にっぽん紀行「旅立ちの親子相撲〜沖縄 北大東島〜」 2014.12.18


(波音)すごい波しぶきです!案内人の南果歩です。
私は今沖縄県の北大東島に来ています。
この島は沖縄本島から360キロも東にある険しい断崖に囲まれた小さな島です。
この島には高校がありません。
中学を卒業すると子供たちは皆進学のため島を出る事になります。
その時島を巣立つ子供とそれを見送る親が相撲を取るという行事があります。
親子は一体どんな思いで土俵に上がるのか。
「親子相撲」までの1か月を見つめました。

(テーマ音楽)那覇から飛行機で1時間余り。
およそ580人が暮らす北大東島です。
基幹産業はサトウキビの生産で多くの人が農業や漁業をしながら暮らしています。
実はこのサトウキビが「親子相撲」と深く関係しています。
大正時代に製糖会社が進出しかつては2,000人以上が暮らしていた北大東島。
製糖会社が農閑期に島で相撲大会を開催したちまち人気となりました。
今も島のあちこちに土俵があり年に3回も相撲大会が開催されています。
・勝ったぜ〜!ハハハッ!そんな相撲が盛んな島で25年前に始まったのが親子相撲です。
高校がないために島を出る子供たち。
そのまま進学したり就職したりして再び戻ってくる子供はあまり多くありません。
相撲は島の親子にとって別れの儀式となっているのです。
1…。
今年親子相撲に臨む中学3年生は8人。
3・4・5・6・7・8…。
11月下旬の本番に向け1か月以上前から練習が始まります。
・ついてけてないお前!親子が取るのは「沖縄角力」。
道着を着て組み合い相手を投げ飛ばした方が勝ちです。
父を負かしたいと熱心に練習する生徒がいます。
そんな海盛くんと相撲を取るのは…。
父親の勝巳さんです。
「海人」つまり漁師をしています。
島では有名なタコ取りの名人。
海の男で腕っぷしには自信があります。
子供は育ててくれた事に感謝し親は子供の成長を確認する親子相撲。
しかし勝巳さんは…。
親子相撲まで3週間。
この日海盛くんは父・勝巳さんのタコ漁の手伝いのため海に向かおうとしていました。
幼いころから父の仕事を手伝ってきた海盛くん。
将来海人になりたいと考えています。
北大東島には若者の働き口はあまりなく島に戻ってくる人は年々少なくなっています。
そんな中海盛くんは高校卒業後は島に戻りゆくゆくは父と2人で船を持ちたいと考えています。
「かつうみ」って読むけど「かつみ」って読む。
しかし父は反対しています。
海盛くんは親子相撲に勝って父に自分の考えを認めてもらいたいと思っています。
親子相撲を前に島を出る娘との別れの決心がつかない母親もいます。
中学3年生の…母親の…意識して持たんと。
お父さんに。
農業を営む一家の長女として大切に育てられた麗雅さん。
利恵さんはこれまで娘が島から出る事を考えないようにしてきました。
・お母さんテレビ見ても泣く。
小さなころから体が弱かった麗雅さん。
那覇の病院に1か月近く入院した事もありました。
(利恵)ゆっくりゆっくりね。
こうやってこうやって。
親と離れ1人で暮らしていけるのか。
(利恵)平行に平行に。
ゆっくりゆっくり回しながら。
娘がいなくなる事に心の整理がつきません。
なるべく野菜はね多く取るようにして。
利恵さんと麗雅さんは志望する高校の説明会のため那覇に来ました。
麗雅さんは高校での授業について熱心に質問しました。
・ALT基本的に全部入ってそういうALTを活用した授業を…。
・読み込んでくれてるんだね資料ね。
あと地歴公民研修はどこに行くんですか?・地歴公民研修はね…。
病弱だった麗雅さんには看護師になるという夢があります。
(生徒たちの声)こんにちは。
・はいこんにちは。
(生徒たちの声)今日はどうもありがとうございました。
夢に向かおうとする娘。
利恵さんの気持ちは揺れていました。
(取材者)おはようございます。
ちわす。
親子相撲まで2週間。
海盛くんの父・勝巳さんもまたある思いを抱いていました。
今勝巳さんは海人の仕事の他に港で荷物の積み下ろしのアルバイトをしています。
漁の稼ぎだけでは食べていけず島の海人は年々減少し今は20人ほどになっています。
勝巳さんは島で海人をしたいという息子の夢は簡単ではないと考えています。
勝巳さんは親子相撲を通して自分の思いを伝えたいと考えていました。
親子相撲の前日。
勝巳さんが声をかけ2人で釣りに出かけました。
船はこの日のために友人から借りたものです。
一緒。
親子はあしたの相撲の話はせずただ釣りを続けました。
海盛くんが船から下りたあと勝巳さんが複雑な思いを口にしました。
(人々の歓声)親子相撲の当日。
おやじ〜!
(一同)ファイ!負けらなんど〜!
(一同)シャーッ!
(拍手)8組の島の親子が別れの儀式を迎えました。
娘の巣立ちを案じていた利恵さんも土俵を見つめます。
よし!・セイッ!
(歓声)
(拍手と歓声)・セイッ!・赤!
(拍手と歓声)いよいよ娘と母の腕相撲です。
・負けんなよ!・勝つんだよ!・お母さんの応援団が来ています!あつかまえた方がいいね。
いくよ。
レディーゴー!あ〜!
(歓声)
(拍手と歓声)はいありがとうございました。
(アナウンス)ただいまの勝負麗雅さんの勝ちです。
(拍手と指笛)
(拍手)
(アナウンス)本日トリの親子相撲です。
(拍手と歓声)そして勝巳さん海盛くん親子の対戦です。
・海盛!潰せよ!
(笑い)・勝巳投げろよ!・勝巳〜教えてあげなさい!・海盛すぐ投げろよ!よし!
(声援)
(歓声)互いに譲らず頭から落ちます。
(笑い)・海盛頑張れよ!仕切り直しです。
・海盛お父さん焦ってるよ!
(笑い)
(アナウンス)さあ応援して下さい。
はい!
(声援)
(拍手と歓声)海盛くんの見事な投げ技が決まりました。
(アナウンス)息子の海盛くん見事な一本です!
(拍手)
(アナウンス)白の勝ち!
(拍手)
(拍手)あ〜…。
分かんない。
勝巳さんは海盛くんに島に戻るかは「最後は自分で決めろ」と伝えました。
沖縄県北大東島。
親からのエールを受け取った子供たち。
15の春島を旅立ちます。
2014/12/18(木) 19:30〜19:55
NHK総合1・神戸
にっぽん紀行「旅立ちの親子相撲〜沖縄 北大東島〜」[字]

沖縄県北大東島。高校のない島では、島を巣立つ中学3年生の親子が秋祭りで「沖縄相撲」をとるのが恒例になっている。別れを前にした親子の相撲対決までの日々を見つめる。

詳細情報
番組内容
人口550人あまりの北大東島には高校がなく、子ども達は中学卒業後、故郷を巣立っていく。島の秋祭りでは毎年、中学3年生の親子が島民の前で「沖縄相撲」をとる。親は子の成長を受け止め、子は親の大きさを再確認する。親たちは別れが寂しい一方で、島の経済的な厳しさも日々実感している。「帰って来ないつもりで出ていけ」。言葉にはなかなかできない思いを抱いた両者が土俵上でぶつかり合うまでの日々を見つめる。

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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