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【スポーツ】

<首都スポ>目指せ3冠! 明大ラクロス部 同好会クラブが全日本CSで決勝進出

2014年12月21日 紙面から

クロスを手にポーズを決める明大女子ラクロス部の(左から)山本茜、黒岩茜、松本理沙、多賀麻文=東京都調布市の調布基地跡地運動広場

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 準体育会の明大ラクロス部が偉業達成目前だ。初出場ながら今年で25回目の開催となる全日本選手権で勝ち進み、21日の決勝(東京・江戸川区陸上競技場)でNLC SCHERZO(スケルツォ、関西クラブ1位)を倒せば、大学チームとしては2年ぶり8度目の優勝という快挙となる。今季はこれまで、関東学生リーグ戦、全日本学生選手権(インカレ)、この選手権と計10戦全勝と無類の強さを発揮している。創部26年で体育同好会連合会所属。この快進撃、大活躍で、熱望する体育会への昇格も十分にありそうだ。 (フリージャーナリスト・辛仁夏)

 今年、2冠(関東学生リーグ&インカレ)に輝き、部員112人と大所帯のチームをけん引するMF黒岩茜主将(4年・明大付中野八王子)は胸を張る。

 「部室もグラウンドもないので、体育会にはなりたいと思っています。恵まれない環境の中で、どうやったらうまくなれるかを常に考えているのが明大の強みです。初心者が多いチームですが、ラクロスが好きでうまくなりたい気持ちが強い選手ばかり。自主的に全力で心から楽しみ、頑張ることができています」

 取材日の練習場所は、京王線・飛田給駅から徒歩15分程度に位置する調布基地跡地暫定市民スポーツ施設内のグラウンド。授業のない選手たち40人ほどが集まり、朝8時半〜11時半の間、攻撃のフォーメーション練習や対戦相手を想定したディフェンスの陣形確認などに汗を流した。黒岩主将の言葉通り、選手同士が積極的に意見を出し合いながら取り組む姿がそこにあった。

 練習開始の合図は円陣を組んだ後の掛け声から始まる。「今日もやるべきことをやる!!」「一つでも成長する!!」などと数人が思い思いの言葉を声に出す。最後に全員で「We gotta win We are MEIJI Champions(やるべきことをやって勝つ。目指すは王者)」と合言葉で締めくくり、互いにハイタッチして気合を入れた。

 今年のスローガンは「ハングリー」。目標の「日本一」になるために、一つのボールや1勝にこだわること。明大ラクロス部の活動理念は「社会で活躍できるいい女になる」だが、今年のチームは既に「いい女」たちの集団だった。彼女たちが心底、本気でラクロスを楽しんでプレーしているからこそ、強くなれたと言っていいだろう。

 小学3年から中学までは水球をやっていたという点取り屋のAT(アタック)多賀麻文(まあや=3年・桐蔭学園)のラクロス歴は高1、2年と大学3年間でまだ5年だが、それでもチーム唯一の高校時代からの経験者だという。1試合4ゴールを目標に置く多賀は「クロスという道具を使う面白さがある。躍進できた要因は、今年のスローガン通りにハングリーにもっとうまくなりたいという向上心と、貪欲さがあったからだと思います」。と同時に、今年のチームは勝利に対する執着心が例年以上に強いと評した。

 明大は女子の強豪校である慶大や日体大のようにラクロスの経験者がチームの大半を占めていない。ほとんどの部員が大学で初心者から始めている。ただ、ここ数年は21歳以下の日本代表やフル代表候補に選出される選手も出てきている。今年日本代表候補に選ばれたMFの松本理沙(3年・長崎北陽台)は「大学の新歓活動で初めてラクロスを知って始めたので3年目です。やればやるほど伸びるし、自分がいままでやってきたバレーボールや陸上を生かせる新しいスポーツだった」とラクロスの楽しさにはまったようだ。

 ラクロス歴4年で21歳以下の日本代表経験のあるDFの山本茜(4年・千葉幕張総合)も「高校でやっていた女子サッカー部が明大にはなかった。全国大会や日本一を目指すにはどのスポーツがいいか探した結果、ラクロスに出会った。サッカーの時もディフェンスだったのでその経験が生きている」と熱っぽく語り、目を輝かせた。

 2005年から明大を指導する井川裕之ヘッドコーチ(34)は「明大はほとんどが一般学生の初心者の集まり。そのチームがリーグ優勝、インカレ優勝できたのは今回が初めてだと思います。今年躍進できた要因は、レギュラーだけでなく、チーム全員でハングリーに向上していこうと一丸になれたことが大きい」。その指導法は選手自身に考えさせ、自主性を引き出すやり方。どの選手に話を聞いても自分の考えを自分の言葉で明確に伝えるなど、しっかりと受け答えができる理由がそこにある。

 黒岩主将には「明大を盛り上げるスポーツにはラグビー、サッカー、駅伝があるが、ラクロスが女子スポーツの代表になりたい」という夢がある。その実現のためにも、21日の大一番では「しっかり準備して絶対に勝ちます」。3冠の偉業がその夢を後押しする。

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 首都圏のアスリートを全力で応援する「首都スポ」面がトーチュウに誕生。連日、最終面で展開中

 

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