東北沖に展開していたアメリカの空母が放射線量の上昇を捉えていました。
東京電力福島第一原子力発電所の事故。
空母は事故で放出された放射性物質のデータをその後も記録し続けていました。
今回こうした新たなデータを解析するとこれまで知られる事がなかった大量放出の実態が浮かび上がってきました。
(アラーム音)うわ〜!世界最悪レベルとなった原発事故。
福島第一原発は巨大津波によって全ての電源が失われ3つの原子炉が次々とメルトダウンしました。
更に1号機と3号機の建物が爆発。
これまで放射性物質の大半は事故発生から最初の4日間で放出されたと考えられてきました。
今年公開されたいわゆる「吉田調書」など国がこれまでに行った事故調査はこの4日間が中心でした。
しかしその放出は全体の一部にすぎませんでした。
今回新たなデータを解析し専門家と共に映像化。
結果は衝撃的なものでした。
最初の4日間で放出された放射性物質は全体の25%にすぎませんでした。
その後2週間にわたって全体の75%もの放出が起きていたのです。
この知られざる大量放出はなぜ起きたのか。
その原因として強く疑われたのは原発に潜む構造的な弱点でした。
現場で何が起きていたのか。
取材を基に再現。
3号機燃料が露出してます!3号機格納容器の圧力は?事態は収束に向かうどころかむしろ悪化していたのです。
放射線量が上昇しています!8,080マイクロシーベルト!
(どよめき)人々の帰還を阻む深刻な汚染。
その新たな原因が見えてきたのです。
事故から3年9か月。
今浮かび上がる原発事故の新たな真実です。
今ありましたこの汚染が高い時期だったので影響が変わってきたんじゃないかという証言。
すごく衝撃的でした。
事故から3年9か月たってようやく今になって分かってきたという事がこんなにもある訳なんですね。
そうですね。
これまで全体の放出量というのものはおおむねは分かっていたんですけれどもそれがいつどのように出たのかという詳細な部分は分かっていませんでした。
それが今回新たに明らかになってきた訳です。
まずこれまでに分かっていた事を時系列で見てみたいと思うんですが福島第一原発ではあの時に6つある原子炉のうちの運転中だった3つの原子炉が次々とメルトダウンをしました。
まず事故発生当日です。
1号機がメルトダウンをして翌日に水素爆発をしました。
その次が3号機なんですがこれもメルトダウンをして水素爆発をしています。
最後は2号機なんですがこれはメルトダウンをして爆発はしなかったんですが格納容器という設備が損傷しました。
…でそこから放射性物質が大量に放出されたとされています。
ここまでが事故発生から4日間。
3月15日の午前中までの出来事です。
この4日の間に起きた爆発によってほとんど全ての放射性物質が出たとばかり思っていたんですけれども違った訳なんですよね。
今回明らかになった放射性物質の大量放出の全体像というものを示したのがこちらのグラフになります。
人体や環境に影響を与える主な放射性物質の3月末までの放出の様子をまとめたものなんですけれどもこちらの3つの山がそれぞれ1号機の爆発3号機の爆発そして2号機の大量放出に相当します。
これで見ますとこれまで事故調査が行われてきた事故発生から15日の午前までの4日間の放出というものは全体から見ると25%だったんです。
実に全体の75%に上る放出が15日の午後以降2週間にわたって続いていた事が分かったんです。
でもなぜこれまでこの部分の検証というのは行われてこなかったんですか?これまでの事故調査というのはなぜ事故が起きたのかという原因の調査に重点が置かれていましてその意味では最初の4日間が重要だというふうに考えられてきた訳です。
しかしですねこの75%の大量放出の間に実は新たな危機が水面下で起きていたんです。
福島第一原発の事故の影響で大規模な停電が続いていた2011年3月15日。
事故発生からの4日間で次々とメルトダウンした3つの原子炉。
現場は事故の収束を急いでいました。
原子炉はなおも高い温度の状態が続いていました。
このまま圧力が高まり原子炉を覆う格納容器が大きく損傷すれば大量の放射性物質が放出されかねません。
原子炉を冷やすために行われていたのが…本来消火用の設備だった配管を使って原子炉に水を注ぐという全く想定していなかった対応でした。
事故対応の最前線免震重要棟です。
このころ600人を超す社員たちが一時的に避難していたため吉田所長以下およそ70人が事故対応に当たっていました。
証言を基に再現します。
消防車からの注水が本格化した事で現場は最悪の事態は切り抜けたと感じていました。
もしもし?うん…うん…ああ今戻ってきた?了解!2Fに退避していた所員の一部が戻ってきたそうです。
おう…。
今戻りました。
おうご苦労さん!ところが…。
(どよめき)分かった。
原子炉はどうなってる?水は入っているのか?中操の運転員が退避している状況です。
新たな情報は原子炉がある建物から放射性物質の放出が続いているというものでした。
消防車による注水が届いていない可能性が浮かび上がりました。
すぐに中操で原子炉の水位を確認しよう。
所長中操に戻る許可を。
慎重にな。
また線量が上がってきたらすぐに退避だ。
行く人数も最低限で。
了解です。
行くぞ。
念のため消防車の状況を確認できるか?了解!消防車の運転状況を確認します。
念のため消防車の燃料も持っていきます。
ああ頼むぞ。
よし行こう。
はい。
現場の放射線量が高いため消防車は無人の状態で丸2日間注水を続けていました。
了解!消防車は順調に水を送り出していました。
一方中央制御室に確認に向かった運転員たち。
水は原子炉に届いているのか。
バッテリーを使って水位計を復旧します。
すると…。
3号機燃料が露出してます。
所長所長…。
消防車は動いているんですが3号機水位が上がりません。
何!?水がどこかに抜けているのか?そうだと思います。
あらわになった3号機の危機。
現在30%!
(どよめき)原子炉が十分に冷やせてないな。
3号機格納容器の圧力は?確認してきます。
3号機の格納容器圧力は?現在4キロを超えて設計限界圧力に近づいています。
現場は原子炉で起きている事態をつかみきれずにいました。
原子炉の中で何が起きていたのか。
2013年に放送した「メルトダウンFile.3」では消防車による注水が一部別の場所に抜けていた事を突き止めました。
複雑な配管の途中にあるポンプ。
本来動いているはずのこのポンプが止まっていたため水が別の場所に流れ込んでいたのです。
その後の東京電力の検証で抜け道は1号機から3号機合わせて18か所に上っていた事が明らかになっています。
そして今回新たな取材から実際に原子炉に注がれていた水の量に関する手がかりも見つかりました。
東電の内部資料に記された数字は1時間当たり1立方メートル。
つまり1トン。
これに対して当時消防車から送り出していた水の量は1時間当たりおよそ30トン。
現場の誰もが想像しえなかった僅かな量でした。
この水の量は原子炉にどのような影響を与えていたのか。
専門家と読み解きます。
専門家による3号機のシミュレーションです。
メルトダウンによって核燃料の43%が溶け落ちたものの半分以上は中心部に残っている状態でした。
溶け残った核燃料のメルトダウンを防ぐためには全て水に浸す必要がありました。
しかし実際には水は僅かしか入っておらず注がれた水がすぐに蒸発してしまう状況でした。
皮肉な事にこの僅かな水を注ぎ続ける状態がかえって事態を悪化させていたのではないかと専門家は指摘します。
核燃料を覆っている特殊な金属を使って実験します。
まず1,200度まで加熱します。
ここに僅かな水を蒸発させて流し込みます。
今1.5ね。
金属は冷やされるどころか急速に温度が上がっていきます。
1,223…1,231…。
僅か2分で温度は78度上昇しました。
これは核燃料を覆っている金属と水蒸気が化学反応を起こし激しく熱を出すためです。
表面の温度が急上昇すると亀裂が生じ放射性物質が漏れ出します。
メルトダウンを止めるはずの水が逆に放出を長引かせていたのです。
今回明らかになった全体の75%を占める大量放出。
3月15日の午後からおよそ2週間続いていました。
その間原子炉内部では消防車による注水が原因で放射性物質が出続けていました。
それが格納容器の隙間からじわじわと漏れ出し長期間の放出につながっていたと見られています。
当時消防車による注水期待して見てたんですけれども今見てますと注水が結果として裏目に出てしまったという事だったんですね。
そうですね。
そもそも原発が全ての電源を失って原子炉に注水ができなくなるという事態は全く想定をされていませんでした。
消防車による注水も吉田所長が考え出したいわば苦肉の策でした。
しかしまさかこれほどの水が別の場所に抜けるとは思ってもみなかった訳です。
更にこの僅かな水がですね原子炉の状態をこれほど悪化させるとその事も考えていなかったんです。
想定外の事が次々と起きて対応がその場しのぎにならざるをえなかったというその事が放射性物質の放出に拍車をかけていた訳です。
つまり消防車による注水がこの75%もの大量放出につながったという訳なんでしょうか。
今回の分析では大量放出の原因というのがそれだけではないという事も分かってきました。
こちらなんですけれども3月15日の午後から始まる大きな放出の山があります。
この山はですね全体の10%を占める極めて大きな放出だった訳です。
この放出なんですがこれまでに考えられていた汚染の実態を覆すものだった可能性が浮かび上がっているんです。
今回新たに入手したデータを基に原発周辺の汚染をシミュレーションした映像です。
帰還困難区域となっている北西方向に深刻な汚染が広がっています。
これまでこの汚染の大半は事故発生から4日間の放出で広がったと考えられてきました。
しかし専門家と共に時間ごとの汚染の広がりを詳細に調べたところ驚くべき事実が明らかになりました。
これは15日正午までの汚染の状況だけを抜き出したものです。
放射性物質は広範囲に広がっているものの汚染はそれほど集中していません。
15日の午後以降翌朝までの時間帯を見てみると北西方向に放射性物質の濃度が極めて高い場所が現れました。
この汚染をもたらしたのが今回新たに分かった全体の10%を占める放出だったのです。
なぜ放出が起きたのか。
再び専門家と読み解きます。
専門家が注目したのはこの時間帯に放出された放射性物質の種類です。
なぜかこの時間帯だけ放射性ヨウ素が大量に放出されていたのです。
格納容器から直接漏れていたとすれば放射性ヨウ素ばかりがこれほど大量に出るはずはないと専門家は言います。
ではどこから放出されたのか。
15日午後以降の記録を徹底的に洗い直すと放出の少し前3号機である操作が行われていた事が分かりました。
ベントです。
この時間3号機では格納容器の異常が検知されていました。
ベントは圧力が高まった際に格納容器を守るための操作です。
格納容器内部の蒸気を水にくぐらせ放射性物質の量を1000分の1に下げた上で外に放出するというものでした。
しかし…。
正門付近の放射線量が上昇しています!23時30分現在で8,080マイクロシーベルト!
(どよめき)ベントのあと敷地内で放射線量が急上昇していたのです。
「メルトダウンFile.4」ではベントに潜む弱点を指摘しました。
ベントでは格納容器の下にためられた水に放射性物質を取り込みます。
しかし水が高温になるとその機能を失い大半の放射性物質を逃してしまう事が分かりました。
ただその場合でもここまで大量のヨウ素が出るとは考えにくいと専門家は指摘します。
そこでベントによる放出経路を全て調べる事にしました。
注目したのは30メートルに及ぶ地下の長い配管です。
実はこの配管はベントで放射性物質を出す際最終的なフィルターの役目も果たします。
ここまでに水で捉えきれなかったヨウ素などの放射性物質が配管の内側に吸着されます。
記録によれば3号機はそれまでに4回のベントを行っていました。
大量放出は5回目のベントのタイミングで起きていました。
それまでのベントで配管にたまった大量のヨウ素が5回目のベントで一気に放出されたのではないか。
地下の配管の構造を再現し実験で確かめます。
放射線を出さないヨウ素を管に入れます。
ヨウ素が混じった蒸気を格納容器側から流し込みます。
この時ヨウ素が配管に付着します。
しかし予想外の事が起きました。
ベントを繰り返すうちに水がたまり始めたのです。
その状態でベントによる蒸気が流れ込むとどうなるか。
動いた!入った蒸気入った。
蒸気が水を押し込みます。
しかし水によって押し戻されます。
しばらく水と蒸気が押し合う状態が続きます。
そして…。
始まった。
水は加熱されて霧状となり外部に押し出されていきます。
排出されたヨウ素の量を量ると1回目の10倍以上になっていました。
地下に埋設された配管は水がたまりやすい構造になっています。
ベントを繰り返すうちに配管は水で満たされ付着したヨウ素が水に大量に取り込まれていたと見られています。
5回目のベントによる蒸気がここに流れ込み本来配管にとどまるはずの大量のヨウ素を一気に放出したと専門家は見ています。
ベントを繰り返した事で起きたと見られる10%の大量放出。
事故の収束が長引く中で浮かび上がった思わぬ事態でした。
ベントというのは原発の安全を守るためのものですよね。
それがこの汚染拡大の原因の可能性につながっていたっていう事は驚きました。
そうですね。
これまで浪江町ですとか飯舘村など原発から北西方向の汚染というのは15日の午前中に2号機から放出された放射性物質が原因ではないかというふうにいわれてきました。
しかし放射線量の埋もれたデータというものがありましてこれを専門家が改めて分析したところ今回のこの3号機のベントも大きく影響していた可能性が浮かび上がった訳です。
今になって分かる事がこんなにある訳ですよね。
となると私たちはこの原発の安全についてどう考えていたらいいんでしょうか?私たちが取材した東京電力の元幹部はここまで対策をすれば絶対安全だというふうに考えた途端に同じ過ちを繰り返す事になるというふうに話していました。
つまり原発に100%の安全はないという事です。
実際アメリカやヨーロッパではスリーマイル島原発事故ですとかチェルノブイリ原発事故を境に原発にはリスクがあるものつまり原発は絶対安全なものではないという前提に立って規制を行っています。
これに対して事故が起きる前日本では重大事故は起きないという前提に立ってきました。
その事が原発の弱点ですとか落とし穴を見逃す事につながってしまった訳です。
改めて今回の大量放出ですがそれが収まったタイミングそしてそのきっかけは何だったんでしょうか?放出がおおむね収まったというのは3月末になります。
その後電源が回復して仮設のポンプが動き始めて原子炉が安定して冷やせるようになって放出が収まっていきました。
この75%の放出の裏にはこうした原発の構造的な問題だけではなくて事故の対応に当たる人の判断も大きく関わっていました。
私たちの今回の取材ではそこにも原発事故特有の難しさがあったという事が明らかになりました。
事故から5日がたちなおもメルトダウンが続く3つの原子炉。
現場が急いでいたのは津波によって失われた電源の復旧です。
電気があれば強力なポンプを使い原子炉に大量の水を注ぐ事ができるからです。
核燃料を冷やす事ができれば放射性物質の放出も抑える事ができます。
当時現場で事故対応に当たった東京電力の社員です。
その一方で原子炉とは別の懸念も膨らみ始めていました。
1号機から4号機の燃料プール。
核燃料を冷やして保管するための設備です。
冷却装置が止まっていたため水が蒸発し核燃料は最悪メルトダウンするおそれがありました。
現場が最も不安を抱いていたのが4号機のプールです。
ここには最も多い1,500体を超す核燃料が保管されていました。
4号機は3号機から流れ込んだ水素による爆発で天井が吹き飛んでいました。
プールの核燃料がメルトダウンすれば東日本全体に深刻な汚染が広がる可能性もありました。
しかしプールの周辺は放射線量が高く水があるかどうか近づいて確認する事ができずにいました。
今この崩れているような所がここだろ。
オペフロの下。
ええあの…4号プールの下の部分になりますね。
だからこの写真だとプールから水が漏れていないか分かんねえんだな。
・はい。
えっ?自衛隊さんが?ああそう。
了解。
ありがとうありがとう。
今日自衛隊さんのヘリが1Fの上空を飛んでプールの状況を見てくれる計画があるとの事です。
自衛隊さんが?それは助かるなあ。
燃料プールの状況を確認するため自衛隊のヘリコプターが原発上空に向かいました。
この時撮影された映像です。
3号機は爆発のがれきが積み重なり水蒸気を噴き上げています。
その隣に見えてきた4号機。
免震重要棟にもその映像がすぐに届けられました。
3号機だよあれ。
これ水蒸気ですよ。
出てるねおい。
あっ4号機!4号機の上空だよこれ!ああちょっと見えないな。
あっちょっと止めて!そこから巻き戻して下さい。
でゆっくりコマ送り。
今…ほらここ!ここ!水面が見えます。
あっ本当だ!本当だかすかに見える。
4号プールに水がある…。
爆発で崩れた壁の隙間。
そこから一瞬光の反射が見えました。
「プールの水面ではないか?」。
当時の東電内部のやり取りを記した内部資料です。
「燃料プールに水があるように見える!」。
プール周辺の放射線量のデータも入ってきました。
毎時100ミリシーベルト。
それはプールにまだ水が残っている事を示す数字でした。
どうやら4号プールには水があるようです。
うん。
原子炉を冷やすために電源復旧を優先させるかそれともプールに水を注ぐのかどちらのリスクがでかいかよ〜く見極めて優先順位を決めないと。
所長!プールの進展予測が出ました。
4号機のプールの水がTAFに到達するのは3月下旬。
まだ余裕があります。
じゃあ原子炉優先だな。
電源復旧作業を急がなきゃ。
プールの映像を確認したあと東京電力は作業の優先順位を決めていました。
翌朝の現場での作業は電源復旧を急ぐ計画になっていたのです。
3月17日朝。
電源復旧を担う応援部隊が福島第一原発に向かっていました。
そろそろだな。
現場どうなってるんでしょうね。
放射能がある現場での作業なんかやった事ないっすよ。
関東各地から400人を超す電気工事の技術者が集められていました。
しかし福島第一原発の手前10キロの地点で…。
1Fでは朝から建屋周辺での作業ができません。
現場で作業を開始できる時間が分かり次第お知らせします。
申し訳ありませんがお待ち下さい。
急がなくていいのか。
おい!了解しました。
最優先と位置づけられたはずの電源復旧。
なぜかすぐに始める事ができません。
急きょ進められていたのは自衛隊ヘリによるプールへの放水でした。
更に地上からも。
放水中はケーブルがぬれるため電源復旧作業はできません。
当時の自衛隊トップだった折木良一元統合幕僚長。
はいもしもし。
えっ!?いやっ…でも…。
はい。
了解しました。
今日の作業は本部判断により中止。
(どよめき)明日の朝からの作業とする。
なんだよ〜。
(どよめき)本部決定だ!しょうがないだろう。
なぜプールへの放水が優先されたのか?このころ事故の指揮命令系統に大きな変化が生じていました。
東京電力本店に設置された…事故対応の判断を本部が下すようになりました。
プールへの放水は本部が急きょ決定したものだったのです。
東京電力では原発事故の際対応の優先順位を現場が決める事が原則です。
本店は物資の補給など現場を支援する役割です。
しかし統合本部が設置された3月15日以降その役割は逆転し東京の本部から現場に指示が出るようになっていたのです。
プールを優先するという本部の判断の背景には何があったのか。
事故直後アメリカが日本に送り込んだ専門家チームの代表チャールズ・カストー氏。
カストー氏は総理大臣官邸で自衛隊ヘリから撮影された4号機の映像を見せられたと言います。
アメリカの原子力規制委員会の当時の議事録です。
限られた情報しかない中でアメリカは最悪のシナリオを想定していました。
原子炉に加え4号機のプールでメルトダウンが起きるおそれがあるとして日本政府が指示した範囲よりもはるかに広い80キロ圏内からの避難を呼びかけていました。
自衛隊ヘリによる放水の前日アメリカは日本政府に強い危機感を伝えました。
東アジア地域の責任者だったカート・キャンベル元国務次官補。
キャンベル元国務次官補が危機感を伝えたのは…プールを優先するという統合本部の判断は国内外の危機感を重く受け止めた結果だったのです。
その後も電源復旧作業はプールへの放水の度に中断を繰り返します。
はい間もなく!
(アラーム音)建屋!気を付けて。
はい撤収!撤収!3号機原子炉の温度が上昇してます。
1号機2号機とも原子炉の状況が悪化してます。
今日も4号機プールへの放水はあるんですよね?まだ原子炉が安定してないぞ。
原子炉が熱いままじゃまずいですよ!所長…。
放水中は現場待避しなきゃなんねえだろ。
その間は電源復旧工事なんかできない!できないんだからさ!その間にも放射性物質の放出は続いていました。
3月21日には南向きの風に運ばれ関東一円を汚染。
東京の水道水の一部からも放射性物質が検出されたのです。
4号機プールへの放水が終わり電源復旧作業が本格化したのは3月22日。
キリンと呼ばれるポンプ車でプールへの安定的な注水ができるようになったためでした。
4号機の燃料プールの様子がカメラで直接捉えられたのは4月。
プールに水があるという決定的な証拠でした。
一たび原発事故が起きれば正しく状況を把握し対処する事がいかに難しいか。
突きつけられた重い課題です。
現場の判断と本部の判断が違った事によって結果的に長期化してしまったという訳だったんですね。
当時は東京電力の中でも本当に燃料プールに水があるのか慎重な考え方もありました。
一たびメルトダウンが起きてしまうと極めて高い放射線量というものに阻まれて現場に近づく事ができなくなってしまいます。
そうなると重要な情報も確認ができなくなってその情報がなければ今度は判断が分かれた時にどう決断を下すかその決断を下す事が難しくなってしまいます。
判断を誤れば極めて深刻な事態に陥りかねません。
それが原子力災害の難しさであってまた原発が宿命的に抱えるリスクでもあると思います。
今原発再稼働に向けた動きがある中で今回明らかになってきたような課題というのは安全対策にしっかり生かされていくんでしょうか?ベントに関していいますとこの配管の途中に放射性物質を取り除くフィルターを取り付けるなど安全性を高める取り組みというものは行われています。
またこの原発事故のあとに作られた新しい規制基準というのがあるんですけれどもその中でもベントは7日間は性能を維持できるという事が要求されています。
ただそれ以上に事故が長期化する可能性はないのかその点は考える必要があると思います。
あと一方消防車による注水なんですけれども福島第一原発の事故のあと全国の原発で原子炉に水を注ぐ最後の手段として消防車の配備2014/12/21(日) 21:15〜22:15
NHK総合1・神戸
NHKスペシャル メルトダウン File.5「知られざる大量放出」[字]
福島第一原発の事故の真相に迫るシリーズ「メルトダウン」。今回は、事故から4年近くたって浮かび上がった「知られざる大量放出」。その衝撃の実態に迫る。
詳細情報
番組内容
独自の取材と科学的検証を重ね、福島第一原発の事故の真相に迫り続けてきたシリーズ「メルトダウン」。今回は、事故から4年近くたって浮かび上がった「知られざる大量放出」に迫る。いわゆる「吉田調書」などで知られる公的な事故調査は、事故から最初の4日間を対象としてきた。しかし、新たに入手したアメリカ軍の放射線量のデータなどを解析すると、これまでの「常識」を覆す放出と汚染の実態が分かってきた…。
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