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通訳者の私が子どもに英語を教えなかった理由

子育て・教育

通訳者の私が子どもに英語を教えなかった理由

29歳から勉強を始めて通訳者・翻訳者となった枝廣淳子さんに聞く「英語学習論」(1)

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 だから、娘が3歳で帰国した後も英語の学習を続けないのは「もったいない」とは考えなかったですね。35歳でも60歳でも本人がやりたいと思ったときに始めればいいと思います。

 もちろん、遅くから英語学習を始めると勉強量が増えることはありますが、一方で、動機付けがあいまいなままダラダラ学習をするよりも、しっかりした動機があるなかで集中して学習するほうが絶対身に付くと思っています。

川合 僕もそう思います。英語学習で大切なのは、「時間×集中力」だと思っていますので、しっかりした動機に裏付けされた集中力さえあれば、むしろ時間を短縮できるとも思っています。

枝廣 そうですね。あとは、先ほど話題になった「勉強の仕方」が身に付いていれば、年齢に関係なく、学習の最短コースを自分で選べると思います。

 例えば大学生が「英語の勉強をしよう」と考えて英会話学校に行ったりしますが、あれは基本的には受け身の勉強なんです。英会話学校に行くのはいいけれど、自分でまず学習の設計をしてから、英会話学校を“使う”ようにならないとダメだと思います。自分の主体性を持たないと、上達しないまま、英会話学校にとって「いいお客さん」になってしまいます。

英語学習に使うお金を「ためておく」のはどうか

川合 学習を設計して子どもを英会話学校に通わせている親はあまり多くないかもしれません。その場合、それは無駄なことだと思いますか?

枝廣 無駄だとは思いません。投資に見合う効果が得られるかどうかは別にして……。

 子ども時代に英会話学校に通うだけで英語がペラペラになるとは思いませんが、例えば、子どもが楽しんでいるならそれはそれで意味があると思います。英語に対する心理的なハードルを下げることにもなるだろうし、もちろん、ある程度の単語やフレーズは覚えるでしょうし。将来的に、「英語をやろう」と本人が思う可能性も高まると思います。

川合 逆に、楽しんで通えてない場合は、むしろマイナスに働くケースもあると思いますか?

枝廣 あるでしょうね。英語がトラウマになっちゃったらかわいそうですよね。長い目で見て、子どもの英語教育にお金をかけるのは間違ったことではないと思っています。

 ただ、小さいときから薄く長く、週1回の英会話学校に通わせるという形で使うのか、そのお金はためておいて、子どもがある程度大きくなって本人がやる気になってから、ガッツリまとめて留学資金として使うのか、それはお金の使い方の問題です。

 また、英会話学校に子どもを通わせるだけで国際人になれるとは、間違っても思わないほうがいいです。それは親の気休めだと思います。英語ができれば国際人になれると思っている人が少なくありませんが、それはイコールではありません。


 枝廣さんが考える「国際人」とはどのような資質を備えた人なのでしょうか? 親の側の英語学習法とあわせて、明日公開する後編記事でお送りします。

川合亮平

川合亮平

“英国”と“イギリス英語”をキーワードに、通訳者、翻訳者、インタビュアー、ライター、コーディネーター、企業研修講師として、東京とロンドンをベースに活動するフリーランサー。三児の父(子どもは現在、ほぼ日英バイリンガル)。元英語落ちこぼれ。20歳から日本で英語独習を開始。現在は公私で英語を使用し、たまにイギリス人と間違われる事もある。肩書きは多岐に及ぶが、本人は“お父さん”と呼ばれるのが一番しっくりくると思っている。
【公式ブログ】「イギリス英語LIFE」http://ryohei-kawai-uk.net/wp/

連載バックナンバー

川合亮平の「英語ができる子にする極意」

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