農薬:ネオニコチノイド系「基準緩和は妥当」 厚労省部会
毎日新聞 2014年12月25日 08時00分(最終更新 12月25日 10時54分)
ミツバチの大量死の一因とされるネオニコチノイド系農薬について、厚生労働省食品衛生審議会の農薬・動物用医薬品部会は24日、野菜などの食品に残留してもよい水準を大幅に緩和する新基準値案を妥当とする結論をまとめた。基準値を巡っては厚労省が昨年6月に新基準値案を公表したところ、市民団体から「緩和しすぎだ」などと反対の声が出て、注目されていた。部会が妥当としたことで厚労省案が採用される可能性が高くなった。
この農薬は「クロチアニジン」。基準値は作物ごとに異なるが、最も注目されていたのはホウレンソウ。厚労省案は、現行の3ppm(1ppmは100万分の1)より大幅に高い40ppmとした。これに対し、市民団体から「子供が一度に大量のホウレンソウを食べたら急性的な健康影響が生じる」との反対意見が多く寄せられた。
このため、厚労省は短時間に大量の農薬を摂取した場合の急性毒性を判断する指標となる「急性参照用量」を基に子供への健康影響を検討してきた。
その結果、厚労省は子供が40ppmのクロチアニジンが残留するホウレンソウを多めに食べた場合でも、急性参照用量を下回り、健康への影響がないとの試算結果を同日の部会に提示。部会は「当初の(厚労省の)案のまま見直しは不要だ」との結論を出した。【小島正美】