先どり きょうの健康「冬の子どものおう吐・下痢対策」 2014.12.19


(テーマ音楽)正しい健康情報を分かりやすくお伝えする「きょうの健康」です。
早速今日のテーマはこちら…うちの子どももそうだったんですが子どもは下痢をしたり吐いてしまったりというのはよくありますよね。
そうですね。
そして特に冬に注意が必要なのがウイルスによるおう吐下痢なんです。
その代表的なウイルスというのがこちら…ノロウイルスってよく聞きますがロタウイルスというのもあるんですね。
もちろんノロウイルスも冬におう吐下痢を引き起こすので注意が必要なんですが特に子どもの場合更に注意が必要なのがこのロタウイルスなんです。
ロタウイルスによって毎年数人のお子さんが亡くなっているという事なんです。
今日はこのロタウイルスへの対策を中心に冬に起こる子どものおう吐や下痢についてお伝えしていきます。
それではお話を伺う専門家をご紹介しましょう。
特に子どもの感染症の診断と治療がご専門です。
齋藤さんどうぞよろしくお願いします。
お子さんの場合に特に注意が必要だというロタウイルスなんですがいくつくらいで特に感染しやすいというのはあるんでしょうか?感染発症しやすいのは生後6か月から3歳未満の乳幼児ですが遅くとも5歳までにはほぼ全ての子どもが感染すると考えられています。
初回の感染が最も重症化しその後感染を繰り返すごとに症状は軽くなります。
そのロタウイルスの患者の数というのはどれぐらいなんでしょうか?これは国内の5歳未満のロタウイルス胃腸炎の年間患者数の推計です。
毎年およそ110万人が発症し80万人が医療機関を受診されます。
そのうち2万6,000人から7万8,000人が入院し10人前後が死亡するといわれています。
実際冬といっても冬のいつごろ特に流行しやすいというのはあるんでしょうか?1月から5月ごろでピークは2月と3月です。
実際にそのロタウイルスに感染するとどんな症状が現れるんでしょうか?ロタウイルスに感染しますと2日から4日の潜伏期間の後に発熱とおう吐で発症します。
発熱おう吐は1日から2日間続きますがそれが治まると水のような下痢が5日間から8日間続きます。
ロタウイルス胃腸炎は白色便性下痢症という異名もありますが必ずしも便が白くなるという訳ではありません。
症状からはノロウイルス胃腸炎とは区別ができません。
そしてこうしたおう吐や下痢といった症状が出た場合ですがどうしていけばいいでしょうか?どういう事に注意が必要ですか?注意してほしいのは脱水症です。
おう吐や下痢を長く繰り返していると乳幼児は簡単に脱水になってしまいます。
脱水の程度が強い場合には点滴や入院が必要となります。
その子どもの脱水症に早く気付くためにはどんなポイントがあるんでしょうか?お子さんの様子をよく観察して頂いて…こういった症状の場合は脱水症を疑ってすぐに受診して下さい。
この脱水症が命に関わる深刻なケースになる事もあるんでしょうか?医療機関へのアクセスがよい日本では脱水で亡くなる事はありません。
ただしまれですがロタウイルス感染症の合併症には脳炎・脳症がありこの場合は命に関わります。
お子さんがけいれんを起こして…このような状態の場合には脳炎・脳症を疑いすぐに救急車を呼ぶようにして下さい。
けいれんなどが起きたらすぐに救急車という事ですね。
では先ほど教えて頂いた脱水症を防ぐために家でできる事というのはどんな事ですか?ロタウイルス胃腸炎の吐き気やおう吐は大体一日で治まります。
治まってから水分をこまめに少しずつ飲ませる事。
またおう吐や下痢で水だけが失われる訳ではありません。
電解質も失われますのでそれを補う意味で経口補水液ですとかイオン飲料などを飲ませます。
今こういうのいろんな物売ってますもんね。
薬局などに…。
あと下痢止めを使用しないというのもありますね。
自宅で自己判断で市販の下痢止めなどを使うとかえって症状を長引かせますので安易に使わない方がいいと思います。
ここまではロタウイルスによってお子さんがおう吐下痢になった場合にどう対処するかという事をお伝えしてきたんですができればロタウイルスに感染しないと。
予防というのを心掛けたいと思うんですが実際に事前に行える対策としてはどんな事がいえますでしょうか?まずはウイルスをつけないという事です。
冬場は特に手洗いが基本です。
冬にはやるロタウイルスノロウイルスインフルエンザそういったウイルス全般に対する感染予防対策の手洗いは基本となります。
2番目がウイルスをやっつける。
つまり消毒です。
そしてこちら…。
重症化の予防にはワクチンをしておきましょうという事です。
これがロタウイルスから子どもを守る3原則となります。
ではまずこの「ウイルスをつけない!」それから「ウイルスをやっつける!」この2つについてどうしていけばいいのか久田さんお願いします。
はい。
ではこちらで見ていきましょう。
大切なのはウイルスにどのように感染するかを知っておく事です。
ロタウイルスは感染した人の吐いた物や排せつ物に含まれます。
たとえ床などをきれいに掃除したと思っても目には見えないウイルスが残っている事があるんです。
すると小さいお子さんがその床やウイルスで汚染されたおもちゃなどに触れて手から口にウイルスが侵入し感染してしまいます。
家族の誰かが感染したらほかの家族にうつらないように家でもしっかり対策をする事が大切です。
まずウイルスをつけないための対策としては…おう吐物や排せつ物を処理したあとやおむつ交換のあとはもちろん調理を行う前食事をとる前トイレに行ったあとなど家族みんなでこまめにしっかり手洗いをして下さい。
そのあとは清潔なタオルやペーパータオルなどで拭くようにしましょう。
そして…掃除や消毒の際は使い切りの手袋やマスクなどを着用し使用した物は全てポリ袋に密閉して捨てましょう。
続いてウイルスをやっつけるための対策です。
ウイルスはさまざまな物についています。
消毒するのに活躍するのは塩素系漂白剤を水で0.1%くらいの濃度に薄めた消毒液です。
アルコール消毒はある程度効果はありますが完全ではありません。
その消毒のしかたですが汚れた床や壁の場合まずペーパータオルなどで飛び散らないように静かに拭き取ります。
そのあとに更に消毒液を十分染み込ませたペーパータオルを10分ほど置いておきます。
そして最後にきれいに水拭きをします。
汚れた衣類や布団の場合衣類はできる物は消毒液に10分ほど浸してから洗濯します。
布団などの大きい物は汚れたところに消毒液をかけて10分ほど置いてから洗います。
感染者が触れた物の場合消毒液はもっと薄めて使っていきます。
小さめのおもちゃなどは消毒液に10分ほど浸してから水洗いします。
ドアノブなどは消毒液を染み込ませたペーパータオルで拭き10分後に水拭きをします。
齋藤さんこのロタウイルスというのは随分感染力が強いんだなという印象がありますが本当についてしまったら入念な処置消毒をしなきゃいけないという印象を持ったんですがここまでやっぱりやった方がいい訳ですよね?どれも家庭でできる大切な感染予防対策です。
あとノロウイルスに対してもこれは有効です。
そうなんですね。
ではこの3つ目の重症化予防のためのワクチン接種ですね。
このワクチン接種というのも重要になってくるんですね。
ロタウイルスは非常に感染力が強くて10個から100個で感染が成立します。
家庭での感染予防対策だけでは完全とはいえません。
そこで重要なのがワクチン接種です。
あらかじめ免疫をつけて重症化を防ぎます。
ではその接種のしかたについてこちらの図を見ながら説明して頂けますか?ロタウイルスワクチン2011年の11月より日本でも任意接種ではありますが受けられるようになりました。
現在国内では2種類のワクチンがあっていずれも飲むタイプの生ワクチンです。
その2種類というのはこの2回接種タイプとそれから3回接種タイプの2つという事ですね。
生後6週から接種ができて4週間以上の間隔をあけて接種をします。
2回接種タイプは24週まで3回接種タイプは32週までに接種を完了する事になっています。
なおこの期間を過ぎての接種はできませんのでご注意下さい。
初回の接種はいつまでにというのはあるんでしょうか?初回接種は14週6日までに接種する事に開始する事になっています。
それはなぜなんでしょうか?それを過ぎるとワクチンの副反応としての腸重積のリスクが少し高まります。
腸重積…?はい。
腸重積というのはこのワクチンだけで起こる訳ではないんですが腸の中に腸がめり込む病気です。
…で接種1週間以内におう吐を繰り返したり血便がある場合には速やかに医師の診察を受けて下さい。
そしてワクチンは2種類あるという事ですがこれは使い分けというのはあるんですか?どちらのワクチンも効果は同じです。
差はありません。
同一の製品で定められた回数の接種をして下さい。
この時期はちょうどヒブワクチンですとか肺炎球菌ワクチンなどほかにたくさんのワクチンが予定されているんですがそれらと一緒に接種も可能です。
同時に1回で接種できるという事ですね。
この2種類のワクチンなんですが効果というのはどれぐらいなんでしょうか?これらのワクチン定められた回数を接種すると重症のロタウイルス胃腸炎の防御効果は85から95%です。
入院の抑制率においては95から100%といわれています。
随分効果が高いというふうにいえる訳ですね。
そうです。
実際に接種はどういう機関で受ければいいんでしょうか?ほかの予防接種を行っている小児科であれば基本的にはどこでも受けられます。
2011年ですか…このワクチン接種任意だという事なんですが費用はどれぐらいなんでしょうか?トータルで3万円弱かかります。
医療機関によっても異なるんですが。
安くはないですよね。
費用もかかりますがそれでもやはり受けた方がいいんでしょうか?感染した時の重症度を考えるとワクチン接種をしておくべきだと思います。
現在任意接種ではあるんですが接種率は大体40%ぐらいといわれています。
2011年からでもう既に40%まで上がってる訳ですか。
そうですね。
全ての子どもが無料で接種を受けられるように一日も早い定期接種化が望まれると思います。
これまでロタウイルスの対処予防など見てきましたが場合によっては重症化するケースもあると。
もう一度そのポイントを教えて頂けますか?予防がまず大事だと思います。
せっけんと流水でこまめに手洗いをするという事。
それから吐いた物や排せつ物を適切に処理しておく事。
それから乳児期早期にワクチン接種を重症化の予防をするために行っておく事。
この3つが特に大切だと思っています。
5歳までのお子さんのほとんどが感染するというポピュラーな病気でありますが適切に周りの親御さんたちが対処するという事が大切ですよね。
そうですね。
どうもありがとうございました。
ありがとうございました。
2014/12/19(金) 10:45〜11:00
NHK総合1・神戸
先どり きょうの健康「冬の子どものおう吐・下痢対策」[解][字]

乳幼児が、冬におう吐や下痢を繰り返したら、ロタウイルス胃腸炎の疑いがある。ロタウイルスの流行は1月から5月ごろ。初めて感染したとき重症化しやすいので注意が必要。

詳細情報
番組内容
乳幼児が、冬におう吐や下痢を繰り返したら、ロタウイルス胃腸炎の疑いがある。脱水症を予防するために、こまめに少しずつ水分と電解質を補給する。また、子どもの様子をよく観察し、「元気がない」「尿の色が濃くなっている」など脱水症のサインにも注意を。また、非常にまれだが脳炎や脳症を合併するケースもあるため、けいれんが止まらないなどの場合はすぐに救急車を呼ぶことも必要だ。家庭でできる基本的な感染予防策も紹介。
出演者
【講師】東京慈恵会医科大学葛飾医療センター部長…齋藤義弘,【キャスター】寺澤敏行,久田直子

ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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