生字幕放送でお伝えします岩渕⇒こんにちは「くらしきらり解説」きょうのテーマはこちらです。
12月のクリスマスシーズンを前に、ケーキなどの原料として使うバターの不足が続いています。
担当は合瀬宏毅解説委員です。
合瀬さん、今、本当にバターがないですね。
合瀬⇒そうですね。
12月ともなればケーキ店だけでなく一般の家庭でもケーキを焼きたいという人が多いと思うんですが12月というのは1年間の中でもバターの消費量が最も多い月なんです。
ところがそのバターの不足が続いているんです。
こちらはバターの大口需要者向けの価格ですが4年くらい前からじわじわと上がっていましてことし10月には1310円と25%値上がりしました。
そんなに高くなっているんですね。
バターの在庫不足もありまして農林水産省では、ことし5月に7000トン9月に3000トンの合わせて1万トンを緊急輸入したんです。
1万トンというのは年間需要の15%に当たりますからこれで先月には夏から続いたバター不足も解消するというふうに見られていたんです。
それでもないということですか?私も先日いろいろなお店を回ってきたんですが、家庭用のバターはほとんどありませんでした。
スーパーなどに聞きますと仕入れはあるんだけれども入荷はあるけれども売れるのが早くて今は1人1個というような数量限定して対応しているというところがほとんどでした。
一方業務用ですが、全国展開するケーキ製造メーカーなどは乳業メーカーから優先的に納入してもらってクリスマス分は確保したというところが多かったです。
ただ町の小さなケーキ店ですねこちらは家庭と同じようにまだバター不足は解消されていないというふうにおっしゃっていました。
1万トンも緊急輸入したのにどうして家庭用のバターが足りないんでしょうか?輸入されたバターの用途が若干違うんです。
国内の乳業メーカーは国内産の生乳を原料に品質保持期限の比較的短いチルドの冷蔵バターを利用しています。
品質保持期限の長い冷凍バターを製造しているんです。
足りないのは家庭用のバターなんですが輸入されるものは冷凍バターしかないんです。
そこで農林水産省としては冷凍バターを輸入してそれを大手菓子メーカーなどに使ってもらって余った生乳で家庭用のバターを作ってもらおうそれでバター不足を解消しようというねらいだったんです。
それがどうしてうまくいかなかったんですか?冷凍バターを輸入しても余った原料の生乳で家庭用バターではなくて生クリームなどに回った可能性があると農水省は見ています。
どうしてですか?乳製品についてはバター以外にも生クリームやチーズなどいろいろな用途があるわけですね。
特に生クリームについては最近はコンビニのスイーツブームなどで、大変需要が高まっていまして、そちらに回ったのではないかと見ています。
農林水産省は先週、バターを作る乳業メーカーなどを集めて家庭用バターの最大限の供給をしなさいというふうな、異例の申し入れを行ったんです。
その申し入れで、バターは増えていくんでしょうか?農水省としてはクリスマスまでに供給できるバターの数量を早急に今週にも報告してほしいというふうにメーカーに要請しています。
バターの在庫不足の中で消費者も含めて、メーカーや流通どこも買いだめをしてこれがバター不足を一層深刻なものにしている面があります。
ですから12月に供給できる十分な量があると分かればバター不足も落ち着くと見ているわけです。
ただこれでバター不足が抜本的に解消されたわけではないんです。
どういうことですか?そもそもバターの原料となる国内の生乳の生産量が落ちているんです。
これは牛乳を生産する国内の酪農家の数ですが2005年には2万8000戸あった酪農家ことしには1万9000戸と10年間で3分の2に減っているんです。
競争が激しくなる中で規模が小さい農家が、とうたされていった結果だと見られているんですが問題は牛の数も減っていることなんです。
かつては残った農家が規模を拡大して全体の牛の数というのは維持していたんですが最近は牛の数も減って10年間で166万頭から140万頭に減っているんです。
どうして牛もこれほど減っているんですか?いくつか要因があるんですがまずはコストが高くなってきているということがあります。
乳牛用の餌は、ほとんどが海外からの輸入なんです。
原料はトウモロコシでトウモロコシの国際価格が徐々に上がってきているということもあるんですが、最近は円安でさらに値上がりしています。
一方で製品の牛乳ですが価格はほかの飲料との競争もあってなかなか上げることができないんです。
確かにあまり変わらないですものね。
コストは上がるし、販売価格は上がらないということで経営が苦しくなるばかりです。
これは大変ですよね。
しかもチーズやバターなどの乳製品は、これまで高い関税をかけて国が守ってきたわけです。
ところがTPP交渉などではアメリカなどから乳製品の関税撤廃が強く求められています。
国としては規模拡大をして、生産量を増やしてほしい。
ただ一方、酪農家としては交渉の結果が分からないうちに規模拡大するのは危険すぎるということで規模拡大をためらっているというのが酪農家の本音ではないでしょうか。
何年か前ですけれども牛乳を捨てるという問題がありましたよね。
そうですね、2006年のことでした。
当時は牛乳の消費が減る一方で餌となる牧草が豊作で、供給が過剰となって北海道でおよそ1000トンの生乳が工場などで処分されたんです。
もったいなかったですね。
牛乳は牛を妊娠させて生産するものなので増産や減産に時間がかかり、需給調整が難しい商品なんです。
ですから国内で生産された生乳は飲料用の牛乳として利用されるんですが余ったものをバターやチーズなどに加工してそれを保存するという構造になっているわけです。
2006年当時は加工用の施設が足りなかったために捨てざるをえなかったんです。
乳業メーカーはこのときの反省からチーズの加工用の工場を増やしたりして加工用の設備を整えた。
ところが今度は生産する生乳が足りなくなったということです。
バターの輸入を増やすことはできないんでしょうか?それもなかなか難しいんですよね。
これは海外のバターの取引価格を示したものです。
人口の増加などで上昇や下降を繰り返していますが全体としては価格はずっと上がり気味なんです。
乳製品の輸入は今後難しくなってきますし輸入を増やすとますます酪農家は意欲を失って廃業が進みバターの供給が不安定になる可能性があるんです。
もちろん足りないときは輸入もしかたないんですが同時に国内産の生乳の生産力を高める努力が必要です。
政府は何か対策を打っていないんでしょうか。
政府としても酪農家を支援するための例えば、お米を使った餌の開発ですとか生乳をたくさん出す効率的な乳牛の品種改良などのコストダウンそれに加工用生乳に対する補給金など、酪農農家の経営を支えるさまざまな対策を打ってきているんです。
しかし農家の減少に歯止めがかかっていないんですよね。
農林水産省では来年3月に今後5年間の酪農振興の基本計画を打ち出すことにしています。
牛乳や乳製品を安定的に供給するためにはその中でどれだけ酪農家が安心して規模拡大に取り組むことができるのかその対策を打ち出せる
(テーマ音楽)2014/12/04(木) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「バター不足 解消はいつ?」[字]
NHK解説委員…合瀬宏毅,【司会】岩渕梢
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【出演】NHK解説委員…合瀬宏毅,【司会】岩渕梢
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