おはようございます。
週刊ニュース深読みです。
長野県北部で、震度6弱の激しい揺れを観測した地震から、1週間がたちました。
この地震では、46人がけがをして、建物の被害も多く出ました。
私は被害の大きかったこちら、長野県の白馬村を取材してきました。
長野市から車でおよそ1時間、白馬村にやって来ました。
これから特に被害の大きかった、堀之内地区に向かいます。
取材に向かったのは、地震から4日後の、今週水曜日。
堀之内地区に入ってまもなく目に飛び込んできたのは。
青い屋根の建物ですね。
あれ、倒れてますね。
あっ、さらにその奥、赤い屋根の家も、これ、屋根がもう地面に着くような状態になっています。
1階部分が見えません。
地震があったのは今月22日、夜遅く、激しい揺れが襲いました。
揺れの強かった地域の皆さん、どうぞ落ち着いて行動をしてください。
床一面に物が散乱し、窓ガラスも粉々に。
翌朝、被害の大きさが明らかになりました。
潰れた家屋。
土砂崩れも各地で起きて、道路や鉄道にも被害が出ました。
長野県では、けが人が46人、住宅の被害は全壊が33棟、半壊が62棟に上りました。
私たちが取材したのは、白馬村の堀之内地区。
車を降りて歩いてみました。
あっ、ここ、これ路面が割れて、盛り上がってしまってますね。
もうアスファルトが剥がれています。
そしてその先、これ、マンホールですね。
持ち上がってしまったんでしょうか。
こんなふうにむき出しになっています。
ここ、お墓があったんですけれども、もう完全にこれ、崩れて、墓石もめちゃくちゃになっていますね。
あっ、お墓。
堀之内公民館と、書かれた建物なんですが、この建物、今ちょっと分かりにくいかもしれませんが、この画面の奥の方向に向かって傾いています。
もうめちゃくちゃです、これ。
そのほかにも石碑が倒れていたり、土のグラウンドに、私の手が入るぐらいの大きな亀裂が入ったりしている場所もありました。
この地区に大きな被害が出ていました。
震度6弱ってすごいんですね。
こちらのお宅、見てください。
2階部分、縦に大きな亀裂が入ってしまっています。
地震当時、この家にいた方に話を聞くことができました。
津滝篤志さんです。
津滝さんは、家族5人で過ごしていたときに、揺れに襲われたといいます。
揺れが収まったとき、2階にいた津滝さん。
停電で暗闇になった中を、手探りで逃げたといいます。
夜でしたもんね。
家族を助けるなどして、ようやく外に出られたのは、地震のおよそ10分後。
しかし、ほっとしたのもつかの間でした。
同じ地区のお年寄りの女性が、倒れた家の下敷きになっていると聞いたのです。
そこに向かうと。
あっ、こちらですね。
これもう、1階部分が、完全にこう、下に潰れてしまっている。
この中に誰かいたっていうんですか。
女性が寝ていた1階の部屋の辺りから、声が聞こえていました。
住民一丸となった救出が始まりました。
この赤いものが、ひょっとして、そのジャッキですか?
そうなんです。
現場に残されていました。
こちらが救出された、津滝君和さんです。
この方も津滝さんとおっしゃるんですね。
助けを待っていたときの状況を語ってくれました。
ようやく助け出されたのは、地震のおよそ30分後だったといいます。
肩を打撲しましたが、大きなけがにつながらなかったのは、地区の人たちの、いち早い救助のおかげだと振り返ります。
助け合いで危機を乗り越えた住民たち。
しかし、生活再建の道は遠く、不安は募っています。
大変な思いをなさっているときに、よくいろいろお話くださいましたね。
そうなんですね。
被災地では今もですね、260人余りの方が避難生活を続けていらっしゃいます。
自治体は、仮設住宅を建設することにしているんですが、雪の重さに耐えられる構造の住宅にするために、完成までに1か月以上かかる見通しです。
じゃあそれまで皆さん、どうなさるんですか?
白馬村では、避難者にあすから一時的にホテルや民宿などに移ってもらうことにしているということなんですね。
きょうまでは避難所にいらっしゃったりして。
そうなんです、皆さん、被害に遭った家では、ボランティアも加わって、後片づけというのが、徐々に進んできてはいるんですけれども、心配しているのはやはり雪で、雪が降ると、その片づけも止まってしまう。
家を建て直すにも、建て直せないという状況になってしまうので、やはり時間がかかるかなと、皆さんおっしゃっていました。
本当に息の長い支援が必要だと感じました。
さあところで、皆様、4年前の感動の帰還を覚えていらっしゃるでしょうか。
日本の小惑星探査機はやぶさ。
世界で初めて、あれですよね、小惑星から微粒子を持ち帰ったのが、4年前ですよね。
そのはやぶさの後継機がこちら、はやぶさ2。
あす予定されていた打ち上げは、天候の影響で、あさって以降に延期されたんですが、打ち上げはもうすぐです。
先月、鹿児島県の種子島に姿を現した巨大コンテナ。
はやぶさ2を打ち上げるためのロケットが納められています。
種子島宇宙センターへの輸送には、深夜にもかかわらず、多くの島民や関係者が集まりました。
熱い視線が注がれるはやぶさ2の打ち上げ。
島全体が盛り上がっています。
種子島宇宙センターがある南種子町では、ホームページで住民たちの写真とともにカウントダウンを実施して、打ち上げを心待ちにしています。
かわいらしいですね。
地元の皆さんは、次々と新しい商品を開発。
ラーメン?
これ、宇宙センターに一番近い飲食店が新たに作ったラーメンです。
なぜロールパンが載っているんでしょうか?
宇宙をイメージして、あられをまぶしたスープの上に、はやぶさ2が目指す小惑星を、パンで表現しました。
無事に到着した様子も、しっかりと描かれています。
そして小野さん、焼酎も登場しました。
その名もずばりですね。
ラベルはもちろん、はやぶさ2。
これ、原料には3年前、スペースシャトルで国際宇宙ステーションに運ばれて宇宙を旅したこうじと酵母が使われています。
どんな味になっているんでしょう。
この焼酎、はやぶさ2にも必ず地球に帰ってほしいという思いが込められています。
初代はやぶさが地球に帰還したのは、4年前。
日本中が沸きましたよね。
迷子が自分で家に帰ってきたみたいな感動でしたよね。
小惑星の微粒子を収めて帰還したカプセルの一般公開。
長蛇の列が出来ました。
はやぶさは途中、何度も絶体絶命の危機に直面しました。
小惑星から離陸したあと、燃料漏れを起こし、体勢を崩して、行方不明に。
無限に広がる宇宙の中から、見つけ出すことは絶望的に思われました。
それでも、僅かなチャンスに懸けて、地球から指令を送り続けました。
1か月半後、奇跡的にはやぶさからの弱い電波をキャッチ。
探査機の姿勢と通信を回復させたんです。
当初の計画より3年遅れましたが、地球へ無事帰還。
小惑星の微粒子を持ち帰る、世界初の快挙を成し遂げました。
そして映画にもなりました。
そして今回、小惑星の探査に挑むはやぶさ2がこちらです。
これ、比較しますと、高さは初代とほぼ同じ、1メートル25センチですが、前回の教訓を生かして、さまざまな改良が加えられました。
改良?
目指すのは、小惑星1999JU3。
地球と火星の間の軌道を回っています。
前回はイトカワでしたよね。
そうですね。
水のほか、生命の源となる有機物を含んでいると見られていまして、小惑星内部の石や砂を採取し、持ち帰ることで、生命誕生の起源を探ります。
この成功の鍵を握るのが、こちら、インパクタと呼ばれる装置なんです。
インパクタ?何が、どう、どういうものなんですか?
これがですね、開発実験の様子です。
よく見ててください。
ー
え?爆破しましたよ。
火薬の力で押し出された銅の板が弾丸となって、秒速2キロという高速で飛んでいきます。
このインパクタで、表面にクレーターを作って、これまでできなかった小惑星の内部を探ると。
穴を開けて?
中の様子を探るということなんですね。
52億キロにわたる壮大な旅を始めるこのはやぶさ2。
多くの人の期待を背負った打ち上げの日は、まもなくです。
スタジオには日本科学未来館の本田隆行さんにお越しいただきました。
おはようございます。
本田さんは、来館した皆さんに、科学のことを分かりやすく解説する、科学コミュニケーターを務めていまして今回、はやぶさ2に関するさまざまなイベントを担当していらっしゃいます。
関心、高まってきましたか?
そうですね。
日がたつにつれて、じわじわと関心は高まってきています。
問い合わせで多いのはどんな内容ですか?
一番多いのは、やっぱり前回のはやぶさと何が違うんですか?という話が一番多いですね。
何が違うんですか?
そこで、こちらをご覧いただきましょう。
まず1つ目は、採取方法、先ほどのVTRにもありましたインパクタ、やはりこれが一番の今回の大目玉ですね。
インパクタで、穴を開けるっていうところまでは分かったんですけれども、そしてどうするんですか?
小惑星の表面って、太陽にあぶられているので、日焼けしているんですね。
その日焼けしている表面ではなくて、穴を開けることで、中のフレッシュなものを、まず持って帰りたいと。
はやぶさ、初代のはやぶさは、表面の微粒子を採ってきた?
そうですね。
表面の微粒子だけを採ってきた。
今度は中のフレッシュなやつとおっしゃいましたが、それを持って帰ると、何がいいことがあるんですか?
今回は、前回のイトカワと比べて、中に水や有機物という、地球上にもある物質があるのではないかと思われています。
なのでそれを持って帰って、ちゃんと調べることで、今、地球上にある生き物、生命の起源が、もしかしたら分かるかもしれないと期待されているんです。
もしかしたら分かるかもしれないということですけど、前回は帰ってこられない可能性もあったわけですよね。
そうですよね、大変でしたが。
今回は、その教訓も踏まえて、いくつか改良が重ねられています。
はやぶさ2、ここが違うというところの2つ目が、これですね。
いくつか、前回、トラブルがあった中でも、一番大きかったのが、機体の姿勢を制御するこまが中に入ってるんですけど。
こまというのは回すこま?
回すこまですね。
そのこまを使って、その反動で姿勢を制御します。
それがどんどんどんどん壊れていってしまったんですね。
ですから寿命であったり、それから数、前回よりも増やして、何かあったときのバックアップができるように、、態勢を整えています。
本田さん、なんでこんなに詳しいかっていう。
お話し上手ですよね。
実は本田さん、初代のはやぶさの開発に関わって?
研究の段階で、大学院のときに少しだけ携わっています。
へえー、じゃあ今回、思いひとしおでいらっしゃる?
もう本当に、…ですよね。
今回はちゃんと帰ってきそうですか?
帰ってきますと言いたいんですが、やっぱり今回も前回と違って、世界で初めて行うことがすごく多いので、恐らく難しい運用に迫られることもあると思います。
ただまあ、前回の教訓も踏まえて、今回も何があってもいいように、いろいろ態勢を整えているので、できるだけ、100%に近い形でミッションをクリアしてくれるんじゃないかなと期待しています。
はやぶさ2は、ちかぢか出発して、いつ目的地に着いて、いつ、地球に帰ってくるんですか?
まず旅立ちがことしの冬ですよね。
ここから長い旅路が始まります。
今から3年半ほどかけて、2018年の大体夏頃に、小惑星1999JU3に到着するという予定です。
1999JU3って、どういう名前なんですか?これ。
これ仮符号って言って、まだ仮の名前なんですけれども、見つかった年とか月とか、あとその月の何番目に見つかったっていうことが、この名前から分かるんですよね。
1999年に見つかったから1999っていう?
2018年9月頃、1999JU3に着いて、そして地球には。
そうですね。
このあと1年半観測したあと、1年かけて帰ってきて、2020年の冬ごろに帰還する予定です。
小野さん、2020年ってぴんときません?
なんでしたっけ?
夏ごろに何かあるじゃないですか。
あっ、東京オリンピック!
そうです。
ああ、じゃあ、東京オリンピックが終わって、ああ、もう終わっちゃったねって言っているころに帰ってきて、みんなを。
沸かせてくれるかもしれないと。
夏も冬も、2020年は楽しみなことがあると。
すごい。
はやぶさ2。
ここまではやぶさ2について、日本科学未来館の本田隆行さんにお話を伺いました。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
さて、衆議院選挙の公示まで、3日に迫りました。
事実上の選挙戦が本格化しています。
今週、各党の選挙公約が出そろいました。
急に決まった衆議院選挙。
今週各地で準備が急ピッチで進められました。
投票用紙の印刷作業も。
今週、各党の選挙公約が出そろいました。
自民党です。
景気回復、この道しかない。
をスローガンに掲げ、安倍政権の経済政策、アベノミクスを推進するとともに、財政健全化目標も堅持して、経済再生と財政再建を両立させるとしています。
また集団的自衛権を行使できるようにする、安全保障法制の整備の実現や、安全が確認された原子力発電所の再稼働を進めるとしています。
公明党です。
消費税率の10%への引き上げと同時に、食料品などへの軽減税率を導入するとともに、一定の所得以下の人に、現金を給付する簡素な給付措置を延長し、対象を拡大することを打ち出しています。
一方の野党。
民主党は、アベノミクスからの転換で、厚く豊かな中間層を復活させるとして、雇用の創出などで暮らしを安定させ、格差を是正するとしています。
そして子育て支援の拡充など、人への投資、農林水産業や、中小企業などへの支援策を柱にした成長戦略を打ち出しています。
維新の党は、アベノミクスでは、国民生活を守ることはできないとしたうえで、国会議員の定数と歳費をそれぞれ3割削減することや、徹底した競争政策の実行、中央集権体制から道州制への移行などを掲げています。
次世代の党は、アベノミクスの基本的な方向性は是とするものの、追加の金融緩和の撤回など、軌道修正を求めることや、国民の手による自主憲法の制定などを打ち出しています。
共産党は、消費税率の引き上げを中止して、富裕層や大企業への課税を強化することや、集団的自衛権の行使を容認した閣議決定の撤回などを打ち出しています。
生活の党は、非正規労働者の待遇改善や、農業者の戸別所得補償制度の法制化などを打ち出しています。
社民党は、消費税率を5%に引き下げることなどを打ち出しています。
新党改革は、家庭を重視した経済政策の実施などを打ち出しています。
衆議院選挙の公示まであと3日。
政策論争は今後、一段と活発化するものと見られます。
次です。
アメリカで今週、抗議活動が広がりました。
今週24日、アメリカ中西部のミズーリ州で、黒人の少年を射殺した白人の警察官が、不起訴になりました。
これに住民の一部が反発して、暴徒化。
抗議の動きは全米に広がり、市民生活に混乱が生じる事態となりました。
オバマ大統領は。
人種差別などの問題の改善に向けて、建設的な行動を取るよう呼びかけました。
日本の手すき和紙の技術が、ユネスコ・国連教育科学文化機関の無形文化遺産に登録されることが決まりました。
登録されるのは、岐阜県の本美濃紙、埼玉県の細川紙、島根県の石州半紙で、いずれもこうぞだけを原料に、伝統的な手すきで作られています。
去年7月の参議院選挙の1票の格差について、最高裁判所大法廷が、憲法に違反する状態だという判断を示しました。
去年の参議院選挙、北海道では有権者229万人に1議席、鳥取県では48万人に1議席と、選挙区の1票の価値に、4.77倍の格差がありました。
選挙の無効を求める訴えは退けましたが、選挙区が都道府県単位の現行制度を改めるべきだと指摘し、国会に格差是正に向けた迅速な対応を求めました。
ことしの紅白歌合戦の出場歌手が発表されました。
初出場は5組です。
映画、アナと雪の女王の日本語版の主題歌を歌ったMayJ.さん。
デビュー20年目を迎えたアイドルグループのV6などです。
メンバーの一人、井ノ原さんは、紅白の総合司会、有働アナウンサーと、朝の情報番組、あさイチに共に出演しています。
そしてNHKの連続テレビ小説、マッサンの主題歌を歌う中島みゆきさんが、12年ぶり2回目の出場です。
中島さんは、黒部のときには、感激のあまり歌詞を間違えました。
また何かしでかさないように、頑張って歌わせていただきますというコメントを出しました。
放送は大みそかの午後7時15分からです。
続いて、深読みのコーナー。
鳥越さんに宮迫さん、原千晶さん。
共通する点お分かりになりますでしょうか?「がん」から復帰し活躍している、みなさんです。
きょうのテーマは仕事とがん。
もしあなたががんになったら仕事どうしますか?
もし自分が…とは考えたくないですよね。
でも、いま日本では働く世代が毎年20万人以上がんになっています。
しかも思うように働けない副作用がつらい職場の理解がないなどさまざまな理由で3人に1人が会社を辞めています。
この問題に対し今月、動きがありました。
全国15か所の労災病院で一斉にがん患者の職場復帰を支援する具体的取り組みが始まったのです。
いま悩んでいる方へそしてもし、そうなったらという方々にも…。
仕事と治療の両立とことん深読みします。
きょうもメール、ツイッターでのご参加、お待ちしております。
きょうのゲストのお2人は、深読み学園ですか?っていうご衣裳なんですけど。
おはようございます。
これはやっぱり。
深読み学園じゃないんです。
今回やっぱ、テーマがね、やっぱりがんということで、なんとなくシックに言ったほうがいいんじゃない叶と思って、僕は紺色で。
そしたら、いきなり専門家の。
いやいや、そういうイメージからして、やっぱり社会の偏見というか、そういうのがあると思うんですね。
本当、がんというと、深刻に捉えたりとか、今でもコメントにもありましたけれども、もちろんがんと診断されて、がーんとは来ると思うんですけれども、でもがんの治療を乗り越えて、社会に復帰されて、元気に活躍してる方々もたくさんいますので、そういうイメージをね、きょうは取っていただければと。
そういうイメージありますよね。
いきなり衣装のだめ出しから始まりました。
そうですよ、本当に。
もう明るく、前向きな捉え方をしていかなきゃいけないと思っていますので。
いまや日本人の2人に1人が、一生に一度、がんを経験するという時代です。
そんなに多いんですか?
はい。
そして大腸がんや乳がんは早期発見すれば、5年後生存率というのが98%という、すごく高い数字も出ていまして、本当にかつてのような、死の病というイメージから、長くつきあっていく病気っていうふうに、変わりつつあるそうなんですね。
今おっしゃっていただいたように、本当に今、がんの患者さんが増えている。
それからがんが今治るというよりも、がんの治療を終えてからの、今言ったような期間が長くなっているということ。
ただし、ただしです、いざ、長くつきあおうとすると、大変な問題が待っているというのを、これから中山アナウンサーがプレゼンしますので、そのあと議論スタートです。
おはようございます。
よろしくお願いします。
私もややシックな格好でいるんですが、今回、取材で街の方に聞くとですね、やっぱり、死の病なんじゃないのかっていうイメージが強くて、まさにこういった方、こういうイメージ、宣告を受けたら、もうこれから生き方どうしよう、命短しなんじゃないかなんてことを言ってる方、多かったんですけども、実態はですよ、もう長くつきあう病になっている。
というのも、今や、こんなことが進んでいます。
がん検診の実施が進んだことで、早期発見、どんどん今、進んでいるんですね。
その上、こんなのも、医療技術がどんどん進歩しているということで、救えるようになってきているんです。
国はがん対策基本法という法律、8年前に作りました。
そして今、がんになっても、安心して暮らせる社会を作りましょうということで、進められているわけなんです。
がですよ、実際どうなのかということで、われわれ、今回取材をもとに、こちらの模型にさせていただいております。
ご紹介いたします。
サラリーマンの深読作さん45歳。
こちらの方、がん検診、会社の検診で、胃がんが見つかったんです。
胃がん見つかったということで、読作さんは病院に行きました。
ああ、自分も手術をして、入院することになるのかと。
ああ、長く入院しなきゃいけないんだろうなと思っていたわけなんです。
今、胃がんの場合で入院日数、どれぐらいかっていうと3週間。
あっ、3週間でいいんですか?
もっと長いのかなって、思ってらっしゃった。
この15年ぐらいで、いまや日数としては半分以下になったそうなんです。
だから早く退院できる。
となると、早く職場にも復帰ができる。
実際にこんなアンケート結果もあります。
がんと診断されたときに、これまでの仕事を続け、働き続けたいと思ってらっしゃる方、診断された方、75.9%は働き続けたいと思っているそうなんです。
読作さんも、あっという間に退院をいたしまして、元気になった。
元気になって、さあ、みんなに迷惑かけた分、ばりばりまた働くぞと、会社に向かいます。
会社ではそんな元気になった読作さんを見て、上司が、こんなことを言います。
ああ、よかった、頑張ったね、治ったんだねと、歓迎のことばをかけてくれたんですね。
すると、さらに。
じゃあ、読作君には早速、会議にも出てもらおうかなと言われます。
でも、読作さんは、会議には出られません。
え?
病院です。
確かに、がんの手術はうまくいきました。
うまくいったんです。
でも、そのあと、再発を予防、防止するために、治療を続けるということになっていたんですね。
治療内容としましては。
入院しないで治療するんですか?
そう、入院せずに治療を続ける、再発防止。
こんなことをします、化学療法。
抗がん剤に代表されるような治療方法です。
でも、これって、抗がん剤って、こんなことがあります。
副作用、伴います。
強い吐き気、めまい、けん怠感、手足のしびれなどがある。
これを背負いながら、読作さんはお仕事を続けることになる。
となると、休憩を取ることも増えてくる。
これまでどおりの働き方が、どうもできないんだよなということになってゆくわけです。
がんの症状によってはこんなこともあります。
こんな治療法、放射線治療。
放射線治療って何が大変かって、退院後、5、6週間、毎日通わないといけないんだそうです。
でも、こういう治療も通院で行える時代になったんですね。
そうなんですよ。
この治療内容としては、1回10分ほどで済むそうなんです。
でも、この10分のために読作さんは有給休暇を使わざるをえないんです。
というのも、病院ってやってるのは、どうでしょうか、日中の時間が多いですよね。
土日もやってないですもんね。
それで有給休暇を使う。
でも考えてみてください、育児とか介護のためだったらばですよ、こんな短時間勤務や短期休暇って、取れるはずです。
というのも、育児、介護に関しては、これら、法律で取ることが定められてますね。
でも、がんに関しては、そういった法律ないんです。
だから有給休暇、使わざるをえない。
そんな休みがちになっている読作さんに対して、上司もこう思ってきたわけです。
あれ?読作君、もしかして治ってないの?だったら、読作君、大変なんだから、仕事、ほかの社員に分担するよ。
って言ってくれる。
でもそれって、読作さんからすると、そんな善意も、こう思っちゃうんですね。
ああ、またみんなに迷惑かけちゃった。
ああ、僕って会社から必要とされてないのかな。
これだけじゃないんです。
医師からはこんなことも読作さん言われていました。
抗がん剤の治療中、免疫力が下がってるということで、人混みは避けてくださいね。
虫刺されは禁止です、日焼けも禁止です。
胃がまだ弱い状態なので、普通の食事もやめてくださいね、となると読作さん、会社でこう言います。
申し訳ございません。
僕、外回り、ちょっとできません。
大切な接待にも参加することができないんです。
それを聞いた上司は、こう思います。
そんなに大変だったらさ、もう治るまで、しっかり休んだほうがいいよ。
そうなるのか、なるほど。
でも、読作さん、休むといったってですね、休めない事情もあります。
でしょうね。
家族養わないといけないし、治療だってこのあとどんどん続いて、お金がかかる。
これ、月に8万円ほどかかるケースなんていうのも、少なくないんだそうです。
うわっ、月8万円、高いですね。
保険なんか使っても、自己負担で月8万円?
自己負担額がそれぐらいになることもあるんですね。
なんとかまた働きたいんだけれども、病院では治療のことしか聞けない。
また会社に行けば、ああ、どうも病気のこと分かってくれないんだよな。
うーん、誰にも相談できずに、どんどん追い込まれていってしまうんです。
実際に番組に寄せられた声、ご紹介いたします。
30代の男性、以前の仕事ができず、職場を異動。
給料は半減。
家族を食べさせていかなきゃいけないし、預金を食い潰す生活で、もうこの世の終わりの気分です。
60代の男性、副作用による体の不調を周囲に悟られないように働いて、これまでどおりの成果を出さなければならなかった。
正直なところ、治療第一だと居場所がなくなってしまうのが、企業の現実です。
実際働く世代でがんになった人の3人に1人が、退職に追い込まれているというようなデータもあります。
働く世代、がんになる人、今、毎年20万人以上。
今後これ、ますます増えていくと見られている、それが今の状況だったんですね。
でも難しい問題ですね、これね。
実際、がんの治療は、何年ぐらい、こういう状態が続くんですか?この人混みや虫刺されや、日焼け避けたりしないといけないような状態。
それからこういう副作用に苦しんだりするような状態っていうのはどのぐらい期間、続くものなんですか?
治療によって、やっぱり違ってくると思うんですよね。
抗がん剤もいろんな種類が、化学療法って、あそこに書いてありますけれども、使われる薬も、今すごく薬剤もすごく増えていますので、種類が増えていて、それによって副作用も、すごく違ってきます。
それが出て、継続している期間、それがまた人によっても反応が違ってきますので、それは本当その方それぞれなので。
例えば乳がんだとどうですか?
乳がんの場合、今お話にあったように、今の読作さんは、胃がんということですけれども、胃がんもそのあと、お薬をずっと飲まなきゃいけないんですね。
胃がんは長いこと、お薬を飲む。
その後、1年間ずっと携行の薬を飲んだりということもあります。
乳がんの場合ですと、今お話が出たように、がんは長くつきあう病気ということで、やはり乳がんがずっとお薬を飲む期間っていうのがすごく長いんですね。
10年ですか、先生。
根治とか完治はしないということなんですか?
今、そこの会社の方、上司の方が言っている、よかった、治ったんだね、もしかして治ってないの?治るまで休めば、がんというものは、完治というものっていうのは、なかなか難しいものなんですね。
いったん出てきてしまうと、要は取り除いたとしても、どこかに隠れてるということなんですか?
可能性があって、それがまた出てくる可能性はあります。
ただ、その間、このように治療を終えたあとに、社会復帰は十分にできるわけですね。
特に乳がんの場合っていうのは、手術はやはり読作さんと同じように、2、3週間で、退院ができます。
この期間しか入院していなくて、今とても通院、がんの治療というものが、通院治療に変わってきています。
その後、抗がん剤をやって、化学療法をやったり、同じように放射線をやったりということがありますけれども、その後、ホルモン療法というものは、5年から、今は10年間も飲む必要があるといわれているんですね。
大変だ。
そういった意味で抑える、がん細胞がまた出てくるのを抑える治療というものはしているんですけれども、じゃあ、この通院の期間、社会復帰ができないかといえば、きちんと皆さん、仕事に戻れるわけですね。
でも、そんなにこんなにいろいろつらいんだったら、まとめて休んじゃうっていうことはできないものなのか。
単発で、短時間勤務とか、短期の休暇が取れないんだったら、長い休暇とかを取っちゃうと、少し楽だったりしないのかと思ったんですが、どうなんでしょう?
その間に治らないんですかね?
傷病手当金といって、わりとロングで休める制度っていうのはあるんですけれども、それは長く休むものなんですね。
なので、こういう放射線治療みたいに、例えば1時間だけとかというのには、なかなか使いづらい。
患者さん本人は、やっぱり働きたいのですか?
働きたいですね。
私もまさに、読作さんと同じ状態で、やっぱり手術して戻ってきたら、切って治ってよかったんだね。
だけど本人的には、いや、治ってないし。
で、私も薬、7年間飲んでたので、じゃあ、いつ治るのって言われると、いや、5年生存率60%なんですとしか、そういう言い方しかできなかったですね。
結局、仕事をお辞めになったんだそうなんです、桜井さんは。
どうして続けたいと思いながら辞めなきゃいけなくなったんですか?
やっぱりね、会議の日にちが、本当に一緒で、外来日と重なっちゃったりとかすると、だんだんやっぱりそこで迷惑かけた、申し訳ない、また迷惑かけちゃった。
元の自分に戻そうとするんですよ。
でも、このホルモン療法っていう、この薬飲んでる間って、見えない敵と戦ってるような感じ。
普通の薬って、飲めば体よくなるんですけど、ここ、飲むと体はだるくなるし、なんか集中力は途切れちゃうしって、だめになっていくんですね。
なのでね、すごくモチベーションが難しかったですね。
ツイッターでもきてますね。
抗がん剤の副作用に負けてしまいました。
胃がんの方、去年、手術されたそうなんですけど、それで会社も辞めてしまいました。
これ、僕なんかね、はっきり言って、子ども5人いるわけですよ。
いつなるか分からないじゃないですか、がんにね、なったときには、じゃあ、取ってもらいました、じゃあ、極端に言えば、次、再発するまで頑張って、また再発して取ればいいっていうふうなことはできないんですか?言ってること分かります?
分かります。
それだったら、抗がん剤とか打たなくても、こういうふうに治療しなくても。
そこが非常に難しいと思うんです。
まず最初の手術、最初に発見されたときに、今、抗がん剤とかに関しても、いろんな社会的にいろんなことがいわれてはいますけれども、まずその段階で、体の中に残ってるかもしれないものを、たたくという治療が、効くがんの種類もあるわけですね。
ですから、そのときにそれをやって、出てきてからでは、ある意味では、またそれは、それよりもその前の段階でやっておいたほうが、効果があるということで、それで、今ああいった形の抗がん治療というものが行われるんですね。
副作用のことに関しては、やはりとてもそれは重要なので、やはり医療現場で副作用の対策というものが、もっともっと行われていかなきゃいけないという現状はあるとは思います。
だって、つらいですよね。
自分の飲んでいる薬のせいで、仕事がうまくできない、仕事できる日も、もちろんあるんですよね。
ありますね。
ただ、やっぱり再発、転移ってなってくるともう治せないんですよ。
そうなんですか。
治せないんです。
だからそれが怖いんですね。
初発よりも、やっぱり再発、転移を告知されるときが、いつか来るかなって思ってるほうが怖くて。
次出たらちょっとやばいと?
もうだめだと思うと、で、また生活習慣病といわれているので、働かなくちゃっていう気持ちもあるんですけど、働くのが怖いっていう自分もいる。
で、思うように動かない体っていうのもあって、本当なんか、ぐるぐるぐるぐる回っちゃう感じ。
でも働いてないと収入がないですから、治療費がやっぱり出てこないですよね。
そうですよね、今、長期休暇を取ればってことをおっしゃってましたけれど、本当に皆さん、がんの治療の期間、休暇を取ればって考えるので、患者さんもがんと診断されたら、じゃあ、仕事をいったん辞めようかとか、休暇を取ろうかと思ってしまうんですけど、今こうやってお見せしたように、かなり治療の期間が長いですし、あとは、がんの治療をなさってるときに、私はよく患者さんに言うんですけれども、治療だけに専念する、専念をすることで、かえって副作用が強くなる場合もあるんですね。
やはりお仕事っていうのは、皆さんもそうだと思うんですけど、ご自分の中の一つの価値観と、生きるモチベーションでもあると思うんですね。
それも全く、それがなくなりながら、治療だけに専念することで、かえって精神的に追い込まれてしまう場合もありますので、やはり社会が治療をしながらも、仕事を続けられる態勢というものが、そういった意味でも、非常に大切だと思います。
いろんな選択肢があるじゃないですか。
じゃあ、極端にいえば治療ずっと続けることも可能ですし、しない選択肢もあるわけじゃないですか。
そうですね。
ですよね。
でもどれが正解かって、100%の正解っていうのはないわけですよね。
分からないです。
その方のお仕事とか、その方のそういうお気持ちとか、そうはいっても、なかなか全部お子さんも、たくさんいらっしゃって、例えばレッドさんの奥様とかだったら、もうお子さんも見なきゃいけない、仕事もしなきゃいけないだと大変ですし、それはもうその方ができる範囲内でのことを決めていく、ただその選択肢の幅が、社会の中である選択肢を提供できるということが、非常に重要だと思うんです。
だから僕、担当の先生とか、掛かりつけのお医者さんの意見というか、ことばによって、左右されると思うんですよ、患者さんって。
ものすごく。
その人の言ってることが正解なんだと思って、ずっと続けるわけじゃないですか。
そういう意味でいえば、本当に退院したほうがいいのかどうかっていうこともありませんか?
僕もそう思うんですよ。
通院して、これやると、相当つらいですよね。
病院行って、まず待合室で待って、診察受けて、放射線治療や化学療法がもし短時間でできるようになったとしても、そのあとまたお会計待って、電車乗って帰ってっていったら、大変なことじゃないですか。
これなんか、病院側はもちろんよかれと思って、早く退院させてくださってるんでしょうけど。
あと、今の会社の一般的な働き方の現状っていうと、たぶん皆さん、定時で帰るというよりは、9時、10時まで残業してっていうのが普通だと思うんですよね。
100%というと、レッドさんなんかそうだと思うんですけど、もう土日とかも出なきゃいけないときもあるし、150%ぐらいで働いてるんですよね。
そこにいきなり戻ってっていうのもやっぱりつらい。
体力的にはつらいと。
だからソフトランディングができればいいなと。
ちょっとこちら見ていただきたいんですけど、これ、ことし厚労省が行ったアンケートなんですけれども、がん検診を積極的に行っている企業を対象に行ったものなんですが、そのがん検診、積極的にしなさいよって言ってる企業でさえも、がん患者の就労支援を行っている企業っていうのは、僅か10%しかないという、こういう現状があるんですね。
なんでこう、90%行っていないかということなんですけど、どんな支援が必要か、その企業そのものが分からないと。
どういうことを患者さんが望んでいるか分からないっていうことなんですね。
ここの方に聞いたらいいんじゃないですか?
そうそう、小椋さんのような。
この10%の企業がどういうことを行っているかといいますと、例えば、短時間勤務にしたりとか、治療に合わせた出社時間にしたりとか、部署をちょっと変えるとか、新たに制度を作らなくても、柔軟に既存の制度を使って対応しているという企業が、この10%ということなんですね。
企業の考え、今、がんの治療を終えて、社会に復帰してる方々が、2015年には500万人ぐらいになるということもいわれているんですね。
がんがすごく増えていて、そういった形でがんが、治療を終えてからの期間が長くなりましたし、社会復帰をされる方が増えてきますから、ですから、企業側から言いますと、例えば一生懸命ずっとトレーニングを積んで、せっかく育ててきた人材が、がんの治療でそこで辞めなきゃいけなくなることによる企業側の損失というものもあると思うんですね。
それで、そういった形でその期間だけ、きちんとそういう対策を立てることで、企業にとっても人材をきちんとそのまま育て上げられるということもできますし、また、それだけがんの経験者が社会に増えてくるわけですから、いろんな企業も、桜井さんなんかもご自分の経験を生かして、乳がんの手術を終えた患者さんに優しいバッグを開発したりとか、いろんな形でがんの経験を生かした形の企業アイデアということも生まれてくると思うんですよ。
でもこの90%のどんな支援を行っていいか分からないって言っている企業に、こういう支援が必要ですよって言ってあげる人だとか、それから、病院に、例えば夜遅い診療時間を設けてくださいと言ってくれる人とか。
そうですよね。
変わりますよね。
私、前に、そういう会社向けのセミナーやったことがあるんですけど、そのときにも、何やっていいのか、個人情報だし、病気のことだから聞いていいのか、聞いちゃいけないのか分からないと。
でも、たぶん病気。
どうしたらいいんだろうっていうのが大部分でしたよね。
それはがんの治療をしている人が、周りの人にそのことを伝えてないっていうことですか?
そうですね。
だから患者さん自身も、自分の伝え方ができていないと思っていて、これなんですけど、私は。
愛のすれ違い。
愛のすれ違いだと、企業側のほうも、こうしてほしいというのをもらえれば考えられるんですよね。
例えば時短勤務がいいとか、残業は3か月くらい、永久不滅じゃないですよ、3か月ぐらい、ちょっと残業はとかっていうのも、教えてもらえれば、たぶん動けるんですけれども、患者さんは、それは病気の名前を言わなきゃいけない。
私は乳がんなんです、分かんないんですよね。
レッドさん、私、乳がんなんです。
って聞いただけだと。
だけだと、僕は体験してないですし、僕のかみさんがやったわけじゃないので分からないですね。
レッドさん、私、乳がんなんですけれども、ちょっと重たいものが持てないので、これ持ってもらえますか?
あっ、分かりました、じゃあ持ちましょうってなりますね。
どうもありがとうっていうね、こういうのが、たぶんない。
だからさっきの、治るまで休めばっていうのも、愛のすれ違い。
これが愛のすれ違い。
本当に、大好きで大好きで一緒に働きたくて、でもつらそうだからっていって、ふっと言ったひと言が、患者さんにとって。
それでちょっと、皆さん、こちらもまさにすれ違いの部分をですね、埋めている、つなぐ役割をしているという取り組みがあったんです。
ちょっとこちら見ていただいて、一度。
アメリカでの取り組みなんです。
これ、アメリカでは、メディカルソーシャルワーカーという、MSWが、会社、患者、病院をつなぐ役割を果たしていて、大活躍しているんです。
これちょっと聞いてから、ちょっと皆さんまた、お話し続けてもらいたいんですが、このメディカルソーシャルワーカーって、医療のソーシャルワーカー。
病院に基本的に常駐している方なんです。
先ほどからあったこの患者さんが、病院でいろいろな悩み、あります。
それをメディカルソーシャルワーカーは聞きます。
例えば、ああ、ちょっと先生が言ってた治療の内容がちょっと分からないんですよねとなれば、MSWの方、メディカルソーシャルワーカーが分かりやすく説明してくれますし、お金、ちょっと治療費のこと、いろいろ心配なんですけれどもと言ったら、保険の手続きなども教えてもらえる。
心の悩みのご相談にもカウンセリングしてくれる。
つまりですね、心配や悩み事すべてに、このMSWがメディカルソーシャルワーカー、対応してくれるというんです。
この立場の方って、大学院を卒業し、資格を取った方。
すごいのはこれです。
病気ごとに専門が分かれています。
それはありがたいですね。
今、上で見たのは、がん患者の方だったので、こちらの方は、がん専門のメディカルソーシャルワーカーなんです。
がんについての知識が豊富にある。
きめ細かな対応ができるというんです。
でもね、今、病院でしたよね。
ずーっと話にあった会社に対してはどんなことをしているのかという点です。
会社に理解してもらえないということになる。
すると、アメリカではこうなります。
メディカルソーシャルワーカー、病院を飛び出し、会社にまでやって来ます。
うわ、それはちょっとうれしいですね。
そうですね。
患者さんに代わって、今の患者さんの症状、こういった状態なので、こんなところ注意してくださいねっていうことを会社の方にわかりやすく説明してくれると。
こんな配慮もしてくださいよということで、いろいろと大変な面がありますので、短時間勤務でお願いしますですとか、負担を軽くする部署に変更してくださいっていうようなことも、このメディカルソーシャルワーカーが言うというんです。
で、こんなことも中には、言ったという事例が見つかりました。
棚低くしてくださいねとか、給湯室から遠い所に席移してあげてくださいというようなことを言ってくれた、これ、どうしてこんなこと言ったと?
給湯室からなんで遠いんですか?
どうしてなんですか?
あっ、ちょっとお茶入れてくれる?って頼みにくいから?
そういうことなんですね。
暑い、空気がだめとか?
空気。
そういうことなのかなと。
空気、それ、近いです。
実は空気、患者さんってにおいに敏感に、治療中だとなることがあると。
実際の事例だと、コーヒーのにおいがきつい給湯室から遠く離れた席に移してあげた。
先ほども話ありましたけど、乳がん患者の方なんです、上のパターンは。
腕が治療中で上がりにくいって話、先ほどしてくださいましたけれど、それで棚を低い位置にして、書類取りやすいようにしてくださいねっていうことを、このメディカルソーシャルワーカーが、会社側に言ってくれると。
これ、でも、ありがたいシステムですよね。
でもまあ、ある意味タレントでいうと、マネージャーみたいな、スポーツ選手で言うと代理人みたいなもんですかね。
でもそれって、お金かかってくるんじゃないんですか?どうなんですか?
お金は基本的には、かからないというふうに言われていて。
ただですよ、言っていいですか?患者さんの負担もある?
ない、基本的にはないと。
私が気になるのは、本人だって言い出しにくいことじゃありませんか。
この部外者の人がやって来て、あなた、こうしなさいよと言ってくれたら、よけいこじれないかなと思って。
逆にね。
会社内でしっかり生きてきた方は、そういう人間関係、非常に気になると思うんですけど、アメリカは、大丈夫なことがある。
というのも、これがあるからなんです。
法律で決まっている。
すばらしい。
これが後ろ盾となっているんです。
というのも、これもともとはこの法律、障害がある人が働くうえで、差別を禁止するというものだったんです。
これを2008年にアメリカは、がん患者にも適用しますっていうことに、枠を広げました。
となると、がん患者が職場で障害があると感じること、その障害を取り除かなかった場合はですよ、がん患者に対して差別をしているということを、メディカルソーシャルワーカーは、強く言うことができる。
なるほど。
裁判もひょっとすると?
実際に裁判、訴訟が起きたこともあって、会社側が敗訴。
なるほど。
だから法律がしっかりと後ろ盾になってるから、言えることが言えるってわけですね。
そういうことなんだそうですね。
でも日本だとどうなんですかね、その法律というものがしっかりと整備はされてないですよね。
どうなんですか?
日本はまだ、法律っていう段階ではなくて、じつは2年前に、がん対策推進基本計画で、初めて、がんと就労ということが、目標として掲げられたと。
なので、法律っていうところまではいってないんですけれども、日本も始まったばかりと。
頑張りましょうというような段階にきていると。
でも遅いんじゃないんですか?まだ200年しか歴史のないアメリカがやってて、2000年の歴史がある日本がやってないっていうのは。
それどうなんですかね?
少しずつ病院内での取り組みも始まっていまして。
その病院ごとに独自で?
そうですね、今、VTRにありましたような、そういう労災病院での取り組みとか、私どもの、この前まで厚生労働省の研究班のほうでやっておりましたものでは、一つ、就労リングっていう形で、もう病院、先ほどのあちらの深読作のほうにありましたように、患者さんは病院に住んで病院で生活していらっしゃるわけではなくて、社会で生活をしてらっしゃるので、社会と医療現場がやはりつながって、今のメディカルソーシャルワーカーがつないでいるように、つながっていかなければ、この問題、解決できませんので、そういった意味で、ソーシャルワーカー、社会保険労務士とか、がんの経験者などが、皆さんでそういった医療現場の中に入りながら、いろんな情報を、例えば私どもがやっているのは、社会保険労務士と看護師が、患者さん、5人から10人ぐらいを集めて、そこでいろんな情報を提供するわけですね。
この治療をやればこうなるから、この場合、仕事はこうしたほうがいいというアドバイスも含め、また就業規則なども患者さんも知らないですから、そういった情報を提供させていただいて、それをまた仕事場にまたフィードバックしていただく。
そういった形の就労リングというものをやっているんですけれども、そういう情報などを回しながら、社会と医療現場がぷっつり切れていてはこのことは解決できませんから、そこを、輪を作っていくというような取り組みも、少しずつ行っています。
その情報は、まだがんにかかっていない私も知りたいです。
かかったときのために知っておきたいことですよね。
またご家族が、そうなった方だと、ご家族にお話することもありますし、そういうことを今、知っていただくことは、非常に大切だと思います。
ちょっとここで患者さんたちから、声がたくさん届いているので、ご紹介しておきます。
患者さんと限らないかもしれません。
でも恐らく患者さんじゃないかと思うんですけど、治る気力を上げるためにも、働く場を残しておくことは重要です。
大事ですね。
放射線治療も化学療法も、仕事が終わってからの時間にできるような対策を義務づけるべき。
これだけでも、就労とがん治療を両立しやすくなる。
確かにそうですよね。
今、いろんな取り組みですよね。
ちょっとこんな取り組みもあったんで、ご紹介しますと、江戸川病院という、東京都の所にある、小岩の辺りにあるんですけれども、夜10時まで、放射線治療を受けることができる。
これ時間を夜、延ばした取り組みなんです。
これ、いいですね。
そうですね。
アメリカのそういう今ありましたような、そういったことを考えて、アメリカでは医療保険は、仕事をしてないとほとんどが取れなかったりするんですね。
ですから、本当に仕事っていうのは死活問題で、そのためにも、夜にずっと夜間、抗がん剤を受けられたりとかいうような働きもやってますし。
これはここだけ?ほかの病院でもどんどんやろうとしているんですか?
そうです、今いろいろとそういった土曜日にできたりっていうようなことも、態勢が整ってはきていますけれども、ただそれがやはり重要な選択肢の一つではあるんですけど、でも実際に患者さんの声を聞くと、やはり土日とか、夜間やってるんだから、会社側がやってるんだから、仕事休まなくても治療を続けられるでしょっていうことで、反対に患者さんの負担になってしまうっていうケースもあるんですね。
やはりお子さんを持って治療してる人とか、土曜日には、子どもとの時間、掃除洗濯をする時間っていうのが、とても大切で、だからそのへんのところも、企業側がきちんとそういう選択肢もあるけれども、その方に合わせた働き方というのも、やはり考えていかなければ。
僕はね、コンビニみたいな感じであれば、いつでも行けるかもしれないけど、数少ないですもんね、やってらっしゃる所が。
そうですね。
まだ病院が少なくて、負担してるっていうんですね。
夜やっててほしいという声はたくさん来ています。
ただこれは、どうなんでしょう。
どうして2人に1人、これですね、がんを一生のうちに経験する人が、2人に1人っていう多さで、にもかかわらず、周りの理解が進まないのか。
なんかまさに、そこにあるような感じがしますよね。
そうですね。
ですから、暗いイメージではなくて、やはりもう本当に、周りにがんの方が、経験された方が増えて、皆さん、すごく輝くように、社会復帰をされていますので、そういったことをみんなで社会がサポートしていくっていうことが大切だと思っています。
あと言えてないんです。
言えてない?
職場の中でがんを隠して働いている人がとても多いんです。
そうなんですか。
言えないんです、やっぱりネガティブで。
これって、思ったんですけど、伝えていただくっていう、制度があったとしても、例えばがんの初期だったり、末期だったりっていう、症状にもよるじゃないですか。
それによってまた対応が変わったりとかするんですか?
それでこちら、全国のがん拠点病院に、がん相談支援センターというのがありまして、そこの病院で治療を受けていなくても相談できると。
基本的には無料で相談できるっていう相談支援センターがありますので、こちらにその問い合わせるというのも、今やれることの一つとして。
一つ一つのケースについての相談に乗ってくれる所があるんですね。
今、厚労省からもこのがん相談支援センター、非常に分かりにくいあれかもしれないんですけど、こういったものをきちんと患者さんに分かりやすく、表示するようにということも出ていますし、病院に行って、皆さん、聞いていただければ、そこの患者さんじゃなくても拠点病院を、こっちのホームページから調べていただいて、そういった所に行っていただくと、今、メディカルソーシャルワーカーの方とか、いろんな方が、相談には乗ってくださると思いますので。
このアドレスは、ずっと上に出てますんでね。
ここですね。
日本のソーシャルワーカーの方も、本当、なんでもいいから、お話聞いた方、なんでもいいから相談来てくださいって言ってました。
なんでもいいですよって、なんでも聞きますからって言ってましたね。
結構いらっしゃるんですか?ソーシャルワーカーの方、日本には。
日本には全体とすると、少ないですね。
まだまだ。
診療報酬の加算がつかないので。
診療報酬?
置いても、お金がつかないんですよね。
収入にならないんですね。
生活できないもんね。
兼務になって、ほかの仕事をやりながらって方たちが多いですかね。
でも、病院の先生も忙しいですもんね。
そうですね。
患者さんいっぱいいますもんね。
そういったところで、でもやはり、医療現場で患者さんが就労に悩んでらっしゃる、仕事を続けたいと思ってらっしゃる、それを早いうちにそれを拾って、やはり治療を始めるときに、がんと診断されたときに、さっきのVTRにもありましたけど、患者さんがすごくショックを受けてらっしゃるかもしれませんけど、お仕事をやりたくてもやる方法ありますと、ひと言お伝えすることで、辞めずに済むと思うんですよ。
医者も大変ですけど、それをボールをなんとか拾ってあげて、それを病院内に、私どもがやっているこの就労リングとか、いろんなどんな形でもいいですから、メディカルソーシャルワーカーのでもいいですから、投げるところがあれば、もっともっと患者と医師のコミュニケーションも広がると思います。
だから患者さんが、僕ももしがんになったら、でも働きたいんだと。
めまいとかあんまりしないような薬を使ってくれとか、そういうふうな働きかけをいっぱいしていったほうがいいっていうことなんですか?
仕事のご自分の職種をいろいろと言っていただいて、例えば手先を使うので、できるだけ選択の余地があるならば、こういうものがいいとか、この副作用を気をつけてほしいとか、今いろんな意味で、緩和ケアというと、ちょっと末期の方のような勘違いがされていますけれども、緩和ケアの医師が病院内にいて、そういうがんの治療をしながらの、早いうちからのがんの痛み外来という試みも、がん治療期の痛み外来っていうものも東大病院とかでは始まっているんですね。
そういった意味で、がんの治療をしながらの、さまざまな副作用を、きちんと対応をしていくということも医療現場では行ってきていますので。
先生とのコミュニケーションをやっぱり取りながらそういうふうな、いい方向に持っていってもらいたいというようなことを相談すればいいということですね。
そうですね。
医師がすごく大変なようだったら、そういうソーシャルワーカーや、看護師に、言っていただくという形もあるかもしれません。
ただ、やっぱり現実はなかなか厳しいみたいですね。
ツイッターでもこんな声、現在、子宮けいがんの手術後の放射線治療中です。
有休を使い切って、欠勤になっています。
正社員ではないので、生活費の不安があります。
骨髄移植を受けて復職しました。
移植したら、治ったものと思われて、つらいです。
それから、職場内では、困ったときはお互い様という、相互に支え合う雰囲気作りが大切だと思う。
という声もある一方で、企業の監理・監督職の方々の、がんに対する知識不足が最大の問題。
それから人材は財産のはず、もっと企業側が勉強しないと。
確かにそうですね。
今、2人に1人ががんになるという時代に、確かに患者さん側も、やっぱりがんということを理解してもらいたいって思いながらも、やっぱりちょっとどこか言いたくないっていう気持ちもあると。
言いたくない気持ち?
言えない気持ち。
言えない雰囲気とか、言えない気持ちとか。
企業側も、自分がなってない、管理する側がなってないとなると、やっぱりひと事っていうところがあると。
だから、会社側もひと事じゃないっていうことを、もっと意識してもらうということと、あと病院側も、今まではがんから命を救うということが使命だったと思うんですけれども、今、がんと共に生きる時代になったからということで、やっぱりがんが治って、がんを克服したあとの先の人生までを考えることが医療だっていうことを、もっと3者、社会が変わっていく必要があるのかなと思うんですよ。
あとはですね、私、この問題って、がんだけで考えてても解けないと思ってるんですね。
生きていれば、介護もあるし、子育てもあるし、病気もあるし、いろいろ事情があるわけですよね。
だからそこと、病院にいる時間って短いです。
ほとんどは社会生活をして、24時間のうち、ほとんど外にいるので、そこがやっぱり、支え合えるような、そういう風土っていうのを作っていかなくちゃいけなくって、このアメリカも、ADA法っていうのは、入り口のことをやっているんですね。
もう一つ、FMLA法っていうのもあって、家族や看護の、あと本人も使えるような法律もちゃんとあるんですよ。
てんかんとか、いろんな疾患の人が、入ってるんですね、そこに。
1時間単位で取れるようにしなさいとかっていうように、国が保障してるんで、企業もやらなくちゃいけない。
だってなんの事情も抱えていない、あるいは抱える可能性がない人なんていないですよね。
そうなんですよ。
だから今、ワークシェアとかいろいろいわれてますけど、女性が輝くとか、あの中に、病気の人は入ってないんですよね。
あるいは、これから高齢化社会を迎えたときに、やっぱりなんか持ってる、がん以外にも、高血圧とか糖尿を抱えてる人いるわけで、その人たちもやっぱり働いていかなきゃいけない、社会に居場所が必要なので、そのための社会制度作りっていうのも、私はもう必要だと思っています。
われわれ健康な人間っていうのは、やっぱり病気の人に対しての、なんて言うんですかね、思いやりというのが欠けてる部分はあるのかもしれないですね。
やっぱりこうやってお話を聞かないと、どれだけ大変な思いをされてるかって分からなかったので、本当、健康だと分からないことがすごく多いなって。
直接聞かないと分からないですね。
私も病気になる前、そうだったので、自分はならないと思ってたし、そういう問題も起きないと思ってました。
じゃあ、本当にきょう、自分がいつかなるとしたならば、ちゃんと制度も何もかも整っててほしい。
ほしいですね。
何を今一番大切にするべき?何からまずやりましょうとおっしゃいますか?
新しく法律を作るっていうと、時間もかかりますので、やっぱり今ある制度、企業側も今ある休暇制度とか、今ある部署を変えたりとか、柔軟に対応することで、やっぱり働き続けることができるっていう、一つ、そういう柔軟に対応するということがポイントなのかなというふうに思うんですけれども。
柔軟に対応する対応のしかたというのは、やはり患者さん自身が、こういうふうに働きたいんですっていうのを言ってかないとだめなので、言わないと配慮をもらえないんですよ。
コミュニケーションなんですね。
あと、がんという名前を、変えてもらいたいですね。
そうですね。
そのイメージがありますよね。
がんって言わなくていいんですよ。
持病があるからこうなんですって言えばいいんで。
2014/11/29(土) 08:15〜09:30
NHK総合1・神戸
週刊 ニュース深読み「働き盛りのがん 仕事と治療の両立は?」[字]
日本人の2人に1人といわれる「がん」。中でもいま問題なのが働き盛りのがんだ。治療技術の進歩で“長くつきあう病”となる一方、治療と仕事の両立は可能か、深読みする。
詳細情報
番組内容
高倉健さんも患っていた「がん」は、日本人の2人に1人が発症するいわば国民病。中でもいま問題なのが働き盛りのがん。実はがん患者の3割は現役世代。治療技術の進歩で、がんは“長くつきあう病”となりつつあるにも関わらず、治療と仕事の両立や支援が追いついていないのが現状だ。働く患者の3人に1人は退職に追い込まれ、労働力の損失は年間1.8兆円との試算もある。がん治療と仕事は両立できるのか、深読みする。
出演者
【ゲスト】レッド吉田,小椋久美子,【解説】聖路加国際病院医師…山内英子,がん患者就労支援会社代表取締役…桜井なおみ,NHK社会部記者…山屋智香子,【キャスター】小野文惠,高井正智ほか
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