(友美)おはよう…薫。
(春子)おはよう。
おはよう春子。
友美だよ。
うん…。
健人。
(薫)大丈夫?ありがとう薫。
はい。
ありがとう。
戻った…。
うん。
戻ったんだね私たち。
うん。
よかった。
こんなに弱ってたんだ私の体。
よく平気だったね薫こんな体で。
全然分かんなかった。
痩せ我慢してたんだ。
薫らしいね。
もう大丈夫。
ありがとう。
一人で行く。
分かった。
薫…。
怖いよ。
健人くんのとこ行ってらっしゃい。
はい。
(洋介)あっおはよう。
おはよう。
おはよう健人。
(健人)ママおはよう。
おいで。
健人。
(春子)薫…。
どうしたの?分かった。
分かったから。
もう何も聞かないから。
今日は何して遊ぶ?
(大樹)さっき相撲やって…。
ほら健人ボタン。
次は…。
薫終わったらパンお願い。
了解。
それで…春子はこれを運んでね。
(春子)は〜い。
すっごい朝ごはんだね。
(一同)頂きま〜す!何食べようかな〜。
う〜んおいしい!
(翔太)うめえ!「おいしい」でしょ「うめえ」じゃなくて。
マジうめえ!「本当においしい」でしょ「マジうめえ」じゃなくて。
マジうめえ!おっ!
(春子)ほら健人くんがまねするじゃないこうやって。
マジうめえな。
うん。
(翔太と大樹の笑い声)ちょっとやめて下さいよもう…。
春子が入ると急にコメディーみたいになるよね。
えっ?春子は幸せだよね。
はっ?何言ってんの?私の今の状況考えてよ。
今日だってハローワークだよこれから。
それにいつまで働けるかも分からない訳だし。
…っていうか病院だって行かなきゃいけないし。
「どうなるの?どうするの?私」って感じだよ。
ハローワークって何?えっ?あっ…う〜んなんていうか…。
「こんにちはお仕事!」っていう意味だよ。
(笑い声)こんにちはお仕事!イェイ!イェイ!…っていうかさ病院って何だよ?えっ?あのね翔太。
大樹。
あなたたちに弟か妹ができるの。
お母さんのおなかの中に赤ちゃんがいるの。
マジで?マジで。
すげえ!すげえ!
(健人)すげえ!そうなのよ!すげえのよ私。
「こんにちは赤ちゃん!」って感じなの。
(3人)こんにちは赤ちゃ〜ん!ありがとう!あんたたちがバカな子でよかった!バカじゃない!
(健人)バカじゃない!よ〜しじゃ今日の動きを確認するぞ。
翔太と大樹は7時40分の電車で学校。
分かるな?
(2人)はい!僕は幼稚園!正解。
パパと一緒に行く。
お迎えは春子さん。
はい!で夕食の買い物は…。
私!はい以上!あっ…私は?留守番。
は〜い。
子供か。
みんな頼むぞ。
(3人)はい!よしじゃ食べよう。
はい!おいしい。
(健人)ハムおいしい。
おいしい?
(健人)おいしい。
いっぱい食べよう。
おはよう。
おはようございます。
おはよう。
(山崎)おはようございま〜す!山崎。
はいはい。
多分君は最近「薫さんちょっと丸くなったな」と思ってると思うんだけど。
はい!戻るから今日から。
えっ?やっぱりね〜。
一人になって急に心細くなったんでしょ。
そんな事ない。
それは失礼しました。
ケーキ買ってきたんだけど食べない?食べる。
はいどうぞ。
ありがとう。
やっとちゃんと話せるね。
そうだね。
大丈夫?薫。
私?抜け殻みたいになってない?せっかく頑張って覚悟したのにいきなり放り出されたみたいな。
それにちょっと寂しいし健人のママじゃなくなって。
もちろん死なないんだって思ったらほっとする気持ちもあるけど私の気持ちを考えたらつらいし。
むかつく。
何で?ちょっと前まで薫だったからね。
私もさちょっと前まで友美だったから今考えてる事当ててみようか。
いい。
頂きます。
召し上がれ。
おいしいね。
おいしいね〜。
お願いがあるんだけどなぁ。
当ててみようか。
大丈夫?うん。
行こう。
(弘子)そう…あなたいなくなっちゃうの。
うん。
親不孝ね…親より先に死ぬなんて。
ごめんなさい。
でもそう言うと思ってた。
お母さん。
私…お母さんの事嫌いだった。
もちろん分かってた。
お母さんが私に対して厳しくするのは愛情なんだって。
でもそれでも私は嫌だったお母さんの事が。
期待に応えられないのも嫌だった。
だから逃げたお母さんから。
ええ。
私薫みたいになりたいと思ってたんだ。
薫みたいにつらくてもうじうじしないでちゃんと生きられる人に。
そしたら私…薫になれたんだ。
私一度薫になれたの。
意味分からないと思うし分からなくていいんだけど。
私はもうすぐこの世界からいなくなる運命で…。
でもそれは自分で選んだんだ。
つらくても逃げなかった。
だから…最後に褒めて下さい。
「よく頑張った」って。
お願いお母さん。
(弘子)はい。
私が100点取った時にだけくれたのこれ。
こんなのまだ買ってたんだ。
これ私が好きなの。
私も好き。
(弘子)言ってる事さっぱり分からないけどあなたの。
でも…頑張ったのね。
よくできました。
(弘子)ご褒美よ。
おいしい。
(弘子)あなたもどうぞ。
えっ?あっ…いいんですか?一緒に頑張ったんでしょ。
どうぞ。
うん?これおいしい?
(2人)おいしいわよ。
紅茶もう一杯いれるわね。
それくらいつきあいなさい。
星野さんシンガポール行き断ったって本当ですか?うん。
どうしてですか?ずっと今まで…。
見届けなくていいんですか?それにそんな事したら社内の立場だって…。
他にあるんだよ見届けるべきものが。
ごめんな。
報告楽しみにしてる。
(光雄)デザインデパートのミスターヨウスケ…。
先行ってて。
はい。
(光雄)ノーアポイントメント。
マイネームイズミツオ・ミカミ。
え〜と…あ〜ノーアポイントメントで…。
日本語でも大丈夫ですよ。
あっ…。
三上さん。
ああ…!あ〜驚いた!ああ…死ぬかと思った。
そんな驚かなくても。
えっ?何ですか?それ。
みんなで暮らしてる?友美さんと薫さんとうちの家族と?はい。
はぁ…一体どういう事ですか?それは。
まあ友美の希望で。
あっそういう…ああそうですか。
ええ。
あっ何だかそれはお世話になって。
いえいえそんな。
でもこういう言い方いけないんでしょうけど…。
どうぞ。
にぎやかで楽しそうですね。
あいつがいるだけでにぎやかですもんね。
よく食うしつまんない事でも笑うし声はでかいし。
泡。
泡が…。
大丈夫ですか?ええまあ…。
楽しいですよ我が家は。
ず〜っとこうだといいなって思うぐらい。
もうすぐ家族も1人増えるし。
うん?家族が増える?ええ春子さんが…。
そろそろ仕事に戻らないと。
忘れて下さい。
ちょっと待って下さい。
星野さん。
星野さん。
ごちそうさまです。
ちょっと待って下さいよ星野さん!
(春子)あ〜!おっ。
どうだった?うん順調順調。
問題なし。
だろうね〜。
何でよ?よかった。
そっちは?うん大丈夫。
そっか。
しかしどんな状況だよ同じ日に検診なんてさ。
よ〜し帰ろう。
帰ろう。
帰ろう。
は〜い出来た。
早っ!は〜い。
大丈夫?疲れてない?うん大丈夫。
(子供たちのはしゃぐ声)
(春子)こら暴れないの!翔太!大樹!健人!ごめんなさ〜い!はいこれもお願いします。
えっ?人使い荒いね。
お願いします。
ただいま〜。
(子供たち)お帰り!おっ。
お父さんが働いて帰ってきたって感じするなぁ。
お帰りなさい。
ただいま。
お風呂になさいます?それともお食事になさいます?それとも…。
じゃお食事でお願いします。
はい。
ごはんだよ〜。
(春子)ごはんだよ。
友美どうした?健人…。
健人?健人。
健人。
ママが呼んでる。
(健人)はい。
大丈夫?ママ。
うん。
健人。
ママね…。
ごめんねママね…もうすぐバイバイなんだ。
何で?ごめんね健人。
でもね…健人の前から本当にいなくなる訳じゃないんだ。
ママは…薫さんの中にいるの。
見えないけど…薫さんの中にいる。
分かる?薫さんの中にいるの。
ずっと健人のそばにいるの。
だから…寂しくないね。
うん。
ママが怒ったら薫さんが怒るの?そうだよ〜。
薫さんが怒っちゃうよ〜。
うん?うん?怖いぞ。
怖いよ。
(健人と薫の笑い声)おいで。
ねえ私健人の母になるよ。
えっ?私は健人の母になる。
なってみせる。
でもね友美。
だからといって洋介さんの奥さんにはならない。
それに私結婚なんかしたくないもん。
私は母親になるんだったら男はいらないの。
洋介さんには悪いけど私には健人だけで十分。
それが私の生き方。
薫らしい。
分かった。
そう?うん。
私思うんだけど…。
神様は優しいね。
えっ?普通に死んでいったら…こんなふうには託せない訳で。
いくら親友でも。
でも薫は一度健人の母親になってくれてる訳で。
その体…私だったんだよね。
この体は私だった。
お休み…私。
さようなら…私。
はい友美コーヒー。
これは健人が作りましたよ。
よいしょ!はい。
今日はナデシコだよ〜。
う〜んいいね。
友美好きそう。
このままでよくないかな?このまま一緒に暮らしませんか?えっ?社会的には変なのかもしれないし理解されないのかもしれない。
でも僕はそれが何だって思うんですよ。
こういう家族っていうか共同体っていうか…。
そう僕らは共同生活者になればいいんですよ。
だから頭のいい人ってやだ〜。
えっ?寂しいんでしょ?そう言えばいいじゃない。
難しい事言って。
あ〜やだやだ。
すみません。
どう?薫。
うん…私は健人といられるなら。
(春子)じゃあ決まりだね。
はい。
ありがとうございました。
腕動かしていきま〜す。
はい伸ばして下さい。
そのまま上にぐっと持ち上げられますか?
(冬子)光雄さんが悪いだに。
別れようとか言うから。
うん…ごめんね冬ちゃん。
謝らんでいい。
ケガさせたのは私なんだから。
ごめん。
もうすぐ退院なんでしょ?うちには帰ってこんでね。
冬ちゃん…。
じゃあ。
ほ〜ら早く着替えなさい。
(3人)は〜い!もうすぐごはん出来るよ〜。
(3人)は〜い!健人1人で着替えられるかな?着替えられる?腹減ったよ。
今日の朝ごはん何かな?
(一同)頂きます!
(チャイム)誰だろ?こんな時間…。
(春子)はぁ?何なのよ今頃。
もう締め切りました!待ちなさいよ!あっ…。
何帰ろうとしてるのよ。
バカ!いやだって…。
だってじゃないわよ。
時間かかったんでしょ?別れるのに。
ちゃんと誠意尽くしたんでしょ?そうなんでしょ?ああ。
だったらあんた行くとこないじゃない。
(光雄)ない。
バカ!おなか…。
何よ?腕…。
いや。
もう1人増えそうだね。
だね。
どうしたの?いや…なんか笑い方とかかな?友美に似てた気がして。
私の中にいるからね〜友美は。
そっか。
それに…私友美だった事あるし。
どういう意味?教えない誰にも。
お休み。
お休みなさい。
ねっ。
よいしょ!大丈夫?夢見てた。
私も。
薫とさ入れ替わってたんだよね夢の中で私。
えっ?私もなんだけど。
うそ何それ?怖い。
でねなかなか戻れなくてもう戻れないんだろうなって思って最後はさ2人で1人になっちゃうんだ。
えっ?なんか面白かった。
そう?えっどういう事?2人で1人って。
薫は私なの。
…で私は薫なの。
なんか…気持ち悪い。
そういう夢だったの!え〜?薫は?見て〜。
わぁ〜!えっ健人捕まえたの?うんちょうちょ。
すっごいね〜。
トコトコトコトコ…。
あぁ〜!飛ばせる?うん飛ばして。
よいしょ!
(健人)ママ〜!あぁ〜!大丈夫?大丈夫か?うん。
あ〜偉いなぁ。
偉い偉い。
偉いなぁ。
うん。
強いなぁ健人は。
はい!さあ行こう。
よいしょ!健人は強い子だなぁ。
うん!お買い物行こうか。
うん。
よし!
(2人)1!2!3!4!5!6!7!8!9!10!11!12!13!14!15!2014/12/09(火) 22:00〜22:50
NHK総合1・神戸
ドラマ10 さよなら私(9)[終]「幸せな家族」[解][字]
心が入れ替わった友美と薫。お互いの人生を生きる2人は、親友の心と秘密に初めて触れていく。人気脚本家・岡田惠和が描く、女性たちの本音と真の友情物語。
詳細情報
番組内容
目を覚ますと、友美(永作博美)と薫(石田ゆり子)の心と体は元に戻っていた。何よりも健人(