英裁判所「イギリスのスパイ活動は人権侵害にあたらない」
ウェブカメラの覗き見も許されちゃってます。
イギリスの諜報機関、GCHQこと政府通信本部。そのお仕事はといえば、情報収集です。でも、それって欧州人権裁判所の定めるプライバシー保護や言論の自由を侵害していないのでしょうか?
たとえば、2008年から2010年までは「Optic Nerve」(視神経)というコードネームでネットユーザのウェブカメラからの映像を(当然ながらやらしいことをしているところまで)入手していましたし、すべての国々のネット接続をスキャンする「Hacienda」(アシエンダ:スペイン語で牧場を意味する)というシステムを使っていたりもしています。それらが人権侵害にあたるかどうか、イギリスの調査権限審判所の出した答えは「ノー」でした。
イギリスの調査権限審判所(Investigatory Powers Tribunal)の裁判官たちは、GCHQの情報収集の手法を調査し、これが人権侵害にはあたらないとの判断を下したのです。しかし、だからといってGCHQが何でもかんでもやっていいというわけではなく、現在のGCHQの標的選定方法や、収集したデータの保管方法が妥当だからということのようです。
しかし人権団体アムネスティーのイギリス支部Amnesty UKや、プライバシー・インターナショナルなどの人権団体は、「その調査自体が満足の行くものではなかった、審議が非公開審議だったことへも満足がいかない」として、この件を欧州人権裁判所で訴えるつもりのようです。
蛇足ですが、日本でも来年3月公開予定の映画「The Imitation Game」(邦題:イミテーション・ゲーム)では、後にGCHQとなる政府暗号学校が描かれています。この組織で、第二次世界大戦時にドイツ軍の暗号機エニグマを解読するために活躍したアラン・チューリング氏を「シャーロック」でお馴染みのベネディクト・カンバーバッチ氏が演じます。
私たちの気づかないところで覗き見をしている人たち…ではなくチューリング氏のような活躍をしている人がGCHQにいると思いたいですね。
image by UK Ministry of Defence
source: BBC
Gerald Lynch - Gizmodo US [原文]
(abcxyz)
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