(2014年12月19日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
雪解けを告げる収監者交換で米政府からキューバ人スパイ3人が解放されたことを祝い、キューバ国旗を掲げる人々〔AFPBB News〕
キューバのマリエルは、苦境にあえぐ地方都市だ。荒れ果てた発電所と錆びたコンクリート工場がある町は、水深の深い湾に面している。湾の向こう90マイル北にあるのが米国。キューバの宿敵だが、最大の貿易相手国になる可能性を秘めた国だ。
1980年には、マリエルは米国への難民大量脱出の舞台となった。今では昨年開業した総工費8億ドルの自由貿易地区とコンテナ港の方がよく知られている。
その間、米国政府はキューバ政府と秘密裏に協議を進めていた。その交渉が、キューバに対する長年の貿易制裁を緩和するという12月17日の米国の歴史的発表に結びついたのだ。
行き詰ったキューバ経済、市民の間に広がる期待感と高揚感
「この辺りの状況は大きく変わるでしょうね」。地元の機械工ペドロ・コルデロさんは、マリエルの将来と米国との貿易関係の見通しに思いを馳せながらこう話す。「もうすぐいろんな人がここにやって来ますよ。ブラジル人、中国人、パナマ人、そしてアメリカ人がね」
コルデロさんと同様、大勢のキューバ人は、半世紀にわたる凍結を経て、米国は2国間の外交関係の再構築と通商関係の改善に向けて協議している述べたバラク・オバマ大統領の17日の発表に、期待、そして時に強い高揚感をもって反応した。
「すごい、すごい、すごい。誰もがワクワクし、浮かれて、興奮しています!」。カマグエイ州の州都で看護師をしているアナイダ・ゴンザレスさんはこう叫んだ。
18カ月間に及ぶ裏ルートでの交渉の後のオバマ氏の動きは、米国の禁輸措置に終止符を打つものではない。それには議会の承認が必要だ。
にもかかわらず、わずかな資源をマリエルの近代的なコンテナターミナルに投じたり、国内の別の場所にピカピカのマリーナやゴルフ場を建設するというキューバ政府の決定は、ラウル・カストロ国家評議会議長がかなり前に、米国、キューバ両国の通商関係の正常化に全力を挙げて取り組む決意を固めたことを示唆している。
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