齟齬の原因の背景には,分野間の測定法の違いがありました.
ぼくの場合は,学部・修士時代に植物環境工学(以下,植物分野)の研究室に所属し,そこで光の測定法を学びました.
一方,前記事のコメント欄にある著者の堀先生からの情報の通り,論文に記載されている機器を用いた測定法は,現在,昆虫の光応答の分野(以下,昆虫分野)ではスタンダードになりつつある手法のようです.ぼくは初めて知りました.
その後のメールのやり取りで,堀先生からは,一般に植物分野の光強度測定によく使用されるLI-Cor製ライトメーターによる測定データをいただきました.
ぼくからもご紹介させていただきますと,測定された結果,「Fig.1aのショウジョウバエ蛹に照射しているグラフでの光強度は90 umol/m^2/s.ある天気が比較的良い日の太陽光の測定値(400~500 nm)は260 umol/m^2/s程度.」
つまり,昆虫分野の測定法による測定値は「3.0*10^18 photons/m^2/s (= 5 umol/m^2/s)」で, このときの植物分野の測定法による測定値は「90 umol/m^2/s」です.
すなわち,堀先生の論文で記載されている光強度(注:umol/m^2/sに変換後の値)に係数18(=90/5)を乗することで,植物分野のそれに変換できること,理解いたしました.
ぼく自身,光強度(ここでは,光量子束密度)のような物理量は,単位の違いこそあれど,分野間で同じような測定法であり,少なくとも,同一光源下で測定した場合,単位を揃えれば同じ数値になるという認識(間違っていないと思いますが)を前提に,自らが学んだ手法・知識に固執してしまいました.
ともあれ,「虫を殺す青色光の強さ」がわかりました.
統計結果に関しましては,研究者間の見解の違いにしばしば依存するため,これ以上は言及いたしません.
以上です.