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サザンオールスターズが12月17日、iTunes Store向けに全楽曲266曲の配信を開始し、大きな話題を呼んでいる。配信から24時間後には、ベストソング100位中47曲をサザン楽曲が占め、1位には最新シングルの「東京VICTORY」がランクイン。ベストアルバムランキングにはすべてのタイトルがチャートインし、1位には『海のYEAH!』が入るなど、いわばサザンが“iTunesジャック”した状態となったのだ。ビッグタイトルのiTunes配信といえば、2010年のザ・ビートルズの例が思い起こされるが、今回のサザン楽曲配信開始は、それに匹敵するインパクトを音楽リスナーにもたらした。
今回のサザン楽曲のiTunes配信決定を後押ししたものは何か。バンドの所属レーベルである、タイシタレーベル長の小野朗氏は次のように語る。
「スマートフォンの普及とともに、iTunes配信の必要性も上がってきていることは意識していましたが、2008年から2013年までサザンオールスターズが活動休止期間に入っていたこともあり、今まで配信開始のタイミングをなかなか図れませんでした。ただ、昨年のサザン復活以降、2枚のシングル発売とともに、配信開始を希望する声が高まるばかりで、このままでは、サザンの音楽を必要としている方々にきちんと届けられない状態になってしまう懸念が出てきたのです。サザンの曲を必要としている人たちにきちんと届けられる環境を整えよう、というごくシンプルな理由が配信開始に至る純粋な理由です」
一部の楽曲ではなく、これまでに発表した全楽曲を配信した理由を訊ねると、「”きちんと曲を届ける”という目的においては、配信している曲としていない曲が混在してしまうのはよくないと考えました」と小野氏。その結果、この9月に発売された最新シングル「東京VICTORY」が1位に入ったことは、小野氏自身もバンドの魅力を改めて実感するきっかけとなったという。「CD発売から3ヶ月経ったこのタイミングで、改めてiTunesでも1位を獲得したことは、サザンが今なお、時代の要請を受けているバンドである証かと思います。唯一無二であるこのバンドの持つ“底力”を感じましたね」
では、今回のサザンのiTunes配信開始を専門家はどう見ているのか。世界のデジタル配信事情に詳しく、電子書籍『未来は音楽が連れてくる』の著者でもある榎本幹朗氏は、Appleの創業者スティーヴ・ジョブスが2002年のiPod発表時に、サザンオールスターズの楽曲を流したエピソードをまず紹介した。
「スティーヴ・ジョブスがAppleキャンパスで初めてiPodを発表したとき、サラ・マクラクラン、ボブ・マーリィ、ヨーヨーマ、ビートルズの楽曲に続けて「日本の曲をかけてみよう」と話し、サザンの『忘れられたBig Wave』を流したのです。ジョブスがソニーのウォークマンを意識していたことは有名ですし、日本のリスナーに受け入れてもらいたくて、サザンの音楽をかけたのでしょう。今回の配信開始は12年越しでようやくジョブスの思いが通じたのだと思います」
では、今回のサザン楽曲配信開始は、iTunesという配信プラットフォームとそのユーザーにどんな影響を与えるのだろうか。
「ダウンロードで音楽を購入するのは30歳前後の世代が中心です。そうした層に向けてデジタル配信を行うことは、サザンのような大物ミュージシャンにとっても新たなコアファンの獲得につながるでしょう。音楽配信のメリットは、話題の最新曲だけでなく、エヴァーグリーンと呼ばれる時代を超えて輝く名曲も今回のように活性化できることです。サザンの楽曲は知っているけれど、カタログを揃えて聴き込んだことはなかったという世代にとっては、より深くバンドの音楽を楽しむ機会となるのではないでしょうか」
近年、スポッティファイのような定額聴き放題サービスの世界的な普及などもあり、一時ほどの勢いがないとも指摘されるiTunes。しかし、有料ストリーミングサービスを展開するbeatsを買収したり、ネットラジオの一種であるiTunes Radioを開始したりと、Appleは様々なテコ入れ策を展開している。日本ではiTunes Radioやbeatsのサービスは未だ開始されていないが、榎本氏は、近い将来にそれらのサービスが始まれば、より豊かなリスニング環境が実現するだろうと話す。
「iTunes Radioはラジオのように楽曲を試聴し、気に入ったらダウンロードで購入するという仕組みです。日本でもサービスが実現すれば、たとえばサザンの“隠れた楽曲”が多くのリスナーに発見されるなど、リスナーの選択肢はより幅広いものになるでしょう。また、Appleが準備中ともいわれるiTunesでのハイレゾ音源販売では、いい音で何十回でも聴きたい曲が大事になります。ハイレゾの普及には一般的な音楽ファンにとっての名曲が必要ですが、サザンの楽曲はぴったりハマるのではないでしょうか」(榎本氏)
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