山田線、三鉄へ移管 沿岸首長会議 JR案に合意
(12/25)非公開で行われた会議には沿岸12市町村の首長らと達増拓也知事、三陸鉄道の望月正彦社長が出席した。
山田線復旧に向けては、8月の同会議でJRが提案する三陸鉄道への運営移管を「有力な選択肢」とする方針を確認。その後に条件面の協議を進めた結果、山田線の持続的な経営のための支援、自治体による運賃差額の補助、設備更新のための対応などの費用として、移管協力金としてJRが30億円を負担。加えて運行に必要な車両の無償譲渡や、レールや枕木交換などの軌道強化、検修庫・施設管理拠点の整備、人的支援、観光キャンペーンなどによる地域活性化、利用促進への協力なども盛り込んだ移管案がJRから提案された。
この条件は11月の同会議で明らかにされ、沿線自治体が受け入れるかどうかを検討。全市町村が異論はないとして今回の会議で最終的に合意に至った。
終了後に取材に応じた達増知事は「将来の世代にまで誇りを持って引き継いでいくことができる地域づくりの核になる鉄路復旧が決まったことは、被災者の皆さんにとっても喜んでいただけると思う」としながら、着工時期については「今日にでもスタートしてほしいという気持ち」とした。望月社長も移管のメリットとして「ダイヤが柔軟に組めるようになる。車両基地、運行指令が一本化でき、会社経営の効率化も図れる」とし、「高齢化社会を迎える中、地域の生活の足という役割が大きい。交流人口拡大へ、三鉄も観光資源になっているので、地域の活性化に貢献したい」と決意を新たにした。
沿岸の首長も合意を歓迎した。碇川豊大槌町長は「受け入れを正式に意思確認した以上は、一日も早く復旧・復興の工事に着手してもらいたいという気持ちが強い」と期待し、佐藤信逸山田町長は「枕木やレールなど一定期間メンテナンスに金が掛からないように整備し、利用促進に関してはキャンペーンなどでジオパークや震災の復旧状況を発信してもらいたい」と注文を付けた。
今後は26日に合意した旨をJRに報告。2015年1月以降に基本合意を締結して、その後にJRが復旧工事に着手する見通し。県は移管協力金などを活用した補助・負担ルールや運賃激変緩和の方法などについて関係市町村と連携して検討を進める。
【写真】JR山田線の三陸鉄道移管で合意し、手をつないで喜ぶ首長ら