2014年のノーベル賞が、日本の技術者や産業界に大きな活力を与えている。
従来は基礎研究を重視する傾向があったが、青色LED(発光ダイオード)の受賞のように、実社会への影響度などを考慮する傾向が強まっているからだ。ノーベル財団は「世界の電力消費の4分の1は照明用に使用されているので、LED照明は地球資源の節約に貢献している」とのコメントを発表した。技術の実用化が得意な日本で“受賞ラッシュ”が起きるのではという期待が高まっている。
その点で、注目度が高いのがリチウム(Li)イオン電池だ。日本の技術者たちが基本原理を発明しており、長らく「受賞の可能性あり」とみられている。2014年2月に元ソニー技術者の西美緒氏と旭化成フェローの吉野彰氏ら4名は、「工学分野のノーベル賞」と呼ばれる「チャールズ・スターク・ドレイパー賞」を受賞した。
実際、リチウムイオン電池の実用化なくしては、小型のノートパソコンやスマートフォン(スマホ)の普及、そして電気自動車(EV)の台頭はなかったと言える。EV専業の米テスラ・モーターズのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)は、「当社のEVには日本の心が入っている」と日本の電池技術への賞賛を惜しまない。
■繰り返されるトラブル
ただ、そんな雰囲気に水を差すのが発火などのトラブルだ。「ノーベル賞の審査委員たちも未だにトラブルが続く技術に賞を与えづらいのではないか」との声が、電池業界関係者の間で上がっている。もちろん実際の審査過程に影響があるのかは分からないが、トラブルがつきまとう技術に賞を与えることは、ノーベル賞の信頼性にも関わってきそうだ。
リチウムイオン電池がソニーと旭化成などによって初めて実用化されたのは1991年。繰り返し充放電できる2次電池として、従来のニッケル・カドミウム(Ni-Cd)電池やニッケル水素(Ni-MH)電池よりも高いエネルギー密度を持つため、携帯機器を中心に採用が広がった。しかし、その高いエネルギー密度は、異常発熱や発火といった“負の側面”ももたらした。
2006年には携帯電話やノートパソコンに搭載されたリチウムイオン電池のトラブルが相次いだ。例えば、ソニーエナジー・デバイス製の電池を搭載したノートパソコンが発火事故を起こし、同社が世界で約960万個を回収する大きな事態に発展した。
最近では、米航空機大手ボーイングが鳴り物入りで投入した新型機「787」に搭載したジーエス・ユアサコーポレーション(GSユアサ)製リチウムイオン電池が、2013年1月に発火事故を起こした。
2013年6月には、三菱自動車がプラグインハイブリッド車(PHV)「アウトランダーPHEV」のリコールを実施した。同車に搭載したリチウムイオン電池で不具合が発生したためだ。
また2014年11月には、ノートパソコンに搭載されたパナソニック製リチウムイオン電池で発火事故が報告され、同社はリコール(回収・無償修理)している。
ソニー、ジーエス・ユアサコーポレーション、ノートパソコン、テスラ・モーターズ、リチウムイオン、PHV、ソニーエナジー・デバイス、発光ダイオード、河上清源、スマホ、エリーパワー、旭化成、テュフ・ラインランド、ボーイング、三菱自動車、パナソニック、ANA
2014年のノーベル賞が、日本の技術者や産業界に大きな活力を与えている。従来は基礎研究を重視する傾向があったが、青色LED(発光ダイオード)の受賞のように、…続き (12/25)
火山はいかにして噴火に至り、国内の監視・予知研究はどこまで進んでいるのか。動くイラストや地図、動画や画像などを組み合わせたデジタルコンテンツで検証する。…続き (12/22)
各種サービスの説明をご覧ください。
・エアバッグ膨らむ謎 タカタ欠陥問題、焦点は火薬
・日立システムズ、読み合わせ作業を自動化 保守作業現場に外販
・ザイン、モーター30個を配線2本で 駆動用IC開発
・三菱マテ、国内外で超硬工具生産増強
・オカモト、薄型コンドームの生産2倍に 茨城で設備拡充…続き