欧州

拷問、黒人差別、子供の人権無視・・・
根底にあるのは奴隷制度の後遺症?人権尊重を謳うアメリカは人権侵害だらけの国だった

2014.12.24(水)  川口マーン 惠美

 拙著で論じたのは、ヨーロッパにおける奴隷制度の後遺症だったが、最近になって、後遺症が重篤に残っているのはアメリカの方であると感じている。

 奴隷制度の基本は、常識で考えれば犯罪であることを、皆が上手に詭弁を弄して合法化し、奴隷は喋る家畜であると良心を傷めずに考えられるようにすることだ。その際、使用する法律は、奴隷で儲ける人々が作るのだから、フェアであるはずがない。

 私は、奴隷制度を持ち、植民地を持ち、アンフェアな法律でそれらを司っていた国の人々の心には、いまだにこの感情が残っているような気がしてならない。ただ、ヨーロッパ人は、その感情を隠すことが良識だと思っている。あるいは、本当にそんな感情はすでに持っていない人もいる。

 ちなみにドイツ人は、欧米のかつての列強の中では、人種問題において、一番差別感情が少ないのではないかと思う。彼らは20世紀になってからはかなり道を誤ったが、それ以前はそれほど積極的に奴隷貿易に加わっていなかったし、植民地獲得にも乗り遅れていたからである。

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 ところが、アメリカでは、未だに露骨に差別がなされている。昨今の出来事を見ていると、法制自体が不平等であるようにも見える。この国が世界の警察を自認しているのは、卓越した軍事力にせいであり、道徳心とはあまり関係がないのだろうか。

 いずれにしても、アメリカは国内に未だにこれだけの人種差別を内包し、また、哀れな子供たちに更生のチャンスも与えず人権を奪っていながら、他国の人権問題に口をはさみ過ぎだ。自分の国の人権諸問題を改善するのが先ではないか。

 余計なお節介の前に、少なくとも刑務所の子供たちだけでもどうにかしてほしいと、私もまた余計なお節介をさせてもらう。イスラム国の退治よりも、ずっと簡単にできるはずなのだから。

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