苦境の公共交通をどう守るか。その礎となる改正地域公共交通活性化再生法が先月施行された。自治体を中心に、地域交通網の再構築を促すものだ。

 交通のこれからを考えることは、人口減少時代の地域の未来像を探る切り口となる。自治体の積極的な行動を期待したい。

 現状は深刻だ。12年秋には岡山、広島両県で71路線を運行していたバス事業者が経営破綻(はたん)した。栃木県北部では今年5月、高校生らが使う路線バスが事業者の経営難で突如運休した。

 民間中心だった日本の公共交通は、少子高齢化に加え、規制緩和に伴う競争過熱で経営環境が悪化した。次の危機がどこで起きてもおかしくない。

 07年施行の地域公共交通活性化再生法は、公共交通への市町村の関与を定めた。地方の創意工夫で再生を図るためだった。

 だが実際は、民間撤退路線に市町村がコミュニティーバス(コミバス)を走らせるといった局所的な対応が目立った。採算が合わずに公金支出が膨らんだり、コミバスと民間バスが競合したりする問題も起きた。

 改正法はこうした反省を踏まえ、地域全体を考えた交通網の立て直しを求めている。市町村に加え、都道府県も計画づくりにかかわれるようにした。

 すでに動いた自治体もある。

 兵庫県豊岡市は民間バスの大幅撤退を機に、幹線は民間、支線は市営、と役割を整理した。バスで割に合わない地域には、市が公用車を提供し、住民が運転する新たな交通を導入した。

 奈良県は全市町村長の協議会で民間バス路線を「仕分け」する仕組みを整えた。利用状況や収支に応じ、ルートの変更やコミバスへの転換といった改善策を示す。ニーズに適した足へと変えていくのがねらいだ。

 新制度では、地域の判断でルートや運賃を柔軟に決めることができる。国は多彩な財政支援策も用意している。その気になればかなりのことができよう。

 大切なのは交通の再生を通じ、「こんな地域にしていく」という目標を定めることだ。

 新型路面電車の整備で注目を浴びる富山市は、街のコンパクト化が目標だ。高齢者が歩きやすい街を目指す新潟県三条市は、タクシーを用い、割安な乗り合い交通の乗り場を611カ所設け、外出を促している。

 どんなやり方がふさわしいかは地域ごとに違う。車通勤の職員ばかりで、公共交通の課題を理解していない自治体も少なくない。住民の声を聴き、有識者に助言を求める。地域の総力を束ね、知恵を絞ってほしい。