「すべての創造は模倣から出発する」
ローリング・ストーンズのデビューシングルはチャック・ベリーのカバー曲で、ファースト・アルバムの大半もカバー曲だった。レッド・ツェッペリンは当初「黒人音楽を盗んだ」と言われ、エアロスミスはデビューからしばらくはストーンズの真似事に過ぎないと断じられていた。「すべての創造は模倣から出発する」とはよく聞く名言だが、この発言主である画家・池田満寿夫はその名言を「創造が真の意味の創造であるためには、その創造のための模倣が、創造的模倣でなければならない」と続けている。先のバンドの例しかり、結局この名言って、後々から歴史を振り返った時に初めて「あの模倣は創造的な模倣だったんだ」と使えるにすぎず、今まさに行なわれている模倣について、創造的かどうかを測定するのは難しい。
ボンカレーを出し続けるカレー屋は潰れない?
MayJ.は「ってゆうか、結局カバー曲だけじゃん」とあちこちから野次られても、「オリジナル曲ではなく、カバー曲を求められているのだとしたら、それに応えたいって思います」「ネガティブな意見でもいいんです。それは歌が届いていることの表れ」(TVBros・11月22日号)と快活な返答を繰り返す。彼女は現在の模倣を創造的模倣に繋げていく気があるのかどうか。カバー曲だけじゃん、というヒソヒソ話に向かって、それではみなさんカバー曲を聞いてください、と攻めていく現在の姿勢ってなかなかタフだ。この店のカレー、レトルトらしいぜ、という文句に対して「そうなんです」とボンカレーを出し続けるカレー屋はタフだ。意外とその店は、こだわりのルーを謳う店よりも長持ちしたりするのだろうか。
そのうちにこだわりのルーになると言い張る
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