汚れを落としてもらい、迎春準備が整ったウミガメたちはさっぱりした様子でした。
(佐藤)《ありがとうございます》
(佐藤)《じゃいただきましょうか》
(麗子)《里美さんいただきます》
(里美)《どうぞ》《何か》
(風祭)《そのパンダもしよかったら僕に》《警部》《佐藤さんどうですか?》《ええおいしいです》で結局そのまま今日の捜査は終了したってわけ。
(影山)なるほどそういうことでございましたか。
何分かったようなこと言っちゃってるのよ。
昨日は推理を外したくせに。
確かに私真実を見誤っておりました。
じゃ何?今度は真犯人が分かったっていうの?はい。
誰よ。
そのためには少々説明が必要となります。
そしてこよいは特別な夜。
おいしそう。
謎解きはクリスマスディナーの後にいたしましょう。
私この後所用がございます故こよいは速やかなる謎解きで事件をひもといてゆこうと思いますが。
よろしいでしょうか。
大切な人を待たせてるんですものね。
まず最初に申し上げておきますが今回起きた2つの殺人事件は同一犯による犯行ではございません。
違うの?最初の事件は昨日私が見立てたとおり宮地沙織が文学賞や恋人を奪われた恨みから剣持留美を殺害したものです。
じゃ最初の殺人事件の犯人は結局宮地沙織だったっていうのね?はい犯人は合っておりました。
しかしそこに至る推理が間違っていたのでございます。
そこに至る推理?黒インクで書かれたXでございます。
私は母親の天道静子先生をかばうために娘の里美さんがカムフラージュとして書いたのだろうと推理しましたが本当はあのXを書いたのは佐藤武雄だったのです。
佐藤武雄?はい彼がそのようなことをした理由については今お話ししてもご理解いただけないかと思われますので後ほど説明させていただきます。
故に今はある理由でとだけ申し上げておきましょう。
ある理由?そのある理由に気付けなかったことが私が推理を間違った原因でもございました。
さらに私は2階に投げ込まれたトロフィーについても推理を誤っておりました。
何が違ったのよ。
あれは母親をかばうために娘の里美さんがやったことだと推理しましたが本当は里美さんが佐藤武雄をかばうためにやったことだったのでございます。
佐藤のため?はい。
朝方里美さんは剣持留美さんの遺体を見つけます。
そして同じくある理由から彼女はその犯人が佐藤武雄だと思ってしまった。
そこで佐藤武雄を容疑者から外すためにトロフィーを2階に投げ入れたのでございます。
待ってどうしてトロフィーを2階に投げ込んだら佐藤武雄が容疑者から外れるのよ。
昨日も申し上げましたとおり犯人は2階までトロフィーを投げる能力を持っている人物である。
つまり投げられない人物は容疑者ではなくなるからでございます。
でも佐藤武雄は2階にトロフィーを投げられるんじゃない?だってピッチャーだったって。
しかし佐藤武雄は肩を壊してしまいました。
《中学か高校のときに肩を壊しませんでしたか?》《ええ高校のときに。
それで野球はやめました》あなたバカね肩を壊したからってトロフィーくらい投げられるでしょ。
そんなことも分からないの?さすがお嬢さま。
佐藤武雄の言う肩を壊したとは剛速球が投げられなくなっただけでトロフィーくらいは投げられるということが分かってらっしゃるんでございますね。
当然でしょ。
しかしながらお嬢さま果たして小学校から音大付属でピアノ一筋スポーツに疎い13歳の少女が肩を壊したという言葉の意味を正しく理解できたのでしょうか。
里美さんは肩を壊した佐藤武雄が重いトロフィーを投げることなんてできないと思っていた。
そしてけなげな少女は必死に考え2階にトロフィーを投げ込めば佐藤武雄を容疑者から外すことができると思い付いたのです。
ところが。
《男性の皆さんは全員投げることが可能でしょう》《特に肩を壊したとはいえ僕と同じ西東京リーグの最優秀投手に選ばれた佐藤さんにはね》佐藤武雄はトロフィーを投げることができると分かった。
故にあのとき里美さんは倒れてしまったというわけでございます。
まあある理由っていうのが引っ掛かるけど一応筋は通ってるわね。
じゃ2つ目の殺人は?宮地沙織殺害事件を読み解くのであれば注目すべきはXという文字自体ではなくXという文字がケーキのクリームによって書かれていたという点でございます。
ケーキのクリーム?それはたまたま手元にあったから使っただけでしょ。
いいえお嬢さま思い出してみてください。
宮地沙織の手には血が付着しておりました。
ならばその血でダイイングメッセージを書けばいいまで。
わざわざクリームを使う必要などなかったはずでございます。
この場合あのXは宮地沙織ではなく他の何者かが意図的にケーキのクリームを使って書いたとみる方が賢明でございましょう。
また被害者ではない誰かが書いたっていうの?はい昨日も申し上げたとおりダイイングメッセージというものは誠に信用ならないものでございます。
何しろ後から自由自在に偽造できるのでございますから。
じゃもう推理にならないじゃない。
いいえケーキのクリームを使ったことによってこれを書いた人物は重大な証拠を残してしまったのです。
証拠?それは書き順でございます。
書き順。
よくご覧くださいお嬢さま。
この2つの線が交差する部分をよく見るとどちらの線が先に引かれたのかが分かるようになっております。
ホントだ。
お嬢さまXの書き順はご存じでございますか?バカにしないでよ。
左上から右下が先でしょ。
さすがお嬢さましかしこのXは右上から左下の線が先に書かれております。
そうね。
つまりこのダイイングメッセージを偽装した人間はXとは違う書き順でこれを書いたのでございます。
どういうこと?おそらく書いた人間にとってこれはXではなくばつだったのではないかと思われます。
ばつ?ばつという記号には正しい書き順はございません。
右上から書く方も大勢いらっしゃいます。
確かに右上から書くかも。
とするならばこのダイイングメッセージを書いた人物はすぐに思い当たるはずでございます。
これをXではなくばつだと思ったのは誰でしょうか。
《そういえばあのばつ印の意味って何だか分かったんですか?》里美さん?はい。
じゃ里美さんが犯人だっていうの?いいえ里美さんは体力精神力動機全てにおいて今回の殺人事件に最も縁遠い人物。
仮に彼女が犯人であるならばあんな小細工は必要ないかと。
じゃどうして里美さんは偽のダイイングメッセージなんかを書いたのよ。
おそらくばつ捜査側におけるXと書くことで誰かをかばおうとしたのではないかと。
かばう?Xと書かれたことによって警察は宮地沙織と剣持留美さんを殺害したのは同一犯であると考えたわけですよね。
ええだっておんなじXだったし。
それこそが里美さんの狙いでございます。
誰をかばったのよ。
第一の殺人ではアリバイがあった佐藤武雄です。
えっ?じゃ彼が宮地沙織を殺したってこと?はい。
うんホントにそうかしら。
とおっしゃいますと?だってもう1人重要な容疑者が残ってるじゃない。
重要な容疑者?天道静子よ。
天道静子先生?最初に倒れちゃったから捜査線上から消えていたけどよく考えたら怪しいわ。
動機だっていくらでも考えられる。
例えば仕事場にこもってプレッシャーと闘う日々の中で彼女はいつか後輩の作家たちに追い抜かれるのではないかと恐怖を感じていた。
だから急成長しているミステリー作家たちに殺意を抱いたのよ。
ではつまり。
そう招待状を送って作家たちを集めたのは天道静子だったってこと。
そして彼女は剣持留美さんと宮地沙織を次々に殺害した。
そう考えれば里美さんが犯人をかばったのも納得がいくわ。
だって天道静子は実の母親なんですもの。
やっぱり天道静子が犯人だったのよ。
あれ?影山もしかしてあなた昨日に引き続き今日もやっちゃった?ウフどうやらあなたの推理を私が超えちゃったみたいね。
あら聖夜の奇跡に驚いて言葉も出ないのかしら。
でもこれは奇跡じゃなくて私の実力なの。
お嬢さま。
何?影山。
どうぞお座りください。
この3カ月間。
私が心を鬼にして毒を吐き続けてきたのはまったくの無駄だったということでございますね。
へっ?失礼ながらお嬢さま。
お嬢さまの目はやはり節穴でございましたか。
お嬢さまの推理力はやはりずぶの素人以下でございましたか。
そこまでレベルが低いというのであれば私本気で「ウケる」でございます。
何?何なの?もはや毒舌というより単なる悪口?言葉の暴力?あり得ない執事である前に人としてあり得ない。
オニよオニ。
そうか分かったあなた逮捕される前に私に責められたこと恨んでるんでしょ。
いいえ恨んでおりません。
恨んでる絶対恨んでる。
だからただ悪口言ってすっきりしたかったんでしょ。
恨んでなどおりません。
ホントに?人のピンチにつけ込むからでございますよ。
それが恨んでるっつうの。
お嬢さまの推理は間違っております。
何でそう言い切れるのよ。
それはここで申し上げても納得していただけないかと。
またそうやってごまかして。
でしたら直接お話を伺うのはいかがでしょうか。
天道静子先生ご自身に。
影山車。
かしこまりました。
どういうことだ。
もう1人タキシードの男がいたろう。
どこ行った。
出てったよさっき。
いったいどうやって。
それは?タキシードからもらった。
没収。
でもこれは。
没収。
影山。
あっちょっと影山。
お嬢さま確かに天道静子先生を犯人と見立てた先ほどの推理は至極まっとう。
筋もきちんと通っておりました。
何よいまさら。
ただしそこには1つだけ大きな思い違いが存在するのでございます。
思い違い?佐藤武雄は宮地沙織をなぜ殺害したのか。
そしてなぜ里美さんは佐藤武雄をかばったのか。
今回の連続殺人が起きた要因は全て天道家が隠し続けてきた秘密にあるのでございます。
秘密?これでございます。
えっ?どういうこと?天道先生は?お嬢さまこれが佐藤武雄と里美さんを突き動かしていたある理由の正体でございます。
すなわちそもそも今回の事件において天道静子先生なる人物は存在しなかったのです。
えっ?おそらく天道静子先生は10年ほど前に亡くなっているものかと。
何を言ってるの?いろんな人が天道静子を見ているし私だって直接天道静子に会って話をしたのよ。
それに天道静子は10年以上本を出し続けているの。
いないわけがないじゃない。
10年ほど前から天道先生の作風ががらりと変わったことは私も感じておりました。
しかしまさか違う人間が書いていようとは夢にも思っておりませんでした。
違う人間が?誰が書いたのよ。
それができたのは佐藤武雄だけでございましょう。
彼は長年編集者として天道先生と共に作品を作り続けてきた経験を生かして天道静子を名乗り自らの作品を出版していた。
そして彼女がいないという事実を1人で必死に隠してきた。
どうしても天道静子の作品を売り続けなければならない理由がそこにあったからでございます。
まさかそんな。
私も信じられませんでした。
天道静子先生は存在しない。
その事実に気付けなかったことが今回推理を間違える原因となってしまったのでございます。
この事件は剣持留美さんを殺害しようと企てた宮地沙織が天道先生の名をかたってミステリー作家を天道家に集めたことから始まりました。
佐藤武雄は驚いたはずです。
何しろ天道静子先生はこの世に存在しないのですから。
誰が何の目的でこんなことをしたのか。
彼はやって来た5人に注意を払っていたはずです。
そのため誰よりも早く剣持留美さんの遺体を発見した。
驚いた佐藤武雄は慌てて通報しようとしたことでしょう。
しかし警察の捜査が始まれば天道静子先生がいないという事実も公となってしまう。
そこで彼はあるアイデアを思い付きます。
留美さんの遺体を天道静子先生に変装させリビングに置いたのです。
こうすれば天道先生が実在すると印象づけることができ同時に面会謝絶の状態をつくることができるからです。
つまりあのとき倒れていたのは天道静子先生ではなく殺された剣持留美さんだったというわけでございます。
嘘でしょ?何でそんなことが言えるのよ。
きっかけは足でございました。
足?倒れていた人物は素足のままでした。
体調を崩されていた天道先生がそのような軽装で離れからやって来たことに私は違和感を抱いていたのです。
故にもしかしたら天道静子先生は存在しないのかもしれないという仮説が浮かんできたのでございます。
じゃあの黒いインクで書かれたXは?あれは佐藤が書いたって言ってたわよね。
何でダイイングメッセージなんか。
はいそれも天道先生がいないという秘密を佐藤武雄が守ろうとしていたと考えれば容易に説明がつきます。
おそらくきっかけは変装に使ったこの天道先生のトレードマーク黒いマニキュアでございましょう。
マニキュア?剣持留美さんの遺体を元の場所に戻せば佐藤武雄の計画は成功するはずでした。
しかし留美さんの爪に塗った黒いマニキュアが完全に落ちなかったのでございましょう。
このまま遺体が発見され黒いマニキュアをしていたことが分かれば留美さんの遺体を使って天道先生がいるように見せ掛けていたことがバレてしまうかもしれない。
そこで佐藤武雄はインクをこぼし爪に塗りマニキュアの汚れを隠したのでございます。
しかしそれだけでは不自然に見えるためXというダイイングメッセージを書いた。
こうすれば留美さんがメッセージを書くためにインクで手を汚したのだと思わせることができるからです。
でも待って。
その後私は警部と一緒に天道静子に会っているのよ。
この目でちゃんと天道静子を見たんだから。
お嬢さまその方も天道先生に変装した別人でございます。
えっ?誰がそんな変装するっていうのよ。
それも天道先生がいないという秘密を佐藤武雄が必死に守ろうとしていたと考えれば容易に想像がつきます。
おそらく宮地沙織は佐藤武雄が剣持留美さんの変装を解いているところを目撃し天道先生が存在しないという事実に気付いたのでございましょう。
そして佐藤武雄に近付いてきた。
《ねえあなたの秘密分かっちゃった》《何のことでしょうか》《天道静子ってホントはもういないんでしょ?》《バラされたくなかったら私の言うこと聞きなさい》2人は互いの秘密を守るために共謀した。
そして宮地沙織は天道静子先生に成り済まし自分のアリバイを立証したのでございます。
じゃあの天道静子は宮地沙織だったってこと?はい。
しかしここで宮地沙織は欲を出してしまった。
《ねえあんたさ天道静子の印税で相当もうかってんでしょ?半分でいいわ》《えっ?》《私にもよこしなさいよ》《それは》《だったらバラしちゃってもいいんだ》《天道静子はもうこの世にはいません》《読者の皆さんは佐藤って編集者にだまされてたんですよって》《それにあの子里美ちゃんだっけ?》《ショックだろうな》《自分のお母さんはもう死んでるのにずっとだまされてたなんて知ったら》《アハハハハアハハかわいそう》《ハハおかしい。
かわいそう》
(佐藤)《そうはさせない》《えっ?》
(沙織)《あっうっ》こうして2人の女性が連続して殺害されるという事件が起きてしまったのでございます。
そんな。
・
(佐藤)お前たち誰だ。
こんな所で何してる。
佐藤さんこれ以上罪を重ねるのは。
影山。
あっ。
ごめん。
おっ。
警部?あっあっ。
警部。
やっと会えたねショウレイさん。
警部私のために。
何。
聖なる夜僕の命を君にプレゼントしたまでさ。
君の腕の中で死ねるなんてこれ以上の終わりはない。
最高のクリスマスイブだ。
ショウレイさんグンナイツ。
警部?警部!
(いびき)んっ?
(いびき)はっ?お嬢さまわざとでございますね。
そんなわけないでしょ。
んなことよりこれ。
何とこの敗戦球がよもや人の命まで救うとは。
そして何よりこのお方球形のボールでナイフの切っ先を受け止めるとは。
(いびき)恐るべきミラクル。
これぞまさしく聖夜の奇跡でございます。
《メリー風祭》
(いびき)あなた自分がやったことをちゃんと分かってるんでしょうね。
どうしてあんなことを。
佐藤さんこれは私の勝手な想像ですがあなたが記したあのXという文字。
あれは野球のXゲームのことではございませんか?Xゲーム?コールドや9回の表でゲームが終わることでございます。
すなわちあのXの意味はゲームセット。
10年に及ぶ偽りの日々を終わりにしたいという思いが名投手だったあなたにあのとき無意識のうちにXという文字を書かせたのではありませんか?あなたはデビュー当時から天道静子先生と苦楽を共にされてきました。
そして最後に託されたのですね?天道先生から娘の里美さんのことを。
そして天道先生の死を隠し里美さんを育てながら執筆活動を続けてきた。
それは天道先生の前のご主人が残した借金を返し天道家を維持するため。
つまり全ては里美さんのためだったのではないですか?ですが佐藤さん。
里美さんは。
母親の天道静子先生がもう存在しないという事実を知ってらっしゃいます。
まさか。
まだ気付かれないのですか?天道先生が亡くなっていることを知っている里美さんはあのときあなたが天道先生を運んでいる姿を見て驚きました。
あれはいったい誰だったのかと。
そして朝方剣持留美さんの遺体を発見したとき気付いた。
さっきの天道先生はこの遺体だったのだと。
そこで彼女はあなたが留美さんを殺害したと勘違いしたのです。
だからこそトロフィーを2階に投げ込みあなたを容疑者から外そうとした。
さらに宮地沙織さんの殺害現場でもあなたを容疑者から外そうとケーキでダイイングメッセージを書いた。
あれらは全てあなたをかばうために里美さんが必死にやっていたことだったのですよ。
里美さんが?何でそこまで。
それはあなたが実の父親だからです。
父親?おそらく里美さんは天道静子先生と佐藤武雄さんの間にできた子供でございましょう。
それは君の勝手な想像だろ。
いいえ私だけの想像ではございません。
里美さんもあなたのことを父親だと考えてらっしゃいます。
えっ?失礼ながら佐藤さん今日クリスマスイブはあなたの誕生日なのではありませんか?なぜそれを。
あのときあなたが里美さんから受け取ったケーキにはパンダのマジパンが載っていました。
私はノエルのご主人にたまたまお聞きしたんです。
クリスマスケーキに載っているのはサンタ。
パンダが載っているのはバースデーケーキだと。
つまりあれはクリスマスケーキではなくあなたへのバースデーケーキだったのです。
そんな。
でもだからといってあの子が私のことを父親だと思っていたとは。
いいえ。
里美さんはノエルで毎年クリスマス前にケーキを買うときこう言っていたそうです。
《毎年クリスマスなのに誕生日ケーキなんて紛らわしい注文をするお客がいるんだけどねでもいつもその子がうれしそうに言うんだよ》《お父さんの誕生日ケーキなんです》あなたには家庭があり里美さんを娘だと言うことはできなかった。
そして里美さんもあなたをお父さんと呼ぶことができなかった。
それでも彼女はお小遣いをためて年に一度だけあなたの誕生日にバースデーケーキを買っていた。
言葉にすることは許されない。
感謝の思いをあのバースデーケーキに込めて贈っていたのです。
そしてだからこそ彼女はダイイングメッセージにケーキのクリームを使った。
里美さんは殺害現場に入ったとき佐藤さんをかばうためにダイイングメッセージを書こうとしました。
そのとき彼女は2つのノエルのケーキ箱があることに気付きます。
このまま2つのケーキを見られればクリスマスケーキだと偽っていた物が誕生日ケーキだったことに気付かれてしまうかもしれない。
あなたを父親だと思っていた自分の本心が分かってしまうかもしれない。
そこで彼女はクリスマスケーキを床に落としメッセージを書いた。
こうすることで自分の本心を隠すと同時に父親を守ることができると考えたからです。
父親は母親がいないことを必死に隠しその父親を懸命に娘は守ろうとしていた。
それが今回の事件の全ての真相でございましょう。
(里美)《私また買ってきますねクリスマスケーキ》《佐藤さんどうですか?》《ええおいしいです》・
(里美)佐藤さん。
いつから気付いていたのですか?天道先生がいないことに。
6年前です。
そんなに前から。
手紙です。
(里美)ちっちゃいころ私は執筆で忙しいお母さんと手紙でやりとりをしていましたよね。
お母さんの優しい字が大好きでした。
それで6年前のクリスマスイブ「今日はサンタさんが来るね」ってお母さんに手紙を出したんです。
(里美)その返事にはいつもの優しい字でこう書いてありました。
「そうだね。
サンタさんはゆめの国からやってくるんだよ」って。
でも私唯一覚えているお母さんとの思い出で3歳のときにこう言われたことを覚えていたんです。
(静子)《サンタさんはねフィンランドに住んでるのよ》《ウフフフフ》それでいつも見ていたあの優しい字はお母さんの字じゃなかったんだって気付いたんです。
《ミステリーフェアに参加なさるかどうか今先生に確認してまいります。
少々お待ちください》
(里美)誰の字なんだろうって気になってその後佐藤さんの手帳をこっそり見たらあの優しい字がありました。
すみませんずっと黙ってて。
いいえ私思っていたんです。
もしお母さんが生きていたとしても執筆で忙しくて今とそんなに変わらなかったんじゃないかって。
だからずっと私の面倒を見てくれていた佐藤さんには本当に感謝しています。
里美さんそれは違いますよ。
えっ?
(佐藤)里美さんが二十歳になったときにお渡ししようと思っていた物があるんです。
亡くなる前に天道先生が残したメッセージです。
これを今日お渡ししておきます。
(佐藤)「回ったよ」「里美二十歳の誕生日おめでとう」「きっと奇麗になってるんでしょうね」「ママも見たかったわ」「里美いつも独りぼっちにさせてごめんね」
(静子)「愛してる愛してる」ありがとうございます。
最高のクリスマスプレゼントです。
日本一の女流ミステリー作家天道静子先生らしい深い思いの詰まったダイイングメッセージでございますね。
(宗森)警部しっかりしてください。
警部起きてください。
警部犯人が分かりました。
警部佐藤武雄が自首するそうです。
(4人)起きないな。
ショウレイさん。
いつかあなたとメリー風祭。
(4人)ほっとこう。
結局里美さんは佐藤さんに聞かなかったわね。
本当のお父さんなのかどうか。
もう言葉など必要なかったのでございましょう。
えっ?家族恋人友人仲間。
人と人との結び付きは全て一緒でございます。
目に見えない何かでつながっている。
それが最も強い絆だということをお忘れなきよう。
そういえば影山。
はい。
あなた今夜の予定は?相手を待たせてるんじゃなかった?申し訳ございませんお嬢さま。
このまま直接向かわせていただいてもよろしいでしょうか。
えっ?何で私があなたのイブの予定に付き合わなきゃなんないのよ。
ノエル特製クリスマスケーキでございます。
(店主)はいありがとうございました。
ノエル特製クリスマスケーキはいかがでございますか?
(店主)いらっしゃいませはい。
ちょっとあなたのイブの予定ってこれだったの?はいクリスマスケーキの店頭販売でございます。
何でこんなことしてるのよ。
実はあの一打席対決に敗れた場合クリスマスケーキの販売を手伝うとノエルのご主人と賭けをしていたのでございます。
約束どおり全部売ってもらうまで帰さないからね。
はい。
ねえこれあとどのくらいかかりそうなの?はいノルマ達成まであと50個ほどございますが。
そう分かったわ私も手伝うわ謎解きのお礼よ。
それはいけませんお嬢さま。
私が旦那さまに叱られます。
じゃ叱られなさい。
大丈夫よお父さまには内緒だから。
それに私がサンタさんの格好して店頭で笑ってる方がケーキだって売れるわよ。
何せ麗子ちゃんはカワイイから。
(ため息)さあ急ぐわよ影山。
この後ご用でも?何言ってるのよ早く帰って寝ないとサンタさんが来ちゃうでしょ。
そうでございますね。
(清太郎)《実は麗子には秘密がある》《決して本人には知られてはならない重大なる秘密が》《秘密?どのような》《それはね》《何と》ノエル特製クリスマスケーキはいかがでございますか。
はっ靴下用意するの忘れた。
おっきいやつ。
影山大急ぎで売るわよ。
クリスマスケーキはいかがですか?ケーキはいか…何よ。
失礼ながらお嬢さま。
お嬢さまは本当にすてきな女性でございますね。
はっ?ノエル特製クリスマスケーキはいかがでございますか?ケーキいかがですか?
(店主)ケーキいかがですか?ノエル特製クリスマスケーキでございます。
雪。
2014/12/18(木) 14:57〜15:53
関西テレビ1
[終]謎解きはディナーのあとで #10−2[再][字]
「聖夜に死者からの伝言をどうぞ…お嬢様、私の謎が解けますか? 後編」
櫻井翔 北川景子 椎名桔平 石黒賢 高橋英樹
詳細情報
番組内容
ミステリー作家たちが集まる天道静子(高橋ひとみ)の家で、ついに起きてしまった2つ目の殺人事件。現場に佇んでいたのは、血染めのナイフを手にした影山(櫻井翔)だった。発見した宝生麗子(北川景子)は、影山を問いたださずにはいられない。なぜなら、影山こそ、最初に殺害された剣持留美(上原美佐)の時から、事件の背後に見え隠れしていた男だったのだ。そして、今回の宮地沙織(三浦理恵子)殺害に関しては、殺害直後と
番組内容2
思われるタイミングで凶器を持ち現場にいた……。問い詰める麗子に対し、ここでも影山は厳しい言葉で犯行を否定する。
こんなシリアスな状況下においてまで暴言を吐く影山に思わず「クビ!」と「逮捕!」を連発する麗子。そこへ現れた風祭京一郎警部(椎名桔平)は、千載一遇のチャンスと影山を殺人容疑で逮捕、警察署に連行してしまう。
連行された影山は、風祭の厳しい取り調べを受ける。「明日のクリスマスイブまでに
番組内容3
なんとしても真実を吐かせる!」と意気込む風祭の尋問にも、頑なに口をつぐむ影山は、ついに留置場に入れられてしまう。
留置場の水でティータイムを楽しむ影山のもとに、高価なコートを着た大柄な男(高橋英樹)が近づいて来る。謎の男にいつにない敬意の表情を見せる影山。男は麗子の父、清太郎だった。そして清太郎は真剣な表情で影山に「実は…麗子には秘密がある」と、ある重大な隠し事を伝えたのだった……。
出演者
影山: 櫻井翔
宝生麗子: 北川景子
並木誠一: 野間口徹
山繁悟: 中村靖日
宗森あずみ: 岡本杏理
江尻由香: 田中こなつ
風祭京一郎: 椎名桔平
原作・脚本
【原作】
東川篤哉「謎解きはディナーのあとで」(小学館刊)
【脚本】
黒岩勉
監督・演出
【演出】
石川淳一
【プロデュース】
永井麗子
音楽
菅野祐悟
【主題歌】
嵐「迷宮ラブソング」
【オープニングテーマ】
倖田來未「Love Me Back」
制作
フジテレビ
【制作著作】
共同テレビ
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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