きょうの健康 がんのチーム医療「リハビリチーム」 2014.12.10


(テーマ音楽)知っておきたい健康情報を分かりやすくお伝えしましょう。
「きょうの健康」です。
今週はがんのチーム医療についてお伝えしてきましたね。
はい。
がんの治療ではさまざまな医療の専門職が関わるチーム医療が行われています。
このシリーズ初日はキャンサーボードについてお伝えをしました。
そして昨日は緩和ケアのチーム医療についてお伝えしましたね。
はい。
そして今日はこちらリハビリチームです。
チームで行われるがんのリハビリテーションについて詳しくお伝えしていきます。
今日もこの分野の専門家をお迎えしております。
分かりやすく教えて頂きましょう。
ご紹介致します。
ご専門はがんのリハビリテーションです。
今日はどうぞよろしくお願い致します。
リハビリテーションという言葉は運動機能の回復のようなイメージを持ってしまうんですががんにおけるリハビリテーションはどういう事でしょうか?診断や治療の進歩によってがん自体治る病気になってまいりました。
がんの患者さんのおよそ2/3の方々が5年以上もお元気で過ごされているというような報告もございます。
そこで薬物治療などがんの治療を続けながらもこれまでどおりの生活が送れるようにこのようなさまざまな職種の方々が関わってそして患者さんの能力の回復それから向上を促していく。
それががんのリハビリテーションです。
チームを組んでリハビリテーションに一緒に取り組むという事ですよね。
具体的な内容はがんの治療においては…?がんになると手術そして抗がん剤治療それから放射線治療などを受ける事になります。
こうした治療というのは体への負担が大きいと。
そうすると肺炎などの合併症それから食事を飲み込めなくなる嚥下障害などの後遺症が現れたりそれから副作用で食欲低下そして体力の低下のために治療を中断せざるをえないというような事もございます。
がんのリハビリではこうした合併症や後遺症を予防するために行われます。
通常のリハビリというのは何らかの障害が起こってから行うというものなんですががんのリハビリではがんと診断された段階で障害を防ぐためになるべく早くという事で治療前から行うというところに特徴がございます。
こうした起こりがちなさまざまな障害を未然に防ぐためにと治療の前から行うんだという事。
これ大事なポイントなんですね。
ではがんのリハビリチーム医療というのはどのように行われるのか食道がんの方のリハビリの様子をご覧下さい。
静岡県立静岡がんセンターです。
食道がんが見つかった…
手術を翌日に控えリハビリ室にやって来ました。
行うのは理学療法士による呼吸リハビリです
1234。
鼻から吸って…。
5日前から毎日行ってきました。
食道がんの手術をすると傷の痛みや全身麻酔の影響で呼吸しにくくなります。
そのため手術の前に腹式呼吸の練習をして深く息をする方法を覚えておくのです。
手術前日はリハビリ医がうまく実行されているか確認します
吐ききって吐ききって吐ききって吐ききって〜!
更に器具を使って深く長く息を吸い込む練習をします。
痰をたまりにくくし肺炎を防ぐのです
もう一つ手術前に行う事があります。
それが…
口の中の細菌を少なくする事で手術後の肺炎のリスクを減らすのです。
まずは歯科医の診察を受けます。
そして歯科衛生士が歯垢や歯石を取り除いてくれます。
更に正しい歯磨きの方法を教わります
いよいよ手術。
7時間15分に及ぶ手術で食道を摘出しました
この状態から早期離床のリハビリが始まります
このリハビリには理学療法士のほかに渡井さんの手術を担当した外科医更には看護師も参加します。
血圧など体の状態を常に確認して異常があったらすぐ対応するためです
渡井さん支えられながら一歩一歩歩いていきます。
歩くと大きな呼吸をするため痰が出やすくなり肺炎の予防につながります
渡井さん少し急ぎ過ぎたのか息苦しくなってしまいました
ここで手術前に行っていた腹式呼吸を実践します
楽ですか?楽です。
よし。
じゃあいってみましょう。
はい。
きちんと飲み込みができるかどうか外科医による検査が行われます。
造影剤の入った液体を飲んで縫い合わせたところから漏れないか気管に入らないか確認します
じゃあ始めましょうか。
検査で異常がなければ飲み込みの訓練嚥下リハビリです。
軟らかいゼリーをスプーンで1口ずつゆっくり喉に通します
(医師)1回スプーン置きます。
姿勢を正して…ゴクンと強く。
どうですか?大丈夫です。
大丈夫そうですか?はい。
渡井さん順調に回復しています
いや〜順調にお元気になっておられるようで本当によかったですね。
確かに手術前からリハビリが行われていた様子がよく分かったんですがその意義を更に詳しく教えて頂きたいんですがまず呼吸リハビリですね。
呼吸リハビリですがこれは食道がんだけではなくて肺がんや胃がん大腸がんの手術の時にも行われます。
呼吸リハビリはリハビリ医がリハビリの計画を作って理学療法士が実際の指導を行います。
渡井さんのように手術の前の落ち着いてらっしゃる段階で痰の出し方であるとかそれから呼吸法それをしっかり習得しておいて頂けると手術のあと今度は実践しなくてはいけない訳ですがその時もうまくできるという事がいえると思います。
あらかじめ覚えとく方がもちろんいいですよね。
しんどい時に「はいこうして」って言われてもなかなか…ですからね。
それから歯科医と歯科衛生士による口腔ケア行われておりましたね。
これは…?口腔ケアは口の中の細菌を減らすという事で肺炎などの合併症を軽減するというような効果がございます。
がんの患者さんに対する口腔ケアというのは2014年度から保険診療で認められるようになりました。
歯周病であるとか虫歯の治療それも手術後の合併症予防の一環として行われるようになってきております。
実際どのくらいの予防効果というのがあるんでしょうか?頭頚部がんの患者さんでリハビリと口腔ケアを行った人それから行わなかった人で手術のあとの肺炎であるとか皮膚の感染症などの何らかの合併症を起こすかどうかという事を比較した調査研究がございます。
こちらですね。
ある病院でリハビリ口腔ケアが行われなかったと。
その場合には64%の方に何らかの合併症が発生。
合併症が出てしまったと。
64%。
一方静岡がんセンターではリハビリ口腔ケアが行われたと。
そうするとその合併症の発生率が16%にまで抑えられているというような結果が出ました。
リハビリとともに口腔ケアを行うというのが非常に重要という事がいえると思います。
これはしかし大きな差ですね。
行っておくのと行わないのとでは。
…という事よく分かりますがさて手術後のリハビリでございますがまず早期離床が行われていましたし嚥下リハビリもありました。
この早期離床ですが手術の翌日しんどい時からというイメージ持ってしまいますがその重要さはどういう事でしょうか?まず早期離床ですが手術のあとずっと横になって寝ていると足腰が弱ってしまうという事はもちろんあると思います。
またこのような手術に伴って…胸とかおなかの手術ですね。
痰が非常にたまりやすい状況になります。
その時に起きて歩くと痰が移動すると。
それから換気量も増えると。
そうすると痰が出やすい状態になってそれが肺炎などの合併症を抑える事にもつながるという事がいえると思います。
それから嚥下リハビリ。
いわゆる物の飲み込みでございますね。
この意義はどういう事でしょうか?食道がんだけじゃなくてほかのがんでも抗がん剤それから放射線の治療そういうものによって口の粘膜が荒れたりとかそれから唾液が出なくなったり喉が腫れたりという事で飲み込みの障害嚥下障害が生じる訳です。
その症状を緩和解消するために嚥下リハビリという事が行われます。
渡井さんが行っておりましたように食事の形態ゼリーなどの軟らかい物にするとか一口の量を小さなスプーン程度にするというような事が行われます。
ただその食べ物が間違って気管に入ってしまうというような専門的な嚥下リハビリが必要な場合にはリハビリ医であるとかそれから喉の動きとか発声に詳しい言語聴覚士が担当致します。
誤嚥を防ぐという事ですよね。
このような棒に綿がついてるんですがこれを氷水に浸して冷たくすると。
…で喉の奥を刺激するんです。
そうすると飲み込みの反射というのが誘発されやすいという事になってこれも嚥下リハビリの一つとして行われます。
またこの飲み込む時の姿勢も先ほど指導がありましたがどんな姿勢がいいんでしょう?前かがみになってしまうと気管に食べ物が入りやすいという事になりますので少し後ろに体を倒すと。
ただその時に首はこう上げないで少し前屈ですね。
それが気管に入らなくて安全な姿勢といわれております。
そしてがんのリハビリチームですがこちら…。
ほかにも作業療法士もいますがこれはどんな事をしていくんですか?作業療法士は腕とか手の機能回復を図ると。
それから食事をするといった日常の動作と活動それができなくなった場合に対応致します。
こちらですがこれは咽頭がんの患者さんで首のリンパ節を取り除いたと。
そのあとで首の神経が麻痺してしまって手が上げにくくなったというような状況です。
こういう手が上げづらい症状というのは乳がんの手術のあとの方にも出現する事もあるんですがこのように作業療法士が手助けしながらリハビリを行うという事です。
こうしたリハビリのチーム医療の大切さ大変よく分かったんですが広く医療機関で行われているものでしょうか?全国にがん診療連携拠点病院というのがございますがそのおよそ70%近くで一定以上のがんのリハビリテーションを受ける事ができます。
インターネットでもお調べになる事ができますので是非活用頂ければと思います。
近くの病院を知りたい場合ですが今出ておりますがん情報サービスのホームページから「がん診療連携拠点病院」「対応状況から探す」「がんのリハビリテーション」というふうにたどっていく事ができます。
昨日お伝えした緩和医療なども同じ探し方で見つける事ができます。
今日お話を頂きましたがんのチーム医療。
リハビリテーションの重要性もう一度お願いします。
がんというのは治る病気になってきております。
皆さん早く社会復帰して日常生活を送りたいというふうに思っているかと思います。
そのためにはそれぞれ専門職の人々が関わって僅かな体調の変化など見逃す事なくリハビリを行っていくという事がとても重要と思います。
そのための体制というのが今だいぶ整いつつありますのでがんだからと諦めないでチームの一員となってリハビリに一緒に取り組んでいって頂きたいなと願っています。
今日はがんのチーム医療リハビリテーションについて教えて頂きました。
どうもありがとうございました。
ありがとうございました。
2014/12/10(水) 20:30〜20:45
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 がんのチーム医療「リハビリチーム」[解][字]

いま、治療前からがん患者にリハビリを行ってもらうことが増えている。がん患者の中には治療前のリハビリが有効な場合が多く、リハビリによって肺炎などの合併症が減る。

詳細情報
番組内容
いま、治療前からがん患者にリハビリを行ってもらうことが増えている。がん患者の中には治療前のリハビリが有効な場合が多く、病院ではリハビリをチームで行うことが増えている。例えば、肺がん・食道がんでは、主治医・看護師・理学療法士・歯科医・歯科衛生士などからなるチームが、手術前から呼吸法のリハビリと口腔ケアを行うと、手術後の呼吸が楽になり、肺炎などの合併症が減るという。
出演者
【講師】慶応義塾大学准教授…辻哲也,【キャスター】濱中博久,久田直子

ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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日本語(解説)
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