中教審 新しい大学入試平成32年度から実施を12月22日 16時38分
文部科学省の中教審=中央教育審議会は、大学入試センター試験に代わる新たなテストを平成32年度から実施するよう、下村文部科学大臣に答申しました。知識を覚えることに偏りがちな現在の試験から、知識の活用や思考力を評価する試験に転換させる必要があるとして、複数の教科にまたがる問題や記述式で答える問題も導入するよう求めています。
中教審はおととしから大学入試の在り方について検討し、22日の総会で下村文部科学大臣に答申しました。
答申では、現在の大学入試は知識を覚えることに偏りがちで1点刻みの選抜になっているとして、知識の活用や思考力などを総合的に評価するものに転換する必要があるとしています。
そのうえで、現在の大学入試センター試験を廃止して平成32年度から新しく「大学入学希望者学力評価テスト」を実施するとしています。
このテストでは、▽複数の教科にまたがる問題を導入するほか、▽マークシート方式だけでなく記述式で答える問題や、▽英語については「聞く・話す・読む・書く」の4つの技能をはかるため外部の試験を活用すること、▽成績は1点刻みではなく段階別に示すことなども検討していくとしています。また、各大学に対して、筆記試験だけでなく小論文や面接などでも評価し、多様な学生を確保するよう求めています。
さらに、高校在学中に学習の到達度をはかるため「高校基礎学力テスト」を新設し、高校2年生と3年生の希望者が年に複数回受験して、進学や就職の際の学力証明として活用できるようにするとしています。
下村文部科学大臣は「21世紀の子どもたちが世界で活躍するために重要な答申だと理解している。これが『絵に描いた餅』にならないよう徹底してやり尽くすのが今後の文部科学省の使命だ」と述べました。
文部科学省は今後、専門家会議を設置し、1年後をめどにテストの具体的な内容をまとめる方針です。
提言されたテストとは
答申では、2つの新たなテストの導入が提言されました。
1つは、現在の大学入試センター試験に代わる「大学入学希望者学力評価テスト」です。答申では「知識、技能を活用してみずから課題を発見し、その解決に向けて探求し成果を表現するために必要な思考力・判断力・表現力を中心に評価する」とされています。
これまでの「国語」や「数学」といった単一の教科の試験に加えて、複数の教科にまたがる「合教科・科目型」や「総合型」の問題を出題するとしています。例えば、「国語」と「英語」を合わせて『言語』という枠組みを作ることなどを想定しているということです。
現在の大学入試センター試験はマークシート方式ですが、記述式で答える問題を導入するとしています。新たなテストは年に複数回、実施するとしていますが、回数や実施時期は高校や大学関係者を含めて今後、協議する予定です。
もう1つのテストが「高校基礎学力テスト」です。高校在学中に学習の達成度をはかるため新たに導入するとしています。
テストの教科は当面、高校の必修科目の「国語総合」「数学1」「世界史」「現代社会」「物理基礎」「コミュニケ-ション英語1」などを想定しているということです。原則、マークシート方式ですが記述式の導入も目指すとしています。
希望者が、高校2年生と3年生で年に2回受験することができ、実施時期は夏から秋を基本として、今後、学校現場の意見を聞きながら決めることにしています。
また、今回の答申では2つの新しいテストの実施主体として、現在の「大学入試センター」の組織を改め、できるだけ早く新しい組織を立ち上げることとしています。2つのテストの実施や検証のほか、各大学が行う入試を支援するため人員を増やすなど体制を整備する方針です。
現在の大学入試センター試験は、共通一次試験に代わって平成2年に始まりました。このときは少数の科目でも受験できるようにしたほか、私立大学も試験結果を利用するようになりましたが、試験の在り方そのものを見直す抜本的な改革は、実現すれば共通一次試験が導入された昭和54年以来となります。
ただ、今回の大学入試改革に対しては懸念の声もあります。民間の研究機関が高校の校長を対象に行ったアンケート調査では、テストを複数回行うことについて、学校行事を大幅に組み替えたり部活動に参加する生徒が減ったりといった影響を懸念する声や、「高校生活が受験一色になってしまう」という意見もあったということです。