(高柳)武士シュベルスタインコンクールからの招待状が届いたぞ。
ドイツだ。
いよいよ海外だぞ。
毎報コンとかぶるがあっちはキャンセルしておこう。
(武士)高柳先生。
(高柳)うん?
(武士)俺ドイツには行きません。
(高柳)えっ?
(武士)毎報音楽コンクールに出ます。
(高柳)な…なぜだ!?向こうが招待してくれるんだ。
めったにないおいしい話だ。
ショパンコンクールのためにも海外に顔を売っとく必要だってある。
そもそも毎報コンは去年勝ってるじゃないか。
優先して出場する意味なんてないだろう。
(武士)意味はあります。
(武士)有馬公生が出るかもしれません。
そう言ってずいぶん待った。
だがもう2年も表舞台に顔を出してない。
耳が聞こえないって噂もある。
今度は出るかもしれません。
(高柳)武士!
(武士)バカなことだって分かってます。
でも俺の目標は海外でもショパンコンクールでもありません。
俺の目標は有馬公生です。
あいつの出るコンクールです。
(武士)オエッ!《大丈夫。
お前はできる弾ける!》《いい表情だ。
気負うなよ武士》
(拍手)・『エチュード嬰ハ短調作品10−4』《よし上出来の入りだ》
(渡)むっ?・
(ピアノの演奏)
(絵見)《武士…》うん?《人の演奏を聴いているのか?豪胆な子だ》・
(ピアノの演奏)
(絵見)《有馬?》《見ているか?聴いているか?有馬》
(椿)《同じピアノ?前の人たちと全然違う》
(井端)《誠実に音楽と向き合う姿勢》《恐れに立ち向かう強靱な意志》《根底にそびえる揺るがない幹》《これが相座のショパン》《有馬君には感謝している》《君があいつを成長させた》《君という存在が相座武士というピアニストを高みへと引き上げてくれた》《お前のいない2年間頑張ってこれたのはいつか帰ってくると信じていたからだ》《俺はお前に追い付いたか?》《それとも遠ざかったか?》《また蜃気楼のように追い掛けさせてくれるか?》《俺の憧れでいてくれるか?》《答えてくれ。
見せつけてくれ》《さあ次はお前の番だ》《有馬公生!》
(拍手・歓声)おおっ!
(観客)ブラボー!
(渡)チッカッコイイじゃねえか。
(かをり)さすが。
(椿)すごいすごい!
(親衛隊たち)キャー!こっち見た!カッコイイ!
(椿)何?あれ。
TAKESHI親衛隊。
《ライバルとは特別なものだ》《特に思春期の男の子にとってはなおさらだろう》《他人の教えなどより何万倍も成長させる》・
(絵見)あんたのせいよ。
(絵見)武士をあそこまでにしたのはあんたよ。
有馬公生。
全てはあんたに追い付くため。
そうピアノが言ってる。
(公生)君もそうなの?笑わせないで。
(武士)ハァハァ…。
あっ!
(実行委員)うわー!ブハー!ハァー終わった。
(実行委員)よかったよ。
(実行委員)お疲れ。
(武士)ハハ…。
今ごろ震えてきやがった。
・
(絵見)お疲れ。
どうだ!見たか有馬!うん。
すごかったよ。
おっ!おう大したことねえよ!
(絵見)《キモ…》
(アナウンス)これより15分の休憩を取ります。
45分から審査を再開いたします。
(観客)カッコ良かったね。
隙がないよ。
(審査委員)相座君どっしりしてるな。
(審査委員)貫禄すら感じますね。
(審査委員)ミスらしいミスもない。
(審査委員)練習のすさまじさが垣間見えるね。
(審査委員)見た目と違って真面目なピアノですよね。
(審査委員)師匠の高柳君はチャラチャラしてるんですけどね。
(審査委員)フフフ。
(高柳)うん?最近のコンクールも軒並み1位。
まさに飛ぶ鳥を落とす勢いですね。
(井端)世界に羽ばたく逸材だね。
それに比べてずいぶんと差を付けられたものだ。
キャワイイ!どれどれ?ハッ!しまった!ああ井川さんね。
彼女も人気者よ。
やっぱり見たことある。
公生の応援に来たときさっきの相座君。
そして井川さん。
よくこの3人セットで見てたな。
名前とかいつも上位にいたから覚えてる。
でも結局公生が1位だったけどね。
(渡)だから何で椿が得意げなんだ?それで絵見ちゃんってピアノうまいの?うまいに違いない!カワイイから。
俺の目に狂いはない。
きっと絵見ちゃんがぶっちぎりで優勝だな!だってカワイイから。
ウフフ。
もう下の名前。
(椿)最低。
(渡)ウフフ。
うーん。
でも井川さん最近は苦戦してるかな?熊谷コンクールは奨励賞。
谷崎音楽祭は3位。
この前は予選落ちまで経験してる。
(椿)ふ〜ん。
上がったり下がったりだね。
昔は3人で上位独占だったのに。
・
(高柳)失礼。
(落合)あら高柳先生。
(高柳)どうも落合先生。
どうですか?お宅の井川さんの調子は?
(落合)《嫌みな男》
(落合)お見事でしたね相座君。
ご指導のたまものですね。
いや〜ありがとうございます。
僕には過ぎた弟子です。
ハハハ…。
しかしながらそろそろ海外に目を向ける時期かと。
国内でやり残したことはなさそうなのでね。
《もはや国内に敵はいない》《あなただって見たでしょう》《誰が見ても武士がナンバーワンだ!》《ここで有馬をたたいて海外だ!》ご自由に。
それでどうですか?井川さん。
(落合)あの子絵見は気分屋でね。
ほんのちょっとしたことで演奏ががらりと変わる。
新しい靴で爪先が痛いとか近所のおじさんの鼻歌がおかしかったとか。
その日の天気にすら左右される。
この2年間あの子のモチベーションを保つために周りはてんやわんや。
倒すべき目標が消えていたから。
だけど今日は違う。
《2年間倒すべき目標…》
(高柳)《倒すべき目標!》武士では目標にならないと?相座君も絵見を相手にしてないでしょ?フフフ。
(落合)結果が証明してるって顔ね。
(高柳)ケンカを売ってるんですか?落合先生。
(落合)吹っかけてきたのはあなたよ高柳先生。
女は好戦的な生き物なの。
お分かり?坊や。
(ブザー)
(アナウンス)これより審査を再開いたします。
相座君の王座は今日で終わり。
絵見が終わらせるわ。
(絵見)やだ鳥肌。
あっ…赤くなっちゃう。
(絵見)こんなの久しぶり。
(絵見)《そうか…》《2年ぶりだ》
(絵見)私が5つのとき友達のピアノ演奏会の応援に行ったんです。
(絵見)つまらなくて寝そうになったときあいつが舞台に出てきたんです。
(公生)《あ…ああ…》
(絵見)もうがちがちでこっちがはらはら。
(絵見)《ああ…》あの有馬君が?へぇ〜。
後で知ったんですがあいつ人前でする初めての演奏だったらしいんです。
(絵見)《指が鍵に触れるまでのいっときの静寂》《ためらいや戸惑いと決別する時間》
(絵見)《そいつの指が鍵に触れたその瞬間私の未来は決まった》《できた!あっ…》
(絵見)《ああ…》
(泣き声)《えっ!?》
(泣き声)
(落合)大泣きしちゃったの?
(絵見)お恥ずかしい。
(落合)有馬少年困ったでしょうね。
(絵見)しょんぼりはけていきました。
どきどきが止まらなくて涙が込み上げて感情が一気にあふれだしたんです。
ただただ感動したんです。
音楽の楽しさを体現してるかのようで。
でもあいつは…有馬公生は変わった。
(男性)《機械仕掛け》
(女性)《母親の操り人形》
(男性)《譜面の奴隷》
(女性)《コンクールだけのピアニスト》《有馬公生の母親有馬早希は夢を見たのね》《分かるわ》《腕試しに出してみたコンクールで素晴らしい演奏をした息子に夢を見た》《自分のかなえられなかった夢を》《実績の残せる演奏》《コンクールに勝てる演奏をたたき込んだ》《譜面の指示どおり機械のように》《分かるわ》《指導者として否定しきれないのがつらいところね》《でもあなたは違うわね》《強い子だもの》
(武士)あいつってさ無愛想で口ではきついこと言ってるけどものすごくお前にこだわってるんだぜ有馬。
僕に?ああそりゃあもう恋焦がれるほどに。
よく言われたもんな。
「武士は本当の有馬を知らないでしょ」って。
(観客)《美しい》奇麗。
(渡)《ため息しか出ねえ》《黒いピアノと彼女。
何かすげえ決まってる》・『エチュードイ短調作品25−11
(木枯らしのエチュード)』《奇麗な音だ》《だがこの程度なら…》《あっ…》《確かに絵見にはむらっ気がある》《しけた海のように感情の波が不安定にうねりを上げている》《なら今日。
ピークの波が来ても不思議じゃない》・
(ピアノの演奏)おいおい。
(絵見)《ピアノが合ってる。
指が軽い》《私は今日乗ってる》《きっと朝食べたスコーンがおいしかったから》《新調したドレスが決まったから》《髪がうまくセットできたから》《きっとそうだ》《違う違うでしょ》《子供じゃあるまいし自分に言い訳してどうするの》《あいつがいる。
2年ぶりにすぐそこに…》《背が高くなってた。
少し大人になってた》《でもすぐに分かる》《あの瞬間からテンション上がりまくり》《あいつがすぐそこで私を見てる》《君もそうなの?》
(絵見)《笑わせないで》《私は有馬公生を否定するためにピアノを弾き続けているんだから》《技術があるのは知っている》《しかしこれほどとは…》
(落合)《いけ!いけ!絵見!ぶつけなさい!》《自分の思いを届けなさい!》《会場が14歳の女の子に引き込まれていく》《これが中学生か?》
(絵見)《私はあんたを否定してやる》《負けたってぶっ飛ばされたって何度だって否定してやる》《コンクールのために弾く有馬公生なんて聴きたくない》《私のピアノで否定してやる》《私が聴きたいのは…》・
(ピアノの演奏)《赤黄色黄色》《これは彼女の感情…?》《赤と黄色怒りと…》《君もそうなの?》《そうだよ》《私がここにいるのはあんたのせいだ》《たった4分足らず》《たった4分足らずの演奏が私をピアニストにした》《戻ってこい戻ってこい。
私が憧れた有馬公生》《響け響け響け!私のピアノ!》《響け響け響け!》《そうか》《赤と黄色》《彼女の怒りと寂しさ》《ショパン『エチュード作品25−11WINTERWIND木枯らし』》ハァー。
(拍手・歓声)キャワイイ!
(椿)はしゃぎ過ぎ渡!そう。
あなたも音に思いを託して弾くのね。
《響け響け響け!》2014/11/28(金) 02:28〜02:58
関西テレビ1
四月は君の嘘[字]【ピアノが弾けなくなった元天才少年と美女ヴァイオリニストの物語】
コンクールの優勝候補である武士と絵見は公生を2年間待っていた。公生のピアノに影響され、全てをピアノに掛けて、高みを目指して来た2人の演奏が今、始まる…
詳細情報
番組内容
母の死をきっかけにピアノが弾けなくなった元天才少年・有馬公生。
モノクロームだった彼の日常は、1人のヴァイオリニストとの出逢いから色付き始める。
傍若無人、喧嘩上等、でも個性あふれる演奏家・宮園かをり。
少女に魅せられた公生は自分の足で14歳の今を走り始める。
第37回講談社漫画賞を受賞した「青春×音楽×ラブストーリー」!
出演者
有馬公生: 花江夏樹
宮園かをり: 種田梨沙
澤部椿: 佐倉綾音
渡亮太: 逢坂良太
井川絵美: 早見沙織
相座武士: 梶裕貴
スタッフ
【原作】
新川直司(「月刊少年マガジン」連載中/講談社)
【監督】
イシグロキョウヘイ
【シリーズ構成・脚本】
吉岡たかを
【キャラクターデザイン・総作画監督】
愛敬由紀子
【音響監督】
明田川仁
【音楽】
横山克
【アニメーション制作】
A−1 Pictures
ジャンル :
アニメ/特撮 – 国内アニメ
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