(一酸化炭素が漏れる音)
(一酸化炭素が漏れる音)
(新村辰希)では皆さんよ〜く見ていてください。
こうして鎖の端を外に垂らすと…。
あっすごい!でもどうして?これってマジックじゃないんですよね?「ニュートンのビーズ」と呼ばれる現象です。
こういった鎖の不思議な動きも物理の法則で説明が可能です。
そして本日もう1人のゲスト科学捜査のプロ京都府警科捜研の榊マリコ先生です。
榊先生今の実験はいかがでしたか?
(榊マリコ)はい科学捜査の観点から見ても大変興味深いです。
この鎖の強度ならば絞殺の凶器に使用する事も可能です。
その場合どのような索条痕が残るか興味深いです。
凶器…ですか?はい。
しかも犯行後鎖の球をバラバラにする事が出来れば凶器であった事を隠蔽する事も可能です。
何かおかしな事言っちゃいました?
(涌田亜美)ツイてないですよねぇ。
マリコさんがテレビ出演で留守の日に変死体が見つかるなんて。
(相馬涼)逆でしょ逆!こういう時こそチャンスなんだから。
(宇佐見裕也)チャンスですか?科捜研はマリコさんだけでもってるんじゃないって事を証明するチャンスって意味ですよ。
マリコさんがいなくてもこの事件きっちり俺が解決してみせますから!えっと現場は確か…。
工学部物理工学科の高崎研究室だそうです。
(相馬)だったらこっちですよ。
えっ工学部はこっちじゃ…。
研究棟ならこっち通ったほうが早いの。
(2人)ん…?
(木島修平)こちらです。
(宇佐見)亡くなったのはこの大学の人ですか?いえ総合化学企業の洛南テクノロジーの社員で名前は浦西修一。
43歳です。
(土門薫)洛南テクノロジーはこの研究室に資金提供していたらしい。
(木島)検視官の話では一酸化炭素中毒の可能性が高いそうです。
死亡推定時刻は昨夜午後10時から午後12時の間。
このグローブボックスで一酸化炭素を使った実験をしてたみたいですね。
一酸化炭素が漏れてたとすれば事故って事ですか?予断は禁物。
詳しくは解剖を待ってから。
洛北医大に搬送を。
俺が立ち会います。
あいつ何かあったのか?恐らくマリコさんになりきってると思われます。
「本日のゲスト京都総合大学物理工学科准教授の新村辰希先生です」
(司会者)「なんと新村先生は超高性能な新型電池の開発に成功され今世界で最も注目されている若き天才科学者なんです!」
(新村辰希)榊先生お疲れさまでした。
(榊マリコ)開発された新型の電池というのはどのような?従来の電池よりはるかに小型で充電速度は3倍以上。
携帯電話や通信機器の性能を飛躍的に高めるものです。
それはすごい発明ですね。
京都府警の科捜研っていうと相馬涼っていませんか?ええ。
新村先生は相馬君ご存じなんですか?大学で同期でした。
もっとも彼は院には進まなくて…。
あっあいつの事だから相変わらず無駄な実験を繰り返して税金の無駄遣いとかしてるんじゃないですか?いえ相馬君は優秀な研究員で…。
(携帯電話)ちょっとすいません。
はい榊…。
えっ?京都総合大学で男性の変死体…。
(風丘早月)あ〜ごめんごめん!いや自治会長さんに出がけにつかまっちゃってさ。
いや…あれ?マリコさんでも今日テレビじゃなかったっけ?男性43歳。
一酸化炭素中毒の可能性があります。
相馬涼…。
(早月)どうも…。
急いでください。
はい…。
死斑は鮮紅色。
明らかに一酸化炭素中毒の所見ね。
風丘先生手の甲のこの辺なんですけど…。
(早月)ああ湿疹…っていうかかぶれ?…まさかとは思うけどマリコさんになりきってる?念のため組織検査をお願いします。
はい。
では開きましょうね。
(日野和正)さてと…。
マリコ君はいないけど鑑定の結果を…。
現場の指紋と足跡痕どうでした?ああ…実験室内には亡くなった浦西さんも含めて研究室の関係者の指紋と足跡痕があったけども不審なものはなかった。
そうですか。
あっ宇佐見さんのほうは?実験室の試薬には…不審なものは見つかりませんでした。
なるほど。
だったら亜美ちゃんあの映像関係のさ…。
(日野)なんで君が仕切るかなぁ。
解剖の結果は?死因はずばり一酸化炭素中毒。
血中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度が60パーセントを超えていました。
(亜美)一酸化炭素なんて実験に使うんですか?高崎研究室では新型の電池の開発を行っていました。
セパレータという膜を作るのに独自の製法で大量の一酸化炭素を用いていたようです。
現場で使われていたグローブボックスです。
このガス管を通して一酸化炭素が送られる仕組みなんですがこの部分のナットが緩んでました。
恐らくここから一酸化炭素が漏れて狭いサブ実験室内の一酸化炭素濃度が急激に高まり浦西さんはそれを吸って死亡した。
でもおかしいです。
これ見てください。
(亜美)実験室内の空気のモニタリングデータです。
死亡推定時刻の一酸化炭素濃度は100ピーピーエム。
つまり0.01パーセント以下だったと記録されてます。
その濃度では死亡には至らないはずです。
妙ですねぇ。
考えられるのはモニタリングシステムが誤作動して実際の濃度より低い数値を表示した。
って事は亡くなった浦西さんという人は誤ったモニタリングデータを信じて実験室内に一酸化炭素が漏れていた事に気づかなかったせいで…。
まあ要するに不運な偶然が重なった事故…。
いや!決めつけるのはまだ早いですよね。
所長遅くなりました。
俺もう1回現場見てきます。
あ…!マリコ君相馬君止めて!ちょうどよかった。
私も現場を見てないので一緒に行ってきます。
なんだかいつもの2倍疲れる気がする…。
(木島)亡くなった浦西さんは外部の方ですよね?そんな人が実験室を使うなんていう事はよくあるんですか?
(高崎悦郎)うちの研究室は洛南テクノロジーさんと技術提携をしている間柄で開発担当の浦西さんには実験室の鍵もお渡ししていましたから。
(野添千尋)洛南テクノロジーさんとは彼が開発に成功した電池用セパレータに関して近々独占ライセンス契約を結ぶ予定になっていたんです。
電池用セパレータ?
(新村)電池に使う高分子膜です。
それを使うと従来とは比べ物にならないほど高性能な電池を作る事が可能になるんです。
ところで昨日浦西さんが亡くなる夜10時より前に浦西さんに会われた方はいますか?いえ僕はテレビの収録の準備で早くに帰ったので。
高崎教授はいかがですか?彼が来ていた事も知りませんでした。
えっと…ポスドクの野添さんでしたよね?あなたは?いえ…。
私も昨日は浦西さんには一度も会っていません。
ガス管のナットは振動で緩む可能性はあるし一酸化炭素は無色無臭。
漏れていても気づかない。
ちょっと!何勝手に捜査してるんですか!いやいや捜査ってほどじゃないですよ。
だって俺ここのOBだし。
先生!ご無沙汰してます。
ああ君か!先ほどはどうも。
参ったよ。
この刑事さん事件が解決するまで研究室に入らないでくれってさ。
優秀な研究員なんだろ?だったら早く事故だって結論を出して俺の貴重な研究を再開させてくれよ。
おう。
頼む。
(高崎)あの2人はよきライバルだったんだ。
新村君は天才肌で誰も思いつかないようなひらめきで斬新な仮説を立て最小限の実験でそれを立証する。
相馬君はそうじゃなかった。
ああ彼は…まあ言うならば努力を惜しまないタイプでね。
とにかく実験の数だけでは新村君に負けまいと結果が出るまではひたすら実験に次ぐ実験を重ねてある時は実験の予算を使い果たしてしまう事があったよ。
相馬君は秀才だったが同期に新村という天才がいて科学者としては何があっても超えられない…。
優秀だからこそそれが痛いほどわかってしまったんだろう。
(早月)まいど〜!
(相馬)風丘先生!今日はカップケーキ!
(相馬)じゃなくて分析結果これですよね?やだ…なんか変なもん食べた?相馬涼。
分析結果ってなんです?あ…ご遺体のね手の甲にかぶれがあったのよ。
で調べたら植物性だった。
なるほどプロトアネモニンね!…ってなんでしたっけ?キンポウゲ科の植物の茎や葉に含まれている成分ですね。
へえ〜キンポウゲって結構よく見る花なのにね。
あっ…。
俺ちょっと出てきます。
(早月)えっ食べないのか?これか?ん?違うな。
全然違うわ。
うん。
違うか…。
大学中の草全部調べるつもり?いやこの辺だと思ったんですけどね。
えっ?大学って意外と人目があるから教授に知られたくないノートの貸し借りとか隠れて一服とかよくここ使ったんですよ。
でも今思い出すとそのあと手とかかゆくなったなと思って。
じゃあ浦西さんも人目を避けて何かをしていた…。
今俺の事鋭いと思ったでしょ?ううん。
キンポウゲ科にはつる植物もあるから植え込みもよく見てね。
はい…。
相馬君が今回の事件にこだわっているのってやっぱり関係者の中に新村さんがいるからなの?どういう意味ですか?高崎教授から聞いたわ。
相馬君は同期に新村さんがいたせいで研究者になるのを諦めたって。
いや…だってあいつはマジで天才だったしこっちが逆立ちしてもかなわなかったんでね。
まああんまり悔しいんでよくいたずらしてやりましたよ。
いたずら?
(相馬)ある時なんか新村が実験してる時に…。
(相馬の声)隙見て酸性の試薬とアルカリ性のやつをすり替えてやったんですよ。
まあその時は高崎教授にこっぴどく叱られましたけどね。
私でも絶対怒ると思う。
でも俺この事件だけはきっちりと答え出したいんですよ。
答え?だって新村の奴研究者としてちゃんと答え出したじゃないですか。
俺は研究者にはなれなかったけど科学捜査に出会えたしこの道を自分で選んだからにはプロとして恥ずかしくない答えを出したいだけなんですけどね。
それを聞いて安心した。
ほら手が止まってるわよ。
いや話振ったのマリコさんじゃないっすか。
マリコさんこれ!間違いない。
キンポウゲ科のセンニンソウね。
(相馬)だったらこれを採取して…。
待って。
ここならゲソ痕がとれるわ。
浦西さんの皮膚周辺から見つかったかぶれの成分は植え込みのセンニンソウとDNAが一致しました。
さすが宇佐見さん!そのセンニンソウに触れたのは炎症の程度を調べた結果死亡する2〜3時間前だとわかったわ。
という事は午後7時から10時だから亡くなる直前に浦西さんはあの植え込みにいた…。
なんのために?植え込みにあったゲソ痕は2種類。
1つは浦西さんでもう1つはこれ。
野添千尋って…確かポスドクの?あれ?ちょっと待ってください。
私も昨日は浦西さんには一度も会っていません。
聴取の時彼女は浦西さんには会っていないって。
(落下音)ポスドクの野添千尋で間違いありません。
嫌疑がかかった直後に亡くなるなんて妙ですね。
死亡推定時刻は昨日の夜10時から12時の間。
亜美ちゃんこれ分析よろしく。
はい。
頭部に激しい損傷。
骨折も見られる。
転落死の可能性が高いわね。
(相馬)あそこ高崎研究室ですね。
だーっ!うわっ!うおっ!?うわっ!自分から勢いをつけて飛び降りようとしてもこの壁が邪魔で結局こういう体勢になるしかないんです。
つまりこの窓から落ちるには上半身を乗り出して頭や上体の重さを利用して真下に落ちるしかない。
じゃあ落下の方法は1つという事ですね。
逆に言えばこの条件下で自分から飛び降りたのか誰かに落とされたのかを判別するのは不可能なんです。
お疲れさん。
おっとととと…。
ああっ!痛っ!何これ!?確かボールミルとかいう機械で実験用の素材なんかを細かく砕くのに使うみたいな。
先生この辺り血腫ですか?ああ皮膚も破れてたし生活反応も見られたから転落時に出来たものだと思う。
えっ…。
CTデータも送りますか…?
(亜美)このUSBメモリ実験室のモニタリングシステムを誤作動させるプログラムが入ってました。
えっ?
(日野)そういう事か…。
(相馬)どういう事ですか?だから彼女は亡くなる直前の浦西さんとその植え込みでこっそり会ってたんだろ?ひょっとして…ポスドクの野添千尋とスポンサー企業の浦西さんの間に何かトラブルが生じ野添千尋は浦西さんの殺害を計画。
あらかじめガス管のナットを緩めておきパソコンが誤作動するように細工をして浦西さんが夜一人で実験室を使うように仕向けて殺害した。
だけど捜査の手が自分に迫ってきた事に焦って…。
発作的に飛び降り自殺をした。
だったらこの結果を土門さんに報告しないと!待って。
1つ気になる事が…。
野添千尋さんの後頭部の血腫は転落した時かその直前に出来たものと見て間違いないの。
転落する直前ですか?もし仮に何者かが鈍器で野添さんの後頭部を殴打したあと窓の錠や窓枠に彼女の指紋をつけた上で転落させたとしても今回と同じ状況になるはずよ。
(相馬)その場合はマジで殺人って事でしょ?所長答えはもう少し待って頂けませんか?ダメですね。
血痕は見つかりません。
(相馬)出血量が少なくて床や壁には飛散しなかったのかもしれませんね。
だとしても凶器のほうには血痕が残ってるはずよ。
備品は全て調べましたけど血痕がついてるものはありませんでした。
(ため息)ねえここ…。
(木島)おっとととと…ああっ!痛っ!何これ!?現場検証の時には何かの容器があったはず。
(相馬)それなら廃棄物用の容器じゃないですか?実験によってはヒ素とかも使うんで有毒廃棄物は専門の業者が回収に来るんですよ。
これ中はどういう仕組みになってるんですか?容器の中に硬質のボールを入れて回転によって試料をナノレベルまで砕く事が出来るんです。
ひょっとして…。
はいご苦労さんです。
(相馬)そのトラックちょっと待って!京都府警です。
高崎研究室から回収した廃棄物を押収させて頂きます。
(宇佐見)放射性同位体などの危険物は含まれていませんでした。
ただの白い粉にしか見えないけどね。
ナノレベルに粉砕されていましたが成分はこれらと酷似していました。
長石と珪石粘土…これって磁器?実験室にある磁器といえば乳鉢?重量から見てこの大きさのものと思われます。
電池を作るのに乳鉢なんか使うんですか?使いますよ触媒を作る時に。
触媒ってなんでしたっけ?化学反応を促進させるための物質だよ。
乳鉢で試薬を混ぜて作ったりするんだ。
だとしたら乳鉢が凶器。
昨日の夜研究室に出入りした人間がわかりました。
新村先生研究室はまだ使っちゃダメなんじゃ…。
どうしても今日中に作っておきたい触媒があるんだよ。
教授には…。
頼む!に…新村が研究室に?それも触媒を作るために…。
時刻は野添千尋の死亡推定時刻の30分ほど前です。
まさか…。
仮に新村さんが研究室で触媒を作っていた時その場に野添さんもいたとしたら…。
自殺を装うため浦西さん殺害に使った誤作動のプログラムを野添さんのポケットに入れて…。
血のついた凶器の乳鉢は…。
ボールミルで処分した。
(粉砕する音)
(亜美)えっじゃあこの白い粉が凶器?なら血痕が出れば証拠になるんじゃない?
(宇佐見)いやそれは不可能です。
(木島)なんでです?ルミノール試薬は赤血球に含まれるヘモグロビンに反応して蛍光反応を示すけどこの状態ではヘモグロビン自体がナノレベルに分散してしまってたとえ発光しても肉眼で確認する事は出来ないと思う。
証拠が目の前にあるのに調べようがないって事か…。
待ってください。
新村はそんな事するわけありません。
だってあいつには野添さんを殺す動機なんてないじゃないですか。
動機ならある。
土門さん…。
野添千尋の自宅のクローゼットに隠してあった。
(木島)預金通帳のコピーですね。
名義は新村辰希。
ああ。
新村の口座に亡くなった浦西修一から定期的に多額の振り込みがあった。
振り込まれた金の出どころは洛南テクノロジーなのも確認済みです。
それって裏金という事ですか?新型電池のライセンス契約をネタに新村が浦西に裏金を要求しそれが原因でトラブルが生じたとすれば十分な殺害の動機になります。
そして野添さんも裏金の存在に気づいていたとしたら…。
新村辰希が犯人だとすれば全て筋が通ります。
天才科学者どころか不正に手を染めた汚れた科学者だったんですね。
新村!お前がやったのか?
(新村)やったって何を?浦西さんを事故に見せかけて殺しその罪を野添さんに背負わせるために彼女を殴って気絶させて飛び降り自殺を偽装したんだろ?本気で言ってるのか?凶器だってわかってる。
直前までお前が実験で使ってた乳鉢だ。
お前はそれをボールミルで隠滅しようとしたんだろうが!面白い仮説だな。
けどナノレベルまで粉砕されたら指紋はおろか血痕すら見つからないんじゃないのか?まあその仮説せいぜい頑張って証明するんだな。
お前のお得意の無駄ばっかりな実験の積み重ねでな。
てめえ!やめなさい!榊先生こいつに教えてやってくださいよ。
科学者にとって一番大事な事は結論ありきでがむしゃらに突っ走る事じゃなくて誤った方向に進んでいるとわかった時に引き返す勇気だって。
失礼します。
新村です。
あいつがやったんです。
あいつは全部わかってるんです!凶器の乳鉢をボールミルで砕いたのだって計算ずくだったんだ!まさか証拠の血痕が鑑定不能になる事もわかっていてそうしたって言うの?あいつは天才なんです!犯罪を隠すのにだって他の誰も思いつかないような方法を選んでくるんです!すいません…。
無理です。
あいつには勝てません。
相馬君昨日言ったわよね?答えを出したいって。
相手が天才科学者だから自分ではかなわないから証拠は見つけられない…。
それが相馬君の答えなの?たとえ相手が誰であっても犯罪を行えば必ず証拠は残る。
それを客観的事実の積み重ねで立証する。
それこそが今の私たちに出来る事なんじゃない?鑑定不能の血液を見つけるってどうやって?1つアイデアがあるんです。
蛍光X線分析法。
X線を用いて元素を特定するんです。
なるほど。
ヘモグロビン自体ではなく含まれる鉄を検出するという事ですね。
検出された鉄の量が乳鉢そのものに微量に含まれている鉄よりも多ければ血液が付着していた可能性を明らかに出来るかもしれないでしょ?でもその方法だとめちゃくちゃ時間かかりますよね。
科捜研の装置なら一度に試せるのは3グラム。
それが大体40分かかるわね。
この450グラムの乳鉢の粉末を全て測るには交代で徹夜したとして…。
うわっ100時間!4日以上!?まさかと思うけどそれ…。
可能性がある限りやるしかないでしょ!皆さんもお願いします。
やりましょう。
(亜美)はい。
いいですよね?所長。
マリコ君が2人になった感じ。
お願いします。
はい。
(アラーム)よし!所長お茶入りました。
所長?ん…?おう…。
お茶どうぞ。
交代します。
あぁありがとう…。
(日野)代わろう。
あっお願いします。
マリコさん。
これ…。
(いびき)これで乳鉢に血液が付着していた可能性が出てきたわ。
問題は次のステップですよね。
その血液が被害者の野添さんのものだと確認する方法を探さないと。
4日かかってこんだけやってまだそのレベルなんだ…。
(宇佐見)ここを見てください。
ボリビウム?乳鉢でも血液の成分でもない元素です。
これ見てください。
新村が自分の研究について説明しているところ。
「新型セパレータのため独自の製法で開発した触媒を使用している」高分子膜用の触媒ならボリビウムに水酸化リチウム辺りを使ってもおかしくありません。
水酸化リチウム…。
(宇佐見)リチウムもわずかに検出されています。
リチウムもボリビウム同様乳鉢でも血液の成分でもない元素ね。
凶器の乳鉢で新村さんが独自の触媒を作っていたのならその成分が残っていたのかもしれませんね。
触媒の正確な材料がわかるといいんだけど…。
研究室の人間なら実験の記録は必ず実験ノートに残しているんじゃありませんか?マリコさん行きましょう。
捜索差押許可状を請求して!はい!それからアノードとカソードの短絡を防ぐ事。
今日はこの3つを覚えていってください。
(チャイム)
(新村)以上になります。
どこ行ってたの?ちょっと野暮用で…。
(新村)今日はなんのご用ですか?新村先生ちょっとよろしいでしょうか?あなたは野添千尋さんが亡くなった夜…。
どうしても今日中に作っておきたい触媒があるんだよ。
そう言って研究室を使われましたね?それが何か?その際独自の触媒を作るためボリビウムと水酸化リチウムを乳鉢で混ぜ合わせたのではありませんか?いきなりなんの話ですか?ボールミルで砕かれた乳鉢から血液と思われる鉄分の他にボリビウムとリチウムが検出されたんだ。
あなたの実験ノートにあの夜ボリビウムと水酸化リチウムを使って触媒を作ったという記載があれば凶器の乳鉢とあなたを繋ぐ重要な証拠になります。
おとなしく実験ノートを見せてもらおうか。
断る!ノートにはライセンスに関する重要なデータも書かれてるんだ。
外部の人間に見せる気はない。
どうしてもと言うなら令状でも用意してくるんだな。
土門さん!ガサ状取れました。
責任者の高崎教授にも立ち会うよう連絡済みだ。
よかった。
行きましょう。
はい。
新村さん。
今度は刑事さんまで一緒で…ご苦労な事ですね。
ガサ状です。
実験ノートの提出をお願いします。
新村君やましい事がなかったら素直に従うべきだ。
教授まで巻き込んで…申し訳ありません。
参ったな…降参です。
どうぞ。
「10月7日触媒を作る」「ボリビウム粉末300ミリグラムに水酸化リチウム100ミリグラムを加えて練る」つまりあの夜あなたが使った乳鉢にはボリビウムと水酸化リチウムを混ぜて作った触媒が残存していた。
ええ。
念のためこれも調べてみますか?それは?野添さんが亡くなった夜に使っていた乳鉢です。
どういう事ですか?乳鉢は凶器じゃなかったんですか!?
(新村)ボールミルがどうとか言ってましたけど何かの間違いじゃありませんか?だって僕があの夜触媒を作るのに使っていた乳鉢は正真正銘この乳鉢なんですから。
これで僕が犯人だなんていう見当違いの仮説は取り下げてもらえますよね?1つ聞いていいか?その触媒に紫外線を当てるとどうなるんだっけ?なんだよ?こんな時に。
青く光るに決まってんだろ。
青く光るって?こんな感じか?えっ…赤?紫外線で赤の発色って事はボリビウムに加えたのは水酸化リチウムじゃなくて水酸化ナトリウムだったんじゃないのか?まさか…。
もう忘れたか…。
昔俺がお前によくやった事。
ひょっとして野暮用って…。
どこ行ってたの?ちょっと野暮用で…。
つまりその乳鉢を使ったのは我々が来る直前で野添さんが亡くなった夜ではなかったという事ですね?だったら亡くなった夜に使った乳鉢を提出して頂けますか?出来るわけがない。
なぜならその乳鉢はすでに粉々に砕かれているんだからな。
科学者にとって客観的な事実や証拠より大切なものはないはずです。
なのにあなたはこれほど重要な証拠を捏造したんです。
野添千尋を自殺に見せかけて殺害したのは新村辰希お前だな?行こう。
(木島)「裏金は受け取っていなかった?」
(新村)「僕の新型電池は…」確かに画期的な発明なんです。
でも…セパレータに微妙な欠陥があって…。
見てくれ。
危険性と今後の改良実験に関する論文を書いた。
記者会見ではこれも同時に公表させてもらう。
(浦西修一)困った先生だ。
そんな事されたらこっちだって出すもの出さなきゃならなくなる。
なんなんだ?これ。
俺はこんなもの知らないぞ!でもマスコミは信じるでしょうね。
貴様…!ライセンス契約は予定どおりお願いしますよ先生。
(新村の声)欠陥を隠したまま発表すれば取り返しのつかない事態になる。
それだけはどうしても避けたくて…。
(新村の声)あの夜実験データを取り直してほしいと浦西を研究室に呼び出し一酸化炭素による事故を偽装して…。
だったら野添千尋はどうして?彼女は僕が浦西を殺した事に感づいてました。
これからは私を共同研究者にしてもらえますよね?そうすれば誰にも言いませんから。
裏金の事も。
(新村の声)血痕が重要な証拠なのはわかっていました。
(粉砕する音)僕の研究は画期的なものなんだ。
世界を変える可能性だってある。
なのに…裏金なんて汚名を着せられてこんなところでやめさせられてたまるか!相馬君が私に言ったんです。
「科捜研の研究員として恥ずかしくない答えを出したい」って。
それが何か?今回の事件で彼は答えを出しました。
それも科学者としてのあなたの功績に勝るとも劣らない答えを。
相馬君に今何か言うべき言葉があるんじゃないですか?なら…あいつに伝えてもらえませんか?「お前みたいに退屈な実験をバカみたいに繰り返す事が出来たら俺もこの欠陥にもっと早く気がつく事が出来たかもしれないって」
(新村)間違っているとわかった時に引き返す勇気が持てなかったのは俺のほうだったんだ。
相馬さんにはつらい事件だったかもしれませんね。
まっこの経験をきっかけにひと皮剥けてくれたらいいんですけどね。
なんで上からなんだよ!あれ?そういえばその相馬君どこ行った?あっ!引き返すべき時に引き返す勇気か…。
誰もがそれを持てたら犯罪なんて起こらないのかもしれませんね。
ああ。
同時に捜査に関わる俺たちもその言葉を心に刻んでおかなければならない。
これどういうツーショット?最後までマリコさんになりきってるし…。
(木島)土門さんまで付き合ってるし…。
これいいんですか?いいんじゃない?2014/12/11(木) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
科捜研の女14[再][字]
「欲望の殺人実験室!リケジョと裏金の陰謀鑑定不能の粉末血液」
詳細情報
◇番組内容
15周年を迎えた『科捜研の女』沢口靖子演じる京都府警科学捜査研究所の榊マリコが、犯罪現場に残された微細証拠を手がかりに、事件の真相を究明する科学捜査ミステリー。
◇出演者
沢口靖子、内藤剛志、若村麻由美、風間トオル、金田明夫、斉藤暁、長田成哉、崎本大海、山本ひかる ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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