クリスマス:キリスト教徒、かなわぬ聖地訪問…ガザ封鎖

毎日新聞 2014年12月25日 11時03分(最終更新 12月25日 11時43分)

孤児らを連れてカトリック教会を訪れたイスラム教徒の女性ら=パレスチナ自治区ガザ市中心部で2014年12月24日、大治朋子撮影
孤児らを連れてカトリック教会を訪れたイスラム教徒の女性ら=パレスチナ自治区ガザ市中心部で2014年12月24日、大治朋子撮影

 【ガザ市(パレスチナ自治区ガザ地区)大治朋子】イスラエルが占領するヨルダン川西岸パレスチナ自治区やガザ地区の教会で、24日夜から25日未明にかけてクリスマスミサが一斉に行われた。今年夏の50日間におよぶ戦闘の一時停戦から26日で丸4カ月を迎えるガザでは、多くのキリスト教徒がキリスト生誕の地とされる西岸地区ベツレヘム訪問の許可をイスラエル側に求めたが、多くは認められなかったという。

 「ベツレヘムに行きたい。でも、かなわぬ願いです」。病院勤務のジャフダ・マイケルさん(22)が、ガザ市中心部にあるローマ・カトリック教会で首を振った。「大きな夢」だが、一度も実現していないという。

 ガザに住むキリスト教徒は約3500人。圧倒的多数を占めるイスラム教徒に比べ極めて少数だ。クリスマスのこの時期、その大半がイスラエルにベツレヘム行きの許可を求めるが、マイケルさんは「認められるのは親世代の一部で、僕のような若者はまず無理」と話す。ベツレヘムまでは約70キロの距離だが、イスラム原理主義組織ハマスがガザを制圧した2007年以降、イスラエルはガザを封鎖。域外に出るにはイスラエルの許可が必要になった。若者については「テロ行為をする危険性がある」として、特別な例を除き、まず許可されない。

 24日夕、同教会でクリスマスミサの準備が始まると、スカーフをかぶったイスラム教徒の女性らが現れた。教会が支援する児童施設で、イスラエルとの戦闘で親を失った孤児や障害を負った児童ら1歳から14歳までの約30人の世話をキリスト教徒とともに続けているという。アマルさん(45)は「戦争中も助け合ってきた。今後も協力して子供たちを支えたい」と話した。

 今年夏の戦闘では、ガザの人口の4分の1以上に当たる48万人余りが避難のため自宅を離れたが、施設不足で数万人が行き場を失った。教会は施設を開放し、キリスト教徒らが食べ物や水を持ち寄り避難民を支援した。

 一方、ベツレヘムでは聖カテリナ教会で恒例のクリスマスミサが行われた。AP通信によると、参加したパレスチナ自治政府のアッバス議長は「過激主義とテロ」の終結を呼びかけた。

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