午後のサスペンス「誤算 京都豪邸に渦巻く20億遺産相続の甘い罠!」 2014.12.10



永沢奈緒:いつも貧乏くじを引いてきた
検査終わりましたからね病室戻りますからね。
看護師の仕事はきついけど好きだった。
でも…
辻さんちょっと。
あなた患者さんを殺す気!?これ点滴したらどうなってたか!
(真美子)すみませんうっかりしてて。
取り替えます!あのねうっかりじゃ済まないの!人の命預かってるのよ私たち!もう少しで医療事故になってたわ。
(理恵)大変だったわねまぁそう気にしなさんなって。
そりゃ永沢主任の言うことは正論だけど気にしない気にしない。
一生懸命やればやるほど周囲からは煙たがられ年下の夫は働こうとしないばかりかことあるごとに私を責めた
お金ならないわよ。
督促状。
(敏也)わかってるよ!ねぇ目を覚ましてよ!あなたが心を入れ替えてくれるんだったら私もできるだけのことはするから。
うるせえんだよ!恩着せがましいんだよいちいち。
食わしてるのがそんなに偉いか!もううんざりだ!
(敏也)お前が俺を駄目にしたんだろ!こうなったのはお前のせいなんだよ!〜ごめん奈緒。
本気で言ったんじゃないんだよ。
助けてくれよ!な?頼む奈緒!〜
夫の借金の尻拭いをするうち私まで身動きがとれなくなって…
(拍手)
(女)真美子さん。
(真美子)はい。
長い間お世話になりましたお疲れさまです。
とうとう退職金で借金を清算するはめになってもまだ思っていた
皆様ありがとうございますこんなことまでしていただいて。
(真美子たち)お疲れさまでした。
(拍手)
(敏也)別れよう。
え?えっ!?
(敏也)俺さお前と一緒にいると独り立ちできない気がすんだよ。
いつまでもお前に甘えちゃいそうでさ。
わかるだろ?そういうこと…?
(敏也)何が?私にはもう用がないってこと!?逆さに振ったってもう何も出ないもの!
(敏也)よせよ!
(ケータイの着信音)もしもし?あぁ今取り込み中。
(敏也)もうすぐ終わるから待っててよ。
うんじゃあ。
(敏也)おい!何すんだよ!やっぱり!そうだよ。
さっさとそれ出して俺の前から消えてくれよ!
(玄関の開閉音)〜
これでよかったんだ…そう思おうとした。
何もかも失ってしまったけど少なくとも間違ったことはしていないって

私はまだ気づいていなかった。
私にも黒い心が潜んでいることに
京都…。

知らない土地で新しくやり直すのも悪くない。
過去から逃げられるなら
(遠山)どうぞお座りください。
(遠山)弁護士の遠山です。
(遠山)大きな病院にお勤めだったんですね。
どうしてお辞めになったんですか?父の介護のためです。
でも田舎に帰って間もなく父は亡くなってしまいそれでまた働くことに。
それはそれは…。
それにしてもあなたのようなキャリアの方ならいくらでも就職口はあるでしょうに。
(遠山)どうしてまた住み込みの看護師なんか?病院勤めは人間関係とかいろいろありますし…。
あいえ父を看取ってみて思ったんです。
大きな病院で仕事に追われるよりも一人の患者さんをじっくりお世話してみたいって。
なるほどわかりましたじゃあお願いしましょう。
はっ?こちらも急いでますから手短に申し上げます。
依頼人は患者ですが鬼沢丈一郎76歳。
私が顧問をしている会社の創業者で資産家です。
若い頃から糖尿病の持病があり今ではインスリン注射が欠かせません。
奥さんは20年ほど前に亡くなっています。
ご長男夫婦が同居されていますが鬼沢さんはわがままで強くは言えないようです。
上に娘さんが二人それぞれ住まいが近いのでよく顔を出されています。
他に認知されているお子さんが一人。
認知?
(遠山)ええ。
(遠山)外にできた息子さんです。
ところであなたご結婚は?していました。
ということはバツイチ?そういうことになります。
それなら…いえね鬼沢さんという方はまだまだ枯れていないというか未婚の女性にはお気の毒かと…。
(玄関チャイム)
(鬼沢)おい!誰もおらんのか!?
(玄関チャイム)はぁ…やかましいなぁ!誰だ?あのう私…。
えっ!?ちょっと!
(美恵子)お義父さん!
(よし子)大旦那様!痛…大丈夫ですか!?あぁ大丈夫だ。

(京子)もう!あぁ京子お嬢さま。
(京子)お父さん!今お部屋で休んでもらっています。
あっそう。
あなたは!?川村奈緒と申します。
今日からこちらに来るように言われて。
新しい看護師さんどす。
あぁそう。
よし子さん手すりが折れたって腐ってたの?あなた何も知らなかったの?うちがどすか?あぁまあいいわ。
美恵子さん何ぼ〜っと突っ立ってるの。
山崎先生に連絡したの!?あなた鬼沢家の嫁なんだから。
お父さん!お父さん大丈夫!?
(山崎)大丈夫だろう。
この男は悪運強いんだから。
それよりあんたのほうこそ大丈夫かい?私は何とも。
ほうそりゃよかった。
来た早々こんな爺さんと心中じゃあんまりだもんね。
だから呼んだって無駄だって言ったろ。
この籔医者はな俺が早死にしたほうが嬉しいんだよ。
あの連中とグルなんだから。
おいおい。
ニトロだ預かっておいてくれ。
はい。
(洋子)お父さん!手すりが腐ってたんですって?あぁ。
それでどこも何ともない?残念だったな何ともなくてえ?えぇ?何言ってるのよ。
知らせを聞いてこうして駆けつけて来たんじゃないの。
よし子さんや美恵子さんがついていながら何やってるのよねぇ。
京子姉さんだって3日にあげず来てるのにねぇ。
そういうお前だってしょっちゅう来てるじゃないか。
用もないのに。
もういつもこうなんだから。
せっかく心配して来てあげてるのに。
こっちから頼んだ覚えはない。
出直してきます。
ご機嫌斜めのようだから。
あの連中はな年がら年中遺産の計算ばかりやってる。
俺が死んだほうが好都合なんだよ。
またそれを言う。
あんた!はい。
うっかり俺を長生きさせたらあの連中の恨みをかうぞ。
2年前に軽い脳梗塞その後遺症で右足に麻痺がある。
それに狭心症の発作血管がやられているんだ。
それにねひとつ気をつけてほしいことがあるんだ。
何でしょう。
あいつにはアレルギーがあってね。
わずかなアレルゲンでショック症状を起こす恐れがある。
アナフィラキシーショックですか?そう。
アレルゲンは何ですか?蕎麦だ。
蕎麦ですね。
(山崎)わずかな蕎麦でも口にすると激しい呼吸困難に陥り命取りになる。
本人も承知していてね自分から口にすることはない。
わかりました。
まぁ病名だけ聞いてると仰々しいが今日明日どうなるって代物でもない。
憎まれっ子世に憚ると言ってねああいうやつこそ長生きするものなんだよ。
お親しいんですか?鬼沢さんとは。
小学校の同級生。
大将にはよくいじめられたよ。
まあそうなんですか?それじゃ。
(鳥のさえずり)いいお部屋ですね。
はい最初はみなさんそうおっしゃいます。
え?あお隣が大旦那様のお部屋なんどす。
あの…最初はって?あぁいちばん長続きしたお人で3か月。
いちばん短い人で1週間。
あの弁護士の先生から何も聞いてはらしまへんか?はぁ…。
そうですかまぁあのほなどうぞよろしゅうおたの申します。
お願いします。
ではまた後ほど。
(美恵子)川村さん。
あはい何でしょう。
ちょっと主人がご挨拶を。
あはい。
(淳一)長男の淳一です。
父がお世話になります。
こちらこそよろしくお願いします。
あなた。
すみませんちょっと失礼。
食前に飲めと言われているので。
どこかお悪いんですか?ちょっと胃の調子がね…。
山崎先生は胃潰瘍かもしれないって。
胃潰瘍?それはいけませんねすぐに検査を受けてください。
(淳一)は…?ごめんなさいつい癖で…。
看護師さんの?はい。
(笑い声)父はあのとおりの人ですから何かと扱いにくいかと思いますが正直信頼できるかたが見つかってほっとしています。
あいえ…。
あの息子の宏を紹介しなければならないんですがあまり人前に出たがらない子で。
そうだ検査受けるんだったら…。
あの…。
(淳一)宏のことには触れるな。
(美恵子)でもいずれわかることよ。
あの子はお義父様が怖いのよ。
この家にいる限りああして引きこもったまま。
俺にどうしろって言うんだよ。
(淳一)この家を出ようって言うのか?時間が解決するのを待つしかないさ。
(恵太の口笛)食後の歯磨きはきちんとしましょうね。
歯が駄目になると食べ物もおいしくないし偏食…偏食の原因にもなりますからね。
もう少しだから辛抱してください。
はい終わりましたさっぱりしたでしょ。
濯いでください。
老人虐待だ。
血糖値測りますから腕出してください。
いや!はは…。
293…高いですね。
少し運動していただかないと。
運動?まずは…歩くことから始めましょうか。
やだね。
鬼沢さん…。
言われたとおりに指示を守ってくだされば必ずよくなりますから。
偉そうに人に指図ばっかりして。
下手に俺を長生きさせないほうがいいと言ったはずだぞ。
そうはいきません鬼沢さんには長生きしていただかないと。
(鬼沢)なんで。
鬼沢さんに死なれたら私はせっかく得た職を失うわけになりますから。
こんな待遇のいいところは他にはありませんしね。
なんて看護師だ…。
ありがとうございます。
ほめてない!〜ご苦労さまです。
(恵太)どうも。
〜よし子さ〜ん。
は〜い。
なんどす?鬼沢さんの食事なんですけどお願いした献立どおりに作ってくださってるんですよね?そうですよ。
けどまぁ材料がおへんときはこの食品交換表どおり作らしていただいております。
そうですよね…。
はい。
いえね…そのわりにはずいぶん数値が高いので…。
もっとカロリー減らさなきゃ駄目かしら?それがね大旦那様は好き嫌いが激しいお人どすねや。
私が作ったものだけを口にしてるわけやおへんのえ。
えっ?〜すみません…。
なにするんだ?お父さんの好物の鶴屋千年堂のもなか!甘いものは禁止です!食事を残してこんなものばかり食べているといつまでたっても血糖値は下がりませんよ!こんなものばっかりって…たまのことじゃないの。
ねぇ〜?そうでしょうか!?これはなんですか?私じゃないわよ。
洋子じゃないの?鬼沢さん…糖尿病は怖いんですよ!合併症で失明したり脚を失った人の話聞いたことありませんか!?聞いたよもう。
聞き飽きたよ。
なんで医者っていうものは同じことばかりしか言えないんだ…。
そんなね杓子定規なことばっかり言ってたらかえってストレス溜まって血圧上がっちゃうわよ!困りますご家族がそういうことでは…。
なに?あなた。
ずいぶん偉そうじゃないの!すみません…。
ただ…鬼沢さんの健康管理を任されてる者として見過ごすわけには…。
(京子)私だってね…!なに見てるの?恵太さん。
親父!
(鬼沢)おぅ。
とりあえず直しておいたよ。
(鬼沢)そうか。
(恵太)しぜんに折れたことにしといたら?誰かが細工したって証拠もないわけだし。
帰るわ。
お父さん孫娘たちの留学費用よろしく頼みますね!
(恵太)はいはいはいはい。
忘れ物!すみません…申し遅れました。
看護師の川村です。
西山恵太です。
よろしくお願いします。
さて…。
鬼沢さん!散歩に行きましょうか?嫌だ。
鬼沢さん…横になってばかりいると足腰が弱くなって寝たきりになってしまいますよ。
つらくても自分の足で歩く努力をしないと…。
いいかげんにしろ!したり顔で説教するのはよせ!鬼沢さん!あれしちゃいけないこれをしろ。
言わせておけばいい気になって。
俺はあんたの囚人じゃないんだ!あんたの自己満足のために生きてるわけじゃないんだ。
(鬼沢)まったく…。
自分だけがいつも楽しい顔して…へどが出るよ!〜言いすぎだよ親父…。
(恵太)散歩なら俺がつきあうよ。
(恵太)車椅子に乗ってるとこ見られたくないんだろう?
(恵太)大丈夫。
俺がいいコース知ってるから。
〜すみませんでした。
(恵太)えっ?私…鬼沢さんが散歩したがらないの横着だからだって決めつけてました…。
あぁ…そのこと?老人や病人だって自尊心ってものがあるんですよね。

(恵太)いい店だろう?ここだけの話…親父に資金を出してもらって始めたんだ。
ふ〜ん。
弁護士の先生から聞いてるだろうけどさ俺は鬼沢家の子供じゃないんだ。
親父がよそに作った非嫡出子。
母親は親父が行きつけのクラブのホステスだった。
俺が16歳のときに死んじゃったけどね。
ねぇあんた知ってる?非嫡出子はさ嫡出子の半分しか遺産がもらえないんだぜ?不公平だよね〜。
そう思わない?さぁ…。
遺産なんて私には関係ない話だから…。
そうとはかぎらないよ?あんただって上手くやればいくらかもらえるかもしれないよ。
はぁ〜!?またそんな顔して…。
その様子だと離婚のとき何も要求しなかったんじゃないの?もう駄目だよそんなんじゃ〜!取れるときはがっぽり取らないと!もう大きなお世話です!人間ね欲があって当たり前なの。
無欲気取ったってろくなことにならないんだから。
〜あなた…宏君ですよね?私今度来た看護師の川…。
なんや?これ。
老人ホーム?そんなこと考えておりやしたんどすか…。
歯医者のほうはうまくいってないのか…。
(あかり)パパに内緒のお金がいるんじゃないの?留学話は金を引き出すための口実か…。
教えてくれてありがとうよ。
(さやか)おじいちゃん孫に甘いから…。
でもそういうおじいちゃん大好き!
(笑い声)鬼沢さん。
インスリンの時間です。
(鬼沢)俺を軽蔑してるんだろうな。
軽蔑なんて…。
金で人の心を操ってるつもりが自分が操られてることも知らずに…。
哀れな年寄り…そう思ってる!私は別に…。
しかしあんたも…思ってることは顔に出るタチだな。
不器用というか…ばか正直というか…。
病院に勤めてた頃車が1台も通ってなくても信号が赤だったら絶対に横断しないタイプですねって後輩に言われたことがあります。
(鬼沢)さてはそれが離婚の原因か?別れた夫にも言われました。
自分はいつも正しいって顔してまったく嫌な女だって…。
ほ〜らみろ。
でもそれが離婚の原因じゃないんです。
金の切れ目が縁の切れ目。
その点鬼沢さんは幸せですよ。
破産でもしないかぎりご家族と縁が切れることはないんですから。
皮肉かね?それは…。
いいえ…。
誰だって一人は寂しいですもの。
あっ…大丈夫ですか?いい!俺だって最初からこうだったわけじゃない。
金で人の心が買えるなんて思っていなかった。
死んだ女房と所帯をもったときも裸同然だった。
恵太の母親にしたって金が目当てで俺に近づいてきたとは思えない。
いつからだろうなぁ?金の力なしでは何も言えなくなったのは…。
こんなじいさんの言うことなんか…ただで聞いてくれるやつはいない。
ひがみかね?ち〜っとも幸せなんかじゃないよ。
惨めなもんだ…。
あんただって本当はそう思ってるんだろ?ここです!おい!どういうつもりだ?こちらまでいらしてください!大丈夫歩けますから。
焦らないでゆっくりでいいですよ。
ゆっくりゆっくり!ゆっくり!歩けたじゃないですか!ご自分の足で!〜えっ500万!?私にですか?遺産の一部ですよ。
最後まで自分の世話をしてくれた場合あなたに500万円を贈りたいそうです。
鬼沢さん…。
でもどうして私に?あなたが有能だからですよ。
いやあなたの誠意が通じたんでしょう。
鬼沢さんにしては珍しいことだ。
だけど私困ります。
そんなつもりじゃ…。
わかってます。
わかってますよ。
ただ鬼沢さんという人は感謝の気持をお金で表すしか知らない人なんです。
くみ取ってあげてください。
〜500万?ずいぶん気前がいいのねぇ。
いいじゃないか…鬼沢さんの財産…ざっと見積もっても20億はくだらないんだから…。
500万なんてはした金だろ。
そりゃそうだけど〜。
あの看護師は使える…。
うまく手なずけてるよお父さんのこと。
体調がよくなって精神的にも落ち着けば鬼沢さんだって福祉団体に遺産を寄付するなんて脅しめいたことは言わなくなる。
それを考えたら500万なんて安いもんだ。
とにかく遺産が入らなきゃあなたが慰謝料が払えない。
慰謝料が払えなかったら離婚は成立しない。
もう…待ちくたびれちゃった。
俺も待ちくたびれちゃったなぁ。
ヘモグロビンA1Cが7.2%とは驚いたねぇ。
今まで二桁以下に落ちたことがないんだから。
それほど大げさに言うことかね?いやいや照れなくていいよ。
本人の努力なしではここまではよくならない。
自慢していい。
でもまだ時々人の目を盗んでは甘いものを口にされたりするんですよ。
そうそう完璧にはいきませんよ!そうだろ?そう言ってるのにこのナース頭が固くて困るんだよ。
このくらい固くてちょうどいいんです!鬼沢さんには!
(笑い声)そりゃそうだ。
(美恵子)がん…胃潰瘍やなかったんですか?
(山崎)淳一さんにはそう言ってある。
彼は告知に耐えられる人ではない。
残念だ。
それももってあと…。
(美恵子)先生!ひどい…!どうして私ばっかりこんなめに…。
(山崎)美恵子さん…。

(鬼沢)うんこれはうまい!これで3軒目ですよ!これ食べたらよっぽど歩かなくちゃなりませんよ!だからこうして歩いてるじゃないかうるさいな。
恵太来週あたりは遠出するか?そうだね。
親父ほんとによくなったよ。
ありがとう奈緒さんのおかげだな。
いえ私はただ看護師として当然のことをしてるだけです。
おい行くぞ。
はい!〜ハンカチはこういうふうな感じでございましてですね。
こういうふうな感じで皆さん指の中にグイグイグイとそちらのカップルの方もよく見といてくださいね。
押し込んでいきます。
押し込んでいって吹くとあっ!ハンカチが消えてなくなってる!あっお客さんすみません!こんなところにハンカチが出てきました!
(拍手)ありがとうございます!はいなんですか?千円札を一万円にしてくれんか?ええっ!?それができたらマジックなんかしてませんよ!ほんとに!
(笑い声)じゃあ皆さん続きをやりますんでね〜!いいからいいから!いいですいいです!そう言わないで行ってきなさい。
〜よう!マフィアのボスとその情婦!はい!〜
(拍手)
(ホステス)いらっしゃいませ!いらっしゃいませ!
(ゆきえ)いやっ鬼沢さん!お久しぶり!昔とちっとも変わってないわね!もうボロボロだ!
(笑い声)この店も15年ぶりかねぇ…。
(ゆきえ)ほんと…さっジロウさん!お席…カナちゃんもね。
いらっしゃいませ。
いらっしゃいませどうぞ。
恵ちゃん?恵太さんじゃないの!ご無沙汰してます。
まあ…立派になって!お母さんきっと喜んではるわねえ…。
ありがとうございます。
さあさあどうぞどうぞこちら。
まあ…きれいな方やねえ!恋人?はは…いやいや。
看護師の川村奈緒と申します。
そうでしたか…さあどうぞ。
まあ美人の看護師さんでお幸せやねえ鬼沢さん!ははは…。
乾杯!
(ホステスたち)乾杯!
(ホステスたち)いただきます。
鬼沢さん控えめに…。
わかってるよ。
(拍手)奈緒さん踊ろうか?は?今夜は気分がいいんだ…なあ踊ろう。
いやいや…無理です!無理です…ほんとに無理です!大丈夫だから…。
あんたさ…親父が死んだら500万円もらえるんだって?なあ…どうせだったらさもっともらおうぜ。
あんた親父と結婚すりゃいいんだよ。
なんで?私を利用しようったって無駄だからね。
遺産のことなんか私にはよくわからないけど…。
鬼沢さんと結婚したら私きっとすごい額の財産を相続することになるんでしょうね。
それをあなたは横からかすめ取るつもりなんでしょうけど!かすめ取るなんて人聞き悪いな。
山分けしようって言ってんの。
ちょっとなにするのよ!まあ聞けよ。
まず財産を七等分する。
七等分?
(恵太)そう。
三兄弟それぞれ七分のニ。
俺は…やつらの半分だから七分の一しかもらえない。
でもあんたと親父が結婚してくれたら妻であるあんたにニ分の一が入って残りの二分の一を三兄弟プラス俺で分けることになる。
あいつらが十四分のニずつもらって俺が十四分の一…。
でもあんたと俺の取り分を足すとニ分の一プラス十四分の一だから十四分の八。
それを折半すると七分のニずつってことになる。
あいつらの倍だからまあまあだろ。
あなたよくこんなややこしい分数の計算できるわね。
毎日こんな計算ばかりしてるの?これじゃお姉さんたちと変わらないじゃない。
かわいそうな鬼沢さん。
そりゃさあいつらにギャフンといわせたい気持はあるよ。
でも親父に早く死んでほしいって思ったことなんてない。
それにさ…親父には奈緒さんみたいな人についててほしいんだよ。
不器用で融通のきかないあんたみたいな女にさ…。
無理なの。
どうして?悪い話じゃないと思うけどな。
あっ…セクハラのこと気にしてる?違うんだって!あれは気に入らない看護師を追い出すためのポーズで…。
あっちのほうはからっきしなんだから!そんなこと言ってんじゃないの!鬼沢さんが嫌いとかそんなんじゃなくて…。
私…誰とも結婚できないの。
なんで?だって…私まだ離婚してないんだもの。
はっ?区役所までは行ったのよ。
だけど届けを出したらあの男はすぐに新しい女と再婚するんだろうって…。
そう思ったらどうしても許せなくて…。
夫もだけどそれ以上にお人よしの自分が許せなかったの…。
バカよねえ…離婚届出さなくたって私にとっていいことなんかひとつもないのに…。
やり直すのが遅くなるだけで…。
なんかあなたに話したら吹っ切れちゃった。
明日離婚届出してくるわ。
じゃあ…。
早合点しないでよ。
鬼沢さんとは結婚しません。
私…人をだますようなことはしたくないの。
なんだ…結局損な性分のままかよ。
彼には言えなかったけど本当は76歳の老人と結婚することにやはり抵抗があったのだ
届けを出したいんですけど…。
何の届けでしょうか?
(宏)この野郎…!宏やめて!やめて…!ちょっと黙って見てないで止めてくださいよ!ちょっと宏君!宏君!離せよ!宏君!やめろ!宏君…。
(鬼沢)親にあたるのはよせ!言いたいことがあるならこの俺に向かって言え!どうした?何か俺に言いたいことがあるんだろう!死ねよ。
なんてこと言うの!離せよ!お前らみんな死んでしまえ!こんな家…消えてなくなれ!こんな汚え家に俺を産みやがって!こんな家なんかな…。
汚れてんだよ。
(雄叫び)八つ当たりはよせ!俺の目を見て話せ!
(雄叫び)鬼沢さん!大丈夫…。
お義父さん…。
狭心症の発作だ!奈緒さんニトロ!はい!
(鬼沢)いつだったかな…。
学校へ行こうとしないあいつを部屋から引きずり出そうとしてな。
逆効果だった…。
あれ以来俺のことを恨んでるんだよ…。
宏の言うとおりかもしれん。
この家は汚れている。
汚しちまったのは俺なんだ…。
鬼沢さん…。
俺にできるのは早く死んで子供に財産を残してやることくらいかな。
やっぱり…。
何をおっしゃるんです!人間死んでいいことなんかひとつもないんですよ。
本人だって周りだって。
ふふ…。
何ですか?あんたに見守られていく人はさぞ幸せだろうと思ってな。
もうおやすみになってください。
倒しますね。
〜ちょっとごめんなさい。
もしもし…。
(敏也)俺だよ。
ケータイ替えるのはいいけどさ番号教えてくれなきゃ困るよ。
どうしてこの番号がわかったの?そんなことよりどうして今ごろになって離婚届出す気になったの?どうしてすぐに出さなかったんだよ!心の整理に時間がかかったのよ。
(敏也)心の整理?ふん…おかげで俺は女に逃げられちまったよ。
今さら離婚されても手遅れなんだけど…。
もう私たち他人なんだから。
おい…冷たいなぁ。
金持ちの年寄りにかわいがられて幸せなんだな。
変なこと言わないでよ。
いったいどこでそういうことを…。
俺女と始めるつもりだった仕事がぽしゃっちゃって金ないんだけど助けてくれない?切るわよ…もう二度とかけてこないで!〜
(ノック)失礼しま〜す!鬼沢さ〜ん!あら?キャ〜!
(恵太)そっかぁ天井からな…。
信じられないわよ。
ひと事みたいに言うなよ。
もし親父に何かあったらあんたのせいにされんだぜ!病死に見せかけた殺人なんて世の中にはごまんとあるんだから…。
鬼沢さんしつこいようですけども十分に足元には気をつけてくださいね。
あのくれぐれも一人では外出しないでくださいね。
(鬼沢)歩けと言ったり注意しろと言ったりまぁまぁ…。
あのそれから食べ物なんですけども絶対に出された食事以外は食べないでください。
おやつは私が買ってきたものだけいいですね?さては誰か俺に毒を盛ろうとしてるな?違いますよ!蕎麦の成分を口にしないためです。
鬼沢さんには蕎麦のアレルギーがありますからね。
はいはい!こう見えても俺は用心深いんだ。
そんないちいち言われなくたってね。
キャ〜!危ない!!なんだ?このステッキは…。
〜奈緒さん…。
はい。
ちょっと!接着剤が残ってる。
一度折ってからくっつけたんだ。
警察に行きましょうよここまできたら犯罪よ!取り返しのつかないことになる前にそうしたほうがいい!ちょ…どうやって犯人を特定するの?家じゅうの者の指紋がベタベタついてるのに…。
被害妄想で片づけられるのがオチだよ。
これはまた面妖なことをおっしゃる。
証拠がないのはわかってます。
ただ警察に行ったって取り合ってもらえないでしょう。
だからご相談に伺ってるんです。
どなたかお知り合いの刑事さんとかいらっしゃいませんか?話を聞いてくれそうな…。
あなたねよそでそんなこと吹いてごらんなさい!名誉棄損で訴えられますよ!その前にクビでしょうけどね。
少しは頭を冷やしたらどうですか?〜
(従業員)ほなまたお近いうちにお越しやす!
(京子)あなたにはほんとによくやっていただいて…。
正直父があそこまで回復するとは思ってなかったわよね。
(洋子)見栄っ張りでリハビリなんか見向きもしなかったのに…。
今じゃ万歩計つけてせっせと歩いてる。
あきれるわ…。
(京子)でねありがたいのはやまやまなんですけど…。
はっきりおっしゃってください。
クビなんですね私…。
あっなに言ってるのよあなた違うわよ!そうじゃなくって…。
姉さん!
(京子)じゃあはっきり言うわね。
私たちあまり父に長生きされると困るのよ。
あなただってそうでしょ?今なら500万円もらえる。
でも父の気が変わればそれまで。
(洋子)父に長生きされるとそれだけリスクも大きいのよ。
株と同じである時点で利益を確定したほうが得なの。
わかるでしょう?要するにおいしいものはおいしいうちにみんなで早いとこ分けちゃいましょうって話。
私にどうしろっておっしゃるんですか?それよ…。
まず警察に行こうなんてバカな考えは捨てること。
父の世話はこれまでどおりやってもらいます。
ただしあんまり頑張らなくて結構。
適当に手を抜いて。
それから…。
(洋子)万が一父に何かあっても騒ぎ立てないこと…。
家の恥だから。
つまりこういうことですか?鬼沢さんに何かがあったら真っ先に疑われるのはこの私。
だから私をあの家においておきたい。
そうなんですね?よぉ!あなた…。
なんで着信拒否するんだよ。
どうしてここに?
(敏也)おい!何なのよ!!
(敏也)離せよ!金払えよ!人の再婚邪魔した慰謝料。
払わない!拒否されちゃ何するかわかんないぜ。
やめてよ!私これでもあなたと別れて精一杯まっとうに生きようとしてるの!邪魔しないでよ。
まっとうねぇ…。
好きだねぇそういうのが。
いつまでも金づるだと思わないで!もう以前の私とは違うんだから。
へぇ…どう違うっていうの?もうつけ込まれたりしないってこと!あなたにも誰にも…。
寒くありませんか?奈緒さん…。
来年も見られるだろうか?えっ?あの桜が気に入ってこの家を買ったようなもんだ。
(鶯の鳴き声)もちろんです。
来年も再来年もその次の年もきっと見られます。
そのときあんたはここにいてくれるか?ずっと俺の隣にいてくれるか?はい。
看護師としてじゃなく妻として…。
〜あと何べん桜の花が見られるかわからんが残された月日を奈緒さん…。
あんたと一緒に過ごしたいんだ。
〜受け取ってくれるか?〜喜んでくれると思ったのに。
俺が?なんで喜ぶの。
あんたは自力で結婚までこぎつけたんだ。
どういう心境の変化か知らないけどさ。
これで財産の二分の一はあんたのもん。
俺の取り分減っただけじゃん。
わかってないのね。
結婚するにはあなたの協力が必要なの。
忘れたの?私の離婚が成立したのはついこの前のことなの。
つまりあと5か月あまり経たないと鬼沢さんとは再婚できないの。
はぁ?知らないの?再婚禁止期間。
女の人は離婚して半年間再婚できないことになってるの。
ふうんそっか…。
もう!しっかりしてよ。
遺産相続の法律にはあんなに詳しいのに。
だってそっちは俺の守備範囲じゃないもん。
でも何で?別れてすぐ別の人と再婚してもしも子供ができたらどっちがお父さんかわからないから。
じゃ男は?男性はすぐ再婚ができるのよね。
不公平よね。
ねぇどうしたらいいと思う?やっぱり鬼沢さんに正直に打ち明けたほうがいいわよね。
俺の出番がまだあったか。
いや親父は古い男だから半月前まで離婚してなかったと聞いたらだまされたと思うだろう。
それに短気だし待たされるのは嫌いだ。
でも来年の4月まで私結婚できないの。
よしじゃあこうしよう。
婚姻届は俺が預かって役所に出しにいくことにする。
もちろんまだ受け付けてもらえないから出したふりをするだけ。
親父には嘘つくことになるけどたった5か月の嘘だ。
それとここが重要な点なんだけど周りには奈緒さんと結婚したことはまだ伏せておくよう親父に言ってきかせる。
あの弁護士に知れたらすぐ調べられてばれちゃうからな。
何しろ相続に関わることだ。
あいつらだってだまっちゃいない。
婚姻届が出せる4月まで時を稼ぐんだ。
結婚しちゃえばこっちのもんさ。
法律は曲げられない。
裁判起こしたって法定相続分は覆らない。
うまくいくかしら。
うまくやるんだよ。
でもなんで結婚する気になったの?
(恵太)まさか本当に親父を愛しちゃったとか?うまく言えない。
自分でもよくわからないの。
《鬼沢さんを守りたいから。
そう言うこともできたけど言えば嘘になる気がした。
だますことには変わりがない》《まっとうに生きても誰にも感謝されず足もとを見られ利用され踏みつけにされて捨てられる》確かにお預かりしました。
《もう貧乏くじは引きたくない。
それが本心だった》〜《鬼沢さんは結婚したことはまだ伏せておいたほうがいいという意見にしぶしぶ同意してくれたけれど。
どうしても私を妻として見るので隠すのに苦労した》奈緒。
奈緒お茶くれ。
申し訳ありません気がつきませんで。
すぐにお持ちいたします。
奈緒なんて呼んだら変に思われます。
すまんつい。
しかし不便なものだな。
結婚してるのに一緒にやすむこともできんのだから。
〜《それでもなんとか乗り切って春がくるのをひたすら待った》寒の戻りもようやく過ぎたようですね。
うん。
今年はみんなを集めて花見をしようと思うんだ。
そのときに我々のことを報告しようと思う。
お花見の席でですか?いつまでも秘密にしておくのはよくない。
そろそろ発表してもいい頃だと思う。
いつ。
(鬼沢)いつがいいかな。
《婚姻届が出せるのはいちばん早くて4月9日》今年は開花が遅いそうですけど…。
10日…。
うん4月10日にしよう。
10日ですねはい。
いよいよだな。
5か月間よくがんばったよ。
届けを出した日付調べられたりしないかしら?だから言ったろ?結婚しちゃえばこっちのもんだって。
明日が楽しみだ。
きっとあいつらあわてふためくぜ。
あなたは楽しみかもしれないけど私は生きた心地がしないわよ。
きっと非難ごうごうよ殺されるかも。
今さらなに尻込みしてんだよ。
大丈夫だって。
そのときは俺が守るから。
じゃあ出してくるわ。
花見が終わったら祝杯あげようぜ。
〜恵太さん遅いわね。
えぇ。
(さやか)パパ。
ああありがとう。
洋子。
ん?お父さんから何か発表あるらしいけど聞いてる?何も。
そう…。
具合悪いですか?ええ最近は少しましです。
お父さん入れ歯作り直したんだって?あれ100万円くらいするんでしょ?歯医者にとっちゃいい商売よねぇ。
しようがないじゃない。
元気なんだものお父さん。
(京子)遺産が入るまではそうやって小銭でも稼がないと。
(洋子)早く分けてくんないと…。
(京子/洋子)ねぇ。
奈緒!奈緒!はい!恵太はまだか?いやそれがまだ…。
何してるのかしら…。
しかたがない先に始めるか。
いやでも…。
そのうち来るだろう。
みんなをあんまり待たしちゃ悪い。
あの…新しい入れ歯はなさらないんですか?
(鬼沢)それはちょっときつくてな。
でも今のはゆるくてガタつくんじゃ?行こう。
あちょっと待ってください。
え〜この見事な桜。
樹齢は相当なもんだと思いますが衰えるということを知らずこうして毎年我々の目を楽しませてくれます。
あやかりたいもんですな。
老いてますます盛ん。
いいじゃないですかそれで!生ある限り人間枯れてはいかんのです。
いいから早く本題に入ってよ。
(鬼沢)あ〜ちょっと失礼。
どうかされましたか?やっぱり新しい入れ歯に替えてくる。
結婚報告の最中に入れ歯でも落ちたらしゃれにならんからな。
はい。
〜遅いなぁおじいちゃん。
ちょっと見てこようか。
(悲鳴)ママ!おじいちゃんがおじいちゃんが!
(あかり)ママ!鬼沢さん!大丈夫ですか?鬼沢さん!皆さん動かさないでくださいね!先生!先生!先生!先生!先生!わかった!
(美恵子)先生お願いします!先生…?
(淳一)お父さん!
(さやか/あかり)おじいちゃん…。
京都市洛西区…。
(橋本)一課の橋本だ。
こっちに一応鑑識回してくれ。
あぁそのままそのまま。
お楽にお楽に。
どうも。
(橋本)ご家族の方は皆さんお揃いですか?
(淳一)はい。
鬼沢さんなんですが検死だけでは死因が特定できませんでした。
行政解剖をさせていただきたいんですが。
そんな必要あるんですか?主治医の先生が心筋梗塞だっておっしゃってるのに。
私の所見ですが患者はこれまでに狭心症の発作を起こしたことがありそのたびにニトログリセリンを服用しました。
今回たまたま運が悪く発作を起こしたときには誰もそばにいなかった。
心筋梗塞で間違いないと思いますが。
はいそりゃそうかもしれません。
ただ気になるのはですねなぜ発作が起きたかなんですよ。
(洋子)歳だからでしょう。
76の年寄りだもの。
いつ発作が起きたって不思議じゃないわよ。
(橋本)川村さん。
はい。
あなた看護師として何か思い当たることはありませんか?いつも鬼沢さんのそばについていらしたんでしょう?心当たりありませんか?鬼沢さんが発作を起こすような何か…。
あのう…いえでもそんなはずは…。
何ですか?おっしゃってください。
鬼沢さん蕎麦アレルギーがありました。
蕎麦アレルギー?蕎麦を食べると呼吸困難に陥るんです。
でも常日ごろ気をつけていましたし今日だって蕎麦を口にする機会はなかったはずです。
あの今日お出ししたお料理はホテルから取り寄せたものなんです。
お蕎麦は絶対入れないようにとくどいほど念押したんどす。
(洋子)ねぇ。
はい?
(洋子)解剖って時間かかるんですか?私たちあんまり長く待てないんですけど。
洋子さん!何かお急ぎの理由でも?いえ…。
(淳一)刑事さん!
(淳一)わかりました解剖してください。
(美恵子)あなた…。
父の死因に不明な点があると聞いては家族としても納得がいきません。
解剖して調べてください。
そう言っていただけると助かります。
こんなときばっかり長男面して…。
何かおっしゃいましたか?いいえいいえ。
ところで鬼沢さんは花見の席で何か皆さんに発表したいことがあるとおっしゃってたそうなんですが。
何だったんでしょう?
(遠山)それが誰も…。
(橋本)どなたもお聞き及びでない?えぇ。
わかりました。
では搬送の車を手配しますので。
失礼。
遠山先生遺言書は先生が預かってらっしゃるんでしょ?いつ開封します?
(田上)京子!よさないかこんなときに。
自筆遺言ですからね勝手に開封できないんですよ。
家裁の検認手続きが必要です。
それと死亡届を出してからでないと。
え〜そうなの?それはそうと恵太さんは?
(遠山)それがまだ連絡が取れないんですよ。

(橋本)どこへ行かれるんですか?鬼沢さんが亡くなった以上私がここに残る理由はありませんから。
ホテルに移ることにしたんです。
そうですか。

(パトカーのサイレン)すみませんねこんな所で。
あっいえ…。
(橋本)あぁどうぞどうぞお座りください。
解剖の結果出ました。
何かわかったんですか?死因は心筋梗塞ではなく蕎麦アレルギーによるショック死。
え?そんな…だっていつ蕎麦を?そこなんですよ。
確かに料理には蕎麦は一切使われてなかった。
それなのに鬼沢さんのしていた入れ歯には蕎麦の成分がべったりと付着してた。
入れ歯?新しく作った入れ歯です。
(橋本)花見の席で鬼沢さん一度挨拶を中断して部屋に戻ってる。
その時に入れ歯を取り替えたんでしょう。
どうかされましたか?やっぱり新しい入れ歯に替えてくる。
え?
(橋本)調べたところ洗面台に転がっていたコップから微量の蕎麦が検出されました。
新しい入れ歯はコップの水に浸けてあったそうですね?えぇ。
わかりませんか?何者かが入れ歯の浸けてあったコップにわざと蕎麦粉を入れたんですよ。
つまりこれは他殺です。
でも…誰が?そう…誰が。
あの場にいた全員にその機会はあった。
理屈ではね。
でも人目のあるなかわずかな隙をついて部屋に忍び込むのは危険が大きすぎる。
蕎麦が混ぜられたのは花見の日より前かもしれない。
それに動機となるとおのずと容疑者は限られます。
鬼沢さんが死んで得をするのは誰かってことですよ。
鬼沢さんは資産家だった。
彼が死ねば四人の子供たちには莫大な遺産が入る。
また遺産の配分を巡っては日ごろからいさかいが絶えなかった。
話を聞いてなるほど!と思いましたよ。
《違うそうじゃない!鬼沢さんが死んでいちばん得するのは妻であるこの私…。
もうすぐわかる…わかってしまう!いちばん怪しいのは…私だって》川村さん。
はい。
誰がいちばん怪しいですかねぇ?アハハハ…いやいや失礼。
刑事にあるまじき発言でしたね。
今の質問忘れてください。
あぁご遺体のほうはもうお返ししました。
早速遺言書の開封だそうですよ。
(遠山)先ほど家裁で鬼沢さんの遺言が開封されましてね。
(遠山)やぁびっくりしました。
さぁどうぞ。
はい。
鬼沢さん亡くなる3日前もまた遺言を書き換えてましてね。
新しい遺言にはこう書かれていたんですよ。
「妻奈緒に全財産を譲る」
(遠山)家族も驚愕していましたよ。
そんな話寝耳に水ですからね。
もしかして認知症が始まっていたんでしょうか?認知症?あ…どうぞ召し上がってください。
念のため戸籍も調べたんですが結婚の事実などどこにも見当たりませんでした。
結局遺産は本来の相続人が法定相続分どおり受け取ることになりました。
あなたには申し訳ないことをしました。
こんなおかしな遺言のせいで前の遺言が無効になってしまって。
事が事ですから葬儀は身内だけで済ませました。
どうです?一度お戻りになりませんか?皆さんお礼も言いたいでしょうし。
(恵太)よぉ!恵太さん…。
このたびは…。
どうも。
待ってたのよ私。
婚姻届…出せなかった。
え?どういうこと?再婚してるよあんた。
別れた亭主と。
えっ!?永沢奈緒になってる?えぇ。
永沢敏也さんという方と再婚されてます。
ですのでこの婚姻届は受理できません。
ちょっちょっと待ってください。
たしか女の人は離婚後半年は再婚できないんじゃ…?えぇ。
ただし復縁は別なんですよ同じ相手となら半年経たなくても再婚できるんだってね。
知らなかったよ俺。
私だって知らなかったわよそんなこと…。
あぁ…あんたには黙ってやったことだって白状したよ。
会ったの!?あんたを問い詰める前に元亭を締め上げてやろうと思ってさ前に着信拒否したときに控えてた番号…あれに電話したんだよ。
そしたら今沖縄だっていうじゃん。
しかたないから沖縄に飛んだよ。
南の島で優雅にバカンスを楽しんでた。
あの弁護士に頼まれたそうだ。
あんたには内緒でまた籍を入れてくれってさ。
遠山さんが?そう。
何のためにそんな…。
ったく鈍いなぁ。
あんたが親父と再婚できないようにするために決まってんじゃん。
先手打たれたんだよ。
なにしろ法の専門家だからなぁ。
ちくしょう!ねぇだけど本人に無断でそんなことができるの?通知したって言ってるよ役所は。
婚姻届が出されてますって。
受け取ってないわそんな通知。
そもそも私宛ての郵便なんて…。
まさか…よし子さん!?よし子:奈緒さんにやいずれにしろ済んだことだ。
籍は抜いてくれるそうだよ永沢さん。
遠山さんから指示があったって。
誤算だったなぁそれにしても。
これでよかったの。
もし遺産の相続人になってたら私が何を言ったって誰も信じちゃくれない。
第一自分に申し開きが立たないわ。
よかったの…これで。
でも鬼沢さん…あんな死に方…させちゃいけなかった。
(美恵子)宏!待ってください!宏!待ってください!宏!
(警察官)奥さん!どうしたんですか!?あの子が毒殺サイトを見ていたとか。
えっ?毒殺サイト!?どういうことですか?金以外の動機を見落としてました。
彼は鬼沢さんを激しく憎んでた。
話を聞くだけですよ。
(恵太)宏!宏…俺だって親父を殺してやりたいほど憎んだことがある。
だけど殺さなかった。
殺さずに済んだことに今は感謝してるよ。
お前だってそうだと信じてる。
殺してやりたいと思っただけだ。
そうだよな?宏!宏!信じて待ってる!宏…。
(嗚咽)〜宏…。

幕切れはあっけなかった。
美恵子さんが自首したのだ。
宏君の家庭内暴力に悩んでいた美恵子さんは山崎先生から精神安定剤を処方してもらっていたという。
頼れるはずのご主人は末期のがんに侵されていた。
鬼沢さんさえいなくなれば宏君は変わってくれるかもしれない。
美恵子さんはそう思ったという
どうなるんだろうなぁこれから宏は。
母親は逮捕され父親はもう長くない。
ねぇもし鬼沢さんが生きていて先に淳一さんが亡くなった場合遺産はどうなるの?たぶん美恵子さんが…。
いや待てよ。
(恵太)美恵子さんは親父の子供じゃないんだから相続権はないはずだけど…。
やっぱり…。
淳一さんが先に亡くなった場合彼が相続するはずだった財産はそっくり子供である宏君のところに行くんだ。
妻の美恵子さんを飛び越えて。
ということは…。
美恵子さんとしては宏君ではなく自分が財産を受け継ぐためにはどうしても淳一さんよりも先に鬼沢さんに亡くなってもらう必要が…。
(恵太)動機はそれだったのか。
でもお金だけのためじゃないと思うわ美恵子さん。
あの家でずっとないがしろにされてきたのよ。
どうしていつも自分だけが損しなきゃならないのかってそう思ったとしても不思議じゃない。
あなただって身におぼえがあるでしょう?《美恵子さんが一人でやったこととは思えない。
アナフィラキシーショックを利用した殺人なんてあの人一人で…》
(山崎)奈緒さん寂しくなったね。
みんないなくなってしまった。
鬼沢さんだけがいなくなるはずだったのに?子供の頃ずいぶん大将にいじめられたっておっしゃってましたよね?そんなに憎かったんですか?鬼沢さんが。
憎くはなかった。
慣れてるからね私は。
ただ周りの者は…。
思ったよ…あいつさえいなくなれば丸く収まる。
いいじゃないか。
十分に生きただろうって。
そんな!
(山崎)憎くはなかった。
桜はこうやって散ってるときがいちばん美しいね。
人間の散り際もこうありたいものだ。
私はそう思う。
76まで生きたんだ。
本望だろうよ。
勝手なこと言わないでください!鬼沢さんはもっともっと生きたかったはずです!私だってもっとお世話したかった。
人は美しく死ぬことなんかできないんです!未練がましく生にしがみついてぶざまに生をまっとうするんです。
それが人間ってもんだしそういう人を最期まで支えるのが私の仕事だって…そう思ってます。
この世にいなくていい人間なんていません!
(山崎)あんたらしい。
実にあんたらしい。
この桜来年もこうやって花を咲かせるんだろうね…。
残念だが見納めだ。
(山崎)鬼沢だけがいなくなればよかったんだ。
(山崎)思いどおりにいかないね。
先生…。
〜あっ!ご苦労さまです!2階にお願いします。
恵太さんに言われて私は鬼沢家にとどまることにした。
淳一さんの最期を看取ってほしい。
それから宏君の面倒もみてやってほしいそう頼まれたのだ。
もうここには用はないと思っていたのに
恵太さんちゃんととってよ。
負けてますねぇ。
おい宏!グローブとバット持ってこい!あぁわかったよ。
お茶が入りましたよ。
宏君少しは元気になったみたいね。
うんそうだな。
やるじゃない。
ねぇ前から思ってたんだけどあなた家族が欲しいんでしょう?俺が?お望みなら私が家族になってあげましょうか?いいねぇ。
じゃあバツ2の女と偽装結婚でもするか。
バツ2?確かに…。
人生何が起こるかわからない
2014/12/10(水) 13:00〜15:00
テレビ大阪1
午後のサスペンス「誤算 京都豪邸に渦巻く20億遺産相続の甘い罠!」[字]

資産20億円老人謎の死!再婚新妻と遺産を巡る骨肉の争い!

詳細情報
番組内容
看護師の奈緒(羽田美智子)は京都の資産家・鬼沢(中村敦夫)の専任看護師として住み込みで働き始めた。しかし鬼沢は偏屈な人物で一筋縄にはいかず、看護に行き詰る。一方、鬼沢の子どもたちが遺産相続で揉めていることや、孫が祖父を憎んでいることなど様々な問題を知る。しばらくして鬼沢に奈緒の誠意が伝わり、最後まで看護した暁には五百万円を贈りたいと言われ困惑する。
出演者
川村奈緒…羽田美智子
鬼沢丈一郎…中村敦夫
山崎医師…黒沢年雄
遠山弁護士…大友康平
西山恵太…袴田吉彦
鬼沢洋子…山下容莉枝
田上京子…大島蓉子
橋本刑事…梨本謙次郎
浜田よし子…正司歌江 ほか
原作脚本
【原作】松下麻理緒
監督・演出
【監督】石原興

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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