ご機嫌いかがですか?落語作家の小佐田定雄です。
いつもゲストをお招きしてます「上方落語の会」。
今日のゲストは作家の飯星景子さんです。
お願いします。
よう来てくれはった。
飯星さんにとっての落語の魅力って何でしょうね?落語会に行きますとたくさんの噺家さん登場しますでしょ。
そうするとそれぞれやっぱり個性が違うっていうのを知るところが楽しいですね。
私の好きな噺家さんの一人に春團治師匠がいるんですけどあの羽織脱ぐのがかっこよくってうちに帰ったら絶対にまねします。
今日はその春團治師匠のお弟子さんがまず…。
桂春蝶さんの落語からご覧頂きましょう。
最近は東京でも活躍されてます春蝶さん。
今日の演目は「権助提灯」です。
(拍手)
(拍手)え〜落語には艶笑話というジャンルがありましてね。
まあいわゆる艶話でございますね。
ただね艶話というのはまあそういうお話でございますから結構好き好きっていうのがあってまあ嫌いな方もいらっしゃいますんで大丈夫かなと思ってるんです。
ちょっと試しに短いのやってみますんでこれがあかんかったらもうネタ変えようかなと思ってるんですけどもちょっとやってみますね。
生まれたての子どもがしゃべりだすっていうね艶笑話があるんですね。
いいですか?生まれたての子どもがしゃべりだすというお話でございますよ。
生まれたての子どもが「おじいちゃ〜ん」。
次の日におじいちゃんが亡くなったんですよ。
次の年のこの子どもの誕生日まで何もしゃべらない。
次の年の誕生日にこの子どもがぼそっとね「お母さ〜ん」。
次の日にお母さんが亡くなる。
さあお父さんからすれば戦々恐々としてますわね。
もしも次の年に自分の名前を言われてしまったらどうなるか。
ドキドキドキドキしながらも一年という日々は簡単に過ぎていってしまうもんでございまして1年たってこの子どもが誕生日に「お父さ〜ん」。
「あ〜!俺は明日死ぬんや〜!」。
次の日に隣の家のおっさんが死んどったという話があるんでございます。
(拍手と笑い)好きですね皆さん。
安心して演じる事ができますね。
まあしかし今みたいに女性というのは本当にもう男をこうしてるもんやと思いますよ。
ええ。
もう全部分かっているもんやというふうに思います。
女性の方が一枚も二枚も男性より上手で全部を分かっちゃってるんですよね。
(そろばんをはじく音のまね)
(そろばんをはじく音のまね)「う〜ん」。
「旦さん。
ちょっと旦さん」。
「うん?どないしたんやな?」。
「いつまで帳面持ってはりますの?奉公人やら皆もう休んでますねんで」。
「ああそうかいな。
いやいやあのなこっちの方も仕事の方もないつまでも番頭はんにばっかりに任しとかれへんさかいになできるとこまで私がやってしまおうと思て。
眠たかったらお前先に寝たらええねやで」。
「まあ優しいこと。
いやなわてなにも自分が眠たいさかいに言うてる訳やおまへんの。
こんな遅い晩まで細かい字ばっかり見てお体に障ったらいかんと思いましてな。
女がえらい差し出がましい事言うてすんまへん」。
「ほう。
えらいわしの事気にかけてくれてんねやな」。
「当たり前だっしゃないかいなぁ〜。
旦さんの事よりほか何に気ぃかける事がおますねんな。
あんまり無理せんようにひとつよろしゅうお頼申します」。
「あらららら…。
いやそんな事言われてまだ帳面見とったらわしが片意地な男みたいやさかいになほなぼちぼちこの辺で置いとこか」。
「まさよか?うう〜ん…」。
「えっ?何や?どないしたん?どないしてん?」。
「何やそんなん言われたら私が無理やりやめさせたみたいで申し訳ないな思て。
旦さん怒ってはらしまへんか?怒ってはらしまへんか?」。
「誰が怒ったりするかいなぁ〜。
かわいいで。
フフフフフ…。
あ〜いやしかし今日は風が強いな。
ええ?こういう日はな火事は出しとうないさかいにな火の用心は皆大丈夫やろうな?」。
「ええ。
そらもう火の用心だけはおきよと一緒に何べんも見てますから大事おまへんねやが…。
こんな日はあの子もたった一人で心細い事でっしゃろな」。
「え?何や?あの子て」。
「ほれあの子ですがな。
旦さんが囲うてなはる堀江のおなごのもみじさん!」。
「ブ〜ッ!」。
「オエッ!いやだだ…誰の話してんねやお前。
誰の話してんねや。
間違うてる。
間違うてる。
間違うてる〜!」。
「あんた何を気張ってなはんの?一人で。
大丈夫大丈夫。
どうっちゅう事おまへん」。
「えっどうっちゅう事ない?」。
「どうっちゅう事おまへんがな。
旦さんもなこれだけ大家の主さんですねんで。
気に入ったおなごに家の一軒も持たせるぐらいの事男の甲斐性でんがな」。
「ほんまにこれ何とも思てないの?ほんまに?」。
「罠やろ。
罠やんなこれ。
いや絶対罠やと思うわ。
こんなん認めぇでもしたら…」。
「旦さんほんまの事言うて」。
「ほんまの事言うてるがな」。
「うそうそ!うそついてる!ほんまの事言うて!」。
「え〜?困ったなぁ。
実は堀江に1人。
堀江に1人?フフフフフ…。
ヒィ〜ヒッヒッヒ!己裏切ったな!この恨み晴らさでおくべきか!己をなますに切り刻み刀のさびにしてくれるわ!ズバッ!うわ〜斬られた斬られた斬られた!人殺し!人殺し人殺し!ひひ…人殺し〜!」。
「あんた何を一人で遊んでなはんの?ねえ。
大丈夫。
あのな私はなにも敵に会うた訳やおまへんであんた。
ええ?あのな私の手の届かんところその人のお世話になってる事もおまっしゃろ。
言うたら年の離れた妹が1人出来たようなもんですがな」。
「ほ…ほんまにこれ怒ってない?」。
「怒ってしまへんて。
私は旦さんが機嫌よう過ごしてくれはんのが一番…うれしいの。
フフフフ…。
なあ?」。
「かわいいで。
フフフフ!いや〜もうよかったわ。
この事についてはな長年お前をだましてるみたいでものすごいモヤモヤしとったんや。
肩の荷が下りてほっとしたわ」。
「さよか。
そろそろ向こう行ってあげなはれ」。
「ちょちょ…ちょっと待ちいな。
今日は夜も更けてんねんしもうええんと違うか?」。
「何を言うてまんねんな。
こんな日こそ向こう行ってあげなあきまへんて。
そうだっしゃないか。
いやうちはよろしいで。
何が起こったかてあんた番頭はんはいてるし丁稚はいてるし。
なあ男手がおますわいな。
そやけどあのもみじさん。
あのもみじさんはなあのもみじさんはたった一人で出てきはってんで広島から。
なあ?新町で芸者してたところを旦さんに見初められて堀江に一軒持たしてもうた上で広島からお母さん呼び寄せましたわな。
おなごしと3人で暮らしてた頃はよろしいけどついこないだそのお母はんが亡くなったばっかりだっしゃないかいな!」。
「お前えらい事情に詳しないか?めっちゃ詳しいやんお前。
何でそんな詳しいねん?」。
「私は何でも知ってますのよ。
誰ぞに提灯持たせ…。
いや!いやえらい事したわ!」。
「どないしたん?」。
「今日のところはもう全員寝かしつけてしもて提灯持たせるような人間がいませんのよ。
どないしよ?いや〜定吉も寝てしもたしな。
亀吉も梅吉も手伝の熊はんもおらへんわ」。
「えらい困ったな」。
「何やったらわたいが提灯持って行きまひょか?」。
「やめて。
あかんあかんそれだけは。
あっそうやそうや。
あの飯炊きの権助がなまだゴソゴソっと台所で何かゴソゴソっとしとったさかいなあいつ連れていくわ」。
「まあそらよろしいわ。
権助やったらな堀江のお供に何べんもついていってますよってにな」。
「そんな事まで知ってんの?怖いわほんまに。
おいおい!権助!はいはい!はい権助や!」。
「はいはい。
あ〜はいはい。
あ〜旦さんに御寮さんお二人おそろいでえらい仲のええ事で」。
「いらん事言わいでええねんお前は。
ちょっとついてきてほしい所があんねや」。
「へい。
どちらまで?」。
「堀江や」。
「ほ…堀江!堀江!旦さんあんた何を言いだすだ!御寮さんの前で何を言いだすだ!御寮さん御寮さん!わしゃ何にも知りゃあせんで。
何にも知りゃあせんで。
旦さんが囲うてなさる堀江のおなごのもみじさんの事なんてわしゃ何にも知りゃあせんで!」。
「お前全部言うてしもてるがな。
嫁さんに言うたん全部お前と違うか?もうええねや」。
「えっ!構しまへんので?」。
「もうええのよ。
嫁さんも全部知っとんねん」。
「あさようで。
あら御寮さんもにこにこ笑うて。
エヘヘヘヘ…。
旦さんあんた幸せ者じゃね。
こんなええ嫁さんで」。
「いらん事言わいでええねんお前はほんまに。
提灯に火ぃ入れて。
火ぃ入れた?入れた?よっしゃよっしゃ。
ほな行かしてもらうさかいな」。
「あの…旦さん」。
「うん?どないした?」。
「今夜のところは旦さん向こうにお貸ししますけどもお早うお帰り。
チュッ!」。
「はい。
すぐ帰るからね」。
「クククク…フフフフフッフッフッフアッハッハッハハッハッハッハ…」。
「旦さんあんた笑たら気持ち悪いね」。
「気持ち悪いとはどうやお前。
ええ?いやしかしうちのやつわしの事ほれてると思わへんか?」。
「あんためでたい男じゃね本当に。
ええ?あんなええ嫁さんがありながら堀江のおなごを囲うとるという旦さんの気が知れませんけどな」。
「それはそれこれはこれやないか。
あのもみじはもみじで気立ての優しいええおなごやで」。
「ほんまじゃね。
旦さん一流御寮さん一流妾も一流。
合わせて三流」。
「三流とはどうや!」。
「ほ〜れ堀江に着きましたで。
これ!旦さんのお越しやでな!これ!開けなされ!」。
「はいはいはい!ちょっと待ってつかあさい!ちょっと待ってつかあさい!ちょっと待ってつかあさい!」。
ガラガラガラガラ…。
「いや旦さんどうしたんなら!?上がってつかあさい。
上がってつかあさい。
どげんしよったの?どげんしよったの?」。
「今日はな風が強いからお前が不安がってへんかなと思て心配なって来させてもうたんやないかい」。
「旦さんほんまね?それほんまね?いや〜ん旦さん!ぶち好きじゃけ!」。
「ああ…う〜ん。
これこれこれこれ!ちょっともみじもみじ離れんかいな離れんかいな。
かわいいで。
フフフフ!今日はえらい風が強いけどもな火の用心は皆大丈夫やろな?」。
「ええ。
そらもう旦さんにいつも言われちょりますけん火の用心だけは気ぃ付けちょります」。
「ほんまかいな。
それはなかなか感心やな」。
「旦さんうち偉かったかいね?」。
「うん?うん偉かったで」。
「ほんまに偉かったぁ?」。
「うん。
偉かった偉かった」。
「じゃあうち旦さんに頼みてゃあ事があるけん」。
「何や?あっ分かった!またお前の事やから新しい反物買うてくれとかかんざし買うてくれてな事言うねやろ」。
「…旦さんうちの事そがあな女じゃと思うちょるんね!?そがあな物欲しげな女じゃと思うちょるんね!?」。
「いや…うそやうそやうそや。
うそやて。
何が望みや?」。
「笑うちゃいけんよ」。
「笑わへん。
言うてみ」。
「ほんまに笑うちゃいけんよ」。
「笑わへんて。
言うてみ」。
「うちの事『偉かった偉かった』言うて頭なでなでしてほしいんよ!うわ〜言うてしもた〜!」。
「かわいい!偉かった偉かった」。
「旦さん旦さん」。
「偉かった偉かった」。
「旦さん旦さん」。
「偉かった偉かった」。
「旦さん旦さん」。
「旦那さんもう帰らさしてもうてよろしいですかね?アホらしゅうて見てられんのよ」。
「権助どん何よもう!気の下がるような事言わんといて!今日はゆっくりしてってつかあさいね。
でもこんな遅くに来ちゃってから奥様怒っとぉてない?」。
「それや。
お前ちょっとこの話落ち着いて聞きや。
実はなうちの嫁さんなお前をここに囲てる事前から知ってたんやて」。
「ああほうじゃろうね」。
「ほうじゃろうねってお前これびっくりせえへんのかい!?」。
「いつの頃じゃったかいね?奥様の使いいいよる人がうちに来た事があったけん」。
「えっ!?どない言うとった?」。
「『いつもうちのがお世話になっちょります』ちゅうて。
『これはほんの気持ちじゃ』言うて奥様の着けてた帯と着物をもらいよったんよ。
今着けとるのがその時もろうた帯じゃけん。
旦さんに言おうと思ったけどその使いいいよる人が旦さんにはくれぐれも内緒じゃって言いよったけんね今までずっと黙っとったんよ。
ごめんなさいね」。
「あそう。
それはええねんけどな実はなうちの嫁さん今日ここへわしが来てる事知っとんねん。
というよりもうちの嫁さんが『行け』言いよったんや」。
「えっ奥様が?」。
「うん。
今日は風が吹いてるから不安がってるやろ言うて。
優しいとこあると思わへんか?」。
「ほうね。
奥様がそんな事言うちゃったんね。
旦さん今すぐうちへ帰りんちゃい!」。
「えっ何で?」。
「どうもこうもなりゃせんよ!そんな言葉真に受けてうかうか来てからにあんた何しよんね!?頭ば冷やしんさいや!」。
「俺今何を怒られてんねん?意味が分からへん」。
「そうかて考えてみんちゃい。
今頃船場で奥様一人じゃけえさみしいさみしいいうて泣きよるに違いないよ。
そげな奥様一人ほったらかししてうちが旦さん独り占めしとったら罰が当たるけえ。
ここにいてほしいんけどはよ…はよ帰ってつかあさいや」。
「そやけどなうちの嫁さんが『行け』言うてんねんからええんと違うんかいな?」。
「かばちたれよる場合ね!?そら私もね旦さんがここに泊まってくれたらうれしい思いよるよ。
でもそれではあまりにも申し訳ないけえはよ帰ってつかあさい!」。
「分かった分かった。
もう分かった分かった。
権助提灯に火ぃ入れて。
もうええから入れえ入れえ!ほな失礼するさかいにな」。
「あ〜もう旦さん!」。
「何?」。
「今日のところは旦さん向こうに返すけどもまた来てつかあさいね!うちほんまにさみしいけん!」。
「分かった。
また来る…」。
「権助!」。
「へい。
何じゃいね?」。
「かわいいで」。
「そらどうもおおきに。
何でわしがかわいいの?」。
「みんなから愛されてるやん!めっちゃみんなから愛されてるやん!世界中の皆に伝えたいこの幸せを。
ほんまにもう。
あっ着いた。
おい今戻った」。
「まあえらいお早いお帰りでしたな。
堀江お留守でしたか?」。
「いやいや実はな…」。
「はあはあ。
ふん。
へえ〜。
そんな事言わはんの。
へえ〜。
えらいしおらしい事言う子でんな。
そうですか。
オホホホホ…。
旦さんもう一遍向こう行ってきなはれ」。
「あのさ俺反復横跳びやってんねやないねんから。
行ったり来たりばっかりすんの嫌やがな」。
「そんな事言わんともう一遍向こう行っておくれやす。
ここで私がそうですか言うてあんたをここに泊めさせたら向こうに対して示しがつきまへん。
そうでっしゃろ?旦さんあんたな女心いうもんが分かってはらしまへんで」。
「ほうかい?」。
「そうでんがな。
あの子も私に気ぃ遣てそんな事言うてくれてんねやと思いますの。
何でもそうだっせ。
1遍言われたらとりあえずは断っといて2遍目に言われてようよう受け入れる。
そういうもんと違いますか?よそからお座布を勧められた時も一遍は断るのよ。
会食で先に箸をつけとくんなはれ言われた時も一遍は断るの。
焼香の順番が早い時なんかも一遍は断るのよ」。
「わしと焼香とを一緒にせんといてくれるか?」。
「とにかく私がこない言うてんねんからもう一遍向こう行っときなはれ。
またあの子にはな一遍うちに遊びに来るよう言うとくんなはれな。
はい権助!権助!提灯に火ぃ入れて。
はよ火ぃ入れんかいな!行ってきなはれ!」。
「また戻ってきちゃってから!旦さんどうしたんなら!?」。
「いや実はな…」。
「はあはあ。
はあ!まあ奥様がそげな事を!?一遍遊びに来ちゃれと言うちゃった!?ハハハハそうね!旦さん今すぐ向こうへ戻りないや!」。
「何なの?一体何なの?」。
「ほうかて悔しいじゃない!今話聞いとったら『今晩だけ旦さんあんたに貸しちゃるわ』って自分のもんみたいに言いよるんやね。
『一遍遊びに来んちゃい』。
これは言うたらねこんなは挨拶の念が足らん。
仁義だけはきっちり切っちゃりやっちゅう事じゃろ!うわ〜悔しいわ〜!旦さん奥様はね私の事を田舎の女じゃと思うちょるんよ。
芋じゃ思うちょるんよ。
でもね芋には芋の意地っちゅうものがあるけん!あ〜身体からこの心取り出してくれるならあなたにも見せたいのこの胸の想いを」。
「お前テレサ・テンか。
そんな大層な話やないねん」。
「とにかく!今晩は旦さんを泊めさせた方が負けじゃいう事ですけん。
向こうへ帰ってつかあさい。
旦さんうちらのほれたはれたはね玉の取り合いじゃけえ負ける時は命を落とす時じゃ思うとってつかあさいや。
権助どん!提灯に火ぃ入れ!早う火ぃ入れないや!」。
「すんまへんあねさ〜ん」。
「また戻ってきた!おきよ道具出し!ドスの用意や!」。
「権助提灯や!」。
「また戻ってきちゃってから!おもよ道具出し!チャカやチャカや!はじいちゃる!」。
「あ〜もうあかんもうあかん。
わし今晩寝られへんのと違うか?ほんまにもう。
権助提灯や!」。
「旦さんもう大丈夫でございます」。
「何がいな?」。
「今ちょうどほれハハハハ…夜が明けた」。
(拍手)桂春蝶さんの「権助提灯」でございました。
どうでした?春蝶さんすごいフレッシュでしたね。
もうフレッシュだけの男ですわ。
すばらしい男です。
この「権助提灯」実は東京落語を彼が輸入した話なんですよ。
そうなんですか。
へえ〜。
東京と上方って微妙に違うじゃないですか。
上方の特徴なのかな?途中で鳴り物というかお囃子入るでしょ。
あれが大好きなんですよ。
あれはめものといいましてね大体大阪の落語っていうのは屋外で発生しましたんで神社の境内とかやかましい所でやるんですわ。
「こっちでやれ!やかましぃやれ!ワーワー!」と「こっちやってるで」っていう感じで始まったんが今つながってるんですよ。
でも今非常にいい質問されました。
このあと出てくる林家小染さんの「遊山船」という話がそのはめものが入ってる話なんですよ。
楽しみですね。
グッドチョイスでした。
それでは林家小染さんの「遊山船」です。
(拍手)
(拍手)え〜ありがとうございます。
休憩のおあとの方もたっぷりとお楽しみ頂きたいと思います。
たくさんのご来場でございまして。
また昨今ねあまり明るいニュースというのはございませんけども見てますと去年ちょっとええ事がございましてね富士山が世界遺産に登録された。
日本の象徴日本一の山でございますからそれが世界に認められたという事でございましてめでたいですな。
それともう一つええ事決まりましたな。
2020年に東京オリンピックが開催されます。
前の昭和39年のオリンピックの時は私は1歳でございましたけどもそやからほとんど記憶はしておりません。
再放送では見させて頂きましたが。
まあ一生のうちで2回も同じ都市で開催されるオリンピックを見る事ができるというのは幸せな事でございますわ。
今日ご来場のお客様方は前回のオリンピックの方も克明にご記憶なさってる方が大半やと思いますけれども私は1歳でございまして再放送では見ましたけどね。
ですから次の2020年オリンピック楽しみに見ましょうね。
(笑い)いや…いや違いますやん。
何もおかしい事言うてへんやん。
6年後です。
何なんですか?その中途半端な笑い声は。
6年後「見んねん!」という意識を持って頂きまして元気でおって見て頂きましょう。
「見んねん!生きんねん!」という気持ちになって頂きますと体の方も元気になりまんのやて。
そやから大丈夫です。
6年後見れまっせ。
私も見させて頂きたいですな。
夏のスポーツの祭典でございますけどもまあ今はね楽しみ事というのはたくさんございますけども昔は夏場の楽しみと申しましてもそないなかった。
お祭りかそれともまた夕涼みと決まってたそうでございますな。
夕涼み。
川の風に当たって涼もうかというようなね。
京都の方では鴨川の床大阪では大川の夕涼みと申しまして難波橋辺りでは人がにぎおうてたそうでございますな。
我々同様という喜六清八の2人が夕涼みに出かけようというので夕方から行水の一つも使いまして浴衣がけ。
ぶらっと難波橋へやって参りますと大勢の人出が出ておりましてまた橋の下をば遊行遊山の船。
そのまた陽気なこと!
(はめもの)「そら割った割った割った割った!かち割りやかち割りや!かち割りやで〜!」。
「新田西瓜や!種まで赤いで。
赤うなかったら銭は要らんで!」。
「烏丸本家枇杷葉糖!」。
「玉屋揚げてや!」。
シュルルル〜バ〜ン!「おいおい!清やん清やん!なんとまあ賑やかだな」。
「ほんに賑やかやな。
橋の上でも賑やかやけどおいちょっとお前橋の下のぞいてみい。
昼間みたいに明るいで」。
「へっ?」。
「橋の下のぞいてみい言うねん。
昼間みたいに明るいねん」。
「よっこらしょっと。
あっほんにほんに!うわ〜明るいなおい。
せやけど今日は何や知らんけど川上の方からぎょうさん家が流れてきてるな」。
「家と言うやつがあるかいな。
違うがな。
あれは船や」。
「えっ!あれ船か?船?せやけどあれほれ見てみいな。
家みたいな形してるで。
屋根がついてあって障子がはまってあって手すりまでついてるな」。
「あ〜あの船か。
あれはな大屋形や」。
「はい?」。
「大屋形」。
「お前がいつも銭借りに行くとこ?」。
「いやそら親方やがな。
違うがな。
大きな屋形船で大屋形というねん」。
「ああ大きな屋形船で大屋形っちゅうの。
ほな向こうの小さいのは小屋形か?」。
「小屋形と言うやつがあるかいな。
あれは通い船というてなもう一つ小さいのが茶船というて茶を売りに行く船や」。
「はあ〜そうか。
ほんでお前こないしてぎょうさん船が出て船頭が寄り合いしてんのか?」。
「お前何で川の真ん中で寄り合いせなあかんねん。
違うがな。
あれも我々と一緒や。
夕涼みに来てんねん」。
「えっ!あれも夕涼みか。
へえ〜せやけどもな涼むねやったら障子閉めきっとかんと開けた方が風が通るやないかい」。
「ああいう粋な遊びをする人は世間に顔がさすさかいに今は障子閉めてはるけどもここらまで来たらなもうぼちぼち開けだしはんで」。
「あそうか。
あっほんに開けよった開けよった。
うわ〜!おいおい清やん!お前の言うた大屋形ちゅうのんな提灯がぎょうさんつってあってきれいな船やなおい。
おい清やんあの船の中な何やぎょうさんおなごが乗ってるけどあれは一体何者や?」。
「何者やってくせ者みたいに言いないな。
あれはお前出てる子や」。
「へ?」。
「出てる子」。
「いや船の中へ入ってんで」。
「違うがな。
褄取る子やというねん」。
「いや何も取ってへん」。
「どない言うたら分かんねん。
あら皆芸衆や」。
「あっげいしゅうか!何や初めからそう言うたらすぐ分かんねやがな」。
「ちょっと待ちいなお前。
出てる子や褄取る子が分からんのに芸衆が分かるか?」。
「分かるわな。
広島の女やろ?」。
「いや違うがな!あれ皆芸者や」。
「ええ?芸者?芸者?芸者の事を何で芸衆ちゅうの?」。
「あのな大坂の粋言葉洒落言葉というてな芸者はんとか芸者とか言うたんではモッチャリしてるやろ。
せやさかいにちょっと縮めて下に衆の字をつけて言うたらものが粋に聞こえてくんねやな。
せやさかいに芸衆や」。
「なるほどな。
大坂の粋言葉洒落言葉ちゅうの。
へえ〜おもろいもんやな。
ふ〜ん芸衆。
ほなお前あの芸衆の横に座ってる小さい女の子あれは芸衆の娘か?」。
「お前何で芸者が娘連れてんねや。
違うがな。
あらお前舞子や」。
「へえ?」。
「舞子」。
「かわいそうにな。
今頃親心配してんで」。
「お前何を言うてんねん」。
「迷子やろ?」。
「迷子とちゃうがな。
舞子や舞子!」。
「舞子って何や?」。
「舞を舞う子で舞子や」。
「あっ!舞を舞う子で舞子か。
そうか。
ほなあの子今じっとしてるから舞わん子か」。
「舞わん子言うやつがあるか。
違うがな。
じっとしてても舞子は舞子や」。
「なるほどな。
ほな舞衆てなもんか」。
「そういうこっちゃな」。
「なるほど。
なかなかおもろいなその粋言葉ちゅうのんな。
おい!おいおい!見てみいな。
たすき掛けたおなごがあっちこっちうろうろ忙しそうに働いとる。
あれは何や?」。
「あああれは仲居やな」。
「仲居か。
そうか。
ほな仲衆てなもんか。
だんだんおもろなってきよったな。
おい!あのなこのクソ暑いのに羽織着て扇子で頭ペンペンたたいとるのあれは一体何や?」。
「あああれは太鼓持ちやな。
男芸者ともいうな」。
「なるほどほな太鼓持ちやさかい太衆てなもんか。
こらおもろいな。
粋言葉。
おっ!おいちょっと見てみいな。
えらい行儀の悪いやつが1人乗ってるな」。
「どこに?」。
「どこにってほれ見てみいな。
鍋の蓋開けてな汁吸うたり物食うたりしとんで。
行儀悪いなあいつ」。
「何を言うてんねやお前。
あれがこの船の板場やん」。
「あいつか!風呂屋で物盗る…」。
「それは板場稼ぎや。
違うがな。
料理人料理人」。
「えっ料理人を板場っちゅうの?あそうか。
せやけど何で汁吸うたり物食うたりしてんねん?」。
「あれは味見やな。
ほんでな味が決まったと思たら客に出すねやな」。
「なるほど。
ええ商売やな。
飲んだり食うたりさしてもうてな。
おいわいなさっきから気になってんねんけどな真ん中で一人ほれ偉そうに何や知らんけどジョラ組んで座っとんの。
あれは一体何者や?」。
「何者やってお前分からんかいな。
あれがこの船の『キャ』や」。
「キャ!?キャ!?ちょっと『キャ』て何や?」。
「客の事を『キャ』いうねん」。
「え〜?それ何やねん?」。
「これも大坂の粋言葉洒落言葉。
お客さんとか客とか言うてたんではモッチャリしてるさかいにな『キャ』とこう縮めて言うねやな」。
「へえ〜お前粋言葉ておもろいけど難しいな。
客の事を『キャ』言うねやったらいっその事皆一緒にしたらええがな。
芸者は『ゲェ』とこない言うたらええねやろ?違うか?お前。
ほんで舞子が『マァ』で仲居が『ナァ』や板場が『イィ』で太鼓持ちが『タァ』や。
ほんでこの人が『ア』でお前が『ホ』や」。
「『アホ』を分けな!いらん事を言いないな。
そんな事言うたら怒られんで。
しょうもない事言うたらあかんがな」。
「ほうそうか。
ほなあないしてこうじっと涼んでんの?」。
「お前な何を考えてんねや。
板場が乗ってんねん板場が。
板場のこしらえたうまいもんをアテに一杯飲みながら夕涼みをすんねん」。
「なんとぜいたくやなおい!わいらこの橋の上で飲まず食わずの立ったままやで。
上等の酒も飲みよんのか。
あそうか。
ぜいたくだな。
あんな遊びしようと思たらだいぶとかかるな」。
「そやな。
わしの見たところでは1本はかかってるな」。
「ラムネが?」。
「何でやねんな。
100円はかかる言うてんねん」。
「100円もかかんの!?あの遊び!?へえ〜!ぜいたくな遊びやな。
せやけどあんだけの人数やで。
割り前も高いな」。
「お前何の話をしとるねん。
何のために芸者や舞子が割り前払わなあかんねん。
あれはお前1晩100円キャが一人でポンと払いよんねん」。
「えっ!?1晩100円をあのキャが一人で払いよんの!?ぜいたくな嫌なやつやなあいつ。
腹立つわ。
何考えとんねん!あのなうちらな嬶と2人暮らしやで。
100円で塩買うてみいな。
何年ねぶれる!?」。
「アホな話してんねやあれへん。
お前と一緒になれへんがな」。
「あっ!おい見てみ清やん。
運んできよった。
運んできよった。
料理や料理や!うわ〜!おい仲衆が持ってるあれ何や?大きなお椀」。
「いやお椀やないがな。
あれは大平というもんやな」。
「大平ちゅうの。
へえ〜。
ほんであの中何が入ってる?」。
「そんなもんは蓋取らな分かれへん」。
「ああそうか。
蓋取らなそら分からんな。
おい!仲衆!はよ蓋取れ!」。
「いらん事言いなお前は!かっこの悪いやっちゃな!大きな声出しないな!」。
「いやそない言うけど中に何が入ってるか見たいがな。
あっ!蓋取ったらな何や黄色い塊があってな横に赤いのが添えたぁるけどあれは何やな?」。
「あれはな卵の巻き焼きに紅ショウガが添えてあるな」。
「卵の巻き焼き!わい大好きやねや。
嬶に頼んでな弁当には必ず巻き焼き入れてもらうのや」。
「お前の嬶のこしらえる巻き焼きとあの巻き焼き一緒にしたったら板場が泣きよんで。
あれはな板場が腕によりをかけてこしらえた上等のだし巻きや」。
「だし巻き!へえ〜!さぞうまいんやろな」。
「そらうまいわい」。
「そうか。
うまいやろな。
食いたいなだし巻きか。
ほんで誰から食う?」。
「まあ大体キャから食うやろな」。
「あそうか。
キャから食いよるか。
おっ!ほんに仲衆がてしょうによそいよった。
てしょうによそうてな横にほれ紅ショウガも添えてキャの前に持っていきよった。
うわ〜ほれ見ててみや。
清やん今からなあのキャがな巻き焼き食いよんねん。
ほれ見ててみや。
あのキャがな巻き焼きを食うで。
巻き焼きをな食いよんねん。
ハハッ!巻き焼きを食うで!巻き焼き食う!あ〜っと!ショウガ食いよった。
いや何してんねん!巻き焼き食わなあかんがな!巻き焼きや言うてんのにな!巻き焼きだし巻き食わな…。
あ〜っとまたショウガや。
巻き焼き食え言うてるやろ!わあ〜!まだショウガ食うとる。
おい清やん!あいつはなショウガばっかり食うとんで!」。
「ほっといたりぃなそんなもん。
何から食おうと客の勝手やん」。
「そうかてあんなもんはよ食わなあかんがな。
おいキャ!巻き焼きを食え!巻き焼きを!ショウガばっかり食うてんと熱いうち食わな冷めてしまうぞ!屁ぇ臭うて食われへんようになってしまうぞ!巻き焼きを食え言うてんのになおい!うわっとまだショウガ食うとるな!お前巻き焼き嫌いか!?わいにくれ!」。
「手ぇ出すなお前は!かっこ悪いやっちゃな。
何を言うてんねやお前最前から」。
「わっ!わっ!また何か運んできよったな。
あれ何や?皿の上に載ってんのは」。
「あああれか。
あれはなうなぎの蒲焼きや」。
「うなぎ!わいあれも大好きやねん!」。
「えっちょっと待ちや。
お前うなぎなんか食うた事あるか?」。
「あああるがな。
夏場は精がついてええいうてな嬶がな2日に一遍食わしてくれんねん」。
「ええっ!?お前とこぜいたくしてんねやな。
うなぎを2日に一遍?」。
「食うてるがな。
あれあれあれ?ちょっと待ってや。
わいの食うてるうなぎとあのうなぎだいぶちゃうな」。
「だいぶ違うてどない違う?」。
「あのなあのうなぎ皿の上に長いけどなわいの食うてんのこんな短いで」。
「道理でおかしいと思た。
お前の食うてんのそらうなぎの半助やろ」。
「いやいや源助で買うねん」。
「いや店の名前やないねん。
違うがな。
お前の食うてるのはうなぎの頭や言うてんねん」。
「えっ!うなぎて胴のあるもんか!?」。
「当たり前やがなお前は。
胴がうまいねやないか!お前の食うてるのは半助というてそれ頭と尻尾の先っぽ。
ほかすとこやそんなもんは。
要らんとこや。
ゴミや。
クズや」。
「そんなボロクソに言わんでもええがな!嬶があれうなぎや言うからわい信じ込んでた。
あれうなぎちゃうの?半助?へえ〜。
あのキャがなうまいとこ食うて何でわしがほかすとこの半助や…」。
(泣き声)「清やん」。
「泣いてるなお前!どないしてん?」。
「わいも死ぬまでに一遍でええからうなぎの胴に巡り合いたい」。
「情けない事言いなお前は!かっこ悪いやっちゃなお前は」。
「わあ〜!また何か運んできよった〜!」。
「お前暑ないか?お前夕涼みに出てきて汗ボトボトにかいてるやないかい。
ええ?暑いやろがな」。
「あれ何や?皿の上に載ってあるがな。
黒うて丸い棒」。
「お前が言うたら食えるもんでも食えへんように聞こえてくるわ。
あああれは巻きずしや」。
「巻きずしわいあれも大好きや」。
「お前何でも好きやな」。
「せやけどちょっと待ちや。
あの巻きずし長いままや。
長いまま。
ほれ見てみいな。
あれ切って出した方がええんと違うか?」。
「そんな事お前が気ぃ遣う事はない。
わざわざ長いまま持ってきてんねやな。
舞衆がな酒を飲めんもんやさかいああいうもん出してもうて食うねやけどもな長いまま食うたら食いにくいやろ。
切ったらなんぼでも食えるやないかいな。
おちょぼ口で難儀をしながら食べよるのを見てそれをアテにしてキャが一杯飲むねん」。
「えっ!あいつそんな悪い事考えとんの!?人が苦しむのを見てそれを楽しんで一杯飲むの?嫌らしいやっちゃなあいつ!おいこらキャ!食わすねやったらもうちょっと気持ちよう食わしたれ!お前みたいなやつがおるからなこの国は一つもようならんのじゃ!」。
「お前何の話をしてんねや」。
「舞衆舞衆お前もいかんぞ。
そんな食い方ではいかん。
上等の浅草のりで巻いてあんねやさかいなガブッとかぶったかてお前らの口ではかみ切れん。
あかんて。
食い方があんねん。
お前らではかみ切れ…。
あ〜っと高野豆腐飛んで出たわ。
ほんまにもう。
いや違う。
食い方があんねや。
ああ〜もう!かんぴょうぶら下がってるわ。
食い方汚いな〜もう!あのなおっちゃんが教えたる。
こっち見てみ。
あのな浅草のりは初めはなよう舌でねずぶっとくねや。
こう舌でねずって軟らこうしてパクッといったら…。
こうしてなよう舌で…。
ペッペッペッ!おい清やんこの巻きずしえらい砂や!」。
「お前席駄口入れて何をしてんねやな!」。
わいわい言うておりますと川上の方からやって参りましたのはどこぞの稽古屋の船と見えまして皆そろいの碇の模様の浴衣を着込みまして三味線太鼓でそのまた賑やかなこと!
(はめもの)「おっ!おい見てみいな喜公。
粋な船が来よったで。
どこぞの稽古屋の船や。
そろいの碇の模様の浴衣着込んで賑やかにはやしたててきよった。
ほかに船はあるけどもな同じ褒めんねやったらあんな船褒めん事には値打ちないで。
ええか?褒めたるさかいな。
ようよう!さってもきれいな碇の模様!」。
「風が吹いても流れんように」。
「ふえ〜い!なんとまあ喜公粋な事を言いよったな。
こっちが『さってもきれいな碇の模様』言うたら『風が吹いても流れんように』やて。
粋な返しをしてくれるもんやな。
やっぱり稽古事の一つしようというおなごはほかのおなごとは違うわな。
あっせや喜公お前とこ嬶いてたな」。
「ああいてるよ」。
「あれ確かおなごやな」。
「当たり前やがな!男の嬶もうてどないすんねん。
あれでもおなごじゃ」。
「ああそうやな。
お前とこの嬶はあんな粋な事よう言わんやろな」。
「何言うてんねんな!腹立つな!わいの事言われても構へんけど嬶の事をボロクソ言われたら腹立つやないか!ええ加減にせえよ!うちの嬶かてなあのぐらいの事言えるわい!うちの嬶な近所でもしゃべりで通ってぁんのやぞ。
ほな先に去ぬでな言わしてきたるわ。
さいなら!ほんまに腹立つな!『お前とこの嬶はあんな粋な事よう言わんやろ』てあんな事言いやがんねや。
うちの嬶かてなあのぐらいの事言いよるわいほんま。
おい嬶今帰ったで」。
「あんたどこ行ってやったん?」。
「あのな清やんと2人で難波橋へ夕涼みへ行ったらなえらいきれいな船がぎょうさん出てんねやがな。
ほんでな中でもどこぞの稽古屋の船と見えてな皆そろいの碇の模様の浴衣着込みよって三味線や太鼓で賑やかに来よった。
清やんがな『同じ褒めんねやったらああいう船を褒めん事には値打ちないで』言うてな『ようよう!さってもきれいな碇の模様』言うたらな中のおなごがな『風が吹いても流れんように』やて。
えらい粋な返しをしよってな。
ほんでな『やっぱり稽古事の一つしようというおなごはほかのおなごと違うな』言うて。
それでな清やんの言う事が腹立つやないかい!『喜公お前んとこ嬶おったな。
あれおなごやったな』とこんな失礼な事を言いやがんねん。
『お前とこの嬶あんな粋な事よう言わんやろ』。
お前のために言うたったで。
『あれでもおなごじゃ』」。
「何を考えてんの!」。
「ほんでなお前言えるやろ?あのぐらいの事。
お前近所でもしゃべりで通ってぁんのやさかいにな」。
「何言うてまんねん。
そんなしょうもない事ぐらいやったらわてらなお尻の穴で言うたるわ」。
「ええっ!?お前尻の穴で言えるの?せやけどほんまに尻では言わんといてや。
やっぱり口で言うてや。
頼むさかいな。
うん。
ほんでな2〜3年前に町内でこしらえた浴衣あれ確か碇の模様やさかいになあれお前着い。
なあ?」。
「ちょっと待ちて。
あんなもん汚うて着られへんさかい押し入れのスマクダへ丸めて放り込んだぁるわ」。
「いや何でもええねや。
着い言うたら着たらええねん。
ほんでなお前船に乗れ。
わい橋の上から褒めるさかい」。
「ちょっと待ちてあんた。
この家のどこに船があんの?」。
「えっ船?あっほんまや。
船がないがな船が。
あっほなな中庭に置いたぁる行水の湯を皆抜いてしまえ。
ほいであそこへ浴衣着て入れ。
わいな天窓から褒めるさかい。
ほなちょうど橋の上から船褒めてるようになるさかいな。
頼むで!しっかり言うてや!ほんまに腹立つな。
うちの嬶かてあのぐらいの事言いよるわいちゅうねやな。
よっこらしょっと。
おっやっとるやっとる。
え〜やっとんな!おい嬶!嬶!ええ声で頼むで!」。
「もうはよしいて。
こんなもん着せやがって。
暑苦しい」。
「暑苦しいやないがな。
いくで。
なあ。
ええ声で言うてや。
同じセリフやさかい頼むで!ええか?いくで!ようよう!さってもき…さってもきき…汚〜っ!あの浴衣ネズミの小便の跡だらけや。
汚いわ!ここまで来てやめられへんがなほんまにもう!よう!さっても汚い碇の模様!」と言いますと嫁はんの方も粋なもんで「質に置いても流れんように」。
(拍手)今日一日お聞き頂きまして落語の魅力というのは改めてどう思います?そうですね。
こんなに大きなホールで見たの初めてなんですけれどやっぱりたくさんの人と同じ場所で笑うのはやっぱり楽しいですね一番ね。
みんなと一緒に笑うというのが落語のだいご味という事でございますね。
今日はありがとうございました。
ありがとうございます。
それでは「上方落語の会」またお目にかかります。
さよなら。
2014/11/28(金) 15:15〜16:00
NHK総合1・神戸
上方落語の会・選「権助提灯(ぢょうちん)」桂春蝶、「遊山船」林家小染[字]
▽「権助提灯」桂 春蝶、「遊山船」林家小染▽NHK上方落語の会(26年6月5日)から▽ゲスト:飯星景子(作家)、ご案内:小佐田定雄(落語作家)
詳細情報
番組内容
NHK上方落語の会から桂春蝶の「権助提灯」と林家小染の「遊山船」をゲストの飯星景子とお送りする。▽権助提灯:大家の主人がめかけをかこっている。本妻もめかけも互いに相手をたてていて、ある夜、主人がめかけ宅から帰ると本妻が「今夜は不用心だからめかけさんの家に行っておやりなさい」と言うが…。▽遊山船:二人連れが花火見物に出掛け、屋形船での遊びを見ていると全員がいかりの模様の浴衣を来た連中がやってきて…。
出演者
【出演】桂春蝶、林家小染【ゲスト】飯星景子【案内】小佐田定雄
キーワード1
落語
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劇場/公演 – 落語・演芸
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
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