12月といえば忘年会シーズン。
こちらは海の幸を堪能させてくれるという居酒屋。
開店と同時に満席だ
その目玉商品がこれ
しかも生きてるじゃなイカ
少々高めだが抜群の鮮度
この透き通る身がその証しだ
イカ嫌いだったという女性がこの表情
鮮度の秘密はこちら。
その日の
ほら生きてるでしょ
これを注文が入ってからさばく
おいしいはずだ。
こんなイカが味わえるのはある機械のおかげなのだ
北方領土の国後島をのぞむ
イカ釣り漁は今が旬。
ふだんはひなびた漁港に全国から
その数100艘近く
特別に乗せてもらった
夕暮れの海原を進むイカ釣り漁船団
同行させてもらったのはイカ釣り漁40年の
目的の漁場に到着。
早速明かりをつける。
これでイカをおびき寄せるのだ
ところが境さんなぜか窓の外を眺めるだけ。
人けのない甲板を見てみると…
次々とイカが。
おもしろいように釣れていく。
実はこれこそ
あっという間に大漁
もちろん境さん本当に寝るわけじゃない。
なにやら手もとのパネルを操作し始めた。
イカの釣れ具合を見て
糸には小魚に似せた
イカ釣りロボは設定どおりに海に投げ入れてくれる。
そしてここからがロボットの本領発揮。
それがこのシャクリ
機械を見ると不規則な動きを始めた。
実はこれが巻き上げたり一瞬止まったり
かつて手釣りの漁師が行っていたイカ釣りの技だ
それは糸を前後に動かして水中の疑似餌を生きた小魚のように見せるイカを騙すテクニック
イカは目がいいといわれている。
小魚に見えるよう動かすには熟練が必要だった。
このロボットはそんな漁師のシャクリを忠実に再現しているのだ
それを船室のパネルで集中制御できる
状況に応じて一つひとつを別の動きにすることも可能。
少ない人員でイカを効率よく獲れるようになった
かつては人海戦術で行っていたイカ釣り漁。
しかし漁業に携わる人は50年で4分の1に減った
その人手不足を補っているのがイカ釣りロボなのだ。
境さんの船も3人の作業員が乗り込んでいるだけ
それでも大漁だ
漁を終え羅臼の港に戻ってみるとどの船も大漁
そしてやはりどの船にもあのイカ釣りロボが
1艘分15台のシステムでおよそ1200万円かかるというが…
そんなロボが獲ってくれたイカが私たちの食卓に届いているのだ。
鮮魚売り場に必ずあるイカ。
こちらは1パイ250円
今日のお昼はイカ料理
醤油で甘辛く味付け。
う〜ん香ばしい香り。
子供たちが待つ食卓へ。
日本人はイカが大好き
(一同)いただきます。
5人の子供たちが一斉にかぶりつく
漁師も消費者も助けるイカ釣りロボを作る会社は函館にある。
どんな会社なんだろう
港に近い住宅街に建つこの建物
まさに町工場そのもの
そこでは一つひとつ手作りでイカ釣りロボットを組み立てていた。
荒波にも耐える頑丈な作りが自慢だ
東和電機のイカ釣りロボは
しかも…
堂々たるグローバル企業なのだ
そんな世界企業のトップを探すと…。
会社の体育館で卓球?
しかも女子社員相手にコテンパン。
そんな男が今宵の主役
浜出は根っからのエンジニア。
今でも商品開発の先頭に立っている
浜出が中心となり取得。
イカ釣りロボの開発も浜出自らが取り組んだ成果だ
そんな浜出が訪ねてきた客に必ず見せるのが…
夜の地球の写真だというのだが
これが北海道これが本州これが九州なんですよ。
そんな浜出の生み出したさまざまな釣りロボットが世界中の漁師を助け私たちの食卓においしい海の幸を届けているのだ。
そしてそれは今も進化し続けている
今宵ははいスタジオに全自動イカ釣り機を持ってきていただきました。
浜出さん簡単に言うとどんな仕組みなのか説明していただきたいんですが。
はいわかりました。
お願いします。
これにテグスを巻きましてそのテグスにこういうイカ釣り針を…。
イカってすごく視神経が発達してて判別機能がすごいらしいんですよね。
ですからこういう小魚をパッと見たときかかったイカはそれを見抜けなかったイカたちなんですか?そうです。
そのシャクリっていう動きが難しいんですねそれをこの機械で実現していくのは。
ある意味ではこの機械はイカを釣る機械ですけどもあまりかっこよくありませんけどね。
なんか頭脳勝負みたいなとこありますね。
そうですね。
頭いいんだイカってほんと頭いい。
俺はたぶん食っちゃうだろうな。
そして疑似餌を持ってきていただきました。
こうやって見るといろいろな種類があるんですけど龍さん気になるものは…。
このロケットランチャーみたいの何ですか?これくらいの針ですから
これがペルーのイカ漁。
大きな針にかかったイカはこんなに巨大
ちょっとおもしろいのあるんですよろしいですか?これがですね…ちょっと触っていただけますか?はい。
あっやわらかい。
やわらかいです。
この名前がですねなんとえ!?え!?オッパイ…オッパイ針?オッパイみたいな感触…。
それでどうもですね外れないらしいんですよ。
オッパイ針という。
(笑い声)おもしろい。
なんかやっぱり海の男たちってそういうユーモアがあるんじゃないですかね?なんか遊び心があるよね。
ねぇほんとに。
でもイカって日本人ってものすごくいっぱい食べてるんですよね?そうですねはい。
そうなんです。
ちょっとこちらご覧ください。
総務省の調査では家庭で購入する魚介類のランキングでイカはサケやマグロとともに常に…常にですよ常にベスト3に入っているということで。
これベスト3ですけれども。
イカってなんかこう謙虚っていうか…。
俺が俺がっていう感じがないですもんね。
(笑い声)全然おもしろくないですよね。
いやいや…。
浜出さんが作ったイカロボはガンガン獲れるわけですよねイカが。
あれでイカが絶滅するっていうことはないんですか?しかもイカだけですもんね。
そうですね。
他の漁法だと他の魚も獲れてしまうわけですもんね。
まったくそのとおりです。
現在イカ釣り機は何か国くらいで販売されているんですか?これは浜出さんがおっしゃってるんですけど要するに漁業っていうのは毎日が賭けみたいなもんだと。
漁に出て機械が不都合だっていうことは許されないんだと。
みんな家族にそれを…。
函館にある
あるとき親戚の漁師から依頼が入る
これがきっかけ
大ヒット。
造船不況を横目にイカ釣り機のトップメーカーとなった。
ところが…
浜出が見せてくれたのは当時続々と現れたライバルのパンフレット。
なんとあの松下電器までイカ釣り機を売り始めたという。
そして1980年代に入り東和はトップの座を失う。
浜出が30代のときだ
なんとか再びヒット作を生み出せないか。
そんななかあるものに出会う。
それがコンピューターだった
当時のイカ釣り機は漁師が手で細かくボタンを操作。
糸の上げ下げを行いシャクリを作り出していた
浜出はそれをコンピューターで自動化すれば絶対に売れるはずだと他社に先駆けて開発に取りかかった。
社内に勉強会を立ち上げコンピューターについてゼロから研究する一方客に耳を傾けなくなったという反省をもとに全国の漁師のもとへ通い生の声を徹底的に聞き回った
そして完成させた世界初の…
ライバルは撤退しトップを奪還した
漁師の声を聞きながら他を寄せつけない進化を遂げてきた
一方こちらは都内の有名寿司店。
ふるまうのは絶品のうまさで一貫1,600円…
実はこの大間のマグロ漁にも東和の驚くべき釣りロボが。
その実力とは?
ここは言わずと知れた寿司の名店
その最高級品がこのマグロ。
まさに絶品中の絶品
店主が自信を持って出す美しいマグロはあの…
大間のマグロといえば高値で取り引きされる最高級の代名詞
度肝を抜いた
津軽海峡をのぞむこここそ日本屈指のマグロの産地
船を見てみるとそこかしこに
そこにはHAMADEの文字
実はこれも東和電機のヒット商品
そんな大間へやってきた浜出。
目的はなじみの漁師菊池さんとの再会だった
この菊池さん大間で知らぬ者はいない。
誰よりも多くのマグロを獲る名人中の名人。
このマグロ釣り機は
怒られながら実現した名人技とは…
ほとんどあかしたことがないという名人の漁に同行させてもらった
港を離れてほらほらほらほら!!
発見したのはマグロのエサとなるサンマの群れ
この下にマグロがいるに違いない。
すぐさま糸を投げ入れる菊池名人。
その仕掛けやエサは一切企業秘密。
糸に手を添え静かに獲物を待つ
かかった!
ここからが浜出のマグロ釣り機の出番!
不規則に回転しながら糸を引いている。
これこそ菊池さん伝承の技
これまで漁師はマグロを手で釣っていた。
激しく動き逃げようとするときは緩めおさまると引き寄せる。
そんな絶妙の力加減で釣り上げる。
これが名人の技だった。
この機械はその技を再現。
マグロが糸を引く力をリアルタイムで検知しそれに応じてモーターの力を強めたり弱めたりする。
試作機では糸を切られることも多かったが浜出が名人に怒られながら一から作り上げていった
菊池さんついにマグロをキャッチ。
手釣りなら3時間を超えていた格闘が暴れるな。
今では名人もこの機械なしでは漁ができないという
実はこのマグロ釣り機もうひとつ菊池さんの意見を取り入れたところがある
機械の色をピンクにしてくれという要望だったのだ
何から何まで名人の声を聞いて作り上げたこの機械
大ヒットとなった!
浜出はこうして全国の名うての漁師たちとタッグを組んで商品の開発や改良を行ってきたのだ
そんな浜出が大切に保管してきたものがある
浜出と社員はこの一軒一軒を手分けして回りその改良をしていったという。
こうした地道な努力があってこそ
主力製品に成長したのだ
今でもそんな浜出の精神は生き続けている
やってきたのはこの地域を担当する
漁を終えたばかりの漁師を訪ねるのが日課だ
そして船に乗り込むとさりげなく機械の状況をチェック
そして漁師たちの生の声を拾う
東和では小野寺のようなスタッフが地域の漁師と深い関係を保ち続けている
漁師たちと共に生きる。
これが東和電機の信条だ
VTRとか見てると漁師さんたちへのあるいは漁業っていうものへの深いリスペクトがあるような気がするんですよ。
敬意っていうか。
やはりそうやって漁師さんと一緒に共同しながら開発していくようなかたちになるとやっぱり名人といわれるような人と組まなきゃいけないわけですよね。
そうですねそうです。
そういった人は全国に何人くらいいるんですか?でもそんなものなんだ。
なかなか名人といわれる方々は厳しい方が多かったりするんですか?多いですねやっぱりね。
本当にうまい関係バランス関係でつきあっていくとやっぱりそうやってお互いに対してウィンウィンの関係で情報交換もできたり新製品作れたりっていうふうになるんですね。
あの大間のマグロのときの映像では怒られたっていうふうに…。
そういったことを受けて浜出さんはどういうことをなさるんですか?
浜出が今また漁師を救うため研究に没頭しているものが…。
それを見せてくれるというのだが…
うわっなんだ!?
近年日本の漁師たちを苦しめている問題それが…
漁師たちが使う重油の価格は年々上がり続け…
わずか5年で1.7倍になった。
イカ漁への影響は特に深刻。
船を動かす燃料だけでなくイカをおびき寄せるいさり火
しかもひと晩中つけたまま
これまで漁師と共に歩んできた浜出。
彼らを救うために今研究に没頭している製品がある
それはスイッチを入れると…
お〜っまばゆいばかりの光。
今話題の
省エネのLEDをいさり火として製品化すれば燃料費を大幅に削減できるそう考えたのだ
三陸沖で操業する漁船
すでに東和電機が開発したLEDが活躍していた
実はこれサンマ漁の船。
サンマも光に集まるのだ
LEDの光にサンマの大群が押し寄せた
集まったサンマをサーチライトで1か所に誘導していく
そして一気に網の中へ…
この日は大漁
100トン以上のサンマを釣り上げた
しかしなぜか浜出は浮かない顔。
それにはわけが…
サンマ漁のLEDは成功したがなぜかイカは芳しくない結果が続いていた
ここに浜出の秘密兵器が
それがこの船
その名も…
早速この日もイカ漁へ
乗り込んだのは
漁が始まった
LEDの照明でイカをいかに釣るか
文明の光が海を照らすが…
ほとんど空振り
どうすれば釣れるのか。
試行錯誤は続いていた
なぜイカはLEDの光ではダメなのか。
イカの生態に詳しい専門家に聞いてみた
イカを攻略する手だてを求めて浜出が東京にやってきた
訪ねたのは
これまで漁師の名人たちと二人三脚で商品作りを行ってきた浜出。
今度はLEDの名人たちとタッグを組むことにしたのだ
すぐに函館に帰ってまた研究だ
普通の照明をLEDに替えるっていうのではダメなんですか?何が違うんだろうイカにとって。
イカってすごく視神経が発達してて嫌な明かりとかあるんでしょうねきっと光とか。
ありますね。
イカにね。
そういうイカを騙すLED作るの大変ですね。
そうなんです。
漁師さんにとっても助かるんですね。
そうなったほうがやっぱりコストの問題とかでもね。
一次産業の方がゲストにお見えになると必ず食料的なこと話題になるんですけども日本の漁業もいろいろこう問題になっているんですがこれから日本の漁業をなんとか生き残りっていうかサバイバルしていくために浜出さんどういうことが必要だとお思いですか?大型の?はい。
そもそも大型のイカ釣り船が造られてないわけですね。
まずいじゃないですか。
自分たちで食っちゃうもんねみたいな感じですかね?でも浜出さんの機械はそれを多少は救うもんですよね?だと思います。
収録中浜出がこんなことを
たぶんイカの先祖じゃないですかね。
カンブリア期に生息した
その真実やイカに!?
収録を終えて村上龍はこんなことを考えた
2014/12/11(木) 22:00〜22:54
テレビ大阪1
カンブリア宮殿【ハイテクで漁師を救う!革命起こした小さな世界企業】[字]
大間のマグロ・羅臼のイカ・三陸のサンマが連日大漁!驚異の釣りロボを開発…ハイテクで漁師を救い食卓に海の幸を届ける…函館のグローバル町工場の挑戦!
詳細情報
番組内容
「大量のロボット導入で、日本の労働力問題は解決する」。そう語り、ロボット事業へ参入したのは、ソフトバンクの孫社長。ところがある業界で、すでに“ロボット革命”を成し遂げた中小企業がある。それが「イカ釣りロボ」だ。漁師に伝わる名人のノウハウを次々にコンピュータ化。漁火に集まったイカを大勢の漁師が釣り上げる…そんな光景を過去のものとし、漁をたった1人の作業に変えた革命的ロボットだ。
番組内容つづき
日本のみならず、中国や韓国、南米、ニュージーランドなどに輸出、世界シェアは実に7割を誇る。後継者不足から魚の流通までも一変させた“漁業革命”。それを現実のものとした、知られざる地方の世界企業を取り上げる。
出演者
【ゲスト】東和電機製作所社長 浜出雄一
【メインインタビュアー】村上龍
【サブインタビュアー】小池栄子
関連情報
【ホームページ】
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