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(・『ラジオ体操第1』)
(一茂)なあどうして彼は朝っぱらから人んちの庭であんなキレキレのラジオ体操ができるんだ?
(慎一)確かにキレてるね。
(一茂)いやそうじゃなくてさ。
非常識だろ。
家庭教師の範疇越えてるよ完全に。
せめて背を向けてやってくれないかな。
さっきからすんごい目合ってるしものすごい笑ってるし。
(吉本)《何目そらしてんだ。
こっち見ろ!見ろよ!》《彼に何があった…その子はもうこの世にいないのに!》《誰に言い訳をしてるんだ!》
(茂之)《散々もてあそんで何がしたいんだよ!》《壊したいんだよ》《現実はお前が思ってるよりよっぽど残酷なんだ》《茂之君が来週から1週間学校に行ったら僕辞めます》
(慎一)あの人茂之が学校に行くか監視してるんだよ。
監視?
(佳代子)昨日言いましたよ。
ずいぶん酔ってらしたから覚えてらっしゃらないかもしれないけど。
(舞香)《実は私もこの会社の人間なんです》《ああそうなの?》
(舞香)《はい》《総務の浅海と申します》《本当は沼田課長も存じ上げていてずっと憧れてました》《よかったら一緒にお酒でもどうですか?》昨日は部下の相談に付き合っててさ。
吉本先生に辞めていただくよう説得してくださいよ。
いやでも違約金がな…。
茂之がひどい目に遭ったんですよ?分かったよ。
(慎一)だいたい何で確認しないでサインしたの?しょうがないだろう。
突然会社に現れて大声で契約書を読みだしたんだから。
内容確認しようにも暗くてよく見えなかったし。
それを見越した上での待ち伏せだったりしてね。
まさか。
・「新しい朝が来た」・「希望の朝だ」おはよう。
おはようございます。
おはようございます。
(一茂)先生ちょっといいかな。
あっおはよう。
(一茂)お前学校行くのか?いいねえ。
さあご飯食べて一緒に行こう。
(慎一)先生も行くんですか?もちろん。
お母さん僕の朝食がないんですけど。
あっ今用意します。
仲良さそうじゃない。
違いますよあれは強制的に…。
(一茂)心配し過ぎなんだよ。
よくよく考えてみれば親切じゃないか朝から茂之の様子を気に掛けてくれてさ。
先生これはノーギャラだよね?ええ。
んっ。
いってらっしゃい。
はいいってきます。
(佳代子)ちょっちょっと…。
お母さん僕の目玉焼き半熟でお願いしますね。
・
(ドアの閉まる音)《俺さ人殺したことあんだよ》どうしたの?ホントに1週間学校に行ったら辞めてくれるんですね?しつこいなあ辞めるって言ってるでしょ。
けどできなかったらペナルティーだよ。
はっ?1日でも休んだら俺の犬になってもらう。
犬?言いなりになるってことだよ。
ワンワンワン。
いってらっしゃ〜い!・
(チャイム)痛っ。
(生徒たち)フフ。
・
(ドアの開く音)・
(兵頭)始めるぞ。
(兵頭)はい早く座れ。
早く座る。
はい。
はい。
沼田何やってんだ早く座れ。
あの…。
(山尾)さっさと座れよ。
みんな待ってんだろ。
(園田)学年ワーストバカは座り方も知らねえのか?
(生徒たちの笑い声)
(兵頭)おい。
早く座んなさい。
痛っ!
(生徒たちの笑い声)
(シャッター音)いいねえ。
いっ…てえな。
携帯落ちたよ。
(山尾)サンキュー。
あれ〜?
(園田)んっ?壊れた〜。
どうしてくれんの?えっいや…。
(山尾)「え〜」じゃねえよ。
携帯が壊れたって言ってんだよ。
でもぶつかってきたの…。
(山尾)はっ?俺のせいだって言うのかよ。
いや…。
どうしてくれんだよ。
これ限定モデルだぞ。
(舌打ち)
(山尾)しょうがねえな。
3万でいいよ。
えっ?あしたまでに3万持ってこい。
無理ならお前の親に払ってもらうから。
持ってこいよ?行こうぜ。
(三井)じゃあな。
(園田)それホントに限定かよ。
(山尾)んなわけねえだろ。
っていうかこれ前の機種だし。
(園田)ひでえな。
あっ。
誰?
(園田)沼田の家庭教師。
今日は何ですか?君たちだろ?茂之君いじめてるのは。
(山尾)はっ?何の話?クラスメートの何人かから聞いたんだ。
上履きを隠したり画びょうを椅子に貼り付けたり。
言っている意味が分かりません。
君たちのやり方は間違っている。
説教なんて聞きたかねえよ。
最後まで話は聞こうよ。
ねえ。
(慎一)何?お金貸して。
(慎一)幾ら?取りあえず5,000円。
取りあえず…。
つらいなら無理して行かなくてもいいんじゃない?1週間は行かないと。
家庭教師?殺されたくないから。
あいつ言ったんだ「人殺したことある」って。
・誰にも言わないって言っただろう。
遅くなってごめんね。
授業始めよっか。
今日は何から始めますか?じゃあ国語やろうか。
作文。
今日どんないじめに遭ったか書いてみて。
朝から放課後までいじめられた全てを吐き出すんだ。
いじめられてなんかいません。
嘘つきはケツバットだぞ。
今日は効きそうだな。
「教室に入ると机に死ねと書かれていました」「椅子には画びょうがびっしりと貼られていました」「画びょうを剥がそうとしたら先生が来たので仕方なく椅子に座ったらお尻が血だらけになりました」「休み時間にはかばんをボール代わりに回し投げされて窓の外に捨てられました」
(生徒たちの歓声)「昼食の時弁当の中に泥を入れられました」
(生徒たちの笑い声)「掃除の時」・
(生徒たちの笑い声)「トイレの水を掛けられました」「そして教室に戻っ…」・
(舞香)課長。
(一茂)あっお待たせ。
いいえとんでもないです。
(シャッター音)
(舞香)沼田課長が人事部なんてもったいないですよ。
会社は過小評価し過ぎです。
私は沼田課長がパシフィック電機をしょって立つ人間だって…。
あっごめんなさい私ばっかり。
(一茂)いやうれしいよ。
でも俺のどこをそんなに?こういうところも好きですよ。
ちょっとやめなさいよからかうのは。
(シャッター音)
(慎一)いじめエスカレートしてなきゃいいけど。
あいつおとなしいから逆らえないと思うし。
(飛鳥)ふ〜ん。
(シャッター音)
(京香)そういえば茂之君大丈夫だった?この前の。
ああうん転んだだけ。
ありがとう。
(シャッター音)あっ私ちょっと…。
(京香)そう。
また連絡するね。
(佳代子)またね。
(紗枝)お疲れさまでした。
(菜穂)この前どうかした?それがさ茂之君が家の中で暴れたみたいで。
ほらあの子いじめられて不登校になってたから。
そうなんですか!?
(菜穂)知らないの?結構有名な話よ。
(シャッター音)
(京香)親の教育がなってない…。
奇遇ですねえ。
僕もネット株に興味があって。
早く辞めてもらいたいですか?
(佳代子)そんなことは…。
お母さんも大変ですよね。
茂之君の問題だけでなく僕やご主人のことまで。
(佳代子)主人が何か?いや最近ネクタイの色が派手になったなあと思って。
(佳代子)何が言いたいんですか?気にしないでくださいゲスの勘繰りってやつです。
ご近所の皆さんと同じですよ。
さっきの聞いてたんですか?聞こえちゃったんですよ。
みんな言いたい放題。
何にも知らないくせに。
じゃあお母さんは何を知ってるっていうんですか?えっ?今はやりの友達親子ってあるじゃないですか。
あれって体のいい育児放棄だと思いません?子供のことがかわいくてしかたがない。
だから彼らの世界には深入りをせず外から温かく見守る。
でもそれって要は叱って嫌われたくないだけでしょう。
私がそうだって言いたいんですか?あれ?そんなふうに聞こえちゃいました?でも学校の先生が生徒に手出しをできなくなった今誰が彼らを本気で叱ってやれるんですかね。
取りあえずこれだけ。
(山尾)しょぼ。
まあいいや面白い返済方法教わったから。
1発1円な。
(生徒たちの笑い声)痛っ!
(山尾)1円の返済おめでとう。
(生徒たち)イェ〜イ。
残り2万1,999発か。
痛っ!
(生徒たちの歓声)は〜いこれで2円の返済。
お前らも沼田に協力してやれよ。
お前やれよ。
しょうがねえなあ。
(生徒)早くいけ。
(生徒たちの歓声)
(山尾)顔やめろバレちまうだろ。
(園田)そうか。
じゃあ4円から。
いきま〜す。
(生徒たち)456。
先生。
んっ?ホントに人殺したことあるんですか?気になる?いや別に嘘だってことは分かってますけど。
殺したよ。
死ぬ間際ってどんな気持ちだと思う?分かるわけないじゃないですか。
考えたこともありませんよ。
やっぱり。
君はそう言うと思っていたよ。
君の番だよ。
・
(佳代子)ちょっ…どうしたの?シゲちゃん?
(佳代子)大丈夫?ねえどっ…どっか痛い?シゲちゃんどうした?すいません遅れて…。
脱いでみろ。
早く脱げ。
嫌です。
どうしたんですか?急に。
やっやめてください。
放してください。
やめて…。
何やってるんですか?やめろって…。
嫌がってるじゃないですか。
(佳代子)誰にやられたの?
(佳代子)教えなさい。
教えてどうなるんですか。
相手の名前が分かったら学校に連絡するんですか?それで先生に注意してもらうんですか。
そしたらその生徒は二度といじめなくなるんですかねえ。
じゃあどうしたらいいんですか。
事を荒立てるより今は静観した方が得策だと思う。
立ち止まることも時には必要だよ。
しばらく休んでからまた自分のペースで歩きだせばいい。
(笑い声)何J−POPの歌詞みたいなこと言ってんだよ。
休んで前向きになるやつなんかホントにいると思うか?やり直せる人間はそもそも立ち止まったりなんかしないんだよ。
今日は課外授業だ。
痛っ。
ここでやられたのか?何でいじめられると思う?弱いから。
闘う意志がないからだ。
牙を見せればひるむ相手もいる。
(うめき声)痛いよな。
涙が止まらないだろう。
相手の戦意を喪失させるにはこれが一番有効だ。
やってみろ。
体で覚えるんだ。
痛っ!痛っ。
立てよ!どうしてこんなことしなきゃいけないんだよ!だいたいあんたが来なければこんな思いしなくて済んだんだよ!俺のせいにするな。
ずっと前からお前は負け犬だっただろ!家に引きこもってれば何かが変わると思ったか?時間がたてば全てが解決すると思ったか?甘いんだよ!いじめは続くぞ。
お前が死ぬまでな。
痛っ!できるまでやるからな。
やってみろ。
やれっつってんだよ!いっ…。
そんなにひどいのか?転校も考えた方がいいかもしれませんね。
おいおい簡単に言うなよ。
新築だぞ?そんな簡単に引っ越せるわけないだろう。
(佳代子)あっどうだった?ケンカの練習してた。
(佳代子)えっ?「目には目を」ってやつか。
いいんじゃないか。
もっと真剣に考えてください。
いじめなんてな一過性のもんだ。
そのうち収まるよ。
そんな…。
疲れてるんだこれぐらいにしてくれないか。
ネクタイの趣味変わりましたよね。
(一茂)そうか?《それで罪を償っているつもりか!》ハァハァハァ…。
《お前に人を教える資格があるのか!》
(うめき声)《お前のやっていることは本当に正しいのか?》・先生?先生。
・
(山尾)おい。
残り2万1,878円な。
(山尾)今日は幾ら返済してくれるかなあ。
ヘヘ。
はっ?何だよその顔。
ハハハハ…。
(三井)おい大丈夫?山尾。
《相手は5人。
まともにやっても勝ち目はない》《だから…》
(生徒たち)うわっ。
(生徒)汚え!
(山尾)おいあいつ逃げてくぞ!おい追え!早く追えよ!早く!《後は俺が決めたルートを死ぬ気で走れ》
(園田)おい茂之!おい待て…。
(生徒)茂之待てよ!
(生徒たち)おい!あっちじゃない?
(園田)こっちだ!
(生徒)茂之!
(生徒)おい!
(三井)茂之おい!追え追え追え追え!
(生徒)待てよ!茂之…。
(生徒)待てよ!
(生徒)おい待てよ!
(生徒)茂之!
(山尾)おい!逃げてんじゃねえよ!今日は君たちの負けだ。
(山尾)ふざけんな。
これで終わりじゃないだろう。
他の方法を考えればいいじゃないか。
・
(ドアの開く音)帰ったよ。
よし。
・
(ドアの開く音)・
(ドアの閉まる音)
(佳代子)おかえり。
シゲちゃん。
茂之がいじめっ子を撃退したんだって?ええ。
まだ始めの一歩にすぎませんけど。
いいんだよその一歩が大きな進歩なんだからさ。
ご相談というのは?ああそれね…。
いやね…。
20代の女の子がさ喜びそうな店なんて知ってたりする?浮気ですか?何言ってんの違うよ。
いい店ありますよ。
雰囲気があって個室でホテル街が近くて…。
いやだから違うって言ってるでしょ。
いやだからねそのホテル街が近いっていう店はどこ?浮気じゃないですか。
いや違うって言ってるでしょ。
認めてくれたら教えますよ。
いやだから違うって。
それ浮気じゃないですか…。
だから違うんだって。
どうしたの?今日も課外授業お願いします。
いいねえ。
(慎一)ねえちょっとさメモ貸して。
(飛鳥)はい。
あっこの人弟君の家庭教師でしょ。
(慎一)うん。
すごい東大進学率100%だって。
へえこの人も東大出身なんだ。
あのさ飛鳥のお兄さんも東大だよね?だね。
卒業生のことって調べられる?
(飛鳥)うん聞いてみる。
学校サボって尾行か。
優等生のすることじゃないな。
まっいいや。
一緒に来る?やめてよ。
放してよ。
やめてって。
やめろってもう。
うわっ。
(生徒)逃げんなよ。
(生徒)お前ら押さえろ押さえろ。
やめてって…。
(慎一)止めなくていいんですか?いいアングルだあ。
ここにして正解だったなあ。
何でここに連れてくるって知ってたんですか?俺が教えたから。
(山尾)結構効くんだよなこれ〜。
(生徒)おおすげえ。
(生徒)まさか?あれってスタンガンじゃ…。
あいつら武器は使うなって言ったのに。
(山尾)いこう。
いってみよう。
(悲鳴)
(生徒)もう1発。
うわっ!危険ですよ。
大丈夫だって。
放っておくん…。
いいから黙って見てろ。
(悲鳴)
(山尾)おいお前もやってみろよ。
(市原)えっ俺?
(生徒)市原いくか?やめろ。
やめろ。
(悲鳴)助けに行かないんですか?今助けたらあいつは何も変わらない。
見逃せっていうんですか?安い正義感振りかざしてんじゃないよ。
俺がいなかったらお前ただ突っ立って見てるだけだったろ。
(市原)次どうする?
(山尾)貸せ。
は〜い次お前。
俺はいいよ。
(山尾)はっ?いいからやれよ。
(生徒)園田いっちゃいます?もうやめてよ。
頼むからもう許してくれよ。
(山尾)許してくれ?許してください。
(山尾)あり得ないから〜。
やれ。
やめろやめろやめろ!
(悲鳴)やめろ!
(生徒)いけいけ。
(生徒)もっともっともっと。
(悲鳴)
(生徒)いいねえ。
(山尾)おおどうした?
(生徒たち)おい。
(山尾)何弱ったふりしてんだよ。
(生徒たち)おいおいおいおいおいおい。
(生徒)立てよ。
(園田)もういいだろ?やめろ。
(山尾)うっせえ!あしたもやっかんな。
行くぞ。
(生徒たちの笑い声)あいつらに何吹き込んだんですか?アドバイスしたんだよ。
「君たちのやり方は間違っている」「もっとひどいいじめじゃないと茂之君は屈しないよ」ってね。
どうしてそんなこと。
あいつは僕が見てきた中でも駄目駄目の生徒だからね。
このくらいやんないと駄目なんだよ。
でもあれはやり過ぎですよ。
だからスタンガンは彼らのアイデアだって。
武器は使うなって言っても使っちゃう年頃なんだろうねえ。
「なんだろうねえ」じゃないですよ。
あのまま続けてたら死んでたかもしれないじゃないですか。
護身用だよ?死にゃあしないでしょう。
でも結構バチバチいってたよね。
狂ってる。
(慎一)茂之!
(慎一)茂之…。
(慎一)ごちそうさまでした。
先生来ないな。
もう監視する必要がなくなったんだよ。
ありがとう。
いってきます。
(佳代子)いってらっしゃい。
・
(ドアの開閉音)
(ため息)・
(ノック)・お〜い。
・
(ドアの開く音)登校時間とっくに過ぎてるぞ。
おい。
あっ。
何だ起きてるじゃない。
もう学校には行きません。
先生の勝ちでいいです。
犬にでも猫にでもなりますから。
あっそう。
よし。
じゃあ俺の言うこと何でも聞くんだな?いいねえ。
じゃあ学校行こっか。
えっ?はい早く着替えろ。
待ってください。
話が違うじゃないですか。
違うことないだろ。
お前は俺の犬になった。
絶対服従。
俺が学校へ行けと言ったら学校へ行く。
さあ早く着替えろ。
嫌だ。
嫌です。
聞き分けの悪い犬だなあ。
やめろって。
やめろ。
やめろよおい。
いっ…。
やめろってもう放せよ。
「放してください」だろ。
放さないけど。
もう…。
どうしたんですか?あっ学校行ってきます。
やめろよ。
ほらさっさと歩け。
もう。
おい!おい!うわっ。
痛い痛いやめろよおい。
やめろよお願いだよやめてくれよ。
痛いよやめろよやめろって行きたくないんだよ。
死にたくないんだよ!
(泣き声)先生の言うとおりだよ。
俺が死ぬまで終わんないんだよ!何で…何で俺ばっかりこんな目に遭わなきゃいけないんだよ。
死ぬのが怖いか?怖い。
死にたくない。
死にたくないです!それでいい。
死を意識して初めて生きている実感が湧く。
生きている実感があって初めて人に優しくなれる。
お前はよくやったよ!ご褒美やらないとな。
よしよしよしよしよし…。
(山尾)あ〜かったりい。
もう帰ろうかな。
(園田)さっき来たばっかじゃん。
・おい〜。
はい。
上がって。
初めまして。
沼田茂之の家庭教師です。
突然ですが今日は彼の気持ちを代弁しに来ました。
茂之君は今度いじめられたら自殺します。
(生徒たちのざわめき)
(三井)いや嘘でしょ。
嘘嘘。
嘘ではありません。
今飛び降りにしようか首つりにしようか悩んでいるところです。
なっ?そこでお渡ししたい物があります。
相川武夫君。
(相川)何で俺の名前知ってるの?はい相川君。
愛甲広香ちゃん。
愛甲さん?はい愛甲さん。
え〜市原学君。
え〜稲垣雫ちゃん。
はいみんな自分の名前のやつ取って。
はい急いで急いで。
え〜今お配りしているのは遺書です。
(生徒)いらねえし。
(生徒)うちらやってないじゃん。
(生徒)意味なくね?これ…。
もし茂之君をいじめたらこの遺書を自宅に残して死にます。
(生徒たちのざわめき)
(相川)冗談じゃない。
僕たちはいじめてません。
でもそのいじめを黙認してたんだろ!あっそうそう。
え〜山尾君園田君竹下君市原君三井君君たちは証拠付きだ。
見えるかな。
(悲鳴)おい汚えぞ。
武器を使ってくれたおかげで話題性十分だよ。
茂之が死んだらこれを学校教育委員会マスコミ各社に送りつける。
そしたらお前らも立派な犯罪者だ。
こいつらだけじゃない。
こいつらのいじめを見て見ぬふりをしていたお前らもみんな共犯だ!
(相川)これって脅しじゃないですか!脅しだよ。
いいか?俺はお前たちの先生でもなければ親でもない。
今度茂之がいじめに遭ったらお前らの人生台無しにしてやるからな。
・
(チャイム)ご清聴ありがとうございました。
皆さんどうか茂之君と仲良くしてあげてくださいね。
あっご苦労さまです。
派手なネクタイですね〜。
若い彼女でもいるんですか?失礼します。
(兵頭)誰?お前ら何だ?それ。
(兵頭)はい早く座れ。
始めるぞ。
(兵頭)どうした?沼田早く座れ。
先生。
(兵頭)んっ?椅子が壊れてて座れません。
(兵頭)えっ壊れてる?おかえり。
ただいま。
(舞香)この辺ってホテル多いんですよね。
あっそうなのかな。
今日は帰りたくないなあ。
勘違いするなよ?お前は俺の犬だ。
絶対服従。
分かってるな?は〜い。
「は〜い」じゃないだろう。
ワン。
さてと…。
次は何してもらおうかなあ。
・
(ノック)ちょっといいですか?先生東大の文