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突然の土砂崩れ。
崩れたのは元からある裏山ではなく工事現場から持ち込まれた建設残土でした。
ビルの建設や地下鉄の工事などの際に出る建設残土。
今、崩落する事故が各地で相次いでいます。
ことし10月、横浜の事故では男性1人が亡くなりました。
住宅のすぐ裏の崩れた斜面には建設残土が積み上げられていました。
大規模な崩落事故も起きています。
大阪では180メートルにわたって大量の残土が家のすぐそばまで押し寄せました。
取材を進めると建設残土が行き場を失い住宅地の近くに積み上げられている実態が分かってきました。
建設残土の崩落事故をどう防ぐのか。
身近に潜む危険に迫ります。
こんばんは。
「クローズアップ現代」です。
ビルや地下鉄トンネルを造るときに大量に出てくるのが土です。
建設現場では出た土をその場で再利用したりほかの工事現場で使用するなどしていますけれども出てくる土のおよそ3割が使われず余っています。
余った土は建設残土と呼ばれています。
その量は毎年およそ9000万立方メートル東京ドーム70杯余りに上っています。
使いみちのない建設残土は土砂を置く仮置き場に持ち込まれます。
しかし毎年、大量の建設残土が発生している中で仮の置き場といっても事実上の最終処分場となり大量の土が捨てられているのです。
今、ほかの工事現場から持ち込まれた建設残土が崩れる土砂災害が全国各地で起きています。
この5年間で人や住宅への被害があった崩落事故の場所がこちらです。
受け皿となってきた処分場がいっぱいになって閉鎖される所が増え行き場を失った土が住宅地の近くで危険な状態で置かれ人や住宅に被害が及ぶ事故が全国でご覧のように起きています。
工事現場から出る土の安全管理がなぜおろそかになっているのか。
その背景には、建設残土が法的には産業廃棄物ではなく価値ある資材とされ誰が責任を持って処理すべきかがあいまいになっているだけでなく建設残土の持ち込みを規制する法律もないからです。
今後、2020年の東京オリンピック・パラリンピックや地下を利用した新たな交通網の整備など大規模な工事に伴い大量の建設残土の発生も予想されます。
建設残土の不適切処理が起きないようどんな議論や対策が必要なのか。
初めに、突然崩落する建設残土その危険な実態からご覧ください。
台風18号が関東地方に大雨をもたらした10月6日。
横浜市の住宅地で日中突然、土砂崩れが起きました。
崩れたのは別の地域の工事現場から運び込まれていた建設残土。
アパートを直撃し男性1人が亡くなりました。
会社員の佐藤浩太さん、30歳。
妻と2人の子どもと暮らしていました。
この日、夜勤明けで1人、部屋で休んでいたところ事故に巻き込まれました。
義理の父親の堀口静二さんです。
安全と思っていた住宅地で突然、家族の命を奪われ大きなショックを受けています。
なぜ住宅地で崩落事故が起きたのか。
崩れたのは佐藤さんが住んでいたアパートのすぐ裏の斜面。
ここに建設残土が最初に運び込まれたのは6年前でした。
横浜市の業者が住宅地を造成するとして残土を持ち込んでいたのです。
自分の土地に残土を持ち込むこと自体に規制はありません。
業者はその後も、各地から次々と残土を受け入れていたといいます。
業者が崩落を防ぐために使っていたのはベニヤ板だけ。
雨が降るたびに隙間から土が流れ出ていました。
4年前、住民からの苦情を受けた横浜市は、コンクリートで囲い排水設備を設けるなど崩落を防ぐ対策を取るように勧告しました。
ところが業者は、資金不足で安全対策が取れないとしてそのまま4年間放置。
事故が起きたのです。
さらに大規模な崩落事故も起きています。
ことし2月、大阪郊外の住宅地近くに積み上げられた大量の建設残土が180メートルにわたって崩れました。
現場のすぐ近くで暮らしている木村滋信さんです。
事故が起きたのは夜の7時45分ごろ。
その直前、この道路を帰宅途中の人たちを乗せたバスが通過していました。
建設残土を積み上げていた業者は当初、家庭菜園を造るとして大阪府から土地を造成する許可を得ていました。
しかし実際には、建設残土の処分場にしていたのです。
これは崩れる前に撮影された写真です。
手前に見えるのが住宅。
その裏山に高さ60メートルにまで土が積み上げられています。
早朝から日没まで1日、100台を超えるトラックが出入り。
京都や兵庫など他府県からも運び込まれていました。
なぜ大量の建設残土が運び込まれたのか。
処分場に運んでいたのは10社以上。
業者の1人が取材に応じました。
この業者は建設残土を受け入れる処分場が最近、減ってきているといいます。
各地の処分場がここ数年で相次いで閉鎖。
多くは山あいにありましたが容量がいっぱいになったり設備の維持でコストがかかり採算が取れなかったりして業者が次々に撤退したのです。
こうした中、新たに出来たのが事故が起きた住宅地近くの処分場でした。
しかも従来よりも安い価格で残土を引き取っていました。
それまでの相場は10トン当たり8000円ほどでしたがそれを5000円に。
すると運搬業者が殺到したのです。
残土を受け入れ続けたこの処分場。
容量の3倍を超えそれが事故につながったのです。
残土を流出させた実質的な経営者が逮捕されました。
ずさんな受け入れを間近で見てきた同業者に話を聞くことができました。
業者は安全対策が取られていなくても引き取ってもらえる所に、今後も残土が集中していくと話します。
行き場を失い、住宅地に迫る建設残土。
今、私たちの暮らしを脅かす危険な存在になっています。
今夜は、建設残土の実態、そして環境政策にもお詳しい、桜美林大学教授、藤倉まなみさんをお迎えしています。
家庭菜園を造る、あるいは住宅を造成するという名目で、許可を取って、造成をしていた。
しかし実態は建設残土をどんどん運び込んでいた。
なぜこういう野放しの状況が許されてるんですか?
やはりまず強力に対応できる法律がないというのが第一だと思いますね。
自治体も、四苦八苦をして、なんとか適用できる法律がないかということで、頑張ってはいるんですけれども、やっと適用できる法律があったとしても、罰金も100万円程度で、抑止力がない、なので繰り返されるという状況があると思います。
例えば産業廃棄物につきましても、かつてはすごく不法投棄がありました。
家庭菜園を造る例がありましたけれども、同じように、何か別の目的であると言って不法投棄をする、あるいは保管をしてるだけですと言って、廃棄物を積み上げるといったことは廃棄物でも起こっていました。
でもその後、廃棄物につきましては、廃棄物処理法がかなり強く改正されましたので、例えば今、罰金は廃棄物であれば3億円というふうに厳しくはなったわけですね。
それにしても、こうした野放しの状況が許されている根本的な背景っていうのは、どこにあるとお考えですか?
やはりまず残土について、誰が責任を持っていて、どう処分するかというルールがないというのが、一番の問題だと思います。
誰がというところなんですけれども、まず残土を出す人、工事を最初に、受注を受けて、工事をする人がいますよね。
その人にとっては、残土というのはいらなくなったものなので、目の前からなくなるということをなんとかしてほしい。
それで処分業者、運搬をする人に対して、お金を少し出して、とにかく目の前から、どこかに持っていってくれと。
そうしますと、出した人にとってはどこかに行けば目的は達成されますので、そのあと不法投棄されようが、きちんと処分されようが、あまり関心がないんですね。
不法投棄をされてしまうことにつながっていくわけですね。
また運搬をする人には、どう運搬したらいいかのルールがない。
処分をする人には、土をどういうふうに積み上げろということにもルールがない。
こういうことが全部、野放しにされている状況かなというふうに思います。
廃棄物処理の場合は、排出者責任というのが問われるルールになっていますよね。
廃棄物の場合は、もし不法投棄されますと、一番最初に出した人にまで責任が及ぶ仕組みがあるんですね。
残土につきましても、国が発注する公共工事であればどこに最終的に処分をするかを指定をして処分をしなさいという、指定処分というのが通達で出されているんですけれども、例えば市町村で、その公共工事がどこまでそれが守られているか。
さらに民間企業になると、民間の工事ですと、通達も強制力を持って及ぶことができない。
さらに言えば、国はその実態も把握してないという現状がありますね。
そうすると、安いところに残土がいく可能性が高まっていく。
そうですね、安かろう悪かろうという状況になっているのが現状ではないかと思います。
ついに住宅地のすぐ近くにまで。
そうですね。
あれだけ残土が積み上がっている。
建設残土の不適切な処理が行われることによって、今、ご覧いただきましたように、崩落事故の危険が高まるということもありますけれども、それだけでなく、環境面への悪影響にもつながるおそれが指摘されています。
今後、東京オリンピック・パラリンピックや、リニア中央新幹線など、大規模な建設工事などによって、新たな建設残土の発生が見込まれています。
こうした中、規制に乗り出す自治体も出てきました。
今月から工事が始まるリニア中央新幹線。
東京と名古屋を最速40分で結びルートの8割以上がトンネルを通ります。
JR東海の試算では工事で出る土は10年余りで5680万立方メートル。
15%は自社で再利用するとしたうえでそのほかは工事の進捗に応じて処理方法を決めるとしています。
沿線の神奈川県は土の具体的な処理方法を示すようJR東海に意見書を出しています。
工事への国の認可を受けて、先月川崎市で開かれた住民説明会。
住民からは工事に伴う騒音などのほか残土の処理方法についても質問が出ました。
これに対しJR東海の担当者は適切に処理する方針で具体的な方法や置き場所については現在検討していると答えました。
建設残土の問題を今後どうするのか。
専門家などによる国の委員会でも議題に上っています。
しかし、再利用を進めるという従来の方針を確認しているだけで国が積極的に規制することまでは議論になっていません。
こうした中、独自の規制に乗り出しているのが自治体です。
17の府県が建設残土の積み上げ方や有害物質の混入などについて管理する条例を制定しています。
自治体による規制はどこまで効果があるのか。
首都圏のほかの地域から多くの建設残土を受け入れている千葉県です。
全国に先駆けて残土条例を制定しました。
4か月に1度担当者が処分場に出向き検査を行っています。
崩落事故を防ぐため積まれた残土の高さが基準どおりか確認。
さらに、斜面が急な角度になっていないか測定します。
千葉県は基準を守らなかった業者に対し罰則を設けるなどして残土の安全管理を徹底しています。
市町村の中には府県よりもさらに厳しい規制を設ける自治体も出始めています。
過去に建設残土の崩落などのトラブルが相次いでいた千葉県君津市です。
運び込まれる建設残土は年間100万立方メートル近く。
その9割以上は東京や神奈川など県外からです。
君津市は2年前に規制を強化。
新たな処分場で受け入れる残土は、千葉県内で発生したものに限るとしました。
市の職員が残土が出る工事現場にまで出向いてチェックしその量などを徹底的に管理しようというのです。
一方で規制を強化したことによる課題も浮かび上がっています。
君津市内にある処分場です。
新たな処分場を造りさらに300万立方メートルの残土を受け入れる計画でした。
しかし、ここで受け入れてきた残土はほぼすべて県外のもの。
規制の強化で、そのほとんどを受け入れられなくなります。
そのため、この処分場に持ち込まれていた残土はほかの地域に運ばれることになるといいます。
規制を強めたことで行き場を失った残土が周囲の自治体に集中するおそれはないのか。
君津市は苦渋の決断だったとしています。
自治体で規制強化に動く所も出てきましたけれども、今のリポートにありましたように、もしその残土が、県外に運び出されてしまったあと、その先までは取り締まれないという、限界があるんですね。
そうですね。
これからどうすればいいんでしょうか?
やはり、法律レベルで、何か責任をきっちりするようなルールを作るというのが、まず第一ではないかというふうに思います。
今おっしゃられたように、条例というのは、その県境を越えることはできませんので、実際には残土は県を越えて、はるか遠くまで動いています。
途中で、どう捨てられないようにするのか、そういうことも含めたルールが必要だと思います。
今、残土は廃棄物処理法の適用も受けておりませんので、なんらかの形でルール化をしたほうがいいと思うんですけれども、もしすぐに法律ができないという場合でも、いくつかできることがあると思います。
一つは、悪いことを何度も繰り返す業者がいらっしゃいますので、例えば公共工事であれば、悪いことをかつてしたような業者には、もう入札に参加させないといったようなこともありますし、しっかりとまず、予算を取って、残土にもコストがかかるということを、各自治体も公共工事として、明確に自覚するというのも一つだと思います。
それから残土について、リサイクルの目標も国ではまだしっかりと立てられていないところもありますので、そういう政策的な目標を立てるというのも一つ、効果があるのではないかと思います。
今、市町村の公共工事の予算の中に、きっちりと残土処理を、予算に組み込むべきだとおっしゃいましたけれども、そうなってきますと、これから地下、残土が出るような工事を行う場合の、その工事のコストっていうのは、どうしても高くなっていくということになりますね?
そうですね、地下を掘って、土を出すということは、もうコストがかかるということですね。
特に東京や大阪などの都心部では、もうすごくたくさん、土地が利用されてますので、土地がないわけですね。
ですからどんどん、大深度を利用するようになってきています。
そうしますと、土がどうしても出るわけですね。
一方で、これまで残土の処分場になっていたような所は、谷あいが多いんですけれども、谷あいというのは、本当は貴重な生物がいたりして、自然環境の保全上はあまり埋めてほしくない。
埋めないようにということで、自然環境保全地域のような指定もかかってきています。
一方で、これまでは海の埋め立て地も一つの受け皿になっていたんですけれども、それも今なくなってきているということで、どんどん場所がない、一方では出るということで、コストをしっかりと転嫁をして、最終的にはきちんとした処分をできるようにしておくことが大事だと思います。
これだけ適地がない、その処分する場所がなくなってくると、そういう工事を行うときのコストを一体、誰が負担すべきなのか。
どういうふうに考えていったらいいでしょうか。
これは価格に転嫁をする。
経済的にはコストを内部化するというふうにいいますけれども、もともと必要なコストなんだという認識を持って、発注者がしっかりと、残土の処理費までをコストに載せるということが大事だと思います。
今、いろんな工事計画がある中で、残土の処分地が決まっていない中で、不安を訴える人々も出てきますよね。
本当に、残土というのはごみのようなものですので、自分が出したごみに、しっかりと自分で責任を持ってほ2014/12/08(月) 19:30〜19:56
NHK総合1・神戸
クローズアップ現代「“建設残土”が家を襲う」[字]
今年10月に横浜で起きた崩落事故で住民一人が亡くなった。崩れたのは工事などで発生した建設残土。今残土による崩落事故が全国で起きている。身近に迫る危険をどう防ぐか
詳細情報
番組内容
【ゲスト】桜美林大学教授…藤倉まなみ,【キャスター】国谷裕子
出演者
【ゲスト】桜美林大学教授…藤倉まなみ,【キャスター】国谷裕子
ジャンル :
ニュース/報道 – 特集・ドキュメント
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
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