シリーズ世界遺産100「ビガン歴史地区〜フィリピン〜」 2014.12.11


(テーマ音楽)大航海時代の面影を当時のまま残す町。
そこにはある夫婦の愛の物語がありました。
フィリピン・ルソン島北部の町ビガン。
16世紀スペインが築いた植民都市の一つです。
町並みを守るため車の乗り入れは禁止されています。
移動手段として今も馬車が活躍しています。
東アジア貿易の拠点として栄え町の中央には17世紀セント・ポール大聖堂も建てられました。
通りにはヨーロッパとアジアの文化が融合した独特の建物が並びます。
1階はスペイン風の石造りですが2階は中国の影響を受けた木造建築になっています。
ガラスが手に入りにくかった時代窓の格子にはフィリピンで取れるカピス貝を薄く削ってはめ込みました。
フィリピンの強い日ざしを和らげています。
近年建物の老朽化が進み修復が行われています。
作業の指揮を執る建築家のフロレンティーノさん。
16世紀の町並みが失われずに済んだ理由を知ってもらいたいと考えています。
第2次世界大戦中の1943年この町にある夫婦がやって来ました。
町を占領していた日本軍の司令官高橋フジロウ大尉とフィリピン人の妻アデラです。
2人が暮らしていた家が今も残っています。
高橋夫妻は自宅でパーティーを開き近所の人々を招待しては親交を深めていました。
しかし2人の幸せは長くは続きませんでした。
1945年アメリカ軍がルソン島への上陸を開始。
日本軍は次第に追い詰められ高橋大尉の部隊もビガンから撤退する事になりました。
撤退の際日本軍は占領した町を焼き払うよう命じていました。
撤退の前夜高橋大尉は大聖堂を訪れ神父に面会します。
「妻と子どもを連れていく事はできない。
町に残す家族を守ってほしい」。
これに対して神父は次のように頼みました。
「家族の安全は守る。
そのためにも町を燃やさないで下さい」。
町を焼き払うという軍の命令に背く事は死に値する重罪です。
その夜ビガンに火の手が上がる事はありませんでした。
高橋大尉の部隊は撤退したあと全滅したと伝えられています。
家族そしてビガンの人々と過ごした幸せな日々。
その幸せを守ろうと下した命懸けの決断が16世紀の町並みを守ったのです。
生字幕放送でお伝えします2014/12/11(木) 16:50〜16:55
NHK総合1・神戸
シリーズ世界遺産100「ビガン歴史地区〜フィリピン〜」[字]

「街を救った愛」▽文化遺産▽16世紀にスペインがルソン島北部に築いた街、ビガン。第2次世界大戦末期、街は焼き払われそうになったが、日本人将校の決断で救われた。

詳細情報
番組内容
16世紀にスペインが築いたルソン島北部のビガン。貿易で栄えた街は、ヨーロッパとアジアの文化が融合した建物が特徴。1階はスペイン風の石造りで2階は中国風の木造だ。第2次世界大戦中、街を占領していた日本軍の司令官はフィリピン人の妻と子どもに囲まれ、地元の人たちと親交を深めた。しかし戦争末期、アメリカ軍の上陸を受け、妻子を残して撤退を決意。撤退時に街を焼き払うよう命令されていた司令官が下した決断は…。
出演者
【語り】松平定知

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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