もしあなたが自分のことを自分で決められなくなったらどうしますか?知的障害のあるアンディさんです。
判断力が不十分であるとして子どもの頃から親に決められたとおりの人生を歩んできました。
しかし2年前周囲に支えられながら…今は自分らしく生きる事の喜びをかみしめています。
誰もが自分で自分のことを決められる社会を目指して。
障害者権利条約が採択されて8年。
世界の国々がその理念の実現に向け取り組んできました。
日本でも自分のことは自分で決めたいという声が高まっています。
精神障害のあるこの男性自分のお金の使いみちを自分自身で決められない事にもどかしさを感じています。
「シリーズ変わる障害者支援」。
第1回は自分のことは自分で決めたいという声に耳を傾けます。
こんばんは。
「ハートネットTV」です。
今月3日から9日までは国が定めた障害者週間です。
番組では3回のシリーズで今大きく変わろうとしている障害者支援について考えていきます。
日本は今年1月障害者権利条約を批准しました。
この条約の中で注目されている理念の一つに誰もが自分のことを自分で決められる社会の実現を掲げています。
ゲストはタレントの奥山佳恵さんです。
よろしくお願いします。
私の次男はダウン症で障害があるんですね。
なので将来…まだ3歳なのでこれから成長が楽しみなんですが将来彼の気持ちがどういうものなのか?親が思うよかれを押しつけちゃいけないんだよな〜って思うんですよね。
これまで障害のある人への支援というのは今おっしゃったように家族や支援者などがよかれと思ってする保護の視点がほとんどだったんですよね。
でも中には障害のある人本人の自分のことは自分で決める権利が置き去りにされてきたというような批判があります。
精神障害のある男性を取材しました。
(ヘルパー)今日お風呂にします?1人暮らしをしている精神障害のある男性がいます。
20代の頃統合失調症と診断されました。
集中力が続かず一人では片づけや炊事洗濯はできません。
そのため毎日ヘルパーの手を借りて暮らしを維持しています。
(ヘルパー)いいですよ。
お風呂入る準備お洋服とタオルの準備お願いしていいですか?はい。
身の回りの世話をしてくれた母親が認知症で施設に入所したのは2年前。
一人でも自宅で暮らし続けたいという島野さんに対し保健所の担当者が勧めたのが…この制度では精神障害や認知症のため判断能力が不十分な人に対し後見人などが介護サービスの契約や財産管理などを本人に代わって行います。
島野さんは後見業務を担っている地元のNPOにお願いしてヘルパーを雇う契約を代行してもらいました。
そのおかげで住み慣れた我が家で健康的な暮らしを続ける事ができています。
一方で不自由さを感じる事もあります。
(チャイム)こんにちは。
典夫さん入りますよ。
・
(島野)はいどうぞ。
後見業務を担っているNPOの職員野口友子さんです。
ヘルパーさん何て言ってました?
(島野)ヘルパーさんはあの…。
野口さんたちは島野さんが日常生活で使うお金の指導も行っています。
一日に使えるお金は1,000円。
もっと必要な時には野口さんたちに相談し了解を得なくてはなりません。
はい。
島野さんは以前有り金をはたいて食べきれないほどのお菓子を買いおなかを壊した事がありました。
そこで野口さんたちは島野さんが生活費を使い果たして困らないようお金の指導を始めたのです。
お金を自由に使えなくなった事のしわ寄せは趣味の音楽鑑賞にも及んでいます。
島野さんは矢沢永吉の大ファン。
(ラジカセ)・「チャイナタウンこの街を行けば」自宅でくつろぎながらお気に入りの曲を聴くのが何よりの楽しみです。
しかし今では野口さんたちの了解なしには自由にCDを買う事もできなくなりました。
野口さんたちには感謝しているという島野さん。
一方で自分のお金の使いみちは自分で決めていきたいという気持ちも芽生え始めています。
お金の使い方を指導してきた野口さんたちも迷っています。
少しずつ金銭感覚が身についてきた島野さん。
お金の使いみちを決める自由を制約したままでいいのか…。
う〜ん。
いかがですか?本当にその方の事を思ってのケアというかサポートなんだけれどもその方にとってはうれしい事となかなか思えないっていう本当に難しい事ですね。
なかなか正解のない難しい問題だと思います。
スタジオには2人のゲストにお越し頂きました。
まずは障害者権利条約の批准に関わった尾上浩二さん。
そして障害者の権利を擁護する活動に取り組んでいらっしゃいます佐藤彰一さんです。
自分のことを自分で決められないという経験というのは尾上さん自身もおありでしょうか?私は子どもの時から障害があったんですけれども小学校の時に入所施設に入ってたんですがそれは親と行政との間で勝手に話が進んでて私がその施設に入るのを知ったのは1週間前だったんです。
いざ実際に施設に入ってみると朝起きる時間から寝る時間まで全て事細かく決まってて食事というかおやつも食べたい時に食べれる訳じゃないしという事で。
今でこそ自己決定という事が言われますけどかつては障害をもつ者が自己決定するというのはわがままだと見られてた時代があったという事。
やっぱりその時代を生きてきました。
それは当然納得はいかない事でしたよね。
今思い返すとそうなんですけれどもどうしてもやっぱり障害者だから我慢をしなきゃいけないと思いがちというか言ってもしかたがないというふうな…。
あまりにもそういう状態が続くと不満を持つと逆に何かつらくなる事ってありますよね。
それでもう諦めてしまうという事が往々にしてあると思います。
しかたがないものだと受け入れるしかないという事ですよね。
そうです。
佐藤さんは支援するお立場でいらっしゃいますけれども。
お金をいっぱい使いたいというのは自分の金ですからね使いたいのは当たり前なんですけどもそこをああいうふうにいろいろと細かく金銭管理をしてるというのは大きくはご自身が自分で一人で住みたいというそこのところの意向を実現したいという事なんですね。
だから後見人の権限使って一番面倒くさくないやり方やったら施設に入ってもらってあと預金通帳だけ預かってますというのが一番楽なんでVTRに映っているようなのは実はあれ大変な支援。
ご本人の意向をくみ取ってる支援なんですね。
でもその中でも悩みがあるんです。
支援する立場の人の中にはそういう迷いというのはあったりするんでしょうか?支援する人も多くのケースではご本人の思いっていうのをくみ取りたいと思っている方の方が多いんですけれどもそれをくみ取ってるつもりなんだけどもやっぱりどっかで無意識のうちに自分が理想とするような生活環境生活スタイルというものがあってそういうふうになってほしいと誘導しちゃう訳ですね。
それがご本人にとって非常におせっかいで嫌なものであったとしてもご本人がそれを言えない環境が多いものですからついつい押しつけてしまうっていう事があると思うんですね。
その方が支援する側がちょっと楽であるとかそういった事を誘導してしまいがち…。
楽であるとは言わないんですけれどもどうも心の中にそういうものがあってそれがご本人のためですよって…。
それは親の立場でもとてもあります。
今までともすればやっぱり障害のある人の周りの人たちが「転ばぬ先の杖」みたいな感じでどんどんどんどん周りで先走って決められていってそのあとを追いかけていくみたいな形で私たちが人生があったのでそういう意味で障害者権利条約では他の者との平等障害のない人との平等という事が何度も出てくるんですが障害のない人だったら当たり前に例えば今日は何を食べるかとか何時に寝るかとか無意識のうちに決めてるのをそれを障害者にも当然当たり前にできるようにしていこうという考え方に。
私たちはこれをエンパワメント支援障害者自身が力強くなっていくそういった支援の方向にやっぱり切り替えていくべき時期にあるんではないかと思います。
では一体どうしたら自分で自分のことを決められる社会を実現できるのか。
国を挙げて自己決定の支援に取り組んでいるイギリスを取材しました。
誰もが自分のことを自分で決められる社会を目指してきたイギリスです。
10年前その実現に向け全く新しい法律を作りました。
そこには障害者を含む全ての人に…という理念が掲げられています。
この法律の下で人生の大切な決断をした人がいます。
(取材者)Hello.アンディさんです。
脳性まひと知的障害があります。
言葉はうまく話せませんがイラストや豊かな表情で意思を伝えています。
2年前両親のもとを離れ一人で暮らしていく事を決めたアンディさん。
その決断に至るまでには周囲の人々のさまざまな支援がありました。
Verynice.
(笑い声)アンディさんは40年近くにわたって両親と一緒に暮らしてきました。
身の回りのあらゆる事を両親が決めアンディさんはその決定に従って生きてきました。
しかし数年前から2人に対するアンディさんの態度が少しずつ変わっていったといいます。
アンディの心に自立したいという気持ちが芽生えているのではないか。
両親は支援団体の協力を得ながらアンディさん自身に決めてもらうためのサポートを始めました。
その一つが…。
アンディさんに対し1人暮らしを体験できる場所を提供。
ここで半年にわたって1人暮らしの楽しさや厳しさを学んでもらう事にしました。
その上でこれまでどおり両親と一緒に暮らすかそれとも一人で生活するかアンディさん自身に決めてもらう事にしたのです。
半年にわたる体験を終えたあと改めて両親や介助スタッフが集められ話し合いが行われました。
そこでアンディさんは両親のもとを離れ自分一人で暮らしてみたいと宣言したのです。
周囲の人たちのサポートを受け新しい人生を始める決断をしたアンディさん。
部屋は大好きなサッカーチームリバプールのチームカラーで統一しました。
(笑い声)Arsenal!?
(笑い声)イギリスには自分自身で決めるためのサポートを専門に行っている団体もあります。
このNPOでは州政府の委託を受け地域に暮らすおよそ300人の障害者の意思決定を支えています。
自分一人で自分のことを決められない人たちに対し専門のスタッフがその能力を養う訓練を行っています。
この日訪ねてきたのは知的障害のあるピーターさんです。
小児まひのため左の手足がうまく動かせません。
これまで行政が決めた介助サービスをそのまま受け入れてきたためどんな支援を受けたいかを自分で決めた事はありませんでした。
ピーターさんに対しスタッフは「何をしたいのか?」という質問を繰り返します。
他人に全てを決められる事に慣れ自分の意思を心の底にしまい込んできたピーターさん。
それを引き出す事で自分自身で決められるよう導くのがねらいです。
この訓練を受けるようになってピーターさんは小さな事から少しずつ自分で決められるようになってきました。
ピーターさんはどんな介助を受けたいかについても自分自身で決められるようになりました。
そこにはこれまで知らなかった発見や喜びがあふれています。
自分で自分のことを決める大切さ。
自分で決めるからその人がその人の人生を歩めるという事なんですね。
私は子どもを持つ親の立場ですが自分でその子が決めた事を信じてあげられる親でいたいなと思いました。
ピーターさんが言われた言葉で「自分のことが好きになれた」という言葉がすごく印象的でした。
先ほど言いましたとおり私子どもの時の施設とかいろんなその時代の体験の時に何を思ったかというと自分は一体何のために生まれてきたんだろうと思ってたんですね。
その事との対比で自分で決定できてピーターさんは自分のことが好きになれたというのがやっぱりすごく印象的な言葉でしたし。
あとアンディさんが自分の部屋を自分の好きなサッカーチームの色に。
真っ赤なあれでねすごくいい色になっていましたけど。
やっぱり自立って一回限りの人生を自分色に染め上げていく事なのかなっていうのをあの絵を見ながら思っていました。
全ての人が自分のことを自分で決める権利があるというその考え方がすごく大切だなと思います。
誰もが持ってる当たり前の事を奪われてしまうとやっぱり私が子どもの時に思った何のために生まれてきたんだろう。
やっぱりすごく自尊心が低くなってしまうんだろうと思うんですね。
あと周りの方がよかれと思って「この方がいいわよ。
あれがいいわよ」って勧め過ぎてしまうとその人が先ほどのピーターさんのように自分の意思を決定する能力がなかなか鍛えられないって事なんですよね。
自分で決めた方がいいんですよと言いながら結局決められないでしょとすぐ周りが判断をして周りが代わって決定してあげる訳ですよね。
特にどうしてもあんまり失敗させたくないと思うから周りの方でいろいろ準備し過ぎて作られた成功体験って…。
本人は「できてよかったね」って言われても何がよかったのかなってよく分からなくてむしろ自分なりに納得して失敗した体験の方こそ学ぶ事多いなと自分の経験を振り返っても思うところがあるんですね。
親はついついこれは明らかに失敗するよって事は口にしてしまうんですがそこをグッと飲み込んでまずあなたのしたいようにしてごらんなさいっていう事ですよね。
障害のないご家庭であっても親御さんっていうのはできるだけ子どもが自立してほしいと思うんでしょうけれどもなぜか障害のあるご家庭の場合には親が抱え込んじゃって親亡きあとばっかり心配してるみたいな事になるんですけども。
健常の子でも同じですね。
同じ子育てだなって感じたんですけど。
ついつい1人暮らしをしたいって子どもが言いだしたらあなたにできるのって大騒ぎだし。
アンディさんの場合だってご自身で1人暮らしをお決めになったんだけれどもあとは「自分で一人で全部やってよ」みたいな話だったらそれはもう支援にならない訳で「1人暮らしやりたい」。
それを実現するためにみんなでサポートしましょうというそういう環境作りっていうのは非常に大切だと思いますね。
あとはきっとできるよって信じてあげる事ですよね。
そうですね。
イギリスの例を見てきましたけどもでは日本でこのような仕組みを社会で作るとしたらどんな事が必要かなと考えてしまうんですが尾上さんどういうふうに考えます?これまでどうしても第三者による代理決定みたいな事を中心にした仕組みで来たところがあると思うんですけれども先ほどのイギリスの仕組みのように自分で自分のことを決めるそのために必要なサポートを作っていくこれがやっぱり大事だと思うんです。
今日私ここの舞台に上がるのにスロープを用意して頂きました。
スロープがあって私この演台で一緒に皆さんとこういうディスカッションができる訳なんですけどこういうのを合理的配慮と権利条約では言うんですね。
同じように私が車いすでこの段差を乗り越えられないから合理的配慮としてスロープがあるのと同じようにいわば自己決定をするのにいろんな情報の処理とかいろいろ難しいところがある人にいろんな分かりやすい情報提供やサポートやそういう合理的配慮として自己決定の支援というのが必要というかこれが今後大切になってくるのかなと思います。
明日なんですけれども自己決定をどう支援していったらいいのか。
国内で始まった動きありますのでご紹介していきます。
今日はどうもありがとうございました。
(テーマ音楽)2014/12/09(火) 13:05〜13:35
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ハートネットTV シリーズ 変わる障害者支援 第1回▽私のことは私が決める[解][字][再]
今年1月に日本政府が批准した障害者権利条約。中でも注目されている理念の一つが、誰もが自分のことを自分で決められる社会の実現だ。第1回は、当事者の声を紹介する。
詳細情報
番組内容
今年1月に日本政府が批准した障害者権利条約。中でも注目されている理念の一つが、“誰もが自分のことを自分で決められる社会”の実現だ。シリーズ「変わる障害者支援」。第1回は、当事者からわき起こる自己決定を求める声を紹介する。更に、“自分のことを自分で決められる社会”の実現に向け、国をあげて取り組みを進めるイギリスのケースを紹介。自分の人生を自分の決断によって切りひらくことの大切さを見つめる。
出演者
【ゲスト】奥山佳恵,國學院大學教授…佐藤彰一,DPI日本会議副議長…尾上浩二,【司会】山田賢治
ジャンル :
福祉 – その他
福祉 – 高齢者
福祉 – 障害者
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
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