太陽光発電など再生可能エネルギーの新たな受け入れを大手電力が中断している問題で、政府の対応策が決まった。

 受け入れ余地を上回る申し込みがあった結果の中断である。電力会社が再エネ事業者から買い取る量を制限しやすくなるようにルールを改め、代わりに送電網に接続できる事業者数を増やすことをねらう。これから電力会社に契約を申し込む新規事業者が対象となる。

 当座の手当てだ。やむをえない面もあるが、問題は残っている。すでに発電を始めていたり電力会社と契約が済んでいたりする既存事業者が、新ルールの対象外となっている点だ。

 新ルールは、契約時期で線引きしている。仮に新規事業者が効率的な経営をしていても「買い取りは既存事業者優先」となってしまう。経営の優劣より事業を始めた時期がものを言うようでは、公平な競争と言えるのか。優れた事業者が勝ち残るための改善・工夫が必要だ。

 また、利用者の負担が過大になる恐れもある。

 買い取りにかかる費用は、再エネ事業者のコストに一定利益を乗せて計算し、電気料金に含めているので結局、電気を使う利用者が負っている。

 資料などから試算すると、制度が当初想定していた利益率を上回る計画が半数近くある。

 利益を保証して事業への参入を促す。再エネが普及して原材料費が下がれば買い取り価格も下げ、やがて再エネ事業が独り立ちできるようにする。これが制度の本来の狙いだ。それでも利用者の負担が過大になるようなら、改善するべきだろう。

 また、現行制度では経営情報を公開する義務もなく、事業者や発電所ごとのコストと利益が利用者には見えないままだ。

 まず、利用者に対し事業者が経営データを公開する仕組みを取り入れる。既存事業者の財務状況を確認したうえで、新規事業者と同等のルールを適用できれば、制度がより公平なものになるうえ、新規参入の受け入れ枠をさらに増やすことにもつながる。

 事後変更があまりに頻繁だと事業の先行きが見通せなくなり、制度そのものが信用されなくなる。しかし、規制と競争が混合する新産業育成だ。試行錯誤の要素は除けない。ドイツは、既存事業者にさかのぼって新たなルールを適用する対策を実施してもいる。

 利用者負担を抑えながら再エネを普及させる。大きな目標にそって、制度の改善に努力してもらいたい。