趣味Do楽 にっぽんの布を楽しむ〜訪ねて・ふれて・まとう〜 第2回「藍染め」 2014.12.09


味わい深い一品です。

(テーマ音楽)着物を着る機会が増え布や染めに興味が湧いています。
布にちなんだ名は布地デザイナーの母親が付けました。
(女性)これで普通に回して。
(川上)普通に回して…。
この2人がにっぽん各地に訪ねるのは今も輝きを失わずに人々の心を捉え続けるにっぽんの布。
昔ながらの方法で手間を惜しまず生み出される布には肌ざわり色柄など独特な味わいがありおしゃれなアイテムとして最近注目されています。
2人の女優が布のふるさとで魅力の秘密を探ります。
案内するのは…京都で江戸時代から続く染色家の5代目でにっぽんに伝わる布や染め物の研究に取り組んでいます。
第2回は布の色に注目。
私がしているこのスカーフ鮮やかな色ですよね。
「ジャパンブルー」として世界に知られる藍染めは古くからにっぽん人の生活に根づいてきました。
その魅力は何といっても色にあります。
空の色海の色など私たちが日常よく見ている色が青です。
その青の微妙な違いを人々は古くから藍で濃淡を染め分け表現してきました。
薄くも濃くも染められシンプルなのに奥深い雰囲気を醸し出す藍。
その秘密を探ってみましょう。
昔ながらの藍づくりが続いている四国徳島。
藍づくりが本格化する夏に訪れました。
ところで藍のもとというのがね原料は何か知ってますでしょ?原料は…植物ですか?植物。
これは間違いないよね。
間違いないですよね。
それでねこれが蓼藍という…。
蓼科の植物がたくさんあるのね。
藍の色素を持ってる蓼科の植物を「蓼藍」と呼ぶ…。
そうなんですか!という事は藍の原料は…。
葉っぱ。
これ!?藍をつくるのに世界各地でさまざまな植物が使われています。
にっぽんでは主にこの蓼藍が使われてきました。
蓼藍を育てて染料にする方法は5〜6世紀に中国から伝わり16世紀頃ににっぽんで木綿が広まると木綿がよく染まる藍づくりも盛んになりました。
どうしてこの徳島でこの蓼藍が多く生産されるようになったんですか?それはこの吉野川という川が暴れ川なんです。
しょっちゅう水につかるからお米とかだんだんだんだん台風が来たらやられるでしょ。
ところが藍というのは少々雨が降っても洪水でここが水害になってもこれ自体は腐らない。
それでなぜいいかっていうと瀬戸内海寄りではたくさんイワシが取れるんでそれをここの肥料に入れるわけです。
イワシを肥料に?そう。
そうすると余計…生育がいいわけ。
今度は船に載せて売りに行くのも瀬戸内海航路を使えるでしょ。
もう何もかもがいい条件だったわけですね。
江戸時代から明治時代にかけて徳島で「藍商」と呼ばれる藍を専門に扱う商人がたくさん現れ大きな富を築いていました。
明治時代には400軒を超える藍商がいた事を示す一覧表も残っています。
この一覧表に名が残る藍商の子孫が今も藍の仕事に取り組んでいました。
藍商の一覧に記されていた新居八十太さんのひ孫に当たる修さんです。
(新居白石)はじめまして。
よろしくお願いします。
「藍師」って何ですか?先生。
藍づくりをやる師匠や。
あっその「藍」「師」。
明治時代には15,000haっていう栽培面積つくられとったんです。
それがもう化学染料が入ってくる事になって淘汰されて今はもう5軒しか…5人しかおりません。
じゃあ貴重な存在ですよね。
あの「すくも」をちょっと…。
ああはい。
これが「すくも」。
えっ何ですか?これは。
藍染めの染料です。
葉っぱにしか青色は含まれてませんのでね。
このすくもが出来るまで1年かかるんですよ。
どうしてこの生葉から染めないんですか?すくもにする事によって年中藍染めができる。
年間通して…。
生の葉っぱだったら今…生育した夏の時だけしか染まらないでしょ。
それと「濃く染める」とか「ゆっくり染める」とかそういう事するためにはここまでの努力というのか藍師のそういう力というものが要るわけですよ。
濃い薄いでさまざまな表現ができる藍染めの秘密はどうやらこの「すくも」にありそうです。
一体どうやってつくられるのでしょうか?新居さんにすくもづくりを見せてもらいました。
まずは蓼藍の刈り取りです。
葉が青々と勢いよく茂った6月の中旬に始まります。
刈り取った蓼藍は一晩置かれ翌日の朝から葉と茎に分けます。
すくもにするのは葉の部分。
蓼藍を丸のまま細かく刻み風で飛ばします。
すると重い茎は手前に軽い葉は奥に落ちるのです。
葉だけを集めたら夏の日ざしで乾かします。
乾燥させると何がいいんですか?緑の葉っぱが紺色の葉に変わります。
あっなるほど。
そしたらもう色がそこで定着するんですよ。
定着させるために乾燥させる。
だからもうカリカリの状態に乾かしてやるっていう。
表面が青く乾いてきたらまたこれを裏返して。
何回も何回も裏返してやって均一にね。
もう水分を100%抜いてやる。
乾きかけてるのと…。
あっ違いますね。
天日で干された葉は更に乾燥機にかけてから「ずきん」と呼ばれる俵に入れて保存されます。
これですくもづくりは完成ですか?いやいやまだまだこれから。
たくさんの作業が残ってます。
あっまだ?ええまだまだ。
ええ〜!?大変ですね…。
すくもをつくるためにこのあと一体どんな事が行われるのでしょうか?ところで刈り取ったばかりの蓼藍の葉で染めるとどんな色に染まるのか。
それを確かめられるのは夏の蓼藍の収穫時期しかありません。
白石さんと吉岡さんがやって来たのは…えっ学校?こんにちは〜。
こんにちは。
どうもどうも。
どうもよろしくお願いします。
(生徒たち)お願いします。
これ皆さんが染めたんですか?
(生徒たち)はい。
本校では藍の栽培から染料…すくもの生産でそのすくもを染め液に建てまして藍染めに関した学習活動を展開しております。
それはすばらしい。
ねえ。
すばらしい取り組みですね。
協力してくれたのは授業ですくもの藍染めをしている高校生の皆さんです。
まず刈り取ったばかりの蓼藍の葉をできるだけ細かく刻みます。
それを水を張った容器に入れ30分ほど手でゴシゴシもんで藍の色素を葉から出します。
この時に水に適量の酢を加えます。
先生お酢を入れるのはどうしてなんですか?今までの僕んとこの実験場はお酢入れると藍の色がきれいなんですね。
まだ全然色が出てこないね。
まだ出てないです。
そんな簡単に出ませんよ。
え〜。
みんな筋肉痛こない?きてる人。
あれっ大丈夫?私だけ?十分もんだら葉を…この中に染める布を20分ほどつけ繊維に染料を染み込ませます。
20分ぐらい浸しておけばいいんですか?ずっと動かす。
ず〜っと動かしていくんですね。
繊維と染料によってもちょっと違うんですけど今のところウールとシルクと…動物性のたんぱく質のあるものはよく染まるんですね。
淡い藍色。
これが生葉染めの色です。
(生徒)疲れたけど新しい体験だったのでよかったと思います。
いつもしている藍染めはちょっと青っぽいんですけど今日したのは緑っぽい感じなんで新鮮でいいと思いました。
若い人と一緒にやれてね…。
しかもここは全部一貫してやってられるのはいい事だと思います。
しかし今日意外やったのは僕は生葉染めが一番楽かと思ってたんですけど。
先生。
30分間ず〜っと…。
うちの工房だと朝から晩までやで。
恐れ入りました。
ハハハハ!秋風が吹き始める頃藍染めの染料となるすくもをつくる作業の続きが始まります。
白石さんが再び新居さんのもとを訪ねました。
こんにちは〜。
ご無沙汰してます。
ご無沙汰してます。
今日はこれからどんな作業をされるんですか?「寝せ込み」っていう事で藍の葉を「寝床」っていう所へ移して水をかけて…。
すくもづくりの第一歩なんです。
これから葉を発酵させる寝せ込みに入るのですがこの寝せ込みですくもの出来が決まります。
白石さんも「少しでも役に立ちたい」とお手伝いです。
(新居)下の乾いてる分を表に出してそこへ水を…。
何でしょう…。
(男性)水を含んだらまた重たく。
重くなってきましたはい。
なんかでも出来栄えが違うんですけど。
既に。
私なんかお山を作ってるような感じになっちゃって。
(新居)それはしょうがない。
初めてやもん。
一年ずっと来てくれたら上手になる…。
ハハハ!このあと積み上げた葉の山に水をかけ葉と混ぜて満遍なくなじませてから「むしろ」をかぶせて寝かせます。
そうすると蓼藍の発酵が始まり藍の色素を残して葉が分解されます。
数日ごとに葉の山を混ぜる事を繰り返すとやがて中心部が70℃にも達し発酵がどんどん進んでいきます。
(新居)打つ水の量とか加減とかそういうのは全部長年の経験とこの状態…だから「におい」っていうんもものすごい大事。
一番ピークの時はアンモニアのにおいがものすごいきつくなる。
ツーンとしたような。
うん。
だから涙が出るぐらいのきついきついにおいになってくる。
そのにおいを通り越してだんだんすくもになってきたら今度はそのにおいがまろやかになってくる。
だから目で見て手でつかんであとはにおいとかそういうので発酵の具合を…いい状態に発酵していくようにしてやるのが藍師の仕事やね。
種まいて夏刈り取って乾燥して葉藍にまでするわね。
でここで失敗したらそれまでの努力がパーになるのね。
寝せ込みを始めてからおよそ4か月。
藍の色素がふんだんに閉じ込められた藍師の汗の結晶すくもが完成するのです。
出来たすくもは藍染め職人に託されます。
徳島で江戸末期から続く藍染め工房の6代目…「現代の名工」にも選ばれています。
古庄さんがすくもで藍を染める液を作ります。
すくもですね〜。
これからはどうしていくんですか?塊があったり細かいのがあったりするでしょ。
湿らせながらこねやすくする。
これから混ぜていくんですね。
まずはすくもを「甕」と呼ばれる容器に入れ熱湯と混ぜ合わせます。
この混ざった状態でもう染められるんですか?いやまだ染められないんです。
これからいろんなものを足したりして…。
「藍を建てる」っていうんです。
「藍を建てる」?染める状態にするという事を「建てる」っていう…。
お湯と混ぜたすくもに木の灰の上澄み液に石灰糖分などを加えてかき混ぜます。
これを繰り返し行うのが「藍を建てる」という作業。
1週間ほど続けると…。
古庄さんこれよくたっていますね泡が。
これ何ですか?「藍の花」っていうんです。
花。
藍の花?藍が建ってきたらこの中で染める事ができるという。
じゃあこれはしるしみたいなものなんですか。
アハハ!甕がOKと言ったら「染めていいよ」という…。
早速木綿の布を染めてみます。
表面だけ見ると何をされてるのか分からないですけど…。
ジッと中につかってないと駄目なの。
見たくなるけど見ちゃ駄目なの。
そうですね。
出してみましょうか。
はい。
こんな色です。
茶色…。
だんだん変わってきてるでしょ。
茶色からどんどん青みが。
ジワーッと色が変わってきてますね。
あれ?こんな色です。
わっ!茶色から緑で緑からまた…。
きれいな青色になる。
引き上げた時の色と全く違いますね。
マジックみたい。
じゃあいきます。
白石さん藍染めを体験させてもらいました。
自宅で使うランチョンマットを藍色のグラデーションに染めようとしています。
大体この辺ぐらい。
大体何分ぐらいつけておけばいいんですか?3〜5分ぐらい。
5分長いですよ。
長いですよね。
思ってるより5分って長いんですよ。
額からまたなんか汗がほとばしってると思うんですけど。
さてきれいに藍色のグラデーションに染まるでしょうか?藍染めの布を日々の暮らしの中に取り入れて楽しみましょう。
教えて下さるのは…こちらは高山さんが藍のはぎれで作った作品。
(高山)藍はガラスにも塗りにも陶器にもよく合います。
一年通じて私はこういうふうに楽しんでいます。
高山さんにこのコースターの作り方を教えてもらいましょう。
(高山)材料はこちらの大きさのはぎれを2枚用意して下さい。
0.5cmの縫い代をつけて布を裁ちます。
返し口の印もつけておきましょう。
裁った2枚の布を中表に合わせぐし縫いします。
そして出来上がり線より0.2cm外側をグルッと一周縫います。
その時糸端は10cmほど残しておきます。
次に出来上がり線より直径が0.4cm小さい型紙を置き先ほど残しておいた糸を引き布を絞ります。
形を整えてアイロンをかけ縫った糸は返し口の部分をほどいて開けておきます。
次に布を表に返します。
そして返し口を閉じて出来上がりです。
四角形のコースターの場合はぐし縫いで糸を引き絞る必要はありません。
アイロンで縫い代を倒したあと表に返し返し口を閉じれば出来上がりです。
大きさや柄を変えいろいろ作って楽しんで下さい。
藍の布が少しあれば気持ちが豊かになります。
皆さんも何か藍の小物を作って楽しんで下さい。
さて白石さんの藍染めはどうなったでしょうか。
一度染めた所の半分をもう一度染めてグラデーションをつくろうとしていますよ。
そろそろゆっくり上げて下さい。
はい。
いかがでしょう?ええんちゃう?お〜!ほんとですか?ねえ。
いい頃合いですか?ではいきますね。
白い方から。
思い描いた藍色のグラデーションに染まっているでしょうか?うわっあっ!色が変わった!深海の色になりましたねこれ。
うわ〜!ああきれいになりましたね。
いかがですか?まあ上出来ではないですか。
上出来!うわ〜うれしい。
なんか改めて「ジャパンブルー」と言われてる色なのに成り立ちとか製法とか大変なところをいくつか知ってからこの藍を見るとよりなんかいとおしくなってきます。
商品として並んでるだけやなくてそういう風土の場所に行って風を感じて実際やってみて。
藍のつくり方まで見てで実際やってみると。
そういう旅もいいもんじゃないですか。
そうですね。
ありがとうございました。
ご主人もほんとにありがとうございました。

(テーマ音楽)2014/12/09(火) 21:30〜21:55
NHKEテレ1大阪
趣味Do楽 にっぽんの布を楽しむ〜訪ねて・ふれて・まとう〜 第2回「藍染め」[解][字]

見ているだけで心引かれる「にっぽんの布」。魅力の秘密を日本各地の産地に探る。今回は女優・白石美帆さんが藍を訪ねて徳島へ。藍染め布のコースターの作り方も伝授。

詳細情報
番組内容
見ているだけで心引かれる「にっぽんの布」。魅力の秘密を探りに、染織史家・吉岡幸雄さんの案内で、日本各地の産地を訪ねる。今回は女優・白石美帆さんが、染めに使う藍が作られる徳島へ。「ジャパンブルー」として世界に知られる藍は、古くから日本の生活に根付いてきた。濃淡で様々な表情を見せてくれ、今も愛好者が多い。藍染めの布で暮らしを彩っている古裂細工作家・高山順子さんは、藍染め布のコースターの作り方を伝授。
出演者
【講師】染織史家…吉岡幸雄,古裂細工作家…高山順子,【生徒】白石美帆,【出演】新居修,川西和男,藍染め実習の高校生たち,古庄紀治,【語り】一柳亜矢子

ジャンル :
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
趣味/教育 – 園芸・ペット・手芸
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
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