(大庭)じゃあ行きましょう。
(岡本玲)
この日東京郊外のとある民家の物置小屋へと2人の職人が向かった
ええ〜!
そこにあったのはほこりをかぶって古ぼけた100年以上前のピアノ。
そんなピアノを直す事に人生をかけるのが…
「ピアノ修復師」と呼ばれるその仕事に求められるのはかつての美しい響きをそのままよみがえらせる事
いやぁすごいなこれ。
まだ新米の彼女にその技術の全てをたたき込もうとしているのが師匠…
これまで世界中の名器をいくつも修復してきた。
よみがえらせるのは響きだけではない。
ピアノと共に生きてきた人たちの大切な記憶までも…
そんな仕事に彼女が挑み始めたのには訳がある。
気仙沼に生まれた真帆さんは子供の頃からピアノと友達のように接してきた。
しかし大事な発表会を間近に控えた高校2年の春ふるさとをあの大震災が襲う。
大切なピアノは津波にのまれて泥だらけ。
その響きは永遠に失われた。
その心の痛みから立ち直るために彼女はこの仕事を選んだ
そんな真帆さんに秋ある大仕事が任された。
このグランドピアノを1人で修復する事だ。
依頼者の森田さんが修復を決意したのは真帆さん同様ある悲しみから立ち直るためだった
ピアノは40年前僅か15歳で亡くなった娘さんが使っていたものだった。
娘の記憶とともに当時の美しい音色と響きをよみがえらせてほしいのだという
是非…
そしてたった1人の修復作業が始まった。
完成した暁には演奏会も予定されている。
責任重大だ
果たして彼女は無事修復を終え演奏会を迎えられるのか!?
始まりました「明日はどっちだ」。
さあ真帆ちゃんいよいよ大詰めですね。
きましたね。
初めて一台のピアノを任されてどうなるのか。
彼女にはピアノ修復師というさ武器があるわけじゃないですか。
これは僕しかできひんみたいなさ取り柄みたいなのってあります?すごい…
(笑い声)俺あなたしかできひんな今日すごいなと思ったんが天下のNHKにジャージと下駄でやって来ましたから。
うん。
(笑い声)それを言うって事は。
そうや。
修復の期限が迫りつつあったこの日。
懸命に作業に励む真帆さんのもとに1人の女性が訪ねてきた
修復の依頼主森田さんだ
さっき聞きました社長から。
これなんですけどね…。
手渡されたのはかつて娘さんが使っていたという楽譜
どうもお邪魔しました。
ありがとうございます。
森田さんは今度開かれるお披露目の演奏会でこの楽譜を使ってほしいと願っていた
特に…
娘さんがコンクールで準優勝した時の曲だ。
そこには練習していた当時の書き込みがそのまま残っていた
いよいよその微妙な音の響きを調整する段階にきた。
肝心なのは「アクション」。
鍵盤をたたいた時それを弦に伝える複雑な装置だ
美しい響きを取り戻すため…
いきなりある問題が…
真帆さんが気になっていたのはハンマーの動き。
通常ならゆっくり鍵盤を押した時僅か2ミリほどハンマーが落ちる。
しかしハンマーが落ちず上がったままになっていた。
このままだと弦がうまく振動せず豊かな響きは得られない
どこを修正すればいいのか?
すぐに師匠のもとへ向かった。
が…
アクションにはハンマー一つ動かすために部品の連結箇所が20以上ある
うわぁ〜!すごいね。
その一つ一つに微妙な調整を加えながら動きを観察し答えを見つけていくしかない
試行錯誤する事8時間。
そしてついに…
ん?
その解答が見つかった
お!すごいやん。
よし!これで修復も一歩前進
依頼主の森田さんはこの日演奏会を開く予定の老人ホームにいた。
ピアノの修復を決めた…
欽二さんは自分がいるこの老人ホームへの寄贈も決めた。
娘の思い出と一緒に暮らしたかったからだ
その思いをどう受け止めるのか。
自分もまた3年半前あの震災に遭い悲しみと向き合う一人だ
真帆さんは最後の整音の作業にたどりついていた
(「即興曲」)
演奏会で披露されるこの曲。
そのゆったりとして落ち着いた音色を表現しなければならない
が師匠にチェックしてもらうと…
まだ音に豊かさが足りない
師匠にある道具を手渡された。
指示されたのはハンマーに空気を入れる「ニードリング」という作業。
が…
実はこれをやるのは初めて。
このやり方もまた自分で感覚をつかんでいくしかない
あ!ああ〜なるほど〜!アハハハハ!かわいいな。
ピュアやね。
そして…
真帆さんのピアノ修復これで全てが完了。
よかったね!
迎えた…
ピアノが老人ホームに収まった。
隅々までピカピカに磨き上げてきた
続々と集まってくる人の中にもちろん森田さん夫妻の姿が…。
待ち遠しそうだ。
修復したピアノはその思いに応えられるのか?
(拍手)
譜面台には娘さんの楽譜が…
40年前の書き込みどおりに演奏する事になっている
果たしてその響きは森田さん夫妻の胸に届いたのか
(拍手)
「いろいろ思い出した」。
それが何よりの褒め言葉だった。
そして最後に…
震災以来あまりピアノを弾く事もなかった真帆さんが…
(「月の光」)
弾き始めたのは震災でピアノを失う直前まで発表会に向けて練習していた曲
これで少しは前に進めたかな真帆さん
う〜ん。
すげえなぁ。
思い出がよみがえんねやもんね。
あの反応が全てですよね。
うん。
もうまさに真帆ちゃんにしかできない事ですよねあれは。
いかがでしょうそんな真帆ちゃんにお会してみないですか?
(拍手)俺ほんまに知らん…。
見えてなかった。
こっち向きやから俺。
(笑い声)どうもどうも。
はじめまして。
ほんまにきれいやもんな今。
大変やった?ここまで直すの。
そうでしたね。
大変でした。
演奏会も大成功やったじゃないですか。
どういう面持ちで聴いてたの?音が出なくなったりとかもちろんしないかなっていうのも不安だったし森田さんがどんなふうに思ってくれてるのかなっていうのがVTRを見て…。
なるほどね。
自分のV見てね。
あの表情してたんだって思って。
自信にもつながったんじゃない?はい。
面白さも厳しさも感じてステップアップしてる…。
確実にしたと思います。
今後の夢は?直して出来上がったものを持ってった時に「ありがとう」ってその気持ちを受け止められるような技術を身につける事が目標ですね。
話聞いてたら。
(「月の光」)すげえなぁ…。
すげえなぁ。
(拍手)わあすげえ!生音やばいね!
その荒海に今日も彼はいた
もともと趣味で釣りをやっていた彼が脱サラしてやって来たのは今年9月。
挑むのは釣り糸一本で勝負する伝統の一本釣り。
狙うのは高値で取り引きされる高級魚関さば関あじだ。
が…
そんな永倉さんに師匠が与えた課題は…
つまりそれは海の底にオモリを当てる事で海底の地形や起伏を身をもって覚えろという事。
その起伏に魚が潜んでいるのだ。
しかしこの広い海の底全てを知るのに何十年かかる事か…。
それでも…
修業が始まってしばらくこの日も師匠と共に漁へ出ようとする永倉さんに別の漁師から声がかかった
みんな永倉さんが一本釣りの伝統を受け継いでくれる事を願っている
そんな中師匠直伝オモリを底に当てる訓練が始まった
はい。
このころ永倉さんはオモリを底にちゃんと当てるようになっていたものの…別の悩みを抱えていた
師匠から新しいオモリが。
オモリが切れるのには訳がある。
佐賀関の一本釣りはオモリで海の底をなぞるようにして起伏に潜む魚を釣り上げる。
その際微妙な感覚が分からないとオモリが底に引っ掛かり切れてしまう
今度もまたやはり…
すごいな師匠。
ところが永倉さんは自分の腕の未熟さよりオモリの形の事が気になる様子
どうやら師匠のオモリが自分に合わないと考えているようだ。
するといきなり師匠に…
もともと釣りに自信のある永倉さんはうまくいかない事に焦りを感じていた
そして更に師匠の教えとは別の行動をとってしまう。
見ていたのは魚群探知機。
海が荒れると当てにならないからなるべく頼らないようにと教えられていたのだが…
釣れたのはいいけど…。
そんな永倉さんの態度に師匠は覚悟の甘さを感じていた
しかし永倉さんにも長年釣りをやってきたという意地があった
(一同)乾杯。
この夜開かれた歓迎会。
永倉さんの発言が漁師たちのプライドに火を付ける事に
何を言うたんや?
漁師になるという厳しさとことん思い知った夜だった
それでも永倉さんには応援してくれる人たちがいる
全部もらってええの?ええよ。
優しいなぁ。
みんなの期待に応えるためにも一から謙虚に学んでいくしかない
いやでもあの歓迎会で言ってはる事はすごい深い事を言うてはったけどね。
プライドとかなんかそういうのもあるやろうけどそういうのも全部捨てて。
我々の仕事でも通じるもんはありますよね。
「郷に入れば郷に従え」よなほんまに。
ロケ行っていろいろ話もしてきたんでしょ?いやぁ来週明らかになると思うんですけどなんでそんな焦ってるとか聞いてきましたよ。
おっ!いろいろあんねやそこには。
高度180メートルの橋の上
2014/11/25(火) 16:05〜16:30
NHK総合1・神戸
応援ドキュメント 明日はどっちだ #65[字][再]
関ジャニ∞が頑張る人々を応援する連続ドキュメンタリー。ピアノ修復師をめざす20歳は最終章。全身全霊で修復したピアノは、よみがえるか?漁師修業の27歳も新展開!
詳細情報
番組内容
震災で自宅と愛するピアノを失った斉藤真帆さんは「自分の復興をしたかった」とピアノ修復師をめざして上京、厳しい道を歩み始めた。そんな真帆さんに老夫婦から依頼が。よう逝した娘が弾いていたピアノを40年ぶりに響かせたいという。必死の思いで挑むが、作業は難航し期限は迫る…そして感動のラストが!一方、大分・佐賀関で漁師修業を始めた永倉和久さん。狙うは関サバ・関アジだが、伝統の一本釣りを習得するのは難しく…。
出演者
【出演】渋谷すばる,村上信五,横山裕,【語り】岡本玲
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
バラエティ – トークバラエティ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:13293(0x33ED)