係があったからといって客と店員の関係じゃなかったことにはなりませんよ。
(青木)ハッたった1回だろ?二度目の同伴の前に「ご休憩」で。
ちょっと!
(青木)抱いてやったんだよ!ボランティアしてやったの。
じゃなきゃ誰がお前みたいな女相手するんだよ。
あ〜もうバカじゃねえの。
行きましょう。
先生。
聞かせてください。
(絵里)何でしょう?先生は依頼人を…。
いえ青木さんをどう思ってらっしゃるんですか?信頼できる人間だと思ってらっしゃいます?
(絵里)わたしは依頼人に対して何の感情もありません。
ただ引き受けた仕事は必ず勝つ。
それだけです。
裁判だろうが交渉だろうが要は弁護士同士のケンカでしょ?彼の言ってることに嘘はない。
事実だと?間宮先生。
もう一度司法試験の勉強されたほうがいいんじゃないですか?実際の事実なんてどうでもいい。
問題は裁判官にとってそれが事実と映るかどうか。
法廷で勝てる事実と実際の事実は違うんですよ。
間宮先生。
(つや子)言っちゃ悪いけどさやっぱりちょっとうかつすぎるよね。
大体さ落ちたハンカチ拾ったのが縁なんてさあんもう昭和30年代よ。
裕次郎入ってるわよ。
おかしいと思うでしょ普通。
でも嫌いじゃないでしょ?そういうの。
えっ?似てんのよねあんたとあの子。
いい年して夢見る夢子ちゃんなとこ。
いやわたし…。
好きな男には気の弱いとこもね。
(紀三郎)「いろんな所へ」ねえ。
えっ?引っ込み思案の彼女をあの男はいろんな所へ連れてったそうですよ。
自分を変えろって。
本当のお前はもっと明るいんだからって。
あのダイヤもねそれを着けて積極的に表に出なさいってそう言って薦めたそうですよ。
こんな…
(青木)俺変わってほしいんだ麻美に。
もっと強くなってほしいんだ。
こういうの着けて堂々としてほしいんだ先生には分かんないです
(柳田)宝石ってのはな値段があってないようなもんなんだ
(絵里)法廷で勝てる事実と実際の事実は違うんですよ
(貴子)悪かったわ。
あなたの言うとおり直接会いに行かせなきゃよかった。
反省した。
わたし自分が嫌いなんです。
あそこまで言われて何にも言い返せなくて。
昔っからそうなんです。
思ってること半分も言えなくて。
つきあってるときだっておかしいなって思うこといっぱいあったのに。
嫌われるの怖くて。
好きになったら言えないこともいっぱいあるわ。
初めてだったんです。
倉田さん?アハッ…26歳で初めてなんておかしいでしょ?そんなことない。
そんなこと絶対ない!もっと自信持たなきゃダメよ。
あなたちゃんとやってるじゃない。
自分で働いて自分で生活をして自分の足でちゃんと立ってる。
あなたはちゃんと生きてるわ。
倉田さん。
さっき泣いてたのは悲しかったから?それとも悔しかったから?悲しかったんなら残念だけどわたしにできることは何もない。
でももし悔しかったんならその悔しさわたしが引き受ける。
わたしが返すわあの男に。
でも決めるのはあなたよ。
最後はあなたが決めるの。
(青木)「たった1回だろ?二度目の同伴の前に『ご休憩』で」
(貴子)「ちょっと!」
(青木)「抱いてやったんだよ!ボランティアしてやったの!じゃなきゃ誰がお前みたいな女相手するんだよ」
(青木)「抱いてやったんだよ!ボランティアしてやったの!」大したことなかったな。
(絵里)もうお会いする必要はないはずですが。
そちらになくてもこちらにあります。
どういうことでしょう?わたしの依頼人は青木さんを詐欺で訴えたいとそう言ってます。
(青木)へえ面白い。
やってみろよ。
どういうことでしょう?あなたが売ったこのダイヤ鑑定では10万円くらいだそうです。
へえそうなんだ。
それをあなたは200万で売った。
どう見ても不当な値段ですよね?なら裁判でも何でもやってみれば?
(絵里)そのとおりです。
その話なら裁判所で。
わたしの依頼人の月給は16万。
200万は大金です。
よっぽどの信頼関係がある人間じゃないかぎりこんな大金は出せませんよ。
何が言いたいんだよ?あなたと依頼人は肉体関係があった。
そしてその後の売買契約。
つまり結婚しようと依頼人に近づき肉体関係を持ち不当な値段で契約させた。
そうじゃありません?ちょっと待ってください。
それを裏付けるものはありません。
これは立派な詐欺行為ですよ。
言いがかりだよ!どこに証拠があるんだよ?じゃあなた本気で結婚する気だった?はあ!?そんなわけないだろ。
本気だったから寝たんですよね?
(絵里)ちょっと待って。
婚約破棄を蒸し返そうって気ですか?あなたホントは好きだった?ふざけんなよ!えっだから抱いたんですよね?これ大事なとこですよ。
言ってるだろ。
抱いたんじゃねえよ抱いてやったんだよ!青木さん。
何で?契約するから?そんなバカな。
そのとおりだよ。
契約するから抱いてやったんだよ。
だって10万円のダイヤが200万よ。
だから何だよ?190万は俺の体の金だよ!高くねえよ!ちょっと待って。
200万円にはセックス代が含まれてるとでも?当たり前だよ。
だから寝てやったんだよ。
じゃなきゃ相手にしねえよこんな女!ああ分かった。
もう出るとこ出ようぜ!こっちだって頭使ってんだよ!こんなことで詐欺なんかにされてたまるか。
何だよ?そうね。
詐欺にはならないわ。
詐欺で訴えるという話は取り消します。
その代わりこの売買契約には肉体関係を前提とした金銭の授受が含まれている。
これは公序良俗に反する契約つまりこの契約は無効です。
バカな。
今自分で言いましたよ。
200万の中にセックス代が含まれてるって。
そんなのは言葉のあやじゃねえかよ。
二人が証言したホテルに行った日にち12月22日。
この売買契約書も同じ日付の12月22日。
ハッ。
バカバカしい。
青木さんはいわば売春行為を倉田さんに対してした。
その代金は190万円。
これは公序良俗に反するから契約自体が無効だとそう訴えるということですか?そうです。
裁判になったらあなたの依頼人は買春したことを証言しなければいけないんですよ。
(青木)ハハハアハハ…。
頭大丈夫か先生?この俺の体買った?この女が?ハハハバッカバカしい。
じゃ何?それ裁判で証言するっての?みんなの前で?アッハハ…。
そんなことできるわけないだろ?
(青木の笑い声)買いました。
(麻美)わたしが買ったんですこの男を。
でも払いたくないんです。
最低だったので。
嘘だ!そんなバカなこと。
(絵里)あなた男を買ったって認めるってこと?はい。
自分でしたことですから。
前回あなたが依頼人を全くの他人でありかつ通常では誰も相手にしない女だと証言してくれた。
なのに二人は肉体関係があった。
あなたの証言のお陰で二人には売春行為に基づく契約があったと証明することができました。
助かりました。
ふざけんな!何が売春だよ!俺が…俺が持ち掛けた?そんなバカなことあるわけないだろ!それ証明できますか?証明。
それは…。
証明できなきゃ意味ないの。
バカじゃない!これも返すわ。
あなたと一緒でクズだったから。
行きましょ先生。
大丈夫…大丈夫だよね?先生。
こんなバカなこと…。
無理ね。
えっ!?裁判になれば負けるわ。
あなたの証言もある。
そんな。
それでも争うなら別の弁護士に依頼して。
わたし勝てる見込みのない弁護は受けないから。
あっ成功報酬はもらうわよ。
婚約不履行の件は勝ったから。
・
(絵里)間宮先生。
(絵里)今の話が事実だと?さあ。
ただ法廷で勝てる事実と実際の事実は違う。
そう習いませんでしたっけ?ケンカはこうやるのよ。
佐伯先生。
参考にさせてもらうわ。
間宮先生。
間宮貴子か。
(麻美)すーっとしました。
あなたはホントは強い人よ。
少しだけ自分のこと好きになれそうです。
ありがとうございました。
(男)ほらこっちおいで!ほらよしよしよし。
(心臓の鼓動)
(心臓の鼓動)あ…イテ…。
だっ。
(つや子)あっ貴子。
大介君たちね待ってるみたいよ。
あっ何…何?何よちょっと。
ちょっとー!もう何?どうしたのよ?わたしもうダメ。
何が?今日歩いてたらね。
うん。
また胸がキュンとしたのよ。
誰にだと思う?つえついたおじいさん。
おじいさん。
おじい…。
これはあまりにもおかしいと思ってわたし行ったわよ病院に。
そうしたら?肋間神経痛でした。
神経痛〜!?あ〜終わったわたし。
女として終わったわ。
TheEnd!終了よ!貴子。
恋のときめきと肋間神経痛の区別がつかない女なのよ。
湿布1枚はられて治っちゃう女なの。
肋間神経痛。
ロッカーよ。
ロッカーって呼んで!いいかげんにしなさい!ロッカーなんて。
わたしが呼べるわけないでしょ親友のわたしが!つや子さん…。
疲れてるのよあなたは。
ほんの少しだけ疲れてるの。
泣いていい?ねえ泣いていい?うん分かった。
分かったからもう泣かないの肋間ちゃん。
(貴子)おかしいと思ったのよねえ。
(つや子)何が?わたしさ恋すると頭ん中で音楽が鳴るの。
・「Iloveyou,baby」ってやつ。
あああれね。
それなのにさそれも鳴らないのに胸ばっかりキュンキュンしてたからね。
(柳田)あの主人と間宮先生絶対ケンカになるぜ。
そうっすか?まあ見とけ。
(大庭)お待ちどお。
どうも。
《・『君の瞳に恋してる』》今何か音楽鳴らなかった?
(つや子)えっそう?拾ったハンカチで始まった悲しい恋かぁ。
意外と面白いね法律事務所もね。
(大介)え〜っ。
タ…タメ口?
(貴子)ですから離婚専門なんて言ってませんって。
あなたじゃラチが明かないわ。
編集長に来いって言ってくれました?・
(編集者)いや今校了中で…。
分かりました。
結構です。
今からわたしが伺います!
(柳田)いってらっしゃ…。
いってきます。
うん?何かにおいません?誰か湿布してます?気のせいです!気のせい妖精森の精!
(亜紀)森の精?
(亜紀)先生。
何?ここ。
暑い。
空調絶対おかしいこれ。
すいません。
(編集者)はい。
編集長の三神さんってどちら?
(編集者)えーっと。
一向にラチが明かないので今日はこうやってやって参りました。
(三神)あのこれ君の?えっ!?あの…。
それあの…。
(編集者)編集長です。
《・『君の瞳に恋してる』》ミュージック入りましたね。
・『EVERY』
(絵里)「東京大学法学部卒。
渉外弁護士として将来を嘱望されるも平成16年独立」2014/11/25(火) 14:57〜15:53
関西テレビ1
離婚弁護士