(萌絵)
前回の『すべてがFになる』
フィギュアイベント会場で発見された頭部のない遺体
その部屋にはほぼ同じ時刻に起きた別の殺人事件の容疑者が倒れていた
(萌絵)きっと本当の犯人が寺林さんに罪を着せようとしているんです。
(寺林)僕が犯人だと思いますか?違うと思います。
(犀川)注目すべきは筒見明日香さんの頭部が切断された最初の事件。
1つの部屋の中に頭部のない遺体と犯人が存在した。
それが最大の命題だよ。
そして被害者の兄筒見紀世都のアトリエで奇妙なショーが始まった
(紀世都)うお〜!
(笑い声)明日香さん…。
そうだよ。
嫌〜!
(泣き声)面白かった?おやすみ。
(男性)断面2次モーメントと断面係数の違いは分かりますか?中立軸からYの距離にある曲げ応力度の大きさはシグマイコールI分のM掛けるYで与えられます。
(ドアの開閉音)先生実は私昨日…。
(犀川)筒見紀世都さんのアトリエに行ったそうだね。
安朋さんに聞いたんですね。
(ため息)もしかしたら犯人は紀世都さんかもしれません。
どうしてそう思うの?アトリエに明日香さんのフィギュアがあったんです。
妹をモチーフに作品を作った。
ただそれだけのことじゃないかな。
等身大で妹さんそっくりの人形ですよ?あんなの芸術作品なんかじゃないですよ。
それは誰にも判断できない。
紀世都さんは妹の明日香さんに対して異様な偏愛を持っていた。
妹の顔をそのまま自分の作品にしたかった。
だから頭部を持ち去ったのではないでしょうか?だったら全身全て持っていくはずだよ。
全身を運ぶのは目撃されるリスクが高いから避けたのでは?ではなぜ明日香さんを公会堂に呼び出したんだろう?それはちょうどイベントの最中だったから…。
むしろアトリエに呼び出した方が安全かつ確実に目的を達成できたはずだ。
先生はやっぱり寺林さんが怪しいと思ってるんですか?命題は「1つの部屋の中に頭部のない遺体と犯人が存在した」ですものね。
まったく分からない。
とにかくあの場所で殺害して頭部だけを持ち去る行為はあまりにも不合理だ。
だから犯人の本当の狙いは明日香さんの頭部ではなかったんじゃないかそんな気もする。
んっ?どういうことですか?ん〜…。
うまく言えないけどきっと僕たちはまだほんの一部しか見てないんだよ。
もしかしてまだ何か起きるかもしれないってことですか?
(ドアの開く音)
(儀同)創平君お待たせ〜。
昨日はごちそうさま。
ああ。
(儀同)あら?お邪魔だったかしら?犀川先生私は1人で調べますから。
失礼します!
(浜中)西之園さん!西之園さん!西之園さん?ハァ〜もう何ですか?
(浜中)はいこれ。
ラブレター。
えっ?
(浜中)違うよ。
僕からじゃないよ。
君のすてきな彼氏から。
彼氏?
(浜中)けさすっごいイケメンの人が入ってきてこれ君に渡してくれって頼まれちゃったんだよね。
もしかしてその人って…。
(浜中)筒見紀世都って人。
ちょっ…。
(浜中)どうしたの?もしもし。
(寺林)もしもし。
西之園さんですか?はい。
あの病院でお会いした寺林です。
あっ寺林さんどうしたんですか?
(寺林)実は病院を抜け出したんです。
・えっ?
(鵜飼)いったいどうなってんだ!
(片桐)見張りの目を盗んで窓から出たようです!窓?
(片桐)はい!雨水用のパイプを伝って下まで!
(鵜飼)えっこれ!?ここから!?
(片桐)はい!はい!
(鵜飼)おい!まだ見つからないのか?何でそんなことしたんですか?警察に余計怪しまれますよ。
(寺林)どうしても確かめたいことがあって。
すいません無理なお願いを聞いてもらって。
何で病院を抜け出したんですか?あなたにこれ以上迷惑掛けるつもりはありません。
タクシー代が必要なんです。
5,000円だけ貸していただけませんか?必ずお返しします。
どこに行くつもりですか?教えてください。
じゃなきゃお金は貸せません。
紀世都君の所です。
えっ?どうして…。
けさ紀世都君が僕に模型の雑誌を届けてくれたんです。
警察の方が受け取って渡してくれたんですが…。
これ。
(紀世都)「僕が死んだらブルーメタリックからエメラルドグリーンのグラデーションを塗ってください」「僕はそいつを知っている」「そいつは僕が知っていることを知っている」紀世都君は犯人が誰なのか気付いているのかもしれない。
私がもらった手紙と同じ。
西之園さんも?「これは保険だ」って書いてありました。
きっと自分の身にもしものことがあった場合のためにメッセージを残しておいたんですよ。
じゃあ誰かに狙われてるってことですか?行きましょう。
何なんだ?今のは。
会場に無料で入れるっていうから入隊したの。
地球防衛軍。
ふ〜ん。
これで今日から君も地球防衛軍の一員だ。
ジャキ〜ン!はい!もしもし。
安朋さん?
(大御坊)萌絵ちゃん?今ね寺林君が逃げたって警察から連絡があったのよ。
そうなんですか。
(大御坊)もしかして萌絵ちゃん彼のこと知らないかな〜って思ったんだけど。
いっいや…。
さあ。
知りません。
萌絵ちゃん私は警察じゃないのよ?寺林君を心配しているの。
もちろんあなたのことも。
ごめんなさい。
ホントは今一緒なんです。
もしもし。
実は紀世都君から連絡がありまして…。
(儀同)急にフィギュアが見たいなんてどうしたの?ん〜…こういった作品はどれぐらいの価値があるんだろうか?ここに並んでるのは一流モデラーのオリジナルだから50万円以上の値段は付くんじゃないかしら?私も取材に来る前に勉強したんだけどね。
ふ〜ん。
オリジナルの原型っていうのはこの世に1つしかないからとっても貴重なんですって。
これで雌型を作ればいくらでも同じものが作れるでしょ?雌型?
(儀同)そう。
シリコンとかに入れてへこんだ状態で固めた型を雌型って言うらしいの。
そこに合成樹脂を流し込めば同じフィギュアができるでしょ?雌が雄を生むのよ。
なるほど。
(喜多)萌絵ちゃん!
(大御坊)寺林君!あんた何やってんの!心配したわよ!
(寺林)すいません。
紀世都君のことが心配で。
会ったらすぐに病院に戻りますから。
(大御坊)私もさっきから紀世都君に連絡してんだけどまったく通じないの。
行きましょう。
(寺林)紀世都君!
(大御坊)紀世都君いるの!?・
(音楽)
(喜多)あっ?
(大御坊)何これ。
(喜多)何だかすごいな。
(寺林)紀世都君僕です!寺林です!
(大御坊)寺林君いいじゃない。
紀世都君はこれが見せたいのよ。
ゆっくり拝見しましょうよ。
・
(『夢みるシャンソン人形』の歌声)
(大御坊)紀世都君が歌ってんのね。
(喜多)何とも幻想的だね〜。
創平と見たかった?いいえ!全然。
(寺林)紀世都君もういいよ!僕は君と話がしたいんだ!あっロケットです。
服が汚れますよ。
(喜多)えっ?これは汚れてでも見るべきよ。
(喜多)はっ?
(喜多・大御坊)うお!おっ!あ〜!えっ?
(大御坊・喜多)あっ…!あっ。
これ水じゃないです!アルコールです!
(大御坊)ちょっとこれ冗談じゃないわよ!紀世都君!紀世都さん!ちょっと萌絵ちゃん!危ない!でも紀世都さんが!分かった分かった!俺が見てくる!萌絵ちゃんは外に出てて!
(喜多のせき)
(大御坊)ちょっと萌絵ちゃん!
(寺林)西之園さん!
(大御坊)萌絵ちゃん戻んなさい!喜多先生!紀世都さん?
(喜多)触らない方がいい。
(寺林)もう限界です!
(大御坊)萌絵ちゃん!喜多君!急いで!行こう。
いやでも…。
運びだすのは無理だ。
さあ。
早く。
(大御坊)はい!早く早く!萌絵ちゃん!喜多君!あっ…。
(喜多)うっ!
(警察官)下がってください!あっ関係者です。
(警察官)下がって。
西之園君。
(大御坊)遅いじゃない犀川君!いや何があったの?紀世都君のアトリエに行って芸術作品を見ていたら途中で火事になっちゃって大変だったのよ!喜多先生が私のことを助けてくれたんです。
喜多は?
(喜多)あ〜!悪いな創平。
おいしいところはぜ〜んぶもらっちゃったぞ。
君の味覚は理解しがたい。
(喜多)お前な…!
(大御坊)じゃあ私たち病院行くわね!「私たち」って言うなお前!誤解されるだろお前!お願いします!お願いします!出してください!筒見紀世都さんが亡くなりました。
バスタブの中で感電死していたんです。
(片桐)はい。
すぐに鑑識に回します。
片桐さん。
(片桐)あっ西之園さん。
犀川先生。
どうしたんですか?
(片桐)筒見紀世都のアトリエで妹の明日香さんの頭部が見つかったそうです。
えっ?
(片桐)筒見紀世都は妹を殺害しその頭部と一緒に自殺したということですね。
失礼。
手紙のとおりになった。
どういうこと?私紀世都さんからこんな手紙をもらってたんです。
もしものときの保険だった…。
紀世都さんは本当の犯人を知っていた。
だから殺されたんです。
紀世都さんは犯人じゃない。
本当の犯人が明日香さんの頭部を運び入れたんです。
それで紀世都さんを殺害して自殺と見せ掛けて犯人に仕立てたんです。
だったら犯人はなぜ火事なんて起こしたんだろう。
えっ?頭部を運び入れて紀世都さんを感電死させ自殺に見せ掛けるだけで十分だよね。
火事なんか起こしたらせっかく用意した遺体や頭部が残らず燃えてしまう可能性だってある。
そうですね。
それに今まで散々不合理な行動をとってきた犯人がいまさら偽装工作なんていう補完作業をするだろうか?じゃあどういうことですか?ん〜…分からない。
ただ1つだけ確かなことがある。
今回の相手に対しては論理的アプローチがまったく意味を成さないということだ。
・
(寺林)西之園さん。
寺林さんどうしてここに?今日退院しました。
びっくりした。
また抜け出したのかと思いました。
(寺林)抜け出したことはこっぴどく叱られましたよ。
でも警察の興味はすっかり紀世都君に移ったみたいでようやく解放されました。
私も警察でさっきまで昨日のことを聞かれてました。
(寺林)でどうしてうちの大学に?河嶋先生にお会いしようと思ったんですが留守でした。
(寺林)河嶋先生に?私やっぱり上倉裕子さんの事件については河嶋先生が一番怪しいと思うんです。
先生が上倉さんを殺したっていうんですか?河嶋先生には動機がありますし実験室の鍵の状況も知っていましたから。
寺林さん河嶋先生について何か心当たりありませんか?そういえば紀世都君のアトリエの近くのアパートに先生が趣味の部屋を借りてましたけど。
場所は分かりますか?ええ。
一度お邪魔してますから。
あっ連れてってください。
いやでも…。
寺林さん私どうしても紀世都さんが犯人と思えないんです。
それは僕も同じです。
あっだったら私と一緒に答えを見つけませんか?お願いします!・
(ノック)
(大御坊)こんにちは。
まあ。
あなた…女性?
(国枝)失礼ですがあなたは男性ですか?大御坊です。
初めまして。
萌絵ちゃんのいとこにして犀川創平の中学からの同級生。
果たしてその実体は…。
私おなかすいているんです。
さっさとその手土産出してくれませんか?
(大御坊)おっ…。
あっあのお茶でも出しましょうか?あらあなたカワイイ顔してるわね〜。
(浜中)あっいや…。
(大御坊)えっ?喜多大丈夫だった?
(大御坊)うん。
一応検査入院してるけどあしたには退院できるんじゃないかしら?ねえ親友でしょ?お見舞いに行ってあげたら?優先順位としては極めて低い。
いや今のところ選択肢にもない。
相変わらずね〜。
こっちは朝から警察に呼ばれて昨日のことを根掘り葉掘り聞かれて大変だったのよ〜。
で持ってきてくれた?はいお目当ての品。
一番奥の104号室です。
ここです。
それはまずいんじゃ…。
・
(『夢みるシャンソン人形』の歌声)
(国枝)何かの宗教の儀式ですか?これ。
嫌ね〜芸術が分からない人は。
ていうかあなた手づかみで食べるのやめなさいよ。
この方が洗い物が増えなくて合理的です。
あっ。
何か今光りましたよね?
(大御坊)そう?
(浜中)白く光りましたって。
ほらまた!いっ…えっ?はい。
・
(音楽)紀世都さんはどういう状態だったの?
(国枝)うるさい!
(大御坊)その奥のバスタブの中で裸で見つかったらしいわ。
なぜか全身真っ白にペイントされていたらしいのよね。
《模型》《2つの密室と2つの遺体》《単なる人形》《なぜ頭部を?》《完璧なフォルム》《不合理である》《マーダープロップ》《感電死》《真っ白に塗られた遺体》《雄は雌から生まれる》《僕にはまったく理解できない》《恐れるものがないというのか?》《受け入れる他ない》
(犀川たち)《命題は証明された》犀川君ちょっと大丈夫?どうしたの?急に怖い顔しちゃって。
(メールの着信音)ちょっと犀川君?
(寺林)これフィギュアのキットです。
河嶋先生もフィギュアに興味が?
(寺林)紀世都君だよ。
奇麗だろ?ここ本当は僕の趣味の部屋なんだ。
西之園君!
(寺林)止まって!あなたは誰ですか?彼女の担当教官の犀川です。
ようやくあなたにお会いすることができました。
寺林さん。
フィニッシュワークで慌てたくない。
そんなの台無しだ。
でもあなたの行動によっては今すぐ彼女を殺しますよ。
これからどうするつもりですか?どうするつもり?そんなことぐらい分かるでしょう?「それをした後どうするつもりか」という質問です。
よかった。
ちゃんと思考できる人が来てくれて。
下がって。
眠ってるうちにやったらつまらない。
僕にスイッチを押させないでくださいよ?先生。
あなたはもう逃げられない。
そんなことをしたらあなたは破滅ですよ。
破滅って何ですか?このとんでもなく不自由でつまらない世の中から抜け出すことでしょうか?今よりもっと不自由になり好きな模型も作れなくなるということです。
そんなさまつなことに影響されて僕は生きていません。
もうね十分なんですよ。
面白いところは終わってしまった。
なぜ筒見明日香さんの頭部を切断したのですか?先生はどう思います?紀世都さんのときの予行演習だった。
これは驚きだ。
うれしいな。
あなたの本当の目的は最初から筒見紀世都さんだったんですね?僕はただ彼の型をとりたかった。
美しい完璧なフォルムのこの雌型をね。
その型どりを明日香さんの頭部で練習したのですね。
ええ。
頭の一部が陥没しているのが少し残念でしたがフェース部分の型どりという意味では有意義な練習になりました。
なぜ頭部だけを?運びだすのが簡単だったからですか?それは違いますね。
シリコンというのは大変高価な材料なんですよ。
全身の型をとっていたら材料費だけで100万近く掛かってしまう。
なるほど。
ところで…。
本番はうまくいったのですか?ええ。
とても満足しています。
感電死させてから型をとったのですね。
そうです。
原型に傷なんか付けるわけにいきませんからね。
僕は無傷で死んだ状態から完璧な型をとりたかった。
紀世都さんは抵抗しなかったのですね?まったく。
《やっぱりね》《寺林さんなら分かってくれると思ってました》《紀世都君…》《前からあなたの視線には気付いてました》
(紀世都)《欲しいんですよね?》《この形が》《美しい》《明日香はもういない》
(紀世都)《僕にとっての究極の形はもう壊れてしまった》《好きにしてください》
(寺林)《OK》紀世都さんは覚悟していたのですね?妹の死を悲観し絶望していたからですか?命の問題ではないんですよ。
紀世都君にとっては明日香さんが究極の形だった。
だがその頭部が欠けてしまった。
分かりますか?彼は妹の形が壊れてしまったことに絶望していたんです。
しかし僕は違う。
究極の形を雌型としてこの世に残すことができた。
アトリエに火を放った一番の理由は筒見紀世都さんというプロトタイプを破壊するためだったのですね。
分かってくれますか?紀世都君が消えれば僕の雌型がオンリーワンになる。
紀世都君は僕だけのものになる。
ああ幸せだ。
先生もきっと同じですよね。
純粋に好きなことだけに没頭したい。
そう思うときがあるんじゃないですか?モデラーとしてのあなたの美学は分かりました。
しかし西之園君を殺すことはその美学とは懸け離れていませんか?確かにそうかもしれない。
でも上倉さんを殺したとき僕は新たなジャンルを知っちゃったんですよ。
生から死へと向かう瞬間。
その一瞬だけしか見られないはかない美しさがあるって。
それはモデラーの美学とは関係ないはずです。
同じですよ。
モデラーが求めるのは境界を超えるプロセスです。
キットを組み立てるプロセス。
生から死へのプロセス。
形が変わる。
歴史が変わる。
人はみんなその瞬間を見たいだけなんだ。
戦争の理由だって同じですよ。
考えてみてください。
領地資源宗教そんなもの全部見せ掛けの理屈にすぎない。
そうやって分析して安心しているだけのことだ。
違う。
そんなちんけな欲望ではない。
ただ人間は推移のプロセスを…。
はいはいはいはいはい。
もう結構です。
(ため息)あなたの思想には興味がない。
理解したくもない。
僕が向き合ってるのはこの現実だけです。
お説教でも始めるつもりですか?いえ。
具体的な提案をします。
彼女の代わりに僕ではいけませんか?彼女のために?死んでもいいっていうんですか?ええ。
ハハハハハ…。
やめてくださいよ気持ち悪いな。
そういうの大嫌いなんだ。
まったくバカバカしい。
僕では駄目ですか?駄目ですね。
あなたじゃ満足できない。
論外だ。
彼女を殺したら僕はあなたを殺します。
そうしてくださって構いませんよ。
その覚悟はしています。
さああとは一緒に彼女の意識が戻るのを待ちましょう。
それで全て終わりだ。
異常ですね。
そうです。
だけど今まで人から異常だと言われたことは一度もありませんよ。
想像するのは自由ですから。
それを実行に移した自分の決断力と勇気を褒めてやりたい。
んっん〜…。
もうすぐだ。
あっ…!
(寺林)うっ…。
うっ…。
西之園君!逃げるんだ!
(大御坊)おら〜!おい!
(大御坊)おら〜!大御坊…。
大丈夫?ああ…。
西之園君は?
(大御坊)気を失ってるだけみたい。
よかった…。
(大御坊)やるじゃない犀川君。
まあ地球防衛軍だからね。
ジャキ〜ン…。
(大御坊)えっ?はい先生。
ありがとう。
先生ありがとうございました。
んっ?何が?んっ?聞きましたよ。
犀川先生があのアパートに駆け付けて寺林さんをやっつけて私のことを助けだしてくれたんですよね?それは事実と異なる。
僕は寺林さんと話をしていただけでそこに大御坊が駆け付けて君を救ってくれた。
え〜全然ロマンチックじゃない。
何の話をしてたんですか?寺林さんと。
モデラーの美学について。
ハァ〜。
結局命題は証明されましたね。
何で気付いたんですか?寺林さんが犯人だって。
きっかけはリモコンかな。
リモコン?君たちが紀世都さんのアトリエに行ったとき寺林さんは赤外線リモコンで照明装置や録音していた紀世都さんの声を操作していたんだよ。
大御坊が撮影した映像にそのリモコンの光が映っていた。
それが唯一の証拠となった。
でもアトリエにいるときそんな光見えませんでしたよ。
人間の目には見えないんだよ。
ビデオカメラの方がセンサーが感知する波長帯が若干広いからね。
歌や声も紀世都さんの芸術作品の一部としてもともと用意されていたものですか?そう。
それを寺林さんが利用しただけ。
紀世都さんはあのときすでに亡くなっていた。
病院を抜け出した寺林さんはアトリエに行って紀世都さんを殺害した。
そして遺体をシリコンに入れて型どりした。
紀世都さんの体が白かったのはそのときに塗った剥離剤だよ。
剥離剤?シリコンと遺体が付着しないように剥がれやすいようにするための薬剤さ。
シリコンが固まるまでの間寺林さんは例の芸術作品の準備をした。
中身の液体をアルコールに変えただけだけどね。
そして出来上がったシリコンの型をあのアパートまで運んだ。
でも何でその後に私が呼び出されたんでしょうか?西之園君を殺害するためだよ。
えっ?どうして私を?君の形が好きだったみたいだよ。
気持ち悪。
寺林さんは君をアトリエに連れていき君を殺すつもりだった。
そしてあの芸術作品を作動させ紀世都さんや明日香さんや西之園君全てと一緒に自分も焼け死ぬつもりだった。
じゃあ喜多先生と安朋さんが来なかったら私は…。
うん。
ここにはいないだろうね。
(ドアの開く音)
(喜多)もしかしてまたおいしいところ持ってっちゃったかな?喜多先生。
安朋さん。
(大御坊)萌絵ちゃんもう大丈夫なの?はい。
あっ今からコーヒー入れますね。
お二人は何しろ私の命の恩人ですから。
(喜多)ありがとう萌絵ちゃん。
よう。
ああ。
(大御坊)あ〜。
でもまさか寺林君が犯人だとはね〜。
私完全にだまされましたね。
どうしてかしら?あの人本当にそんな感じしなかったんです。
どことな〜く犀川先生に似ていて…。
彼にとってはごく自然なことだったんだよ。
自然?彼は全然無理していなかった。
それこそ趣味の一環だったんだよ。
3人も殺して趣味だったなんて…。
1つだけ誤解していることがある。
寺林さんは3人も殺していない。
えっ?えっ?上倉裕子さんを殺した犯人は別だってことか?上倉さんを殺したのは寺林さんだ。
それは本人も言っていた。
だが公会堂で明日香さんを殺したのは彼じゃない。
じゃあ誰が明日香さんを?上倉裕子さんだよ。
(3人)えっ!?あの夜上倉さんは明日香さんを呼び出して用意してきた凶器で明日香さんを殴ったんだろうね。
しかしそのとき偶然廊下に出てきた人物を上倉さんは殴ってしまった。
まさかそれが寺林さんとも知らずに。
上倉さんは寺林さんを殺してしまったと思った。
だが自然を装うために実験室に戻り凶器を流しで洗い寺林さんを待ってるふりをしたんだ。
それで実験室の流しから明日香さんの血痕が検出されたんですね。
寺林さんは暗闇で殴られ目を覚ましたときに明日香さんが近くに死んでいただけなんだ。
じゃあ誰が明日香さんの頭部を?それは寺林さんだ。
(寺林)《明日香さん》彼は明日香さんの遺体を見て首を切り落としたくなったのさ。
どうしてですか?明日香さんの頭部で型をとる練習がしたかったんだよ。
型?
(喜多)練習?ところがそこで寺林さんは上倉さんと待ち合わせをしていることを思い出した。
寺林さんは実験室に顔を出すことにした。
上倉さんに捜されでもしたら頭部が手に入らなくなる可能性があるからね。
さてそこで何が起こっただろう?そりゃ上倉さんはびっくりだわね。
幽霊が来たと思ったんじゃない?そう。
その反応を見て寺林さんは気付いてしまった。
自分と明日香さんを襲ったのが上倉裕子だという事実に。
じゃあ復讐をするために寺林さんは上倉さんを?いやいや。
彼はとにかく明日香さんの頭部が欲しかっただけだ。
そのために上倉さんが邪魔だっただけだよ。
ただそれだけの理由で殺すなんて異常だな。
同感だね。
だが彼の頭脳は明晰だ。
上倉さんを殺害した後彼は一見無謀とも思える策を考えだした。
それが殺人現場に自分が倒れていることだった。
まず彼は上倉さんの遺体が発見されるのを遅らせるという極めて単純な目的で実験室のドアに鍵を掛け出発した。
そして明日香さんの頭部を切断しアパートに持ち帰りシリコンで型をとった。
作業を終えた寺林さんは京浜工業大学の駐車場に車を止めそこから徒歩で公会堂へ向かった。
そして公会堂の控室に戻ると内側から鍵を掛けて明日香さんの遺体の隣で眠ったんだ。
ぐっすりとね。
信じられない。
普通の人間の行動パターンではとても説明できない。
何も恐れない彼だけがとれる作戦だよ。
事実その不合理な行動が逆に真相を隠していたのさ。
でも何で上倉さんは明日香さんを…。
寺林さんと明日香さんの仲を誤解して嫉妬したのか何なのかはまあその辺りは推測するしかないけど。
嫉妬?それだけ?あら嫉妬は人間を狂わせんのよ。
萌絵ちゃんはそんな経験ない?私は…。
ごめんなさい叔父さま。
また心配かけてしまって。
(捷輔)寺林の供述調書を読んだよ。
えっ?本来ならば一般人に公表すべき情報ではないんだが犀川先生は絶対に君に言わないだろうから伝えておく。
先生は君を助けるために自分が身代わりになって死んでもいいと寺林に申し出たそうだ。
おそらく先生にとって君は掛け替えのない存在なんだろう。
君にとって先生がそうであるようにね。
萌絵。
君は本当にたくさんの人に愛されてるね。
でもねそれだけたくさんの人に心配もかけているんだということをしっかりと自覚しておきなさい。
・
(儀同)あら西之園さん!ちょうどよかった。
今創平君にお土産届けたところ。
一緒に食べてね月餅。
もうお帰りですか?あっ…お客さまがいるし私は近くまで来ただけだから。
じゃあ。
あの!儀同さんは先生の恋人なんですか?ハハハハ…。
私人妻よ。
えっ!?えっじゃあ不倫?創平君は私の実の兄よ。
えっ?これからも創平君をよろしくね西之園さん。
えっ…。
あっあのこちらこそよろしくお願いします。
(笑い声)犀川先生!うわ…!おっと!西之園君放しなさい!
(喜多)あらら?一気に進展?
(大御坊)いいわね〜私たちも進展しちゃう?
(喜多)「私たち」って言うなお前。
誤解されるだろ。
君は何を考えてるんだ。
理解に苦しむよ。
私ずっと悩んでた問題解けちゃいました。
何だい?秘密です。
フフフフ。
いただきます。
(喜多・大御坊)どうぞ。
(大御坊)秘密って何なの?えっ?秘密?
(紀世都)「切り取られた四角い視覚が死角」「教会を右に見て真っすぐ進むと畑の向こうに大きな倉庫が見える」「そのすぐそばに隠れるようにして立っている小屋が見えるだろう?」「そのどちらかに明日香の頭部がある」「近くに首を切ったやつが今でも立っているよ」「何のためにそこにいるのかって?」「これは保険なんだ」「グッバイ」・
(捷輔)先生。
あっ…。
(捷輔)どうぞ。
失礼します。
珍しいですね直接会いたいなんて。
今回の事件のことで1つだけ確認したいことが。
あっ…はい。
何でしょう?先生は萌絵からのメールを受け取って寺林のアパートに向かったんですよね?ええそうですが。
しかし萌絵はそんなメールは送っていないと証言しています。
送信記録も残っていませんでした。
(四季)《あっ…》私は萌絵のことが心配なんです。
両親を事故で失って以来萌絵は人の死に対する感情が抜け落ちてしまっている。
自分の命すら大切にできていないんじゃないかという気がするんです。
ひょっとしたら萌絵はまだ心のどこかで「死にたい」と思ってるんじゃないでしょうか?2014/12/09(火) 21:00〜21:54
関西テレビ1
すべてがFになる #08[字]【殺人者の異常な愛情】
2つの密室と2つの遺体!密室にいた容疑者?深まる謎…殺意の先に見えた殺人者の異常な愛情!?消えた頭部の行方と不合理殺人に挑め!武井咲 綾野剛 山本耕史
詳細情報
番組内容
西之園萌絵(武井咲)は、筒見紀世都(中島歩)のアトリエに明日香(山川紗弥)の等身大のフィギュアがあったこと、異常としか思えない一面を目撃したことから、明日香を偏愛する紀世都が彼女を殺害したのでは、と犀川創平(綾野剛)に話す。
そこへ、儀同世津子(臼田あさ美)がやってくる。犀川に対する世津子の親しげな態度にいらだち萌絵は研究室を出る。すると、浜中深志(岡山天音)が来て封筒を手渡した。紀世都から
番組内容2
送られたその手紙を読んだ萌絵はどこかへと向かうが、そのとき、寺林高司(山本耕史)から連絡が入る。寺林はどうしても調べたいことがあり病院を抜け出したという。萌絵が問い詰めると、紀世都のところに行くつもりだと明かした。
萌絵と寺林が紀世都のアトリエの前に来ると、喜多北斗(小澤征悦)と大御坊安朋(小松和重)に声をかけられる。紀世都と連絡が取れないため、心配して来たのだと大御坊は言う。4人でアトリエに
番組内容3
入ると、そこはロウソクの光が蛍のように点灯する幻想的な空間だった。紀世都の姿は見当たらないが、大御坊は、紀世都はこれを自分たちに見せようとしているのでは、と鑑賞し始める。そのとき、大きな機械音が響き、アトリエに置かれたペットボトルのロケットが四方に発射される。ペットボトル内の液体が雨のように巻き散らかされるが、それはアルコールでロウソクに引火し炎が上がる。煙が立ちこめるなか萌絵が紀世都を探すと…。
出演者
武井咲
綾野剛
小澤征悦
早見あかり
戸次重幸
水沢エレナ
/
吉田鋼太郎
ほか
スタッフ
【原作】
森博嗣「すべてがFになる」他S&Mシリーズ作品(講談社文庫)
【脚本】
黒岩勉
小山正太
【音楽】
川井憲次
【主題歌】
ゲスの極み乙女。「デジタルモグラ」(ワーナーミュージック・ジャパン/unBORDE)
【編成企画】
成河広明
加藤達也
【プロデュース】
小椋久雄
貸川聡子
【演出】
城宝秀則
小椋久雄
小林義則
【制作】
フジテレビ
スタッフ2
【制作著作】
共同テレビ
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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