京大入って3ヶ月でひきこもりになって休学して復学した話

プロローグ

 大学に入学して3ヶ月、友人と先輩の2名だけ「小説家になるから大学やめる」と言い放って、完全に大学に通わなくなった。小説家になると言ったのは、哀れみの目を向けられたくなくて強がって言っただけで、小説を書いたりなどしなかった。ただ大学をやめたかった。実際は、1人部屋の中で寝込みながら、メール通知の耳鳴りが止まずにいた。この時は寝続ければ元気になると思っていた。何日かすると、大学に来なくなった自分への心配のメールがクラスメイトから1通来て安心した。それから、寝ても寝ても疲れだけが溜まり、もうダメだと思い、実家に「大学やめたい」と電話した。

 

大学をやめたくなった理由の一部

 大学をやめたくなった理由は、ほんとに挙げればキリがなく、あらゆる原因が絡み合っているので正確に全ては説明は出来ないので、簡単に一部だけ説明します。

 合格してから時間がなかったため、下宿先とPCは父親が決めた(本当は自分で選びたかったのだけど)。下宿先は新しく出来たピカピカの学生マンションで、そこには新入生が数多くいて、1人で食べたい時でも食堂に行けば知ってる人がいて気が休まらなかったりすることも多少あった。ある人に嫌われて玄関まで来られて「手出すぞ」って脅されたりした。そいつとは同じ学部でよくすれ違うのだけど、今も煮え切らない。それが学部・マンションから離れたくなった理由の1つ。

 また、人間関係のトラブルだけでなく、大学の授業に関しても不平不満が多々募ることがあった。例えば、英語の授業だが、これは最初から時間割に割り当てられてた上に、高校生でさんざんやってきたような読解の授業で、またこんなことをやるのかと思った。逆に、ハードだったのが、専門科目の入門演習という授業。グループを組まされてテーマを決めて各自で小論文(5000字?)を書くのだけど、テーマが歴史系になって理系受験の自分には難しすぎて時間が取れずドロップアウトした。せめてグループという枠組みで大きなテーマを設けさせないで、各自で自由なテーマにさせて欲しかったと思う。他の班員に申し訳なく今でも荷が重い。また、専門科目は、特に人がいっぱい溢れ気持ち悪かったし、縦長の教室で先生も黒板も遠く集中しづらかった。

 それから、みんな勉強なんて全然しないんじゃないかと思っていたが、想像以上にしていて、ほどよく劣等感を感じながら、誰よりも単位が取れないんじゃないかという不安を抱えていた。中国語の中間テストで何も勉強してなくて何も聴き取れず、もうダメだと落ち込んだりしていた。

 そして、最も厄介だったことに、小学校高学年から悩んでいる体質があった。僕の近くに来た一部の人が鼻をすすり始めるのである。どうやら僕から何か鼻水がでるような物質が飛んでいるようである。こういうことを言うと、医者には笑われ、身内にすら小馬鹿にされ、信じてもらえないことが多い。でも、人間だって汗・臭いなどを放つし、スギだって花粉を飛ばすし、何かを過剰にだしていて、それに過剰に反応する人がいてもおかしくないと思うのだが。実際に、僕の傍にいると鼻水がでるとボソッと言われたことがあるし、友達に会うたびにお前といると鼻水がでると言われる人もいるらしい。で、その体質のせいで、高校の頃近くにいてた彼が受験に失敗したのは鼻水がでて授業に集中出来なかったからじゃないかと罪悪感を感じたりしていた。この体質のせいもあって、全体的に加害妄想(思春期妄想症)ぎみになってしまい、自己視線恐怖症になってサングラスを買ってみたりしました。自己視線恐怖症というのは、自分の目線で周りに不快な思いをさせてるんじゃないかと感じて辛くなる病気です。

 

休学中にしてたこと

  親と相談する中で「大学やめて何するの」と何度も質問されたのですが、さきの体質を理由に、自分が研究して病気を明らかにしないといけないと医学部の再受験をすると言って、参考書や過去問を買って医学部の再受験勉強を始めました。

 他に、図書館に行ったりamazonで購入したりして本を読んでました。どんな本かというと、勉強法や自己啓発、脳科学、心理学の本です。ちゃんとした学歴のある人が書いてる本を読んでました。当時はものすごく勉強できないことややる気のないことに不安感を覚えてしまっていたのですが、本を読むことでだいぶ解消されたかなと思います。 

 それから、運動不足が良くないと思ったので、たまにサイクリングやランニングをしてました。

 全体的に刺激が少なく退屈な毎日だったと思います。ちょっと勉強するひきこもりと変わらなかっただろうし。

 

復学を決意したわけ

 ある日、家の2階の居間にいると、3階からドンドンと地響きが聞こえてきます。3階には妹しかいません。何をしているのでしょう。ドンドン。とても五月蝿いです。ドンドン。鳴りやみません。「うるさい」と声をだしても鳴りやみません。ドンドン。恐る恐る3階に行って妹の部屋の扉を開けると、妹が仰向けになって、泣きながら手足で床や壁をバンバンやっていました。「うるさいからやめて」というと、「お兄ちゃん学校行って」と過呼吸ぎみに泣きながら手足をバンバンやり始めました。それなりに有名な大学に行った自慢の兄がひきこもりになって、とてもつらかったのでしょう。僕は、妹をこんなに辛い思いさせるのであれば、周囲の人が鼻水をすするぐらいなんだと思い、復学しなければと思ったのです。

 それに、再受験の見通しも悪そうだし(そもそも医者はとても忙しそうでなりたい職業ではない)、合格した京大にそれなりにちゃんと通ってみたかったし、受験勉強を応援してくれたり京大合格を祝ってくれた方々に申し訳なかったし。

 

復学してから・リスタート

 2回生。大学は4年間学費を払って在籍をしてないといけないので、1度でも休学して学費を払わないことがあると、5回生が決定していた。そうなると、2回生の春であったが、気持ち的には大学生活をやり直す、ないし初めての感覚があった。

 ここでまた似たような失敗を繰り返す訳にはいかないので、出来るだけ授業をとって、単位がとれるように頑張った。スタートで躓いて出遅れるような感覚を得たくなかった。「1回生の前期で単位取れてない人ほど留年しやすい」と言ってる先輩がいたが、それは成功体験がないせいで追い詰められた時でも頑張る気力が湧いてこないからなんじゃないかと思う。

 第二外国語は1回生と同じように中国語を取った。2回生から語学は授業を選べるのだが、中国語は先生の数が多く授業の選択肢が増えるので良いと思う。中国語は1回生と一緒に真面目に受けた。第二外国語は文系なら8コマ必要な上、積み重ねが必要なので、特に躓かないように予習などもそこそこやった。おかげで2回生前期は両方とも最上位で優が取れた。 新入生に言いたいことだが、語学で躓く人は結構多いので気をつけて欲しい。

 あと、学部推奨の数学の科目はとらずに、プログラミングなどの授業をとった。数学は教科書さえあれば自習できると思ったし、プログラミングを勉強したかったから。自分のとりたい授業をとったことは、精神的に良かったと思う。

 全体としては、24コマ履修登録して20コマ分の単位を2回生前期で取れた。それは38単位分で、要卒単位数が124単位なことや、サークル2つに入って週4,5日で活動があったことを考えると、頑張った方だと思う。自信がついた。出来るだけ人との接触を避けたかったこともあり、出来るだけ1番前の席で授業を受けるようにした。授業を聞かなきゃっていう気になれるし、他人が視界に映らないし良かったと思う。単位が取れないのではないかという不安もあったが、上位の方に入ってるから大丈夫だと言い聞かせた。あと、時間割を埋めて出席するようにすると、生活リズムが崩れにくいので良かったなと思う。

 ただ一方で、授業詰めまくって出席してサークル活動もしていると、時間の制約上中途半端になってしまうものもあってどうなんだろうなと思う。色々な授業を受けても色々なことを知っても、身についた感じがしなかったり役に立つ感じがしないし、それよりかは自分でやりたいことを好きなだけ勉強したいなと思う。授業に出席して勉強するのはコスパ悪いような気もする。

 で、だいたい大学の生活も授業もこんなもんかっていうのが分かったので、今はあんまり授業にでてないけど、ほどほどに単位をとってる、たぶん……。経済学部なんて必修も研究室もないし、試験さえ出来れば単位くれる授業多いし、卒業したくなったらすぐ単位取れると思う(ホンマか!?)。経済学部は3回生で単位取り終える人も珍しくないぽいし。とりあえず、今は勉強する気があまり起きないので、気分転換にバイクの免許を取る予定。

まとめ

  僕は休学せざるおえなくて休学した。大学に通える精神ではなかった。頭ではロト6の過去にでた番号が未来の番号に影響を及ぼさない論理がわかっているはずなのに、何故かロト6の過去のデータを研究したら宝くじが当てられるような気がしていたし、とにかく大学やめたいということで頭がいっぱいで、正しい論理は働かなかったと思う。

 休学してる間は肩身狭いし退屈でかなり非生産的だったけど、休学することによってあらゆる心身や生活・人間関係をリセット出来たので良かったといえば良かった。出来ることなら、入学当初の自分にアドバイスしてあげたいのだけど。あと、変な人と出会えて良かった。入学当初は京大は変人ばかりと期待して入って全然いないと失望したが、ちゃんといるところにはいるのなだと今は思う。

 自分のように精神的に大学をやめたいという人は休学したら良いと思う。国公立は休学してる間、学費払う必要なく、学生証返す必要もなく学生の身分でいられるので非常に良いと思う。退学は良くなくて、退学は選択肢を減らすだけの悪手なので、早まらないで欲しい。退学は退路を断つだけなので、進路がない限りは使ってはいけない。僕が親と相談してる時は精神的に良くなくて「大学やめたい」「退学する」って連呼しまくってたけれど……。

 

本記事はuiureoさんの始めた留年休学カレンダーに勝手に便乗したものです。

 以下、自分が把握してる記事。

 最後の鶉まどかさんの記事は留年も休学もしてないし、違うのだけど参考になる人も多いと思うので。僕としては、色々なことをしっかり考えた上でなら休学などはしていいと思う。留年や休学などによって生じた問題の責任は引き受けられないので、積極的に他人にすすめることはないけれど。大学入学当初は「大学を4年で卒業するのは勿体ないから、留年する予定」って言ってる同級生がいて衝撃があったけど、今は驚かない。社会人になったら大学生のような自由はなかなか得られないだろうし、大学生のうちに色々なことをした方がいいんじゃないだろうか。プログラミングや言語を身につけるには時間をとって集中的に勉強した方がいいんじゃないだろうか。それに、大学を4年で卒業したエリートしか採用しない企業に就職したいと思えない。1,2年遅れるぐらいだったら長い目で見てそんなに問題ないように思う