情報まるごと 2014.12.11


晴れの栄誉に輝きました。
日本時間のきょう午前0時半から、スウェーデンのストックホルムで、ノーベル賞の授賞式が行われました。
ノーベル物理学賞に選ばれた、名城大学教授の赤崎勇さん。
名古屋大学大学院教授の天野浩さん。
カリフォルニア大学教授の中村修二さん。
3人が並んで席に着きました。
その胸には文化勲章が。
授賞は、物理学賞が最初でした。
赤崎さんが舞台の中央に。
グスタフ国王から、メダルと賞状を受け取りました。
そして、天野さん。
中村さんが続きました。
授賞式は1時間余りで終わりました。
舞台の上では、和やかな雰囲気の中、受賞した人や家族などが写真を撮っていました。
授賞式には、天野さんの妻、香寿美さんと、娘の彩さんも華やかな着物姿で出席しました。
式典を終えた3人は。
こんにちは。
中村さんは科学者ならではのコメントでしたね。
そうですね。
一方、ノルウェーでは、ノーベル平和賞の授賞式が行われ、マララ・ユスフザイさんたちがスピーチに立ちました。
女性や子どもの教育を受ける権利を訴えてきたマララさん。
受賞のスピーチでも、教育を受ける権利が奪われている状況を終わらせ、今こそ行動を起こそうと訴えました。
一方、スウェーデンのストックホルムでは、授賞式を終えた3人が晩さん会に出席しました。
会場では、およそ1300人が受賞者を待っていました。
晩さん会で、天野さんはシルビア王妃の隣に座りました。
3人は、出席者との会話を楽しみました。
そして3人を代表して、中村さんがスピーチをしました。
晩さん会を終えた天野さんは。
中村さんは、待っていた市民の求めに応じてサインを。
一足先にホテルに戻った赤崎さんは、一緒に研究に奮闘してくれた仲間や共同研究者、学生たちを代表して頂いたものであり、この喜びを分かち合いたいとコメントを発表しました。
3人が開発しました青色LEDですが、このLEDそのものには、まだ多くの能力が秘められているのではないかと見られています。
青色のさらに先へ。
LEDの可能性を求めて、研究は加速しています。
太陽の光に含まれる紫外線。
その紫外線を出すLEDの開発競争で、大きな成果を上げたのが、理化学研究所です。
窒化アルミニウムという物質の結晶を使って、従来の100倍ほどの強い紫外線を出す、世界トップクラスのLEDの開発に成功しました。
こうした紫外線を出すLEDは、消毒や殺菌への利用が期待されています。
東京都内の水族館です。
水をきれいにするために水銀灯から紫外線を出す殺菌装置を使っています。
しかし、水銀は有害です。
LEDを使えば、害がないだけでなく、省エネで、装置も小型化することができます。
より自然の色に近づけたLEDの開発も進んでいます。
LEDの光は、多くの場合、青みが残ってしまい、自然な太陽光で見たときとは色が違って見えるという弱点がありました。
左がメーカーで新たに開発されたLEDで照らした手のひらです。
右の従来のLEDと比べて、自然な色合いに見えるのが分かります。
こうしたLEDの光を使って、山口県の美術館では、これまでとは一味違った展示を始めました。
2種類の色の違うLEDを組み合わせ、朝から夕方までの一日を照明で再現したのです。
この光の中で水墨画を鑑賞すると。
初めは白っぽく見えますが、時間がたつにつれ、暖かみのある色合いに。
昔の日本人は、部屋に差し込む太陽光によって、水墨画を鑑賞していました。
その当時の感覚を味わってもらおうと企画したということです。
さまざまな可能性が開けたのも、今回受賞した3人の方々の成果があればこそだと感じます。
ではこのほか、きょうのメニューです。
こちら、指揮者の佐渡裕さんです。
生出演です。
スタジオにお越しいただいてお話を聞きます。
そして、きょうはこちら、12月11日、東日本大震災発生からきょうで3年9か月です。
集中捜索が行われています。
大雪の被害を受けた徳島では、次の寒波に備えています。
きょうは12月11日、東日本大震災の発生から3年9か月になりました。
仙台からお伝えします。
津波で大きな被害を受けた沿岸部では、犠牲になった人たちに祈りをささげる人たちの姿が見られました。
東日本大震災で、亡くなったり、行方不明になったりした人は、避難生活などで亡くなったいわゆる震災関連死を含めて、少なくとも2万1571人に上っています。
きょうの被災地の動きです。
およそ400人が犠牲になった、石巻市南浜地区。
男性がそっと手を合わせていました。
ここは今も行方が分からない妹の自宅があった場所です。
同じ石巻市の門脇地区です。
女性が手を合わせているのは、46歳だった長男の墓です。
今も行方が分からない人たちの集中捜索も行われました。
排水路にあった泥の中からは、衣類やはがきなどが見つかり、今後、手がかりを調べます。
捜索には、警視庁からふるさとに戻ってきた警察官も。
原発事故があった福島県でも、一斉捜索が行われました。
この秋に採用された警察官18人も加わりました。
続いても東北です。
こちら、30年前の新日鉄釜石ラグビー部。
岩手県釜石市を拠点に、日本選手権で7連覇した強豪でした。
今、チームはクラブチーム、釜石シーウェイブスとして、再びトップリーグを目指して戦っています。
震災で大きな被害を受けた釜石を、シーウェイブスはプレーで元気づけてきました。
そのシーウェイブスを、応援歌で応援し続けてきた男性がいます。
釜石シーウェイブスの応援歌。
地元応援団で団長を務める福成和幸さんです。
よしよし!いけいけ!
8年前、成績が低迷していたチームを元気づけようと、応援歌を仲間と作り、大漁旗を振り、応援してきました。
さあ、もう1本いくぞ!釜石!
震災直後の釜石市です。
鉄とラグビーで栄えた町は、瞬く間にがれきで覆われました。
かつて、シーウェイブスの運営本部があった建物も被災。
チームは活動休止を余儀なくされました。
釜石市で歯科医院を開いている福成さんも、津波で応援仲間を亡くしました。
シーウェイブスの応援も、これ以上、続けることはできないと感じていました。
かつて、大声を張り上げて歌った応援歌も、歌えない日が続きました。
がれきの中、市民を元気づけたのが、応援してきたシーウェイブスの選手たちでした。
市内のイベントに参加したり、ボランティアで物資を運ぶ活動をしたのです。
震災から2か月後、練習を再開したシーウェイブス。
町とともに再び歩み出したチームの姿に、福成さんたち応援団も、奮い立ちました。
あれから3年9か月、福成さんは、東京や仙台の試合にも、ほとんど欠かすことなく、応援に駆けつけました。
再び歌い始めた応援歌。
そこに新たな歌詞が追加されました。
オォー時ぞきたり荒波越えて。
さあ、トップリーグへ、御霊と共に。
震災という困難に立ち向かい、必ずトップリーグに昇格するという決意が込められています。
地元岩手で今シーズン最後の試合。
トップリーグ昇格のために落とせない一戦に、福成さんも力が入ります。
ドンマイ、ドンマイ!はらはらどきどき、シーウェイブスの皆さんの応援が必要です。
よろしくお願いします!
スタンドから響く熱い歌声に、シーウェイブスは逆転勝利。
次の試合も勝ち、14日からのトップリーグ昇格を懸けた、入れ替え戦に進みました。
荒波越えてという、新たに加わった歌詞に、皆さんの強い思いというのを感じましたよね。
そうですね。
そして応援できるものがあるっていうことが、より被災者の方を元気づけてるのかな、勇気づけてるのかなと思いました。
では、次です。
徳島県西部を襲った大雪から、きょうで7日目です。
現地では、次の寒波に備える動きが始まっています。
松山からです。
徳島県の3つの市や町では、大雪の影響で孤立状態になった地区がありましたが、きのうまでにすべて解消されました。
しかし、あす以降、強い寒気が流れ込むと予想されています。
道路が凍結して、山間部の地区が再び孤立状態になるのを防ぐため、市や町は、凍結防止剤を用意するなど、備えを始めました。
徳島県内では、大雪となった今月5日以降、積雪や倒木などで道路が塞がれたため、三好市と東みよし町、それにつるぎ町で、合わせて881世帯1560人が、一時孤立状態となりましたが、きのうまでにすべて解消されました。
四国電力によりますと、停電はほぼ復旧し、今も停電が続いている三好市の3世帯についても、きょう中の復旧を目指しているということです。
しかしあす以降は、強い寒気が再び流れ込むと予想されていることから、3つの市と町は、大雪への備えを始めています。
このうち、東みよし町では、大雪で一時、孤立状態になった山間部の大藤地区の公民館に、道路の路面凍結を防ぐ凍結防止剤を準備するため、町の三好庁舎で、およそ50袋の凍結防止剤をトラックに積み込んで、現地に向かいました。
凍結防止剤は、公民館の外に置いて、必要な分を自由に持ち出せるようにするということです。
三好市やつるぎ町でも、大雪に備えて、生活に必要なものの備蓄や、早めの避難などを住民に呼びかけることにしています。
雪への備え、関西でも始まっています。
大阪からです。
大雪に備えて、兵庫県と関西電力では、きょうから合同で、電柱の周辺などの緊急点検を始めました。
対象になったのは、山間部の集落に通じる道で、担当者は雪の重みで倒れそうな木がないかなどを確認していました。
合同点検は、過疎化が進み、高齢者が多く住む地区に通じる道路を対象に行います。
きょうは兵庫県や関西電力などの担当者11人が、県西部の佐用町に入りました。
この地区では、大雪で除雪や倒木の撤去作業がスムーズにできないおそれがあり、担当者は電柱や電線の周囲に、雪の重みで倒れそうな木がないかや、枝の手入れが放置され、雪が積もりやすい状態になっていないかなどを確認していました。
合同点検はあすも行われ、県と関西電力は、木の伐採や枝打ちなどを急いで、孤立や停電を防ぐ対策を行いたいとしています。
次は気象情報です。
きょうは全国的に広い範囲で雨が降っているようですね。
奈良岡さん。
そうなんです。
この時間の雨や雪の様子、見てみましょう。
西日本から北日本にかけて広く、雨や雪が降っています。
特に伊豆諸島では夕方にかけて、雨が雷を伴って強く降ったり、竜巻などの激しい突風が起こるおそれがありますので、注意が必要です。
きょうは北日本も含めて、雨で降っている所が多くなっていますので、これまでの雪の量が多くなっている地域では、雪崩にも十分注意をしてください。
ではこのあとの天気の見通し、詳しく見ていきましょう。
今夜です。
今夜、太平洋側の雨はやみそうです。
日本海側は引き続き、雨や雪が降りそうで、北海道は今夜、雪になりそうです。
続いて夜遅くです。
夜遅くになりますと、東北地方の日本海側でも、雨から雪に変わる所がありそうです。
そして北海道は、引き続き雪が降りまして、北海道の日本海側北部や、オホーツク海側を中心に、今夜は大荒れの天気となりそうです。
北海道はあすの明け方にかけて、暴風や猛吹雪に警戒をしてください。
では今夜の予想天気図を見ていきます。
北海道の辺りで低気圧が急速に発達して、オホーツク海に進みます。
このために、北海道では、風の向きが南寄りから西寄りに急に変わりまして、急速にかぜが強くなりそうなんです。
そして雪を伴って、猛吹雪となりそうです。
予想される風の強さはこちらです。
あすの明け方にかけて、30メートルから35メートルの風が瞬間的には予想されています。
立っていられないぐらいの暴風が吹くおそれがあります。
また、オホーツク海側を中心に波も高く、大しけとなりそうですから、高波にも警戒をしてください。
では、あすの予想天気図です。
北海道の暴風のピークは超えそうですけれども、あすも引き続き、風の強い状態、続きそうです。
そして、あすは西高東低の冬型の気圧配置となりますので、日本海側、雨や雪の降りやすい天気となりそうです。
あすは夜になりますと、じわじわと強い寒気が流れ込んできますので、日中、雨という所も次第に雪に変わるという所も出てきそうです。
ではあすの雪や雨の見通し、詳しく見ていきましょう。
北日本の日本海側は雪が続きそうです。
西日本の日本海側、雨となりそうですけれども、次第に山沿いを中心に、雪に変わる所が出てきそうです。
では、全国のあすの天気です。
年の瀬が近づいてきています。
年末の風物詩の一つといえば、こちら。
ベートーベンの交響曲第9番・第九です。
情報まるごと、きょうはこの第九を世界の舞台で演奏し続けている方にお越しいただきました。
日本を代表するマエストロ、指揮者の佐渡裕さんです。
よろしくお願いいたします。
よろしくお願いします。
佐渡さん、実は佐渡さんが指揮する、この第九のコンサートというのが、きょうこのあとから、国内で始まるということで。
きょうこのあとですか?
そうです。
これから最後の練習をやって、きょう本番です。
お招きしておいて何なんですけど、大丈夫なんでしょうか。
大丈夫です。
よろしくお願いします。
お願いします。
佐渡さんはこれまでに150回以上、第九を指揮しました。
音楽専門誌、音楽の友によりますと、この5年間で最も多く、第九を指揮した日本人にもなっています。
知らなかった、本当に。
そうですか。
びっくりしました。
ご自身でも気付かないぐらいやってらっしゃったと、どうして、佐渡さんはこの第九を続けてこられたんですか?
いや、一つはやっぱり日本でこの第九が、これだけ年末の風物詩として、伝承して、その中で自分自身も育ってきたし、それを繰り返している間に、いろんな出会いがあって、本当に一般の人で、この第九だけ…という人もいるし、クラシック大ファンで、参加しながら、この第九を聴く人もいるし、さまざまな形があるんですけれども、やはりこの曲が大曲で、しかも親しみやすいというところにも、視点があるんですね。
だからもう、なんていうんでしょうね、誰でも、入ったら、感動できる、音の大神殿に入ったようなね。
それでこの曲に触れることによって、この一年、いい年だったなとか、よく自分頑張りました、来年もいい年でありましょうみたいなね、ちょっとそういう、僕の第九は、厄払いの第九みたいで。
だから年末にふさわしいっていうことなんですか?
日本人好きな、そういう意味がいっぱいあると思いますね。
さあ、その佐渡さんですけれども、まさに世界を舞台に活躍していらっしゃいます。
今回のコンサートは、ドイツのケルン放送交響楽団の皆さんと。
これまでに世界最高峰のオーケストラ、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の指揮者も務めています。
佐渡さんが指揮をしてらっしゃる舞台というのは、まさに世界の音楽の最前線ということですよね。
そうですね。
まあ、本当に子どものとき、指揮者になりたいと思ったわけだけど、そのときに聴いてたレコードのオーケストラが今、目の前にいっぱいいるので、うそみたいですけど、そういうところでやらせてもらっていますね。
そして来年には、新たな展開があります。
オーストリア・ウィーンの楽友協会大ホールを拠点とする、トーンキュンストラー管弦楽団の音楽監督に就任することになっています。
こちら、世界の音楽家の方たちの、まさに憧れの場所での挑戦ということなんですね。
そうですね、やっぱり金色に輝くホールっていうのは、僕自身も一番最初に、実は留学がウィーンだったんですね。
そしてレナードバーンスタインという名指揮者の下で、アシスタントしてて、このホールですばらしい指揮者の演奏会聴きに行ったし、本当に立ち見席のチケットを買って聴いてた思い出の場所なので、そこが自分のホールになるわけですね、来年の6月から。
それは本当にわくわくするし、不安を抱えるのは、何が不安か分からないぐらい、ちょっと今では、はっきり見えてないですけどね。
佐渡さんからしても、まさに新しい世界へのチャレンジということなんですね。
そうですね。
そして。
佐渡さんは、東日本大震災の支援にも積極的に取り組んでいます。
これは2011年、被災地を訪れて行った演奏会の様子です。
佐渡さんは、こうした復興支援のためのコンサートを行ってきました。
こちらは今月、大阪で行われた演奏会、1万人の第九。
アマチュアの合唱団1万人と第九を披露しています。
15年前から毎年続けていて、今回は東北の合唱団を招いて行われました。
本当にこの1万人で第九をという、ものすごい迫力なんですけれども、最初にちょっとありましたが、1万人で第九を歌うからこそ、第九のよさが、より分かるっていうこともあるんじゃないでしょうか。
そうですね、70分もかかる大曲なので、本当に交響曲の中でも、最高の交響曲だと思いますが、同時にここで、人の声を使ったっていうのは、最初の交響曲なんですね。
つまり誰もが持ってる楽器、その声を使って、直接メッセージをお客さんに届ける、それが歓喜、フロイデということばですけど、とは何か、それはすべての人が手をつないで一つになる、平和になる、きょうだいになる、そうした非常に大きな意味を持っているわけですね。
なので、この1万人っていうのは、とんでもない数なんですけど、とってもこれはやっぱり大阪らしいね、なんていうんでしょう、大きいことやろうっていう思いが込められているんだけれども、もしかしたらベートーベンは、1万人じゃまだ少ないって思ってるかもしれないし、ここのこの1万人のコンサート、本当におもしろくて、1万とおりストーリーがあるわけですよ。
私はふだん、演奏会に行ったことないけど、娘に誘われて参加して、お父さんもいれば、いろんな、例えば介護をされつつ、その合間を縫って練習に行って、それで楽しみに1年間、やってこられた方だとかね、さまざまなストーリーがあるわけです。
だからそのさまざまなストーリーが1万人集まって、この一つのものを作っていく。
しかも参加年齢が、一番下は7歳、小学1年生、一番上は95歳だったです、ことし。
だからそんだけ年の年齢差がある、さまざまな人が、もう国も越えて、地球の反対側から届いた音楽を今、こうやってみんなでやっていること自体がね、すごくベートーベンのもともと思ったことと一致しているように思いますね。
一番ここにベートーベンを連れてきたいですね、この会場にね。
きょうから、もうその第九の指揮が、されるわけですけど、きょうに向けたリハーサル、きのうお邪魔してきました。
これ、佐渡さんがソリストを集めて行ったリハーサルの場面なんですね。
部屋全体が震えるような、皆さん、すばらしい声で。
いやぁ、いい歌手がね、今回集まってる。
佐渡さん、これ、皆さんにどんなことを伝えているんですか?
いや、ドイツ人相手にドイツ語のことをやっている、今、ここだとドイツ語で、もうちょっとこうやってくれだとかね、色変えてくれだとか。
彼らの音楽なんだけども、やはりその音楽が、やっぱり、そのことばや文化や、そういうものを超えて、僕らで作るんだということをやっぱり示さなきゃいけないし。
今まで何しろ、ちゃんと数えてないんですけど、間違いなく150回以上は指揮しているわけですよね。
その経験っていうのは、やっぱり大きくてね。
このドイツ人の歌手たちも、オーケストラたちも、本当に喜んで今、音楽作って、きょうの初日が楽しみです。
本当に、要は前日なんですけれども、皆さん楽しそうにリハーサルしてるっていうのが、非常に印象的だったんですよね。
この第九は、佐渡さんの音楽観を変えた、その場面にもありました。
東日本大震災から15日目を迎えた、2011年3月26日。
佐渡さんは、ドイツ・デュッセルドルフの指揮台に立っていました。
ドイツにいる音楽仲間の呼びかけで行われた、東日本大震災の支援コンサートに、指揮者として招かれたのです。
演奏が終わったあと、観客と奏者みんなで、黙とうをささげました。
今回、一緒に演奏するのは、そのとき佐渡さんと一緒に演奏した、ドイツのケルン放送交響楽団です。
お二方とも、伺いますと、あのコンサートは特別だったとおっしゃいまして、佐渡さんは震災のそのときというのは、国内にいらっしゃって。
実はBBCのイギリスのオーケストラを連れて、辻井伸行がソリストで、横浜でコンサートする予定だったんです。
僕の初めて、実はヨーロッパの、最初に着いた日本ツアーだったんです。
10回予定されていて、ちょうど5回が終わって、いよいよ関東に来て、やるっていうときだったんですけど、あの大きな揺れ、オーケストラはちょうどベイブリッジ渡ってるときに揺れに遭って、ほんとうにみんな、ホール着いたときは顔も真っ青でね、もちろんそのあとキャンセルになって、彼らも強制帰国で、イギリスにイギリスに戻ってもらうことになるわけです。
だから東北の皆さんが、本当に大変なことになったというのを、まだそのとき、あんまり分かってないんだけれども、そのことも非常に不安だったし、僕はホストとして、指揮者として、海外のお客様、日本に迎えて、自分の国、美しい日本を見てほしいと思ってるわけじゃないですか。
でもこんな怖い目に遭わせて、送り返さなきゃならない、音楽どころではないわけですよ。
そのやっぱりショックっていうのは、すごく大きかったし、そのあと本当に、音楽って、なんて無意味な仕事をしてるのかなと思いましたね。
やはり人の命を助けるお医者さんであるとか、物を運ぶとか、あるいは警察官とか消防隊とか、自衛隊員の方とか、そういう人たちって、あのとき、まさに命と関わってる方の仕事って、なんて尊いんだろうと思ったし、音楽家、しかも指揮者なんて、音も鳴らさないですから、棒振ってるだけなので、すごいそういう無力感に襲われましたね。
そういう中での、直後のドイツでのコンサート、どんな思いでやられてたんですか?
本当にこれね、デュッセルドルフとケルンのこの2つのオーケストラ、2つの名門のオーケストラ合同で、新作は約2週間、26日ですから、演奏会しようって、電話があったんです。
震災からたぶん2、3日しかたってなかったと思いますね。
それで、もうホールを押さえた、コーラスも140人いると、オーケストラも2つ合同でやる、ソリストも押さえた、これは裕しかいないので、指揮してほしいと。
でもね、本当にちょっと待ってよと、日本、今、そんなどころじゃない、音楽どころじゃないって、ましてや、第九、その喜びの歌を演奏できるとは今、思えないって。
歓喜の歌ですからね。
正直に言ったんですよ。
それは裕、よく知ってるように、あなたがよく知ってるように、この曲は、本当に世界中の人がこういうときこそ、手を握り合って、一つになる、そのことこそが、喜びって歌ってるんじゃないかって言われて、ああ、それは確かにそうだと。
本当に日本のこと、それから東北の人たちのこと。
地球の反対側の人たちがそう思ってくれていることに対して、やっぱり応えようと思って、結局、演奏会、僅か2時間しか練習する時間なかったんですけど、もう本当に大急ぎで練習して、やりました。
非常に特別な体験でした。
そのコンサートを経て、佐渡さんの中では何が変わったんでしょう?
この演奏会はね、本当に祈り、あるいは、自然災害ですけど、怒り、なぜという疑問、あるいは苦しさとか、でもやっぱりその、世界中の人たちが日本のことを心配して、いろんな活動してくれてる。
それに対する感謝。
もう本当に今まで味わったことがないような、さまざまな感情が、一つの曲の中に込められてるように思いました。
そして、やっぱりすごく感じたことは、祈りの尊さということと、そしてさまざまな人が、さまざまな年齢で、違うことを考えてる人が、音楽を通してね、今、一緒に生きてることの喜び、これを感じる、実感できる、その一緒に生きてる喜びの証し、それこそが音楽なのかなと思いました。
きょうで震災発生から3年9か月という日なんですけれども、今、東北に、佐渡さんはどんな思いを持っていらっしゃるでしょうか?
僕、東北の復興なくして日本の未来はないと僕は、はっきり思いますね。
まず本当に一刻も早く、自分たちのふるさとはどうなっていくのかっていう形は、まず示してあげたいと思うし、でも、人はやっぱり、すごく僕は被災地に行って、逆に励まされたりね、佐渡さん、ありがとうって、たくさんの方に言われたり、人たちはみんな一生懸命生きていくという力はすごく強くあると思うので、僕は今、とにかく被災地の方に、やっぱり心にビタミンを届けるようでありたいと思うし、一刻も早く、その町が、何かできるだけ方針をできれば示していってほしいなと、時間もかかると思います、やっぱりね。
ちょうど阪神・淡路大震災も、僕、今、兵庫にいますけれども、今度の1月に20年になるし、そういう意味では、兵庫の町がそうした災害があった所の一つのモデルになるよう、その兵庫でも頑張んなきゃいけないし、兵庫もたくさんの方に救われて、助けていただいて、今の姿がありますしね。
では、きょうのこのコンサートに向けてのリハーサル、きのう、取材してきましたので、特別に少しだけ。
最初におっしゃった、すべてのものはきょうだいになるという、この一体感を届ける歌だというふうに私、感じるんですけれども、これからこの第九、どのように伝えていきたいと?
今回はやっぱりこのドイツの名門オーケストラ連れて、そしてね、日本のこのコーラスもすばらしいんですよ、オペラシンガースト…という合唱団、テノールににしむら君っていうテノールがいますけど、あとドイツ人ね、もう本当にドイツと日本の、ヨーロッパと日本の友情をね、はっきり示せる、そのオーケストラが、この東北のときに演奏してくれたオーケストラ、そうした本当に絆をね、表せるような演奏会にしたいと思います。
今、出ていますけれども、佐渡さんの公演、東京地区では18日まで、そして20日から3日間、大阪フェスティバルホールなどでも行われます。
東京芸術劇場コンサートホールや、NHKホールなどで、東京地区では行われます。
指揮者の佐渡裕さんに伺いました。
どうもありがとうございました。
ありがとうございました。
では改めて、あすのお天気、どうでしょう。
では松江市の今の外の様子に乗せて、あすのお天気、お伝えします。
どんよりとしていますね。
雨が降っています。
あすも雨や雪が降りそうです。
あすは日本海側を中心に、雪や雨が降りそうです。
太平洋側も、夜は雪や雨の降る所があるでしょう。
沖縄も雨が降るでしょう。
続いて気温の予想です。
朝の最低気温は、北日本や東日本、けさと同じぐらいになりそうです。
西日本はけさよりも低くなるでしょう。
日中の最高気温、あすもあまり上がりませんね。
札幌は0度の予想です。
福岡も9度までしか上がらないでしょう。
真冬並みの気温となりそうです。
2014/12/11(木) 14:05〜14:55
NHK総合1・神戸
情報まるごと[字]

▽“第九”佐渡裕さん あの震災を忘れない 【キャスター】小澤康喬,實石あづさ,【気象キャスター】奈良岡希実子

詳細情報
出演者
【キャスター】小澤康喬,實石あづさ,【気象キャスター】奈良岡希実子

ジャンル :
ニュース/報道 – ローカル・地域
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ニュース/報道 – 天気

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