NHK高校講座 地理「ここに注目!東南アジア」 2014.12.05


1912年250年以上続いた清は滅亡し中国は激動の時代を迎える。
今回は日本からも近い東南アジアに注目。
この地域にはなんと11もの国があるんです。
まずインドシナ半島に5か国。
トムヤムクンなどの料理で日本人にもなじみ深い…民族衣装のアオザイが有名な…タイとベトナムに挟まれた内陸の…世界遺産アンコールワットで知られる…軍事政権を経て民主化が進みつつある…次にマレー半島に2か国。
急速に経済発展を遂げている…マレー半島の先端には世界の金融センターといわれる…更に赤道周辺の島々からなる国が4か国。
バナナの生産国として知られる…日本の倍以上の人口2億4,000万を要する…小さな国でも石油や天然ガスの豊富な…そして2002年に独立した…これら11か国で構成される東南アジアとはどんな地域なのか日本とどんな関係があるのか見ていきましょう。
中田敦彦です。
山田彩です。
中国朝鮮半島と来て今回は東南アジアについて学んでいこうと思います。
東南アジアこちらでございます。
ぐ〜っと…はい大きくなりました。
しかし11か国もあるっていうのは僕も忘れてました。
私2年間シンガポールに住んでたんです。
なので知ってました。
実は。
シンガポールはどういうとこですか?主食は何なんですか?主食はパンとか麺もありますが…米…そこは一緒?はい毎日お米を食べてます。
それポイントですね。
実は…その背景には気候の問題が大きく関係しているという事でまずはその気候について見ていきましょう。
東南アジアの大部分は熱帯に属しています。
島々が位置する赤道付近は1年を通じて雨が多く熱帯雨林気候になっていますが赤道から離れたインドシナ半島は雨季と乾季のはっきりしたサバナ気候の地域が多いのです。
そんな東南アジアの気候を語る上で忘れてはならないのがモンスーンと呼ばれる季節風。
タイの首都バンコク付近では南西の季節風が吹く5月から10月は雨季となり河川が増水。
それに対して北東の季節風が吹く11月から4月は乾季で大地は乾燥します。
この雨季の大量の水と高温を生かして東南アジアでは水田稲作が盛んに行われているのです。
フィリピン・ルソン島の山岳地帯にはまるで日本のような田園風景が広がっています。
標高1,000mを超える山の斜面農機具の使えないこんな土地でも人々は米を作ってきたのです。
一方世界有数の稲作地帯となっているのがこちらインドシナ半島メコン川の河口に形成された三角州メコンデルタです。
毎年2,000万トンもの米が生産されベトナムは米の輸出量でタイとトップを争っています。
収穫した稲を脱穀。
あれ?その隣では田植えの真っ最中です。
乾季に灌漑が可能な地域では年に2回一部では3回も米が収穫できるのです。
市場にはたくさんの種類の米が並んでいます。
1軒の店におよそ30種類。
香りのいいものが高級なんだそうです。
ベトナムでは米から作った麺の料理がいろいろあります。
こちらは平たい麺を使った…そして蒸して乾燥させた麺から作るのが…また生地を発酵させた丸い麺のブンなどが代表的です。
更に米の加工品を使った料理がこんなにも。
モンスーンは食文化にも大きく影響しているんですね。
東南アジアも日本もお米が主食なのはモンスーンのせいだったんですね。
ねえ。
詳しくは先生に聞いてみましょう。
ゲストの永田淳嗣先生です。
よろしくお願いします。
(永田)よろしくお願いします。
水田稲作でお米を作るには高い気温とそれから豊富な水が必要なんですね。
このインドから東南アジアを経て東アジアにかけての地域この地域はですねモンスーンアジアというふうに呼ばれていて年間の降水量が世界的に見て非常に多いのが特徴なんですね。
タイのバンコクとかフィリピンのマニラではですね年間に1,500ミリを超える降水量があるんですね。
ところがですね一方大体フィリピンとかタイと同じ緯度にある西アジアのサウジアラビアのリヤドとかオマーンのマスカットといった町では年間100ミリ程度の降水量しかないんですね。
乾いてる。
全然違うんですね。
それぐらいモンスーンがあるかないかってのは大きいという事ですね。
この…さっきベトナムで年に2回3回ってお米が収穫できるって言ってたじゃないですか。
それってどういう事なんですか?東南アジアのこの地域というのはですねほとんどが熱帯に属している訳ですね。
そうすると気温的にはですね常に稲作の条件をクリアーしてる訳。
あとは水だけが問題という事になりますので1年間の間に…そういう事だったんですね。
ベトナムとタイが米の輸出量で世界のトップを争ってるというのはそういう気候のよさが特徴だと…。
そうですね。
それが基本にはあるんですがそれだけではなくて第2次世界大戦後緑の革命と呼ばれるですね…。
「緑の革命」?以前よりもたくさんの収量が取れる新しい品種を導入したりまた一部では機械化とか灌漑整備とかで農業の変革が進んだという事も米の収量を増やすのに貢献しているんですね。
そういう技術発展もあって今の生産量がある訳ですね。
さて米を食べる文化は共通していますが東南アジア11か国にはさまざまな民族さまざまな宗教が存在します。
次はそういった面からこの地域を見てみましょう。
インドシナ半島のミャンマーラオスタイカンボジアでは国民の多くが仏教を信仰しています。
これはインドからスリランカを経由して伝わったものです。
これらの国では僧衣をまとって町なかをたく鉢に回る僧侶たちをよく見かけます。
人々は喜捨といって彼らに食べ物や日用品をささげるのが日常になっています。
国民の9割以上が敬けんな仏教徒のタイでは幼い頃から年長者への敬意や控えめな態度をしつけられて育ちます。
目が合うと必ず返ってくるほほ笑みはこうしたしつけで身についた自然な習慣なのです。
一方16世紀から300年以上もスペインの植民地支配を受けたフィリピンでは国民のおよそ9割がキリスト教を信仰。
教会や礼拝堂が各地に見られ人々はミサへ出かけたり結婚式にも利用しています。
また海のルートを通りアラビア商人によってもたらされたのがイスラームです。
ブルネイの水上集落カンポンアイール。
およそ3万人が川の上で暮らしています。
イスラームはここにも伝わっていました。
マレーシアも国民のおよそ6割がイスラム教徒でイスラームが国の宗教となっています。
しかしここマラッカのモスク前には昔から中国の飲茶の店があるのです。
名物はこちらの肉まん。
しかし…それでもお店は大繁盛。
昼過ぎには売り切れとなりました。
ところが金曜日モスクで礼拝がある日に限っては…。
肉まんの蒸し汁は側溝に。
イスラム教徒の人々が豚肉のエキスの混ざった水を踏まないようにという配慮なんです。
東南アジアにはいろんな文化が入ってきてるんですね。
そうですね。
東南アジアでは非常に古い時代にまずこの南アジアのインドからですね文明が入ってきてそれから同じ頃に中国からも文明が入ってきてそのあとこの海のルートを伝ってですねアラビアの商人さんたちがやって来ていろいろな…なるほど。
東南アジアの人たちはどうしていくつも宗教があっても衝突せずにいられるんですか?東南アジアっていう地域はですね確かに民族の間での対立がない訳ではないんですけれども例えば中国とかインドとかヨーロッパっていうのは古い時代から強力な文明があってですねそれを外に向けて発信するような地域だったんですね。
だけれども東南アジアという地域にはそういう強力な文明を外に向けて発信するというような歴史がなくて。
なるほど。
むしろ受信すると。
そう受信する側なんです。
いろいろな外からの文明を受け入れてそれをうまくミックスしたりあるいは共存させたりして東南アジアらしい文化を作ってきたっていう…。
需要体質という感じなんですね。
それでいろんな文化がある…。
例えばイスラム教徒の女性がかぶるスカーフヒジャブと呼ばれる事が多いんですけれども一般的にはどんな色だか分かりますか?何だと思う?隠すっていう意味合いがあるみたいなの聞いた事あるよね。
黒じゃないですか?確かにあの〜中東では黒が一般的なんですけれどもインドネシアではですね近年さまざまな色や柄や素材のヒジャブが登場しているんですね。
すごい。
華やかだな。
こういった……の個性になってるんですね。
すごいおしゃれですね。
かわいいですよね。
あんぱんとかカレーパンみたいな感じで日本も和洋折衷でいろいろと新しいもの生み出してきましたけども何かそういう文化性と似てる気がしますね。
そうですよね。
…の特徴かもしれないですね。
では続いてはそんな東南アジアの社会や経済の発展はどうなっているのか見ていきましょう。
ベトナムのある街角。
ふと見ると道端にフランスパンを売っている店が。
実はベトナムは…東南アジアは戦時中日本に占領された時期もありましたがそれ以前タイを除く全ての地域は欧米の植民地支配を受けてきました。
戦後次々と独立した東南アジアの国々は工業化を進め経済を発展させていきました。
そして1967年にはインドネシアマレーシアシンガポールフィリピンタイの5か国が…現在では加盟国を10か国までに増やし東南アジアをまとめる地域連合に成長しています。
ASEANの中でもシンガポールは積極的な産業の育成と輸出の拡大によっていち早く工業化に成功。
外国の企業と共に世界の銀行も集まり世界有数の金融センターともなっています。
それに続いたのは…関税などの優遇措置が与えられる輸出加工区を設置し外国企業が集まる場所を作って電気電子産業を発展させました。
今では東南アジア各国の都市に巨大なショッピングモールが続々と誕生。
中にはスケートリンクを備えた施設まで。
多くの若者やファミリーが憩いの場として利用しています。
ショッピングモールっていっぱいお店があるんで見てるだけでも楽しいですよね。
一日中いられますよね。
植民地時代を経て農業国ではなく工業国で成功したのはどうしてでしょう?そうですね…外国の企業の方も低賃金の労働力とか安い工業用地を求めて次々と東南アジアに進出してきたんですね。
これが急速な工業化の要因となりました。
お互いのニーズが一致したんですね。
そうですね。
更にそのあとこのASEANの域内でもですね…それから複雑な工業製品である……が図られていったんですね。
えっそうなんだ。
ここにブルネイという小さな国があるんですけれども。
小さいですね。
意外とリッチなんですね。
そうですね。
その輸出によってですね非常に1人当たりの国内総生産GDPと呼ばれるものが高くなっていて…。
へぇ〜。
今やアジアのトップクラスになってるんですね。
東南アジアの今後の課題は何ですか?そうですね…カンボジアとかラオスミャンマー東ティモールといった国々ではまだ農業以外のめぼしい産業が育ってきていないですね。
インドネシアとかフィリピンといった国では貧富の格差が顕在化してきて例えば都市部でのスラムが拡大したりあるいは海外への出稼ぎに依存する経済になったり…といったような問題も発生していますね。
いろんな問題点が出てきていますね。
日本も資源や工業面で随分お世話になってますから無関心ではいられないですね。
先生今日はどうもありがとうございました。
ありがとうございました。
山ちゃん今日はいかがでしたか?東南アジアの事って何となくは知ってたんですけど詳しく知る事でより親近感が湧きました。
湧きますよね。
すごく日本に近いですよね。
そうですねいろんな文化が入ってきて。
混在してるとことかお米だとかね。
そうですね。
そういうところもあるしあと日本に住んでる東南アジアの人がおよそ35万人もいるらしいですよ。
35万人もいるんですか!?35万人います。
もっと仲良くなっていきたいですよね。
では次回も世界中のあんな事…。
こんな事…。
(2人)いっぱい知っちゃおう!東南アジアの気候は季節風モンスーンのおかげで高温多湿です。
そこで水田稲作が盛んになりどの国も主食は米。
米の輸出量は世界のトップクラスです。
インドや西アジアなどから伝わったまた占領国によってもたらされたいくつもの宗教や文化。
東南アジアの人々はそれらを受け入れ独自の解釈を加えて新たな文化をつくってきました。
大きく経済を発展させた東南アジア。
これからは教育に力を入れて社会の基盤を整え産業を多様化したり付加価値を付けたりする事が大切です。
2014/12/05(金) 14:40〜15:00
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 地理「ここに注目!東南アジア」[字]

人・モノ・情報が地球規模で行き交う現代。国や地域を越え、多様な社会や文化を理解し合うことが不可欠。“世界の今”を読み解く「地理」は、未来を切り開く力となる。

詳細情報
番組内容
それぞれの国や地域ごとに掘り下げて現代世界を考察する。自然環境や民族、文化、産業、経済など、さまざまな視点で学ぼう! 「ここに注目!東南アジア」(1)モンスーンのめぐみ (2)多様な宗教・文化の受容 (3)社会・経済発展の課題
出演者
【講師】東京大学准教授…永田淳嗣,【出演】中田敦彦,山田彩,【語り】安元洋貴

ジャンル :
趣味/教育 – 中学生・高校生
バラエティ – その他
趣味/教育 – 大学生・受験

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
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