子育て・教育
小学校低学年から「PDCA」を習慣化
川合 お子さん達が小学生だった頃の接し方で、気をつけていたことはありますか?
枝廣 例えば、1回1回のテストの結果は、私は全然気にしませんでした。娘がテストを持って帰ってくると、すぐに裏返して、裏紙として使えるかどうか確かめていたくらいです(笑)。大切にしていたのは、何かをやりたいと思ったときに自分で進んでいける力、いわゆるPDCAの力です。
川合 PDCA、つまりビジネスでいうところのPlan(計画)―Do(実行)―Check(評価)―Act(改善)サイクルのことですね?
枝廣 そう、その力を育むのが、親が子どもにしてあげられる最大のことだと思っていました。子どもが何かを自分でやろうと思ったとき、どうやってやるかを自分で考えて、やってみて、やってみた結果どうだったか、そしてその振り返りを次に活かす、というPDCAサイクルです。
例えば、子どもが点数の悪いテストを持って帰ってきたとき、「何をやろうと思って勉強した?」「それをやってみてどうだった?」と聞くんですね。そうすると、「考えた通りやったけど、考えたことの的が外れててダメだった」とか、「考えたことは合っていたけど、それが十分にできなかったからテストの点数が悪かった」というようなことがわかるんです。だから、点数をどうこう言うのではなく、子どもに「振り返り」をさせていました。
そんな問答を小学校の低学年から何度もやっていると、その思考回路が子どもの中に定着していきます。何をする場合にも、計画して、やってみて、振り返って、次に活かす、という手順を自分で踏めるようになってくるんです。高学年になったころには自分で考えられるようになって、私はそれを聞いて「じゃあ、頑張ってね」と言うだけになっていました。テストの点数でギャーギャー言う必要もなく、非常に平和で楽でしたよ(笑)。
川合 親が見るのは、勉強そのものではないということですね?
枝廣 親が教えるのは内容そのものではなく、勉強の仕方。それを教えるのが大切だと思っています。だって、今の子どもが大人になるころには、親だって知らない新しいことがどんどん出てきて、それを自分で学んでいかなければいけませんからね。今、長女は社会人、次女は大学生ですが、2人とも「勉強の仕方」は身に付いていると思っています。
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