(最終回)ドクターX〜外科医・大門未知子〜 #11 2014.12.18


(神原晶)あ…ああ…。
(大門未知子)晶さんどこへ行った?うっ…。
晶さんどうしたんだろう?
(鳴き声)よしっ!
(呼び出し音)
(ため息)
(神原)「もしもし」もしもし晶さん?ねえなんで帰ってこないの?今どこ?「未知子家出したんじゃなかったの?」行くとこなくて帰ってきた。
「バカね。
フフフッ」ねえ早く帰ってきてご飯作ってよ。
もうおなかペッコペコ。
「いい加減に自立しなさい。
私は事業拡大で忙しいの」「営業であちこち駆けずり回るからしばらく帰れないわ」えっ?「ベンケーシーのご飯忘れないであげてね。
じゃあ」ちょ…ちょっと待って帰れないってちょっと…。
ちょっと晶さん!?はあ!?
(鳴き声)なんだよ…。
これは一匹狼の女医の話である
2014年白い巨塔の崩壊はとどまる事を知らず
命のやり取りをする医療は本来あるべき姿を完全に見失っていた
(十勝喜子)「閣議決定を経ましてここに特定国立研究開発法人日本医療産業機構の発足を宣言致します」
(拍手)
(喜子)「それではご紹介します」「初代理事長天堂義人さんです。
どうぞ」
(拍手)
(天堂義人)「私の夢がかないました」「医療に関する全てのリソースと予算をここに集中し国内外に高度で良質な医療を提供していこうという新時代の医療組織なのです」
(拍手)
しかしそんな状況にもかかわらず国は成長戦略の一環として日本の最新医療を積極的に輸出する方針を打ち出し医学界はさらなる弱肉強食の時代に突入した
「新たなスタートを切る事になるのです」本当に作っちゃったよ。
ついに天堂総長は医者として最高の権力を持つ頂点まで昇り詰めたわけですね。
当然のご出世や。
それもこれも瀕死やった十勝議員を富士川術式で救ったおかげや。
ハハッ。
そんな中どこの大学医局にも属さないフリーランスすなわち一匹狼のドクターが現われた
「この組織のもと…」
(富士川清志郎)天堂はんが出世して総長の椅子が空くっちゅう事やな。
つまりその椅子に誰が座るかっちゅう話や。
(海老名敬)東西最終決戦か。
まあわしが圧倒的に優勢やけどな。
神様仏様天堂様…。
どうか私を見捨てないでください。
「日本の医療は変わるのです」
(笑い声)お願いします。
(海老名)「チェンジアンドチャレンジ」
(関ヶ原朋子)西は無駄に強気。
東は神頼み。
「以上です」東西最終決戦はうちの富士川部長に軍配が上がりましたな。
(阿智)ハハハハハッ!何言ってんですか!おいデイモンお前も知らんぷりしてないで参加しろ!致しません。
はっきり言って十勝議員を実際に手術して救ったのは富士川部長じゃなくて大門先生じゃないですか。
人聞き悪い事言わんといてや。
我慢してたけどお前の顔なんなんだよ!返信こないな〜!デイモンどうしたの?このうちわ。
これ?うん。
この人の秘書がくれた。
快気祝いだって。
ふーん…。
これまずくないですか?
(メッセージの受信音)きた!
(神原)私がいなくてもしっかり手術してがっぽり稼ぐのよ。
ラジャー!手術いってきまーす!わしが総長になれたら十勝先生のおかげやな。
ん〜!フフフッ…。
(井川真澄)失礼します。
はい。
天堂総長がこれにサインと日付を入れて提出するようにとの事です。
おっ!早速か。
え…?
例えばこの女
群れを嫌い権威を嫌い束縛を嫌い専門医のライセンスと叩き上げのスキルだけが彼女の武器だ
じゃあ始めるよ。
(看護師たち)お願いします。
メス。
(真部のぞみ)はい。

(蛭間重勝)大門未知子…。

外科医大門未知子
またの名をドクターX
天堂総長この度日本医療産業機構理事長ご就任おめでとうございます。
おめでとうございます。
ありがとうございます。
さあどうぞ。
ああありがとうございます。
富士川君。
はい。
浪速のまんじゅうでございます。
フフフッ…懲りない方々だ。
ヘヘヘッ。
十勝議員のオペに関しては我らが西京大学も随分と尽力させて頂きました。
細胞シートによる心筋再生それから骨髄細胞を用いた肝臓再生。
これは全て全部みんなハハハッ…まあ我が西京大の研究の成果でございまして…。
それともうひとつというか天堂総長が今度日本医療産業機構の理事長におなりになるという事はつまりこの高度医療センターの総長の椅子が空席になるという事でございますよねえ。
このあとにこの総長の椅子には誰が座るのかな?なんて事をちょっと考えますねえ。
ハハハハッ誰が座るのかなって…。
ハハハッ…アハハハハハッ!総長この富士川は総長のご指導に従って忠実に実行したまででございますのでねえ。
まあそう頑なにクビクビと言われても本人もちょっと戸惑っておりまして。
御意。
それともうひとつ…お願いがございます。
この高度医療センターになんとしても診てもらいたい患者がおるんでございますが。
どういう方でしょうか?はい…。
私でございます。
蛭間病院長ご病気なんですか?それはいけませんね。
西京大病院では無理な病状ですか?はい。
この高度医療センターのドクターのお力をお借りしたいと考えております。
誰をです?大門未知子先生です。
ほう…。
彼女でないとこの私の病気はあかん思います。
では…富士川先生の進退と引き換えにお引き受け致しましょう。
え…?いや…!?あ…そうですか。
わかりました。
いいね?富士川君。
いやちょっと待ってください!病院長それでは約束が違いまっせ。
約束ってあんたとどんな約束した?え?え?天堂総長があんたの事いらんおっしゃってるんだものしょうがないじゃない!いやそやけど…。
そやけどやない!わしの命に代えられんやろ!ふざけんなーっ!冗談やないで!なんであんなフリーターのせいでわしが外科部長の…。
フリーターフリーター言うな!あんたの腕さえあったらもうフリーターで十分やってけるあんたも!え?助けて!決まりましたね。
はい決まりました。
ではカンファレンスで。
はい。
富士川先生もったいない。
(蛭間)おっしゃるとおり。
(富士川)ああーっ!!ああーっ!!騒ぎ過ぎ。
(富士川)ああーっ!!もう晶さん返信ちょうだいよ。
(富士川)ああーっ!!うるさいなもう!
(加藤峰司)それではお願い致します。
皆さんもご承知のとおり数週間後私はこの病院を去る事になります。
これが最後のカンファレンスになるかと思われますのでどうか皆さんの叡智を結集してこれから検討して頂く患者を救って頂きたい。
なお富士川外科部長におかれましては昨日辞表を提出されました。
えっ!?そんな…。
これからも東西一丸となって戦略統合外科海老名部長のもと邁進して頂きたい。
はい!御意。
(拍手)最後のカンファレンスを始めてください。
(司会)では本日の1例目。
63歳男性。
術前診断は横行結腸癌と直腸癌の高度進行同時性多発大腸癌ステージ

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