欧州

拷問、黒人差別、子供の人権無視・・・
根底にあるのは奴隷制度の後遺症?人権尊重を謳うアメリカは人権侵害だらけの国だった

2014.12.24(水)  川口マーン 惠美

 アメリカの黒人差別は、私たちの想像を絶する。オバマ大統領は8日、デモの拡大を懸念してコメントを発表したが、それによると、アメリカには差別はまだあるので、それと戦わなければいけないとのこと。

 それでも、50年前よりはましになったのだそうだ。50年前といえば東京オリンピックの年だが、当時、ほとんどの黒人はまだ選挙権を持たなかった。黒人全員が選挙権を持ったのは1971年のことだ。

 もう一つ、人種差別に関するショックなニュース。11月21日、リッキー・ジャクソンという黒人が40年ぶりに刑務所から釈放された。40年前、ジャクソンさんは兄と共に殺人容疑で捕まり、無実を主張したが有罪となり、以後、ずっと監獄暮らしだった。兄の方は数年前に恩赦で釈放されている。

 この時の唯一の証言者は、当時12歳の少年だったが、現在52歳になったその証人が、実は自分は現場にいなかったということを告白して、ジャクソンさんの釈放につながった。警官にプレッシャーを掛けられ、嘘の証言をしたというが、それがばれて逮捕されることが心配で、40年間、告白できなかったそうだ。

 ジャクソンさんは、仏様のような穏やかな笑顔で、「証言者を憎んではいない。彼の幸運を祈る」とコメントしていた。アメリカでは、「黒人、男性、若い」の3条件が揃った人間は、自動的に警察に目を付けられるというから、無実の罪で囚われている黒人は、他にもまだまだいるのではないか。

10歳の子供に終身刑が言い渡されるアメリカ

 さらに、ショック度の高いニュースは、アメリカの子供の人権問題だ。国連の加盟国で、「子供の権利条約」を批准していない国が3国ある。ソマリアと南スーダンと、そしてアメリカ合衆国。

 アメリカでは、子供が大人と同じ法律で裁かれ、終身刑を受けることがまかり通っている。そのルポを見たが、はっきり言って信じられなかった。7歳の子供が、手錠と足にまで鎖をつけて裁判所に引き出されている姿を見ると、息が止まりそうになる。

 そのまま独房に入れられ、精神に異常をきたしていく子供も多いという。当然だろう。

 長年、これを改善しようと尽力している人々がいるのだが、一向に進まない。ルポの中でその1人が、「この子供たちを見ていると、ときどき大声で叫びたくなる」と言っていた。

 10歳ぐらいで終身刑を言い渡され、もう10年以上も留置されているという20歳すぎの男女のインタビューもあったが、1人残らず黒人だった。皆、恩赦の見込みはないという。

 子供のときの過ちは、子供だけのせいではない。周りの…
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