(カメラマン)うんいいよ。
じゃあね今度ちょっと軽く笑ってみようかな。
はいうんかわいいよ。
はいはい。
右手をねちょっとあご押さえてくれる?あっそうそうそういい感じだ。
うんかわいいね。
はいはい。
今度はすに体ちょっとはすにして。
そうそう…。
いいよちょっと大人っぽくいこうね大人っぽく。
あごもうちょっと引いてくれるかな?いいよ。
じゃ今度右手でね左の耳うん軽く押さえて。
あっいいね。
色っぽいね。
はいいいよ。
はいOK!
(モデル)お疲れさまでした。
(カメラマン)お疲れさま。
いやぁよかったよ。
(三神)どっちにしようかな…。
こっちだな。
(アシスタント)はい。
(貴子)《・『君の瞳に恋してる』》
(モデル)お疲れさまです。
(三神)おうお疲れさまでした。
よかったよ。
(モデル)ありがとうございます。
(三神)またよろしく頼むね。
(モデル)はい。
じゃあまた。
(三神)よろしく。
(三神)先生。
(貴子)は…はい。
例のコラムですけど…。
ああはいはい。
どうも難航してるようなんでもうちょっとシンプルにして「恋とは?」っていうテーマでお願いできますか?恋?
(カメラマン)いや〜三神さん。
お疲れさん。
お疲れさま。
(カメラマン)おっこちらが噂の美人弁護士さん?
(三神)そうですよ。
えーっ!?
(三神)とても弁護士さんには見えないでしょう?
(三神)今ね口説いてるところなんだ。
そうなんですか?コラムお願いしようと思ってね。
あーコラム…。
(カメラマン)いやぁしかしきれいだなぁ。
1枚いきましょうよ。
おっいいね。
先生先生立って。
ええどうもすいません。
(カメラマン)はいいくよー。
はいポーズ!あっ。
(亜紀)先生ってさすがですねえ。
(柳田)大したもんだよな。
1週間で8件解決かよ。
(亜紀)あんな美人でホントすご〜い。
(つや子)プッ。
(妻)ああよかったわね。
(夫)いやぁホントに先生のお陰です。
(妻・夫)ありがとうございました。
(絵里)お役に立てて光栄です。
(夫)じゃあ失礼いたします。
(妻)どうも。
(夫)さあ帰ろう。
(妻)ホッとしたわ。
用意はいい?次のクライアント行くわよ。
(大介)はいはいはい。
戻りは7時で。
何あの態度。
大ちゃんあごで使っちゃって。
ハハ…スペシャリストは違うね。
かっこいい。
(つや子)わたしは認めないよあんな女。
ていうか向こうが相手にしてないと思いますけど。
よね。
気づいてないかもね。
ちっちゃいから。
うん。
あのみけんのシワ。
くわえタバコ。
たくましい二の腕。
浮き出た血管。
セクシーな胸もと。
(つや子)これが恋人?ああっ!?座敷わらし!誰がじゃ!
(つや子)へえ〜。
彼が湿布を拾って…。
あので…何となくね。
よかったじゃない。
でっ何?どこまで事は進んでんの?事はあのまだ全然…。
(つや子)しっかりしなさいよ!こういうことは最初が肝心なのよ!そうかな?やっぱり。
まずはそのコラムね。
バシッといいのを書いてできる女だって思わせなきゃ。
心配…。
大丈夫。
バックアップしてあげるから。
ますます心配。
でもさその前に彼恋人とかいないわけ?何?そんなことも知らないの?よーく調べたほうがいいわよ。
40過ぎで独身でいい男。
な〜んか一筋縄じゃいかない意外な秘密があったりするかも。
意外な秘密?でも。
まあとにかくあんたが恋ねえ…。
ちょっと。
言っておくけどほかのみんなに言ったりしたら。
クッ!ウッ!これだかんね。
はい。
(絵里)旦那さんがお金を家に入れてくれない?
(京子)そうなんです。
この半年間ずーっと。
(大介)で…愛人に貢いでるんではないかと。
何か証拠でも?
(京子)勘ですよ勘。
ほらまじめな人ほど年を取るとそういうのにはまりやすくなるっていうでしょう。
(大介)あは…は…。
(京子)だってギャンブルもパチンコもやらない人が急に生活費すら入れなくなったんですよ。
なるほど。
で…そのことなじるとこれを出してきたと。
でっ何?用があったから待ってたんでしょ?あっそうそうそうそう。
あの子よ佐伯絵里。
もう好き勝手させていいの?勝手にはさせてない。
依頼の内容は把握してるしそれに大介も付けてる。
(つや子)だから心配なのよ。
あの子顔はきれいだけど脳みそはツルツルよ。
(柳田)間違いなくシワ一つないな。
ある意味真っ白なキャンバスだ。
(亜紀)すっごくさわやかなアホってこと?うまいこと言うねえ。
大丈夫もう一人付いてるから。
(紀三郎)あの佐伯先生の今度の依頼ですが。
ねっ。
夫婦財産契約だそうです。
あ〜ハハハ…何だっけ?それ。
(紀三郎)日本ではあまり例がないんですが結婚前に生活費などの分担を取り決めて契約をするんですな。
生活費は旦那さんが。
そして教育費は奥さんがみたいな感じね。
ところがこの契約結婚後に一方が条件を変えたくてももう一方が同意をしないかぎり変更ができません。
ええっ!?ウチの旦那小遣い月7,000円なんだけど変えちゃいけないの?安っ!大丈夫。
結婚後の契約は問題ないの。
夫婦財産契約っていうのはあくまで結婚前他人同士として結婚後の費用分担の契約を交わしたってことだから。
ああよかった。
じゃあ5,000円にしよう。
下げんのかっ!
(絵里)狭山京子さんと夫時夫さんは結婚する前に家のローン子供の養育費は時夫さん。
生活費は京子さんが出すという夫婦財産契約を交わした。
当時は共稼ぎだったためそうなった。
ところが子供は独立。
2年前に家のローンが終わったにもかかわらず半年前から時夫さんは生活費を入れなくなった。
(絵里)京子さんのパートだけで生活費を補うには苦しくなりそのことをなじると逆ギレして何十年も前のこんな契約書を出してきた。
(紀三郎)まあ時夫さんはきまじめな方ですから弁護士に勧められてこういう契約を結んだんでしょうな。
奥さんとしてはこんな契約取り消すか旦那さんが生活費を入れるように変更してほしいって当然ですよね?ところがご主人が「うん」と言わないかぎり変更も取り消しもできない。
なかなかやっかいな案件ですな。
(京子)最近急によそよそしくなって。
(絵里)生活費を入れない理由は聞かれました?
(京子)でもそれを言うと「うるさい黙れ」って。
(絵里)愛人ができたという具体的な証拠は?でも…。
でも絶対そうなんです。
あの人がこういうことをするっていうのは…。
(絵里)奥さんの勘だけで動くわけにはいきません。
お金を入れない理由をもう少し探ってもらえますか?
(京子)はあ…。
あの夫婦財産契約って変えられますよね?
(貴子)大丈夫ですよ。
契約っていっても夫婦間のことですし。
お互いがじっくり話し合って納得しあえばいいんですから。
ご主人も一時的にカーッとなってやっちゃったんでしょうな。
(絵里)大丈夫です。
要するに奥さんにお金が入ればいいんでしょ?
(貴子)あれ?この人。
(紀三郎)はい?七海商事の狭山さんって方知ってます。
ああそうなんですか?前の事務所が七海商事の顧問してることがあって何年か一緒にお仕事しましたよ。
営業一筋の人でこれぞ一昔前のサラリーマンって感じのまじめな方でしたよ。
生活費を入れないって…。
家庭もすごく大事にされてましたよ。
まじめな人ほど意外な秘密があったりしますからね。
意外な秘密…。
・
(テーマソング)
(時夫)うるさーいっ!あっ。
(時夫)だから俺は今大変なときなんだよ!お前だってパートに出てるし貯金だってあるだろ!朝から余計なことごちゃごちゃ言わないでくれ!バカ野郎が!
(三神)この間いただいた「恋とは?」っていうテーマのコラムのことなんですけどね。
(貴子)はい。
(三神)ちょっと硬いんですよね。
「恋という状態が継続されれば婚約という形に進展していく可能性は大であり婚約とは民法上…」って。
ダメなんですか!?
(三神)うーん…。
今度一緒に食事でもさせてもらってもうちょっと僕のイメージ伝えさせてもらったほうがいいかなぁ…。
はっ?今度の金曜日ってお時間取れます?えっ。
あっダメかぁ…。
がら空きです。
えっ?あ…そうですか?じゃあ…。
・
(編集者)編集長!うん?
(編集者)お電話です。
ちょっと失礼。
何番?
(編集者)2番。
誘われた。
触られた。
(編集者)お代わり持ってきますね。
はっ?ああ…。
あのっ。
ちょっと参考までに伺いたいんですけれどもあの編集長っていうのはどんな人なのかなと思ってねこれ。
ハハッ。
(京子)殴ったんです思い切り。
殴って突き飛ばして。
結婚して初めて。
許せない…許せません。
あれ出してくれる?はい。
奥さん。
(絵里)違う。
えっ?
(絵里)デジカメ。
打ったのはどこですか?
(京子)あっここです。
あとすぐ病院に行って診断書をもらってきてください。
(京子)とにかく早くお金を入れさせてください。
女に貢がせるなんてとんでもないわ。
ただ夫婦財産契約がありますからね。
だからそれを何とかしてくださいって。
意外と難しい契約なんですよ。
旦那さんが「うん」と言ってくれないことには。
そんな…。
(絵里)ただ契約を変えなくてもお金が入ってくる方法はありますが。
えっ?
(社員)狭山さんも大変だよな。
(社員)ホントだよな。
・
(権藤)狭山君。
(時夫)あっ専務。
(権藤)待たせたね。
(時夫)お忙しいところ恐縮です。
いいよいいよ。
今日は君につきあうよ。
行こうか?ありがとうございます。
離婚!?
(絵里)夫婦財産契約は一方からの変更取り消しはできない。
なら夫婦でなくなればいい。
簡単なことでしょ?いやだけど…。
コンピつまり婚姻費用は入れない。
女性の影はちらつく。
DVはある。
離婚を請求して何が悪いの?奥さんが望むお金も財産分与と慰謝料で取れる。
それは…。
依頼人の利益が第一よ。
でも奥さんはこう一時的な感情でついカッとなって。
一時的な感情だってあなたに分かるの?いい?わたしの経験から結婚10年以上たって離婚を切り出された場合相当意思は固い。
こっちは依頼されたことだけをやればいいの。
分かった?木村さんの件法務局行ってくれた?依頼はこれ1件だけじゃない。
さっさとこなして。
(柳田)「恋とは」
(つや子)これがテーマです。
これについて各自400字詰め原稿用紙に3枚書くこと。
あっ!?何それ?よかったら採用悪かったら向こう1か月団子な〜し!これは事務所の広報活動の…。
(柳田)一環なの?
(つや子)そう。
とっても大事な仕事よ。
(柳田)ふざけんな!こっち忙しいんだよ!シャラーップ!わたしの命令これすなわちボス弁貴子の命令です。
逆らったら…。
クビだかんなっ!
(貴子)「彼女はいないみたいですよ」っか。
女性誌の編集長で42歳で独身で彼女はいない。
あんないい男が…。
何で?意外な秘密があったりするかもそっちか!?そんな。
そりゃないわよねえ…あっ。
でも編集部には20代30代のすてきな女性が多かった。
若い子好き〜!?大丈夫ですか?ああ…別に。
あっ例の狭山さんの件どうなった?順調にいってます。
何か?あのご主人知り合いだからちょっと気になって。
(絵里)迅速に処理しています。
ご心配なく。
(時夫)専務!何とかお願いします!いやぁ俺も自分のことで手いっぱいなんでねえ。
悪いんだけど誰かほかの役員あたってくれないかな。
(社員)ちょっとちょっと。
(社員)うん。
(社員)何かね狭山さん宛てにこんなのきてるよ。
(社員)えっ?
(社員)家裁。
(社長)狭山時夫というのは君の部下だったね?はい。
(社長)暴力が原因で嫁さんが別れたいと。
その慰謝料のため近いうちに入る予定の退職金仮差し押さえだそうだ。
(貴子)退職金の仮差し押さえ?どうしてくれるんですか?社長の元までこんなものが送られてきてるんですよ。
こともあろうに間宮先生の事務所の弁護士さんだっていうじゃないですか。
分かりました。
とにかく事情を聞いて…。
わたしと先生はコンビニとの業務提携で一緒に仕事した仲じゃないですか。
何でこんなひどい目に。
あれ?あれ狭山さんじゃねえ?横のいい女誰よ?あれ。
ウチの顧問やってたすご腕の弁護士さんよ。
(社員)へえ〜。
でも何であのおっさんと?役員選挙?そうなんです。
今度の取締役会で決まるんです!今部長から役員になれるかどうかの瀬戸際なんです。
そうなんですか。
では生活費を入れてないっていうのは?カットになったんですよ給料が。
それは女房も知ってます。
ですが…。
経費削減。
接待費も自腹になったんです。
いろいろ入り用で。
それに女房だって貯金ぐらいはあるでしょう。
まあ確かにここんところ忙しくてウチのことはかまってやれなかったけど。
だからといってですよ。
そこがいちばんの原因じゃないんでしょうか?奥さまだって一時的に感情的になられてるのかもしれませんし。
でもまあ多分お金のことだけで騒がれてるんじゃないと思いますよ。
もう一度ご夫婦でゆっくり話し合われてみてはいかがですか?分かりました。
先生のおっしゃるとおりかもしれませんね。
あっ今後電話をいただくときは携帯にしてください。
会社だと差し支えがありますので。
役員選出?何でそんな大事なときに退職金仮差し押さえなんてかけたの?本人はまだしも会社にまで送達されるのよ。
(絵里)自宅を処分しても財産分与と慰謝料には足りません。
そのための仮差し押さえです。
待ってよ。
夫婦財産契約の依頼でしょ?最初はそうでしたが今は京子さんへの暴力による離婚事件の手続きに変わってます。
離婚?暴力!?離婚前に慰謝料に保全をかけるのは当然のことと思いますけど。
離婚って…。
奥さん京子さんはそのつもりなの?ああ…。
今日家を出られました。
はあ?
(貴子)ちょっと待ってよ。
狭山さんはわたしもよく知ってるけど温厚でまじめな人よ。
診断書もあります。
暴力っていうのも何かの行き違いっていう可能性だってあるでしょう?
(絵里)紛れもない事実ですよ。
先生がどれほど狭山さんのことをご存じなのかは知りませんが人には意外な一面もあるんですよ。
でもね…。
暴力は振るう。
生活費も入れない。
別れない理由がありますか?次は狭山時夫を呼び出すから。
あの。
いや旦那さんの女性問題とか調べておかなくていいんですか?奥さん心配してましたけど。
(絵里)これだけの材料で十分慰謝料は引き出せる。
相手がごねるようだったらそのとき考える。
とにかくさっさと片をつけるから。
こんなものいきなり送ってきて!わたしがどれほどの被害を被ったと思ってるんです!それが当たり前だと!?退職金仮差し押さえは離婚する以上は当然のことです。
あなただって夫婦財産契約を盾に生活費入れてないでしょう?離婚って何ですか?離婚って。
(絵里)京子さんの希望です。
それから狭山さんの給料30年の結婚生活暴力による精神的苦痛これから換算して財産分与2,000万円慰謝料1,000万円という数字を出しました。
こんなの払えるわけない!こちらとしてはびた一文譲歩する気はありません。
裁判も辞さない覚悟です。
ちょっと先生…。
勝手にやってください!こっちは今それどこじゃないんだよ!勝手にさせてもらいますが弁護士は立てられたほうがいいんじゃないですか?大きなお世話だ!どこ行くの?何もあんなケンカ売るような言い方しなくたって!何言ってるの?これは交渉よ。
でも…。
それに何なんですか?この金額。
相場より高めを最初に吹っかけるのがセオリー。
それで3日後妥協を図る。
3日後というのがポイント。
それ以上過ぎると相手が開き直るから。
それにこうやって端数の数字まで出すと格段に説得力は高まる。
覚えておいて。
だけど…。
向こうはわざわざこっちの事務所まで足を運んだ。
その時点で勝負はついている。
後はいつどれだけの金額で泣きを入れてくるかよ。
(貴子)狭山さん!いきなり呼びつけといて何ですかあの態度は!?とにかく一度奥さんと…。
あいつもあいつだ。
これが30年間連れ添った夫に対する仕打ちですか!?許しませんよ!わたしはね今仕事で頭がいっぱいなんです!裁判でも何でもやればいいでしょう!失礼!
(貴子)狭山さんは今離婚騒動どころじゃないの。
今度役員に選ばれなかったら子会社に出向になるのは間違いないわ。
ですからもう少し猶予を与えてあげてですね交渉はそれが終わってからでも…。
依頼人は狭山時夫さんですか?なぜ向こうの事情を考慮しないといけないんです?あ…いやいやもともとは夫婦財産契約ですからまあ奥さんに事情を説明して…。
ですからなぜその必要が?別居してても生活費はかかる。
一刻も早く解決したいんですよこっちは。
離婚の際双方の事情をきっちり聞くことは結局は早く解決することに…。
わたしの依頼人は京子さんです。
わたしはわたしのやり方で迅速に解決してみせます。
次の打ち合わせここだと余計な人が口を挟みそうだから外でしましょう。
間宮先生…。
(絵里)何してるの?行くわよ。
(絵里)旦那さん…狭山さんは話し合うつもりはないと言っていますがどうされますか?やっぱり女が?それは分かりません。
だけどこうなると流れとしては離婚調停。
それでうまくいかない場合は訴訟となります。
どちらにしろ京子さんにお金は入りますから。
じゃあそれで…。
(つや子)しょうがないでしょう。
あんたの依頼じゃないんだから。
ああ…。
様子見るしかないかなぁ。
(ため息)それよりコラムも全然ダメ。
誰も書けない。
お手上げよ。
あれ?ねえ。
あんなのはってあったっけ?
(大庭)魔よけのダーツです。
よかったら。
(つや子)魔よけ?あのこれ…試作品なんでよかったら。
ありがとう。
何?これ。
いわゆるクリームコロッケです。
ああっ。
よいしょ。
いかがですか?うんっ!まずい…。
あらハハハ…。
相当ひどかったわねこれ。
ねえ。
すいません。
バタバタしててうっかり。
アハッいいですよ。
何度か電話したけど留守電だったし。
先にやってました。
もう〜バカ。
(理奈)編集長。
この間はどうも。
(三神)おう理奈。
10日よろしくね。
(理奈)はーい。
楽しみにしてます。
(三神)うん。
(理奈)じゃあまた。
顔が広いんですね。
うん?ああいや別に。
ただのモデルですよ。
ああいう若い子どうも僕苦手でね。
うるさいから。
若い子が苦手っ。
(三神)どうかした?いや何でもないです。
アハハ…。
おほっほほ…。
先生。
はい?
(三神)今日は結局時間がなかった。
今度ゆっくりデート…。
あっじゃない打ち合わせしましょう。
電話します。
OK牧場。
デート?誘われた?わたし!?誘われた!?やだ…三神さん早い。
もう気が早い。
狭山さん。
(貴子)大分お疲れのようですね?
(時夫)すいませんこんな遅くに。
いえ。
たまたまこの近くで飲んでたもんですから。
狭山さんはどうしてこの辺りに?ああすぐそこのニチワ食品に。
僕の部下がヘマをして迷惑かけちゃったんで。
そうだったんですか。
大変でしたね。
まあねえ。
あのお話って?役員選のこと。
えっ?申し上げにくいんですが役員に選ばれそうにない。
そういうお話じゃありません?選ばれそうにないからついいらだって奥さんに当たったりした。
そうじゃありません?わたしはあの会社で顧問弁護士をしていた人間です。
内情は知ってます。
七海商事でかつて食品の営業畑から役員になった人間はいない。
わたし狭山さんの営業での評価をほかの方に伺ったことがあるんです。
すばらしい評価でしたよ。
そこで30年やってこられた。
もし…。
あっ失礼ですけどもし役員に選ばれることがなかったとしてもその評価は何ら変わるもんじゃありません。
このまま離婚でいいわけがない。
奥さまだって分かってくださるに決まってます。
狭山さん。
30年無遅刻無欠勤ですよ。
雨の日も風の日もはいずり回って。
靴なんか3か月ともたない。
あっちでペコペコこっちでペコペコ頭下げてね。
知ってます?わたし「土下座の狭山」って呼ばれてたんです。
そのあげくポイですから。
そんな…ポイだなんて。
フフフ。
わたしは靴と一緒だ。
えっ?わたしの人生すり減るだけすり減ってなあんにも残っちゃいない。
(すすり泣き)
(亜紀)あれ?どうしたの?
(大介)ああ…いや…。
間宮先生は?
(亜紀)今日はもうみんな帰ったよ。
じゃあお疲れさま。
・
(紀三郎)どうかしましたか?
(大介)ああちょっと考え事で。
そうですか。
あの。
何か?佐伯先生のやり方はホントに正しいんでしょうか?あれが弁護士として正しいなら何か俺司法試験目指すの嫌になるっていうか…。
(紀三郎)しかしなかなかやっかいな案件ですな。
まあ佐伯先生はね法律のプロですから。
ご自分で正しいと思われた答えを出されたんじゃないでしょうかね。
わたしはねまあ結果はともかくとしてプロセスにこそ真実があると思ってるんですがね。
(時夫)はい。
(貴子)間宮です。
ああどうも。
今どちらですか?会社ですが。
ちょっと待ってください。
外に出ますから。
すいません外に出ました。
もしもしもしもし?
(貴子)あの帰り道ニチワ食品の前を通ったんです。
そうしたらビルが壊されてました。
だからもしやと思って。
(時夫)そうですか。
それとなく会社の人にも聞いてみました。
半年前だったそうですね。
リストラされたのはね。
わたしのようにね年取った営業バカみたいなのがいちばんいらないらしいんですよ会社は。
ハローワークに行ってもこの年だと半年かかって面接までこぎ着けたのがようやく3社。
それもすべて落ちました。
だから生活費を入れられなかった?前の上司にも頼んだんですが全然。
どうして奥さんに?わたしはね会社のためにすべてを犠牲にしてきた男です。
何度も家族にもつらい目に遭わせてきました。
それが会社に捨てられたなんて。
だけど…。
上司から電話があってね。
取りに行きましたよ会社まで差し押さえの通知を。
ただでさえ恥ずかしいのに。
わたしには…。
何も残っていないんです。
事情を話しましょう。
奥さん分かってくれますよ絶対。
(すすり泣き)狭山さんは夫婦財産契約なんてどうでもよかった。
お金を入れない言い訳が欲しかっただけなの。
離婚なんてしなくても問題は解決するわ。
わたしは依頼人の利益を第一に考えてました。
あれが本当に依頼人の利益だったの?そう思ってます。
(絵里)お話はお伺いしました。
京子さんも女性問題じゃなかったということでもう一度最初から話し合いたいとのことです。
(社員)あれ?狭山さん!何やってんすか?こんなとこで。
(時夫)ああちょっとな。
フフフ…昔の部下。
いい身分っすね。
職探し中にディナーっすか。
アハハハ。
あっごゆっくり。
(社員)おいちょっと!何やってんだよ。
早くこっち来いお前。
どうしたどうしたどうしたの?「土下座の狭山」お茶してたよ。
(社員)半年やってもまだ職見つかんねえらしいよ。
(社員)使いもんにならないだろ?だって土下座しか能がないオヤジだぜなあ。
(社員)コンビニの営業なんてパソコンでやるでしょ。
(社員)今どき体張って?頭悪いよねアハハ…。
(社員)だからだからあの嫁さんに逃げられちゃうんだよ。
(社員)お前もそうなっちゃうんじゃねえの?
(社員)でもああにはなりたくないな。
古いんだよなやり方が。
(社員)ああはなりたくねえよ。
(社員)ああはなりたくないよな。
(社員)気を付けねえとな。
(社員)古いんだよな…。
こんばんは。
おっ。
弁護士の先生!もう終わったんすか?じゃあ飲みましょうよ!飲みましょう!随分優雅ねえ。
アハハハ…。
あっこんな高いワイン飲んでるんだ?
(社員)エッシェゾーの97年物ですはい。
あなたたちコンビニを担当してる外食3課よね?
(社員たち)はい。
七海商事とコンビニのルート開拓したの狭山さんだって知ってた?えっ?そのお陰で楽できてるのよ今。
あったま悪そうだからついでに教えといてあげるね。
狭山さんたちはね好き好んで頭下げてるわけじゃないの。
頭下げて闘ってるの!ああやって家族のために自分のプライド犠牲にして自分を犠牲にして。
はいずり回って闘ってるの!あんたたちみたいに自分勝手な自尊心ばかり高い薄っぺらいガキとは違うのよ!ちょっと何すんだよ!うわっ。
ワインよりジュースのほうが似合うわよ僕ちゃんたち。
おいしいね。
これ。
わたしパートもうちょっと増やすから。
何とかなるって。
(大介)男と女の仲っていうのはこう一筋縄ではいかないってことですよ。
フフン。
まあ先生には分からないだろうけど。
分かってるわよ。
えっ?嫌っていうぐらいにね。
(三神)いやぁ間宮先生さすがですこの原稿。
「恋はいつも出会い頭である男と女に与えられた最もすてきで切ない事故なのだ」大人の女性の恋愛観がバッチリ表現されてますよ。
そうですか?
(三神)男と女のことよく知っていないとなかなか書けない。
これからもこの調子でよろしくお願いします。
はい分かりました。
じゃどうもはい失礼しまーす。
誰が書いたの?誰?いい宣伝になりました?お先に。
(貴子)な〜んか面白くない!まあまあ…。
でっどうだった?彼氏の意外な秘密発見できた?それがさ若い子苦手なんだって。
ふ〜んじゃあフケ専だったりして。
フケ専?老けたおばちゃん専門ってことよ。
ないな。
それはない。
何で老けたおばちゃんのイメージわたしなのよ。
ごめんごめん。
そんなつもりじゃない。
あっ。
んっ?三神さん…。
・『EVERY』2014/11/26(水) 15:53〜16:48
関西テレビ1
離婚弁護士